【ニューデリーINPS Japan/ SciDev.Net=ランジット・デブラジ】
世界で最も汚染された都市の一部として名を連ねるインドとパキスタンの都市において、危険なレベルの冬季スモッグへの対策として新技術の導入が必要だと環境保護活動家たちは訴えている。
スイスのIQAir指数によると、パキスタンのラホールとインドのデリーは、微小粒子状物質(PM2.5)の濃度が最も高い都市として評価され、「危険」とされる唯一の2都市である。
パキスタンのパンジャブ州の州都ラホールは、この指数で最上位にあり、今週初めには上海の10倍に達する汚染レベルを記録した。この汚染は非常に深刻で、NASAのWorldview衛星画像によると、地域を覆う巨大な灰色の雲が宇宙からも確認できるほどである。
冬季スモッグの原因
数十年にわたり冬季に特に高い汚染レベルと闘ってきたインド北西部では、農地を次の作付けに備えるための農家によるわら焼きがその原因とされている。しかし、車両の排気ガスや工場からの排出物、そして発電のために都市廃棄物を焼却する政策もまた汚染の要因である。
一方、科学者や環境保護活動家は、温度逆転現象が冬季にインド・ガンジス平原に発生する有毒スモッグの主因であるとし、パキスタン、インド、ネパール、バングラデシュ全域での産業活動やその他の開発活動においてこの現象を考慮すべきだと指摘している。

温度逆転現象(熱逆転とも呼ばれる)では、地表付近に冷たい空気の層が閉じ込められ、風や雨によって汚染物質が運ばれる自然のプロセスが妨げられる。この現象が長引けば汚染物質の蓄積が進み、空気の質が悪化する。
必要な技術と政策
インド工科大学カルカッタ校の大気化学・物理学専門家、ジャヤナラヤン・クッティプラット准教授は、「産業活動の増加や大規模人口、農業残渣の焼却に加え、冬季の低風速による温度逆転現象の影響がインド・ガンジス平原に及ぶため、特定の誰かを責めるのは無意味だ。」と述べている。
クッティプラット氏によると、効果的な汚染管理戦略や技術革新が、この季節的な汚染の急増に対処する助けとなる。
「最近の研究では、スクラバーやコンバーターといった技術が、特に冬季に濃度が高くなる二酸化硫黄(SO₂)のような汚染物質を大幅に削減できることが示されています」と説明している。また、冬季のインド・ガンジス平原におけるブラックカーボンの高濃度も解決すべき課題である。
ブラックカーボンは微小粒子状物質の一部であり、心臓病や呼吸器疾患に関連し、長期的な曝露は死亡率の増加に結びつくとされている。
汚染のホットスポット

インド・ガンジス平原は世界的な大気汚染のホットスポットとなっており、世界で最も汚染された都市のうち9つがこの地域に位置している。今月初め(11月3日)、ラホール周辺地域では異常に高い汚染レベルを記録し、AQI(大気質指数)の計測値が危険とされる300を大幅に超え、1,900に達した。
世界銀行の報告書によると、世界で最も大気汚染が深刻な都市10のうち9つは南アジアにあり、この地域では汚染された空気が年間約200万人の早期死亡を引き起こし、莫大な経済的損失をもたらしている。
緊急の対策
持続可能な循環型経済の専門家、スワティ・シン・サンビヤル氏は、排出削減が緊急の健康課題であると述べています。「クリーンエネルギーや厳格な汚染規制、分散型の廃棄物管理システムといった持続可能な循環型の実践を通じて排出を削減することで、生活を混乱させ病院を満杯にする季節的スモッグの悪循環を断ち切ることができます。」とサンビヤル氏はSciDev.Netの取材に対して語った。
温度逆転現象の間、車両、工業、農作物の焼却からの排出物が拡散できず、厚い有害スモッグが発生し、数百万人に影響を与える。
「温度逆転の季節が激化する中、排出削減への協調的な努力は、よりクリアな空と健康的な地域社会のために不可欠です。」と、サンビヤル氏は付け加えた。(原文へ)
INPS Japan
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