【The Astana Times=ダナ・オミルガジ】
今年、プロジェクト・サファイアの30周年を迎える。この歴史的な作戦は1994年に実施され、ウスチ・カメノゴルスクの危険な施設から600キログラムの高濃縮ウラン(HEU)を撤去するというものだった。
米国カザフスタン大使館によると、このウランはソ連時代の核計画の遺産で、盗難の危険性が高い状況にあった。この状況はソ連崩壊後、米国の外交的関与を通じて発見された。この物資を米国に輸送することで、核拡散の脅威が大幅に削減された。ビル・クリントン元米大統領は、この類を見ない作戦を機密解除し、1994年11月23日に世界に発表した。
プロジェクト・サファイアは、特に核安全保障の分野で、米国とカザフスタンの戦略的パートナーシップの持続性を象徴していす。米国は1991年12月25日にカザフスタンの独立を最初に承認した国であり、この関係を核不拡散協力を基盤として重視してきた。この作戦は、グローバルな安全保障課題に対処するための協力の力を示し、両国間に深い信頼を築くとともに、協調的脅威削減(CTR)プログラム(通称:ナン=ルーガープログラム)の成功の礎を築いた。
国際安全保障・不拡散担当国務次官補のC.S.エリオット・カン氏は次のように述べている。
「プロジェクト・サファイアは、外交が直接的にグローバルな安全保障を向上させる具体的な成果をもたらすことができるという力強い教訓を示しています。継続的な関与と協力を通じて、核拡散防止や脆弱な核物質の安全確保において意味のある進展を達成することができます。」
国防脅威削減局のレベッカ・ハースマン局長によると、今日カザフスタンと行われている核安全保障関係者の訓練や装備、旧セミパラチンスク核実験場の安全確保といった共同の取り組みは、プロジェクト・サファイアにそのルーツを持つとされている。「私たちは、脅威削減という共通の使命を支えるために、これまでの信頼関係から力を引き続き得るつもりです」とハースマン氏は語った。
HEUはC-5輸送機3機でテネシー州オークリッジのY-12国家安全保障複合施設に輸送された。同施設では、エネルギー省国家核安全保障局(DOE/NNSA)が国際原子力機関(IAEA)の監視下で、これを民生利用のために低濃縮ウラン(LEU)に転換した。
DOEの核安全保障担当次官でありNNSA管理者のジル・フルビ氏は次のように語っている。
「プロジェクト・サファイアから30年が経過した今も、NNSAは核安全保障を促進するための地域および世界的なパートナーシップを技術的専門知識で支援し続けています。この画期的な作戦の完了以降、カザフスタンと協力してさらに210キログラムの高濃縮ウランを撤去または低濃縮化してきました。今後もこのパートナーシップを強化することを楽しみにしています。」
プロジェクト・サファイアの遺産は、安全で安心な世界の実現に向けた継続的な努力を奨励している。米国は、カザフスタンや他のパートナーと協力してグローバルな核不拡散体制を強化するというコミットメントを堅持している。
核兵器の拡散防止は、国家安全保障上の必須事項であるだけでなく、共有されたグローバルな責任でもある。この脅威を削減するために協力することで、各国は共同の安全を高め、すべての国々にとってより安定し繁栄した世界を促進することができる。(原文へ)
今年4月、『アスタナタイムズ』は、プロジェクト・サファイアに参加し、カザフスタンの核兵器なき未来への最初の一歩を目撃したアンディ・ウェバー氏(戦略的リスク評議会ジャネ・E・ノーラン戦略兵器センターのシニアフェロー)にインタビューを行った。このインタビューは以下のYouTubeでも視聴可能。
The Astana Times
INPS Japan/Astana Times
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