SDGsGoal17(パートナーシップで目標を達成しよう)国連で正当な地位を求めるアフリカ

国連で正当な地位を求めるアフリカ

【ハラレ/アジスアベバIDN=ジェフリー・モヨ

2月初めにエチオピアの首都アジスアベバのアフリカ連合(AU)本部で開催された第35回AU通常総会で、アフリカの指導者らが国連改革を強く求めた。なかでも、これを最も強く主張していたのは、主催国のアビィ・アハメド首相であった。

昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン総会だったが、規制が世界各地で緩和される中、今回は2年ぶりの対面での開催となった。

Abiy Ahmed during state visit of Reuven Rivlin to Ethiopia, May 2018/ Mark Neyman / Government Press Office (Israel), CC 表示-継承 3.0
Abiy Ahmed during state visit of Reuven Rivlin to Ethiopia, May 2018/ Mark Neyman / Government Press Office (Israel), CC 表示-継承 3.0

アハメド首相は、「世界の今の現実を反映するように国連を改革・再活性化し、国連がより代表性を高め平等な機関となるようにさせるのは今しかない」と語った。

アフリカの首脳たちは次々に国連改革の必要性を訴えた。南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は、「発展途上にあるアフリカは、気候変動に対する闘いにおいて国連から不当な扱いを受けてきた」と指摘したうえで、「化石燃料からの移行のような複雑な問題に対する万能の解決策などというものは、アフリカが直面している現実を踏まえておらず、機能することはないし、公正でも平等でもない。」と訴えた。

アハメド首相は、さらに国連安保理改革について、「2005年のエズルウィニ・コンセンサスに基づき、我々は、国連安保理でアフリカ諸国が2つの常任理事国と5つの非常任理事国枠を得られるように要求すべきだ。」と語った。

エズルウィニ・コンセンサスとは、AUが15年以上前に合意した、国際関係や国連改革を巡るアフリカ共通の立場のことである。

アフリカの指導者らは「世界の舞台でアフリカの声にもっと耳を傾けてもらう必要がある」と妥協なき国連改革を呼びかけ、「重要な国際機関においてアフリカの代表をもっと受け入れるべきだ。」と訴えた。

AUの昨年の議長だったコンゴ民主共和国のフェリックス・チセケディ大統領から議長職を引き継いだセネガルのマッキー・サル大統領は、就任挨拶において、自身の1年間の任期の主要目標は「平和」であると語った。

「平和や安全保障の問題にしろ、憲法によらない政権交代の問題にしろ、環境保護や健康対策の問題にしろ、経済・社会開発の問題にしろ、我々の取り組むべきことはあまりに山積しており、いずれも緊急を要するものだ。」とサル大統領は語った。

Moussa Faki Mahamat / By Foreign and Commonwealth Office, OGL v1.0
Moussa Faki Mahamat / By Foreign and Commonwealth Office, OGL v1.0

国連改革を求める声が高まる中、ムーサ・ファキAU委員長はAU自身に対しても改革の必要性を訴えた。各地域やアフリカ全で重要性を持つ問題に関して、AU委員会の権限と統率力に影響を及ぼす法的・政治的限界の問題を指摘したのである。

ファキ委員長がAUの反省点を提起した一方で、アハメド首相は、「今日、国連創設から70年以上が経つが、アフリカはこの国際統治のシステムにおいて何ら意義のある参加もできず、役割も与えられないまま、単なるジュニア―パートナーに留まってきた。安保理に代表枠を持たず、さまざまな意味において過少代表となっている国連においてこのことは特に顕著だ。」と述べ、アフリカ大陸が国連と連携を取っているにも関わらず、あらゆる領域において長年に亘っていかに不当に扱われてきたか不満を口にした。

アハメド首相はまた、「アフリカはしばしば国際メディアによるネガティブ報道に晒されている。内戦や飢餓、腐敗、貪欲、病気、貧困に見舞われた大陸であると繰り返し報道されることは、人々から尊厳を奪い、非人間扱いするものだ。これは計算された戦略と意図によって掻き立てられているものだ。」と述べ、世界のメディアによるアフリカについての報道のあり方についても不満を述べた。

さらにアハメド首相は、「エチオピアがこの間学んできた最大の教訓は、アフリカの兄弟姉妹たちの連帯なしには、一つのまとまりとのしての我々の存在が大きな危機に立たされてしまうということだ。団結すれば立ち上がることができるが、分裂すれば共倒れになる。我々の固い連帯が、『アジェンダ2063』をつなぎとめ、その基礎となる。」と述べ、アフリカ諸国の連帯が必要だと訴えた。

アフリカの指導者らが国連における正当な立ち位置を求めるなか、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、アフリカは世界にとっての「希望の源」であると述べ、その例として、アフリカ大陸自由貿易圏や「アフリカ女性のための金融・経済的包摂の10年」を取り上げた。また、アフリカの指導者らが国連における不当な取り扱いに抗議しているにも関わらず、国連とAUの連携は「かつてないほど強くなっている」と語った。

Antonio Guterres/ Public Domain
Antonio Guterres/ Public Domain

しかし、国連安保理は77年前に構成されたままの状態であり、地政学的な現実が大きく変わってきたにも関わらず、安保理はわずかに変化してきたにすぎない。この場合、第二次世界大戦の戦勝国が自らの国益に沿って国連憲章を作り、自らに常任理事国の椅子と拒否権を与えたのだった。

この点については、今年のAU総会で発言したエチオピア首相と同じく、南アのメイテ・ヌコアナ=マシャバネ前国際関係相が2011年当時、ケープタウンの同国議会で「国連安保理は不平等な権力関係を修正するために緊急の改革を必要とする。」と述べていた。

2020年、世界全体がコロナ禍に見舞われる中、トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領が国連総会75周年にあたって「国連安保理改革は国連体制を再活性化するために必要なことだ。」「70億人の運命を5カ国の手に委ねてしまうことは、持続可能なやり方でもないし、公正でもない。民主的で、透明で、応答的で、効果的で、公正な代表性を基礎とした安保理が人類にとって必要なのは、疑問の余地がないところだ。」と述べている。

エルドアン発言もそうであるし、エチオピア首相が国連安保理でのアフリカの発言権の向上を求めたことにも表れているように、米国・ロシア・中国・英国・フランスは、安保理常任理事国の地位を独占しており、世界的な支持を得ている決議に対してでさえ、拒否権を発動することができる。

ジンバブエでは、強硬派として知られる与党「ジンバブエ・アフリカ国民同盟・愛国戦線」のタウヤリ・キャンディシャヤ氏も、「アフリカ諸国は国連においてまるで存在しないかのごとく、あるいは永遠のジュニアパートナーとして扱われており、アフリカの人間としてこの世界的な組織に属するということは、非人間的な取り扱いを受けているに等しい。」と述べ、国連におけるアフリカの地位の弱さに懸念を示した。

A view of the meeting as Security Council members vote the draft resolution on Nuclear-Test-Ban Treaty on 23 September 2016. UN Photo/Manuel Elias.
A view of the meeting as Security Council members vote the draft resolution on Nuclear-Test-Ban Treaty on 23 September 2016. UN Photo/Manuel Elias.

しかし、ジンバブエの政治アナリストであるデニス・ベベ氏は別の見方を示している。べべ氏はIDNの取材に対して、「アフリカには専制的な指導者が多く、国連安保理で彼らの権力を強化するようなことになれば、中国やロシアのような国々の影響力を強めることになるだろう。なぜなら中国やロシアは、専制権力を抑えるような動きが国連で出てきたときには、それに反対する側に回るからだ。」と語った。(原文へ

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