地域アジア・太平洋東京で味わう「古きネパール」

東京で味わう「古きネパール」

日本の首都で楽しむ本格的で革新的なネパール料理

【カトマンズ Nepali Times=ソニア・アワレ】

अलि अलि अमिलो अलि अलि पिरो अलि अलि गुलियो अलि अलि टर्रो अलि अलि तितो तेसैले त दालभात यति मिठो।

(「少し酸っぱく、少し辛く、少し甘く、少し渋く、少し苦い。それがダルバートの美味しさ。」—東京のレストラン「Old Nepal」の入り口に刻まれた言葉)

東京の買い物街・豪徳寺の中心部に位置する「Old Nepal」は、カトマンズから遠く離れた別世界のようだ。

控えめな入口には薄暗いランプが灯され、店名が読めるだけ。中へ入ると、まるでパタンやバクタプルの暗い石畳の路地裏に迷い込んだかのような感覚に陥る。

店内は窓のない真っ暗な空間で、ネパールの停電時の伝統的な食堂を彷彿とさせる。狭い廊下は、カトマンズの裏路地を思わせる作りで、そこを抜けると、こぢんまりとしながらも広々とした食事スペースへと案内される。

Photo:Old Nepal Tokyo

内装は素朴で、土色のトーンにまとめられ、धुप(お香)の香りに包まれている。壁際にはघ्याम्पो(粘土製の器)や、ネパールの古いレンガと泥の家に見られるखोपा(小さな壁のくぼみ)が並んでいる。

このレストランは、シェフの本田亮(リョウ・ホンダ)さんのライフワークともいえる場所だ。ホンダさんはネパールで探求した食材を使い、本格的かつ革新的なネパール料理を得意としている。

「すべての料理はネパールの多様な文化や風景、そしてその色彩にインスパイアされています。」と、神戸出身のホンダさんはネパール語のアクセントを交えて語った。ホンダさんのムスタンをテーマにしたメニューは、ヒマラヤ山脈越えの地域の荒涼とした景色を彷彿とさせる色彩をもとに作られている。

Ryo Honda. Photo: SUMAN NEPALI

色で区別された料理には、「シャウ」(赤—ムスタンのリンゴのような色)、「アロコアチャール」(灰色—カリガンダキ川の川原の石のような色)、グリーンスープの「ガンダウ・マチャ」(緑)、竹炭を練り込んだ黒い蕎麦ヌードルの「トゥクパ」、茶色の「バングル・コ・セクワ」(ご飯の色)や「ダルバート」と「チャマルコ・クルフィ」(黄色のデザート)がある。

「ネパールが好きなのは、そこには一種類の人や食文化だけではないからです」と、毎年ネパールを訪れる41歳のホンダさんは語った。今回の訪問では、カンチャンプールでタルー族の料理を調査していた。

ホンダさんと妻の真理さんは、ダンクタも訪れ、地元のキノコや他の食材を試した。「Old Nepal」では、特にクミンやターメリック、コリアンダー、ジンブ、ティムル、ピンクチベットソルトなどのスパイスをネパールから直接取り寄せている。これらのアイテムの一部は、レストランの一階上にあるスパイスショップ「Sunya」で販売されている。

Dal Bhat
Alooko Achar
Nepali spices in Old Nepal Tokyo.

「ネパール料理が特別なのは、その独特な香りのおかげです」とホンダさんは語り、「特にジンブやティムルのようなネパール特有のスパイスが大きな役割を果たしている。」

ホンダさんがネパールに魅了されたのは、2007年に神戸でネパール料理店で働き始めたときだった。それからネパール料理に情熱を注ぎ込み、実際に訪問するまでになった。

「ネパール料理をもっと上手に作るには、現地に行くしかないと決めました。」とホンダさんは振り返る。「そして、神戸に戻ったときには新たなインスピレーションを得ていました。」

Thukpa
Chamalko Kulfi
Ghandhau Macha

その後、大阪で友人が営む「ダルバート食堂」で働き始めた。そこでは多くのネパール人留学生が客として訪れていた。ホンダ夫妻はその後もネパールを頻繁に訪れ、ドルポからバルディアまで山岳地帯や平野を巡り、特別な地元の食材や料理法を探し続けた。

これらの旅は、ネパール社会や、料理人(その多くが女性や子供)の扱われ方についても重要な洞察を与えた。

そして、「Old Nepal Tokyo」というアイデアが生まれた。ネパール料理を尊厳と敬意をもって扱い、それを基盤にした高級ダイニング体験を創造することだった。

Dhok Dhok, Tsampa
Shyau
Bangur Ko Sekuwa

「多くの面で、ネパールは私のビジネスの中心であり、この国に何を還元できるかを考えています。」とホンダさんは、パタンの「ジュネリ・チヤバリ」ティールームで語った。「ネパールの料理人は一般的に熟練と見なされず、十分な収入を得られません。高級ダイニングの発展がそれを変えるはずです。」

「Old Nepal Tokyo」は予約制のセットメニューのレストランで、1コースは13,000円(約90ドル)以上となり、ミシュランガイドにも掲載されている。

Menu
Mr. and Mrs. Honda Photo: SUMAN NEPALI

「ここのお客さんのほとんどはネパールについて何も知らず、行ったこともない人ばかりです。」「でも、ここで食事をした後は、ネパールに行きたくてたまらなくなるのです。」とホンダさんは語った。

ホンダ夫妻は最終的にネパールで高級ネパール料理店を開きたいと考えている。また、ネパール料理のレシピ本も日本語で出版しており、その中には、マリーゴールドやジュジュダウ、フェヌグリークのシロップを使用した「ティハール」というフェスティバルデザートも含まれている。

さらにホンダさんはティムルビールの製作にも挑戦し、現在レストランで缶で販売している。その評判も上々だ。

ネワール料理は、ホンダさんが最も好きなネパール料理の一つである。「神戸の料理にも似ている部分があります。我々も多くの内臓を使うんです」と彼は笑いながら語った。(原文へ

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