地域アフリカアフリカとの貿易関係を深めるロシア

アフリカとの貿易関係を深めるロシア

【モスクワIDN=ケスター・ケン・クロメガー】

2019年10月23日から24日にかけてロシア南部ソチで開かれた第1回ロシア・アフリカ首脳会議は、多分野にわたる貿易協力の拡大と、アフリカ諸国との既存の経済関係に新たな弾みを与える契機となった。

プロホロワ氏は2021年5月、ケスター・ケン・クロメガ氏との電子メールでのやり取りの中で、アフリカ大陸が前向きな変化を遂げるなか、ロシアとアフリカの間でも貿易を巡る対話の枠組みが生まれつつあると強調した。また、新たに創設されたアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)は、ロシアの投資家や企業にとって有望な制度基盤となり、サハラ以南アフリカ諸国の業界団体との連携を後押しする可能性があると指摘した。

以下はインタビューの要旨である。

問:アフリカ市場は経済的観点から有望か。ロシアがアフリカで独自の役割を果たす可能性はどこにあるのか。

答:
アフリカ大陸の特徴は、54カ国から成る広大な市場を抱え、需要の潜在力が極めて大きい点にある。一方で、多くの国では信用力に課題があり、大企業は短期的な成果ではなく、中長期的な効果を見据えて市場参入戦略を立てている。たとえば中国は、多くのアフリカ諸国で大規模事業を手掛けているが、現地の高い需要を直ちに収益化することが難しいため、自ら資金を投じて事業を進めている。

これに対し、ロシア企業には、そうした大規模な投資拡大を支える十分な資本力が必ずしも備わっていない。アフリカは潜在的には世界有数の有望市場であり、「未来の大陸」ともいえるが、現時点では需要はなお限定的である。

また、ソ連時代、ロシアの前身であるソビエト連邦はアフリカで積極的に活動し、多くの建設事業や投資を行った。そのため、ロシアには今なお比較的良好なイメージが残っている。こうした歴史的資産を踏まえつつ、将来に向けた新たな経済戦略を構築する必要がある。

問:過去5年間におけるロシアとアフリカの経済関係はどのように推移してきたのか。

答:
ロシアの対アフリカ輸出は、いくつかの特殊要因を考慮しても、全体として着実な増加傾向を示している。2010年の輸出額は50億米ドル未満で、全体の1.5%にも届かなかったが、2019年には140億米ドルに達し、全体の3.3%を占めるまでになった。

とりわけ燃料の比率が低いことから、非資源分野の輸出におけるアフリカの重要性は相対的に高い。過去5年間、ロシアの対アフリカ非資源輸出は一貫して100億米ドルを上回り、2018年には144億米ドルと過去最高を記録した。

ただし、アフリカを一括りに論じることはできない。北アフリカ諸国とサハラ以南アフリカ諸国では傾向が異なる。ロシアは伝統的に北アフリカ諸国と緊密な経済関係を築いており、2019年の貿易額は117億米ドルに上った。この地域では、ロシアの非資源・非エネルギー輸出が堅調に伸びている。

一方、サハラ以南アフリカ諸国との2019年の貿易額は50億米ドルで、輸出統計にはばらつきがみられる。過去5年間の非資源輸出は、2015年の18億米ドルから2019年の22億米ドルの範囲で推移したが、2018年には27億米ドルに達し、最も好調な年となった。

問:ロシアの対アフリカ輸出のうち、特に比重の大きい国はどこか。

答:
ロシアが最も活発に取引しているのは北アフリカ諸国であり、なかでもエジプトが突出している。これにアルジェリア、モロッコが続く。

2019年の非資源輸出額は、エジプトが54億700万米ドル、アルジェリアが29億8500万米ドル、ナイジェリアが3億6700万米ドル、モロッコが3億3200万米ドル、スーダンが2億7100万米ドル、南アフリカが2億6000万米ドル、チュニジアが1億7000万米ドル、ケニアが1億5600万米ドルだった。

また、2020年1~8月の非資源輸出額は、エジプトが16億2400万米ドル、アルジェリアが11億4800万米ドル、ナイジェリアが2億7900万米ドル、スーダンが2億300万米ドル、モロッコが1億9900万米ドル、南アフリカが1億5500万米ドル、ケニアが1億1500万米ドル、チュニジアが1億200万米ドルとなった。

主要案件として注目されるのは、ハンガリーの提携先と協力したトランスマシュホールディングによる、エジプト向け旅客鉄道車両1300両の供給契約である。契約額は約10億ユーロに上り、主契約者はトヴェリ車両製造工場である。納入はすでに始まっており、10月までに117両、約5900万米ドル相当が出荷された。ロシアのEXIARおよびEXIMBANKも関与しているという。

問:アフリカ向け貿易において、非資源輸出はどのような役割を果たしているのか。ロシアが関与する大型インフラ案件はあるのか。

答:
ロシア輸出センターは、サハラ以南アフリカとの関係強化を重点課題としている。2020年には、同地域34カ国へのロシア製品供給を支援し、非資源輸出額は4億3210万米ドルとなった。

主要な輸出先は、ルワンダ(1億6500万米ドル)、南アフリカ(3200万米ドル)、ザンビア(2750万米ドル)、タンザニア(1780万米ドル)、ガーナ(1710万米ドル)、ケニア(1660万米ドル)、ウガンダ(1460万米ドル)である。輸出品目は、農業、機械、化学、木材、冶金分野が中心となっている。

現在、ロシア輸出センターは、東アフリカの複数国における水力発電所の設備供給・建設、西アフリカの一国での鉄道建設など、多様なインフラ案件へのロシア企業の参画可能性を検討している。

また、ガーナ、ナイジェリア、エチオピア向けのロシア製自動車の供給計画や、南部アフリカの複数国向けの農業機械・鉄道機材供給案件も進められている。現在、同地域18カ国で事業案件の検討が進んでいる。

このほか、鉱業、冶金、化学、農産品、インフラ分野など、アフリカで需要の高い基幹産業において、ロシア企業による多数の大型案件の実現が協議されている。医療機器や、水力・太陽光エネルギー分野の先端技術、通信・安全保障システムなど、高付加価値分野での輸出拡大にも力を入れている。もっとも、こうした案件の多くは長期性を伴うため、成果を上げるにはアフリカ側との継続的な協力関係が不可欠である。

問:どのアフリカ諸国で提携先認定への関心が高まっているのか。また、どのようなサービスが求められているのか。

答:
ロシア輸出センターは海外ネットワークの拡充も進めている。2021年12月以降、コンゴ民主共和国、アンゴラ、コンゴ共和国、コートジボワール、ルワンダで提携先認定を行った。さらに、エチオピア、ケニア、タンザニア、ガーナ、セネガルでも認定手続きが進んでいる。

ロシアの輸出企業からは、西アフリカのナイジェリア、ベナン、ガーナ、コートジボワールや、東アフリカのタンザニア、ケニア、エチオピアを中心に、融資や保険などの金融サービス、さらには海外バイヤーや提携先の探索といった非金融サービスへの需要が高まっている。

一方で、サハラ以南アフリカの企業側からも、ロシアの供給先を探したいとの要請が増えている。特に関心が高いのは、南アフリカ、ナイジェリア、コートジボワール、ガーナ、エチオピア、タンザニア、ベナンの企業で、鉱物肥料、食品、石油化学製品の分野でロシア製品の調達を望む声が多い。

問:地域機関との協力を進める計画はあるのか。

答:
今後は、サハラ以南アフリカ諸国の業界団体やビジネス評議会との連携ルートをさらに拡大していく方針である。特に、南部アフリカ開発共同体(SADC)、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)、東アフリカ共同体(EAC)といった地域統合機構との協力に重点を置く考えだ。

また、ロシア商工会議所傘下の企業系NGO「アフロコム(アフリカとの経済協力調整委員会)」による対アフリカ事業、2022年のロシア・アフリカ首脳会議、さらにはアフリカの一国でのテイスティング・パビリオン開設構想なども、今後の注目案件として挙げられている。

問:ロシア国内で、アフリカのビジネス展開がアジア諸国ほど活発でないのはなぜか。双方向貿易を拡大するには何が必要か。

答:
ビジネス環境における二国間関係の発展は、政府間委員会の役割に大きく左右される。これらの委員会は、協力条件を整え、経済、技術、法制度に関わる課題を調整する。双方向貿易を拡大するには、まず国家間協力を着実に発展させる必要がある。

加えて、アフリカとの地理的距離や、十分に整備されていない輸送ネットワークも大きな障害となっている。貿易障壁の緩和と政府間対話の強化が進めば、双方の貿易関係は改善に向かうだろう。

問:アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の発足をどのように評価しているか。ロシアの輸出企業にとって、どのような利点があるのか。

答:
アフリカ自由貿易圏は、域内でのサービス、物資、資本、労働力の移動を円滑にし、各国間の取引コストを引き下げることで、アフリカ市場全体の魅力を高める枠組みである。

ロシアはこの自由貿易圏を支持している。輸出企業にとって、ある一国で必要な認証や貿易許可を取得すれば、その後、他のアフリカ諸国への展開が容易になるからだ。輸送コストと時間の削減にもつながり、アフリカ市場の重要性はロシアの輸出企業にとって一段と高まることになる。(原文へ

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