【バンコクIPS=リネット・リー・コーポラル】
5月3日の「世界報道の自由の日」を前に、2日バンコクにおいて国連教育科学文化機関(ユネスコ)の主催で表現の自由、アクセス、エンパワーメントをテーマに会合が開かれた。
会合では、昨年17人のジャーナリストの命が奪われた政治的弾圧の問題に加えて、多くのメディア事業の「レベル低下」を招いているとの批判が出ているメディアの極端な商業化の問題が議論された。
ユネスコ、バンコク事務所のシェーファー所長は「報道の自由はジャーナリストだけでなく、社会全体にとって重要。より多くの情報を得ることで、人々は自分たちの生活に影響を与えるより多くの活動に参加する力を得る」と述べた。
アジアは経済開発および人間開発においてこの数十年大きな進歩を遂げてきたが、しかし経済格差を含む不平等は広がるばかりである。
「この不平等の原因のひとつは『知識の貧困』である」と国連開発計画の民主的ガバナンス実践チームの代表Patrick Keuleers氏は述べた。知識の貧困とは、情報の欠如が貧困者の経済・社会・政治プロセスへの参加を阻むことであり、あらゆる腐敗を招く透明性の欠如のことでもある。
Keuleers氏は、インターネット利用者のみならず個人所有のメディア発信源やウェブサイトが急増する「パラドックスの地域」とアジアを称した。
メディア手段の増加は必ずしも、メディアが社会的ニーズや社会変革に対応する情報をより多く生み出すことにはならない。「メディアの発信源は個人的利害に独占され、多くのジャーナリストが微妙な問題を報道する際に何らかの自己検閲を行っている」とKeuleers氏は指摘する。
マレーシアの独立オンライン・ニュースサイトMalaysiakini.comの編集長スティーヴン・ガン氏は、一般市民が数多くのメディア・ツールを利用できるようになった現代において、ジャーナリストは娯楽的なメディアソースと競って読者に魅力的なニュースを届けるのに苦労していると語った。
アジアのメディア議論を報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan