【アトランタIPS=マシュー・カーディナル】
豪州企業のエンバイロミッション(EnviroMission)が、米国南西部のアリゾナ州に新式の太陽発電タワー(the solar tower)を建設する計画を進めている。
太陽発電タワーは、太陽熱を利用する新しい発電方法である。タワーの下には、直径4.8kmの温室が広がる。ここで熱せられた空気が高さ800メートルのタワーの中に吸い込まれ、中にある冷気を押し上げる。この際の空気の動きを利用してタービンを回すのである。
環境を汚染する「汚いエネルギー」の代表格である原子力発電にしても火力発電にしても、最終的にタービンを回すという意味においては、太陽熱発電と変わるところがない。ただ、熱を発生させる方法が異なるだけである。原発に関しては、[あまりに発生するエネルギーが多いことから]反核活動家たちの間では、核技術を利用して湯を沸かすのは「チェーンソーでバターを切るようなもの」と揶揄されることもある。
太陽発電タワーは2015年完成予定で、米国内では最も高く、世界全体でも第2の高さの建造物になる予定である。これによって15万世帯に電気を供給することが可能となる。すでに、南部カリフォルニア電力公社が200メガワットを購入する契約を結んでいる。
また建設段階で地元に1500人、その後の管理運用に30人から50人の雇用創出が見込まれている。
また太陽発電タワーは、温室効果ガスの年間100万トン削減、発電に伴う水利用の年間10億ガロン削減など、環境上の利点は少なくない。
また、温度の絶対的な高さではなく温度の差を利用するために悪天候下でも利用できること、昼間に溜め込んだ熱で夜間も発電できること、タービン関連以外にはメンテナンスの必要がほとんどないことなど、運用上の利点もさまざまに指摘されている。
エンバイロミッション社では、今後20年かけて、全米で少なくとも15棟のタワーを建設することを目指している。
太陽発電タワーという新しい発電の試みについて報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan