【ニューヨークThe Astana Timesナジマ・アブオヴァ】
3月3日、核兵器禁止条約(TPNW)の第3回締約国会議(3MSP)が国連本部で開幕した(7日まで)。本会議では、カザフスタンが議長を務め、世界的な安全保障の懸念が高まる中、核兵器廃絶への国際的な誓約が改めて強調された。
カザフスタンの緊急行動呼びかけ

カザフスタンのアカン・ラフメトゥリン第一外務次官は、開会の辞で軍縮努力を継続する必要性を強調した。彼は、本会議が国連創設80周年および広島・長崎への原爆投下から80年の節目と重なることの歴史的意義を指摘した。
「核兵器の存在とその使用の可能性は、今や世界の安全保障にこれまで以上の脅威を与えています。我々の使命の緊急性は、『終末時計』がさらに深夜に近づいているという事実によって痛感されます。これは、地政学的緊張の高まりと核の脅威の増大を示す警鐘です」とラフメトゥリン氏は述べた。
彼は、地政学的な不安定化、核兵器の増強、および核兵器使用を巡る挑発的な言動の拡大が、前例のない危機を生んでいると指摘した。TPNW発効以降の進展を振り返りつつ、条約が有効な軍縮メカニズムであることを強調し、その普遍化と実施に向けた取り組みの継続を呼びかけた。
「核兵器の廃絶は単なる願望ではなく、絶対的な必要事項なのです」と述べたラフメトゥリン氏は、カザフスタンが450回以上の核実験に苦しんだ歴史を振り返り、それが同国の軍縮への揺るぎない決意を形作ったと語った。

また、被害者支援と環境修復に向けた具体的な措置について議論を深めるよう促し、「国際信託基金の設立」というアイデアを提案した。
「この会議は、単なる誓約の再確認の場ではなく、核軍縮を不可逆的なプロセスにするための政策を推進する絶好の機会です。我々は決意を再確認するだけでなく、核兵器の完全廃絶へと導く主要な措置を積極的に追求しなければなりません」と締めくくった。
国連、TPNWへの支持を強調

国連事務次長兼軍縮担当上級代表の中満泉(なかみつ・いずみ)氏は、開会挨拶でTPNWの重要性を強調した。
国連事務総長アントニオ・グテーレス氏を代表し、中満氏は地政学的緊張の高まりと軍縮の進展が見られない現状に警鐘を鳴らした。
「前回の締約国会議で、私は事務総長の言葉を引用し、『我々の世界は制御不能になりつつある』と述べました。地政学的緊張が高まり、世界的課題が増大し、そして皆さんが政治宣言で再確認したように、核兵器の存続と軍縮の停滞が、核の惨禍をもたらすリスクを高め、人類全体にとって存亡の危機をもたらしています」と中満氏は語った。

「残念ながら、こうした傾向は続き、むしろ悪化しています」と付け加えた。
しかし、彼女はTPNWの締約国が増えていることや、核兵器の壊滅的な影響に対する認識の広がりを前向きな進展として指摘した。
「TPNWへの加盟は、国際社会に向けた重要なメッセージを発信することになります」と述べ、2026年の第1回再検討会議に向けて関与を強化するよう各国に求めた。
ICAN:「核軍縮は政治的選択である」

核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の事務局長であるメリッサ・パーク氏は、広島・長崎で25万人以上(うち38,000人が子ども)が犠牲となった悲劇を振り返りながら、緊急行動の必要性を訴えた。
「多くの人々が、核兵器が世界に恒久的に存在するものだと諦めています。しかし、私たちは決してその考えを受け入れてはなりません。核兵器は人間の手で作られたものであり、人間の手で解体することができます。これはユートピア的な夢ではありません」とパーク氏は述べた。
彼女は、カザフスタンや南アフリカを例に挙げ、核軍縮が可能であることを示し、技術的な障壁ではなく、政治的な障壁こそが進展を妨げていると指摘した。
「危機の時代においては、期待を下げたり、要求を和らげたりしがちです。しかし、リスクが高まれば高まるほど、より野心的であるべきです」と語った。
また、パーク氏は核兵器の近代化・増強を進める9つの核保有国と、その同盟国の関与を非難し、核抑止の概念を「自己満足的な幻想」として批判した。
「核抑止は、究極のテロ行為です」と、ノーベル賞受賞者ジョゼフ・ロートブラットの言葉を引用した。
赤十字、法的・人道的責務を強調

国際赤十字委員会(ICRC)の常駐代表であるエリーズ・モスキーニ氏は、TPNWが国際法を強化し、核軍縮を促進し、核兵器が引き起こす長期的な被害に対応する上で重要な役割を果たしていると指摘した。
「今日、世界のほぼ半数の国々がTPNWに拘束される意志を表明しました。これは多国間主義の勝利であり、核軍縮の議論と意思決定において人類を中心に据えるべきだという明確なメッセージです」とモスキーニ氏は述べた。
彼女は、TPNWが国際人道法に沿って核兵器を包括的に禁止することで、法的な空白を埋める役割を果たしていると指摘した。
また、被害者支援と環境修復のための「国際信託基金」の設立を進めるよう各国に呼びかけ、「核兵器の壊滅的な人道的影響を再確認し、その使用を示唆するいかなる行為も非難することが不可欠である」と強調した。(原文へ)
INPS Japan/ The Astana Times
Original Link: https://astanatimes.com/2025/03/exclusive-kazakhstan-leads-global-push-for-nuclear-disarmament-in-new-york/
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