【国連IPS=タリフ・ディーン】
就任2年目を迎える国連の潘事務総長の働きについて、ワシントンを拠とするInstitute for Policy Studyの新国際プロジェクト担当ディレクター、フィリス・ベニス氏は、「事務総長のこれまでの行動および今後のアプローチには、独立、強さ、強権国に異議を唱える気概、国家/人類の平等に対する責任感が見られない。国連が揺らぐ信用を取り戻す可能性があるとすれば、これらは不可欠な資質である」と語る。
潘事務総長は、1月7日の年頭記者会見において、「ご承知の通り、私は成功を簡単に誇るような人物ではない」とした上で、一定の成功を収めた分野として気候変動およびダルフールを始めとする和平活動の2つを上げた。しかし、ダルフールにおける国連の和平ミッションは、人員とヘリコプターの不足により開始前から厄介な状況に直面している。事務総長は、必要な26,000人の兵力の内僅か9,000人しか確保できていない旨明らかにした。
アンワルル・チョードリ前国連事務次長は、「国連はかつての尊敬と支持を失っている。事務総長の就任2年目に当たり、信頼と中立を回復することが同機関にとって最大の課題である」と指摘した。同氏は、信頼喪失の例として、国連への抗議デモや国連トップの現地事務所訪問拒否、ホスト国による国連職員の追放、セクハラを原因とする国連治安部隊の撤退などを上げている。
サンフランシスコを拠とするシンクタンク、オークランド・インスティチュートのアヌラダ・ミッタル氏は、「国連とその機関は、米国を始めとする西側資本に支配され無力化してしまった。西側諸国は、拠出を盾に国連を人質化してしまった」と語る。
一方、国連は今年、中東、ダルフール、ビルマ、イラク、イラン、レバノン、アフガニスタン、コンゴ民主共和国といった新旧多数の政治問題に取り組まなければならないだろう。潘事務総長は、記者会見において、ケニア、スリランカ紛争、中東和平、イラクの生活再建および難民対策、アフガニスタン問題等への取り組みを強調したが、2008年中にこれらの約束を果たすことができるだろうか。ベニス氏は、ノーと言う。
同氏は、単独軍事主義、国連憲章の軽視/違反、国連決議、他の国際法の制定といった過去7年に亘るブッシュ政権の外交政策の影響を指摘。また、オルブライト国務長官(当時)の「国連は米外交政策の手段である」との1995年発言にも触れ、米国の支配が国連の使命/国際協力実現の最大の障害になっていると語っている。国連が直面している諸問題について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan
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