INPS Japan/ IPS UN Bureau Report国連、2015年以後の開発課題で女性の役割重視

国連、2015年以後の開発課題で女性の役割重視

【国連IPS=タリフ・ディーン】

2015年以降の開発課題の完全実行のための集中的な世界キャンペーンを開始した国連は、9月に世界の指導者が採択した17の持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けて、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントが不可欠であると明確に主張している。

UN Assistant Secretary-General and UN Women Deputy Executive Director, Lakshmi Puri, intervening at the Women’s Forum on Financing for Gender Equality. Photo: UN Women/ Binyam Teshome Weldehana

そして、国連の潘基文事務総長は、人類の半数を占める女性が「あらゆる領域において(男性と)完全かつ平等な参加者として」扱われるようになるまで、あるいはそうならない限り、国連の開発目標が100%達成されることはないだろうという政治的メッセージを強く発した。

「UNウイメン」のラクシュミ・プリ事務局長代理(国連事務次長補)はこのメッセージを再確認して、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントは持続可能な開発の実現にとって必要不可欠だと語った。

このことは、昨年7月の第3回開発資金会議で採択された「アジスアベバ行動目標」や、9月に国連総会で採択された「持続可能な開発に向けた2030アジェンダ」の成果の中にも強く反映されている。

プリ氏は、「こうした成果は、ジェンダーギャップの解消に向けた投資の増加を通じたものを含め、ジェンダー平等とすべての女性・女児のエンパワーメントを達成することを自らに強く義務づけています。」と指摘した。

アジスアベバ行動目標の最初のパラグラフは「我々はジェンダー平等と女性のエンパワーメントを達成するであろう」と宣言している。

「『2030アジェンダ』は、ジェンダー不平等が、国内及び国家間の不平等を含むあらゆる不平等の源泉であると認識する一方、SDGsではジェンダー平等の達成を単独の目標として掲げています。」とプリ氏は語った。

17のSDGsには、飢餓貧困の根絶健康な生活の確保ジェンダー平等の達成、グローバル環境の保護、持続可能なエネルギーの確保などが含まれている。

これらの目標は2030年までの達成が期待されている。

昨年初めに開催された、権力と意思決定権を持つ女性に関するハイレベルイベントで演説した潘事務総長は、この数十年に比べて、今日の世界ではずっと多くの女性が政治分野で活躍していることを認めた。

「しかし、進展はあまりに遅く、スピードにもばらつきがあります。」と潘事務総長批判した。

潘事務総長は、「どの国にも女性の完全な平等はなく、女性は国会議員の5人に1人しかいません。また世界で女性の国家指導者は20人しかいないのです。」と指摘した。

潘事務総長はまた、「国会に女性が全くいない国が世界には5つあり、8か国には女性閣僚が全くいません。さらに女性は、余りに多くの国々で、家庭内暴力や性器切除、その他の形態の暴力に苦しんでいます。」と指摘したうえで、「こうした行為は個人にトラウマを、社会にダメージを与えています。」「現在世界的に横行している女性・女児に対する暴力を終わらせないかぎり、人権の擁護や開発の進展はありえません。」と語った。

プリ氏は、「私たちは、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントという真の約束と可能性を実現し、彼女たちの人権を実現する100年に一度の、これまでで最大の機会を手にしています。」と語った。

「これまでで初めて、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントの本質性が『アジェンダ2030』の中で認識され再確認されました。世界193か国の元首級の会合で採択された『アジェンダ2030』は、『人類の半分を占める女性に完全な人権と機会が与えられないかぎり持続可能な開発は不可能だ』と述べています。」とプリ氏は指摘した。

「さらに、ジェンダー平等はますます『実現可能なミッション』見なされるようになってきている。献身的で、包括的で、変革的なSDGsの第5項は、ジェンダー平等の約束の達成を謳うだけではなく、すべての女性・女児をエンパワーし、誰も置き去りにしないということを明記している。」

「アジェンダ2030」の履行のあらゆる側面において、ジェンダーギャップ解消のための投資の急拡大、ジェンダー平等機関の強化、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントの系統的な主流化への約束がなされている。

SDGs for All Logo
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「女性・女児に対するあらゆる形態の差別を法律・慣習上廃絶し、女性への暴力を終わらせることは、持続可能な開発の目標である。同様に、女性の未払いケアワークや、経済的・政治的・公的生活における平等な参加とリーダーシップ、性と生殖に関する健康・権利への普遍的なアクセス、資源や経済的エンパワーメントへの所有と管理に価値を与え、それらを提供することも、持続可能な開発の目標となります。」とプリ氏は付け加えた。

「履行と変化のペースを上げ、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを現世代の間に達成するとの約束もあります。『プラネット50/50』を2030年までに達成し、ジェンダー平等にまで高めるのです。」とプリ氏は語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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