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ニュース岸田首相、NPT再検討会議で1千万ドルの基金創設を発表。青少年の広島・長崎訪問を支援

岸田首相、NPT再検討会議で1千万ドルの基金創設を発表。青少年の広島・長崎訪問を支援

【国連ATN=アンジャリ・シャルマ】

岸田文雄首相は1日、世界中の若者が1945年に原爆が投下された広島と長崎を訪れることを奨励するため、1000万ドル(13億3000万円)の新しい国連基金の創設を発表する予定だと、関係筋が明らかにした。

岸田首相は8月1日に国連本部で開幕する核不拡散条約(NPT)再検討会議で演説し、計画の詳細を説明する。また、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期実現に意欲を示し、そのための首脳級会談を9月に開催する予定だ。

Prime Minister Fumio Kishida/ ATN
Prime Minister Fumio Kishida/ ATN

岸田首相は7月30日から3日間の訪米中にNPT再検討会議に出席する予定で、日本の首相としては初めての出席となる。関係者によると、核保有国に対し、核兵器の透明性を高めるよう求め、米国と中国には核兵器の削減と管理に向けて対話を行うよう求めるという。「岸田首相は国連のNPT再検討会議で、核兵器のない世界のビジョンとして演説を行う。首相として核軍縮・廃絶に向けた活動を続けるための具体的な出発点とする予定だ。」と関係者は語った。

5年ごとに開かれるNPT再検討会議に各国首脳が参加するのは珍しい。岸田首相の参加は、核問題への熱心な取り組みをうかがわせる。

来年5月19日から21日にかけて広島で開催される主要国首脳会議(G7)では、岸田首相がホスト役を務めることになっている。今回のNPT検討会議での演説と並んで、いずれも岸田首相が掲げる「核兵器のない世界」の実現に向けた舞台となるだろう。

岸田首相はニューヨークで開かれる国連核不拡散条約(NPT)再検討会議での演説で、核兵器国と非核兵器国の橋渡し役としての決意を強調し、「核兵器のない世界」実現に向けた協力を呼びかけるという。首相は、2015年にニューヨークで開催された前回のNPT再検討会議に外務大臣として出席した。しかしその会議では、日本の精力的な取り組みにもかかわらず、成果文書に署名することなく閉幕した。岸田首相は、「最終文書の合意に至らなかったことは残念であり、2015年NPT再検討会議で核のない世界のための約束を前進させることができていたら、核軍縮と廃絶に向けた重要な一歩になったはずだ。」と述べている。

ATN

広島は1945年8月6日、戦時に史上初めて米軍が投下した原子爆弾で破壊された。

広島を選挙地盤とする岸田首相は核問題で進歩的なビジョンを持つことで知られているが、自民党の保守派の多くはこのビジョンを共有していない。岸田首相は、核軍縮、核兵器廃絶の実現に向け、現実的な対策を講じる意向である。核保有国が核兵器禁止条約に参加しないため、岸田首相は、日本が同条約のオブザーバーとなることには慎重な姿勢を示している。

日本の唯一の正式な同盟国であり、日本の安全保障を支える「核の傘」を提供する米国との健全な関係を維持することは極めて重要である。岸田首相は側近に「核の問題を考慮しても、日本が米国との関係を最も重要視していることに変わりはない」と語った。

5月23日に東京で行われたジョー・バイデン米大統領との首脳会談では、この問題に対する現実的なアプローチを示した。両首脳は、日米共同声明を発表し、核兵器のない世界を目指して共に努力する意思を再確認した。

声明では、バイデン大統領が、核兵器を含む米国の全能力を背景とした日本の防衛に対する米国のコミットメントを改めて表明したことも明記された。声明はまた、中国に関するセクションに言及し、日米両首脳は中国に対し、核リスクの低減、透明性の向上、および核軍縮の進展に向けた取り決めに貢献するよう要請したと述べている。

岸田首相は声明に中国の核問題を盛り込むことを優先した。また、バイデン大統領との会談で核問題のバランスを取ることに成功した。さらに、来年のG7サミットの広島開催についてもバイデン大統領の了解を得た。首相は、核保有国である米英仏を含むG7の全メンバーが、広島でのサミット開催に同意することを目指した。また10日に開かれた英国国際戦略研究所が主催するアジア安全保障会議(シャングリラ会合)の基調講演では、中国の核軍縮を訴え、米中間の核軍縮・軍備管理に関する対話を、日本は他の関係国とともに支援していくと述べた。

岸田首相は、「世界はウクライナ侵攻という未曾有の危機に直面し、大量破壊兵器の使用リスクも高まっている。」との認識を示した。また、来る広島G7サミットについて、「武力侵略、核兵器による威嚇、国際秩序の転覆を断固として拒否するG7の意思を示したい」と指摘したうえで、「広島ほど、平和への決意を示すのに適した場所はないと感じている。」と強調した。

Hiroshima after atom bomb on August 6, 1945/ ATN

ストックホルム国際平和研究所は、世界の核兵器数が今後10年で増加する可能性が高いと報告し、冷戦後の核兵器削減の時期が終わりつつあることを示唆した。

岸田首相は自らの理想を掲げると同時に、米国の核兵器を含む軍事力で日本を守る米国の「拡大抑止」の信頼性を高め続けるだろう。日米同盟の抑止力を確保しつつ、核兵器国の理解を得て、核軍縮・廃絶への道筋をどう示すか、それが問われている。

A view of United Nations Headquarters complex in New York City as seen from the Visitors’ Entrance. /UN Photo | Yubi Hoffmann.
A view of United Nations Headquarters complex in New York City as seen from the Visitors’ Entrance. /UN Photo | Yubi Hoffmann.

岸田首相は、2014年の長崎大学での講演で、核兵器のない世界に向けた可能な措置として「3つの削減」を紹介した。1つ目は「核兵器の数の削減」、2つ目は「核兵器の役割の縮小」、3つ目は「核兵器を保有する動機の削減」である。そして、これらの削減を受け入れることで、G7首脳は核軍縮に向けた重要な一歩を踏み出すことになる。

岸田首相は外務大臣として、2016年5月にバラク・オバマ大統領(当時)を広島に迎え入れた。オバマ大統領は「核兵器のない世界」というビジョンでノーベル平和賞を受賞し、広島で廃絶を呼びかけた。

世界は、そうした目標を達成することがいかに難しいかを学んだ。

より良い世界を構築するために8月1日からニューヨークで国連のNPT再検討会議が開催され、世界の視線が注がれる中、初日に登壇する岸田首相は、来年のG7広島サミットの主催者としても、世界の注目を集めることになるだろう。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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