INPS Japan/ IPS UN Bureau Reportロシア、中国、北朝鮮の新たな接近は韓国に核武装を強いるのか?

ロシア、中国、北朝鮮の新たな接近は韓国に核武装を強いるのか?

【国連IPS=タリフ・ディーン】

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と北朝鮮の金正恩労働党総書記が先月、2つの核保有国間で冷戦時代の相互防衛の誓約を復活させる協定に署名したとき、その影には第3の核保有国の暗黙の支持もあった: 中国である。

日本と韓国に恐怖心を抱かせたこの新たな核同盟は、ロシアが持つ人工衛星やミサイル技術に関する知識を北朝鮮と共有する可能性を保証するものだ。

この新協定は、ロシア、中国、北朝鮮と、米国、日本、韓国の間の深い分裂をもたらした。

しかし、一つの疑問が残る:これらの新たな展開は、少なくとも近い将来、韓国を核武装させ、世界の9つの核保有国(米国、英国、フランス、ロシア、中国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮)に加えることになるのだろうか?

ニューヨーク・タイムズ紙は、世宗研究所の朝鮮半島戦略センターの鄭成長(チョン・ソンジャン)所長の言葉を引用し、「韓国は、北朝鮮の核の脅威に対抗するために、米国の核の傘にほぼ全面的に依存している現在の安全保障政策を根本的に見直す時期に来ている。」と報じた。

また、タイムズ紙は、北朝鮮の中央通信の報道を引用し、プーチン大統領と金総書記は、一方の国が戦争状態に陥った場合、他方の国が 「遅滞なく、保有するあらゆる手段で軍事その他の援助を提供する 」ことで合意したと伝えた。

Addressing the UN General Assembly, Ambassador Kim Song of North Korea said nuclear weapons are stockpiled in many countries, including the U.S., yet Pyongyang is the only one facing sanctions: Credit: UN Photo/Evan Schneider

「ワールド・ビヨンド・ウォー」と「宇宙の兵器利用と原子力に反対するグローバルネットワーク」の理事を務めるアリス・スレイター氏は、IPSの取材に対して、「ロシアがこの時期に北朝鮮や中国と同盟を結んでいるという事実は、米外交が失敗した結果であり、米国の軍産議会メディア学術シンクタンク複合体(MICIMATT)が、87カ国にある800の米軍基地を超えて米国の影響力を拡大しようとしている結果です。」と語った。

「米国は今、太平洋地域に最近設立した基地で中国を取り囲み、オーストラリア、英国と新しい軍事同盟であるAUKUSを形成しています。…さらに米国は、リチャード・ニクソン大統領とヘンリー・キッシンジャー国務長官が1972年に中国の共産党政権を承認し、(国共内戦に敗れて大陸から逃れた国民党政権が樹立した)台湾の将来問題については中立を保つと約束したにもかかわらず、台湾の武装を支援しています。」と核時代平和財団の国連NGO代表でもあるスレーター氏は語った。

7月12日のAP通信の報道によれば、米国と韓国は初めて共同核抑止ガイドラインに署名した。これは、「北朝鮮の進化する核の脅威に対する対応能力を向上させるための基本的でありながら重要な一歩」である。

ワシントンで開催されたNATO首脳会議に合わせて会談したジョー・バイデン米大統領と尹錫悦韓国大統領は、両国の同盟が共同核協議グループを発足させてから1年、「驚異的な進展」を遂げたと評価した。

AP通信によれば、米韓両国は昨年、核作戦に関する意思疎通を強化し、様々な有事において米軍の核兵器と韓国の通常兵器をどのように統合するかを議論するために、この協議機関を発足させたという。

一方、核兵器廃絶のための世界的ネットワークであるアボリション2000は、7月30日にジュネーブで 「3+3モデル非核地帯による北東アジアの非核化」と題するセミナーを開催する。

北東アジアで活動する核保有国や同盟国(中国、日本、北朝鮮、ロシア、韓国、米国)の緊張、未解決の紛争、核兵器政策は、この地域における武力紛争や核戦争のリスクを高めている、とAbolition 2000は指摘している。

「これらの国のいずれか一国による一方的な軍縮は、他の国々が強力な核抑止政策を続ける限り、ほとんどありえない。必要なのは、すべての国の安全を維持する地域的な核軍縮アプローチである。」と述べている。

北東アジア非核兵器地帯のための3+3モデルは、この地帯の領土である3カ国(日本、北朝鮮、韓国)が、中国、ロシア、米国から核兵器による脅威を受けないという信頼できる強制力のある安全保障を得る見返りに、核兵器への依存を相互に放棄するという合意を想定している。

この合意は、朝鮮戦争を正式に終結させるための、より包括的な平和協定の一部を提供するものである。

この提案は、日本、韓国、米国の学者、議員、市民団体の間で真剣に議論されている。7月30日のジュネーブ会議は、NPT準備委員会の代表団を含めて議論を広げることを目的としている。

米国国務省のマシュー・ミラー報道官は7月22日、北朝鮮による核の脅威の高まりについて質問され、次のように答えた。「この状況に対処するためには外交を優先したい旨を何度も表明してきましたが、北朝鮮はそのような意向を全く示していません。」と語った。

ロシアが北朝鮮と中国に接近する結果についての質問に答えて、アントニー・ブリンケン米国務長官は、 「二つのことが見られます。ウクライナ戦争の結果としていくらか加速したかもしれませんが、それが長い間進行中だったことです。しかし、それ以外にも驚くべきことが起きています。」と語った。

「私たちは大西洋と太平洋全域、そして大西洋と太平洋の間でも協力体制を構築しました。ですから、私たちのチームと協力している国々は、ロシアがこれまで作り上げてきたものよりも優れています。…この先には、すでに多くの歪みが生じています。 ロシアと密接に協力し、ウクライナでの戦争の永続化に手を貸すことは、どの国にとっても評判を低下させることになるでしょう。」

「だから、私は中国が現在の立場に非常に不快感を抱いていると思いますが、現時点では、中国が北朝鮮やイランとは異なり、武器ではなく、ロシアの防衛産業基盤へ資材を提供しているという課題があります。」とブリンケン国務長官は語った。

ブリンケン国務長官は、「ロシアが輸入している工作機械の70%と マイクロエレクトロニクスの90%は中国から輸入されている。」と指摘したうえで、「これらがロシアの防衛産業基盤に入り、ミサイルや戦車、その他の兵器になっているのです。」と語った。

「私たちはその点で中国を非難し、中国企業に制裁を課しました。しかし、重要なのは、他の多くの国々も同様に行動したことです。そして、数週間前に欧州でもそのような動きが見られました。中国は二枚舌を使うことはできません。ウクライナでの平和を支持すると言いながら、一方でロシアによる戦争の追求を助長することはできないのです。」

「中国は、欧州の安全保障にとって冷戦後最大の脅威を助長しているときに、欧州との関係改善を望んでいるとは言えないのです。」とブリンケン国務長官は断言した。(原文へ

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This article is brought to you by IPS Noram, in collaboration with INPS Japan and Soka Gakkai International, in consultative status with UN ECOSOC.

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