【国連IPS=オリトロ・カリム】
ベネズエラ北部・中部を襲った6月24日の一連の地震から2カ月余り。人道支援機関は今なお最前線で救援活動を続ける一方、持続可能な復興に向けた取り組みを本格化させている。保健医療や水・衛生(WASH)システムが深刻な打撃を受けるなか、国連とパートナー諸機関は復旧の進捗を見極めながら、生活必需品の配布や基礎的サービスの再開に取り組んでいる。|英語版|
国連人道問題調整事務所(OCHA)の8月末時点の報告によると、地震による被災者は約130万人に上り、今後6カ月にわたって人道支援を必要とするとみられている。地震による直接の死者は6,509人に達した。当局は60,785戸の住宅の被害状況を調査し、このうち11,001戸を高リスクと判定した。
生活を支えるインフラへの被害も甚大かつ広範囲に及んでいる。国連によると、住宅だけでなく、学校や医療施設、さらに食料生産、安全な水の供給、子どもたちが安心して過ごせる環境を支える施設や設備にも大きな被害が生じた。
被害額については、それぞれ異なる評価手法に基づく推計に大きな幅がある。国連防災機関(UNDRR)の予備評価では、建物とインフラへの直接的な物的被害を約370億ドルと推計している。一方、国連開発計画(UNDP)が衛星データなどを用いて実施した迅速評価では、直接的な物的被害は約67億ドルで、同国の国内総生産(GDP)の約6%に相当すると推計された。
地震発生直後、UNDPは衛星画像、AIによる被害検出、被災リスクにさらされた人口や建物などのデータ、地震動の強度データ、工学モデルなどを組み合わせた迅速被害評価システム「RAPIDA」を稼働させた。これにより、被害規模を把握するための重要なデータを政府に提供し、復旧・復興計画の策定を後押しした。
RAPIDAは当初、地震で発生したがれきの量を約120万トンと推計していたが、その後、高解像度の衛星画像や現地調査の結果を踏まえ、7月中旬までに約210万トンへと上方修正した。この推計は現在、国のがれき処理計画の基礎となっている。政府当局によると、8月下旬までに全体の約28.61%が撤去された。
こうした進展にもかかわらず、多くの被災者の生活は依然として極めて不安定な状況にある。数万人が80カ所の仮設避難所で生活を続けており、深刻な過密状態や不衛生な環境、基礎的サービスの不足によって、感染症が拡大するリスクが高まっている。

汎米保健機構(PAHO)のジャルバス・バルボサ事務局長は、「今後数週間で最大の健康上のリスクとなり得るのは、地震そのものによる負傷だけではない。保健医療サービスの中断、過密な避難環境、不十分な水・衛生環境に加え、予防接種や日常的な医療を受ける機会の減少も大きな脅威となる」と警告した。また、ベネズエラでは地震発生以前から予防接種率が著しく低かったと指摘した。
国連とパートナー諸機関は、水・衛生(WASH)システムの復旧を最優先課題の一つに位置づけ、感染症の発生を防ぐうえで、安全で清潔な水を確保することが不可欠だと強調している。
国連児童基金(UNICEF)によると、過去2カ月で安全な水の確保には大きな進展がみられたものの、豪雨や給水車の不足、運用コストの上昇が、必要な支援を継続するうえで依然として大きな障害となっている。
UNICEFベネズエラ代表のマヌエル・ロドリゲス・プマロル氏は、「地震による壊滅的な被害の後、最優先事項は、子どもたちが安全で清潔な水を利用できるようにすることだった。しかし復興とは、家庭が今だけでなく、将来にわたって安全な水を確保できるようにすることでもある」と語った。
さらに、「復興とは、現在機能しているサービスを維持し、家庭が長期的に必要とするサービスを強化していくことにほかならない。UNICEFは、すべての子どもが健康で安全な環境のなかで成長できるよう、技術支援や物資の提供、運営面での支援を継続していく」と述べた。
現在、UNICEFとベネズエラの水資源省(Ministry of People’s Power for Water Services)は、最も大きな被害を受けた地域の一つであるラ・グアイラ州で、主要な給水施設の復旧に取り組んでいる。最大25万人への安全な水の供給を目指し、10月に始まる事業では、マモ揚水場とナイグアタ浄水場の補強が予定されている。
9月8日時点で、UNICEFの支援は子ども5,079人を含む少なくとも16,661人に届いている。複数の地域で安全な水へのアクセスが回復しており、保健、栄養、子どもの保護を安定させるうえで重要な前進となっている。
ここ数週間、PAHOの対応は緊急救援から早期復興へと移行しつつある。重点分野には、メンタルヘルス、妊産婦・周産期医療、中断した保健医療サービスの再開、仮設避難所への継続的な支援などが含まれる。
PAHOは9月4日、ベネズエラでの活動状況をまとめた報告書を発表し、これまでに41.3トンの医療物資と医薬品を同国に搬入し、約70,697人に支援を届けたと明らかにした。PAHOとパートナー諸機関はまた、仮設避難所の衛生・環境上のリスクを監視するとともに、感染症などを早期に発見し、迅速に対応するための体制強化を支援している。
PAHOは、カラカス、ラ・グアイラ、ミランダ、アラグアを特に支援の必要性が高い地域として挙げている。これらの地域では、妊産婦医療や家族計画、ジェンダーに基づく暴力の予防、リハビリテーションなどの分野で緊急の支援が必要だという。
こうしたニーズに対応するため、PAHOは今後6カ月間に必要となる緊急保健医療支援の資金として、2,300万ドルの拠出を国際社会に呼びかけている。
INPS Japan/IPS UN Bureau Report
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