核兵器のない世界のために―創価学会メキシコが企画した「核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択」展がアナウアク大学で開催
【メキシコシティーINPS Japan=ギレルモ・アヤラ・アラニス】
メキシコ市北部に位置するアナワク大学の展示ホールが、若者たちに核兵器の脅威と、それを防ぐために市民社会が行っている取り組みを伝える中心地となった。創価学会メキシコ、アルフォンソ・ガルシア・ロブレス外交財団、OPANAL(ラテンアメリカ・カリブ核兵器禁止条約機構)などの取り組みが紹介された。
創価学会メキシコによって企画されたこの「核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択」展には、国際関係、コミュニケーション、デザイン、工学など多様な学部の学生たちが展示を訪れた。
「ティフアナからティエラ・デル・フエゴまで、ラテンアメリカ地域を核兵器の危機から守っているトラテロルコ条約。その推進者こそがアルフォンソ・ガルシア・ロブレスなのです。」と、創価学会メキシコのネレオ・オルダス理事長はINPS Japanの取材に対して語った。
展示は、創価学会インタナショナル(SGI)と核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の協力により制作された42枚の情報パネルで構成されており、核兵器が地球の生命に与える脅威や、それに抗う市民社会の闘いについて来場者に深く考えさせる内容となっている。
「若者には社会を変革する原動力があります。若者は国の最大の宝です。彼らには創造性、力、純粋さ、そして情熱があるのです。」と、オルダス理事長は続けた。
アナワク大学の国際化担当ディレクター、パトリシア・エウヘニア・ルイス氏も、「自分がどんな専攻であれ、現実を知ることは重要です。そして、どのような世界を創りたいかを考え、影響を与える存在になってほしい。」と語った。
過去3年間で、この展示会はメキシコ国内の複数の大学で開催され、生徒・教師・職員・市民など10万人近くが訪れた。展示では、核兵器の研究・生産に関わる資金の流れについても紹介しており、24カ国の329の銀行、年金基金、金融機関が関与していることが強調されている。また、核兵器の健康・環境への影響、そして広島・長崎への原爆投下がもたらした被害についても学ぶことができる。
アナワク大学のデザイン学部生フリエタ・アリアスさんは「核兵器なんて必要ありません。あれほどのことをしておいて、まだ存在するのは馬鹿げている。私たち若者こそ、きちんと知るべきです。」と語り、工学部のアレックスさんも「核戦争が起これば一瞬で全てが終わり、取り返しのつかない結果をなるでしょう。」と語った。
創価学会メキシコは、メリダ、プラヤ・デル・カルメン、サン・ミゲル・デ・アジェンデ、ティフアナ、ベラクルスなど、国内68都市で活動している。
今年1月26日には、創価学会インタナショナル創立50周年を迎えた。同団体が掲げる平和の価値観は、今後ますます若者の間で重要視されていくべきである。この文脈の中で、グアナフアト州サン・ミゲル・デ・アジェンデ市では、SGIがアルフォンソ・ガルシア・ロブレス外交財団から「平和と核廃絶への貢献に対する功労メダル」を授与された。
同財団会長のラファエル・メディナ氏はINPS Japanのインタビューに対して、「新世代が平和と核廃絶の種をまくことが極めて重要」と強調。「メキシコが世界初の非核兵器地帯(NWFZ)を生み出したことに誇りを持ってほしい。そして、今後さらに深く広く取り組むべきだ。」と語った。また、現在、ノーベル平和賞受賞者アルフォンソ・ガルシア・ロブレスの業績を紹介するドキュメンタリー映画の制作も進んでいることを明かにした。
OPANAL事務局長のフラヴィオ・ロベルト・ボンザニーニ大使もイベントに出席し、「若者こそが安全で平和な世界を築くことができる」と述べ、核兵器の脅威についての理解を深め、声をあげるよう呼びかけた。
また、OPANAL代表団の一員として広島出身の日本人インターン、佐藤ユミさんも参加していた。彼女は広島の原爆生存者を祖母に持ち、現在カリフォルニアのミドルベリー国際大学院で「不拡散とテロ対策研究」の修士課程を学んでいる。彼女は「日本とラテンアメリカの若者の多くが、核兵器の廃絶を望んでいる」と述べ、「同じ時代を生きるメキシコの若者と日々を共にできてうれしい。」と語った。
この「核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択」展は今後も大学や公共施設で巡回展示される予定であり、創価学会メキシコのオルダス理事長は、持続可能性や環境をテーマにした展示も近くメキシコ国内の教育機関で展開していくと発表した。(原文へ)
INPS Japan
関連記事: