ニュース|パキスタン|活動家、女性生き埋め事件に政府の対応を要求

|パキスタン|活動家、女性生き埋め事件に政府の対応を要求

【カラチIPS=ゾフィーン・エブラヒム

7月14日、バロチスタン州のババコット村で、与党パキスタン民主党(PPP)に所属する州政府大臣の兄弟アブドゥル・サッタール・ウムラニ氏の命令によるとされる女性生き埋め事件が起こった。 

香港を拠とするアジア人権委員会(AHRC)によると、ウラムニ氏と6人の仲間は犠牲者を村から近くのナウ・アバディへ移送。そこで10代の少女3人を車から引きずり出し、殴った挙句に発砲。まだ息のある少女たちを溝へ投げ入れた。1人の少女の叔母と母親も、このむごい仕打ちに抗議したため、溝に突き落され生きたまま埋められたという。少女たちは、好きな男性との結婚を願ったために処刑されたのだ。

 8月30日、野党のヤスミン・シャー上院議員は、連邦議会で同問題を取り上げ、政府の無対応を非難したが、バロチスタン州選出のイスラルラー・ゼーリ上院議員は、それは慣習の1つであると反論。ジャン・モハンマド・ジャマリ議員は、野党は事件を意図的に政治化していると述べゼーリ議員を弁護した。 

長年パキスタン部族地域の古く残忍な慣習と闘ってきたセマール・ミナラー氏は、「議会にはゼーリ、ジャマリ議員と同じ考えの議員が多い。彼らと2議員の違いは、その考えを口にしたかしないかだけである」と語る。ニューヨークを拠とするヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)のアリ・ダヤン・ハサン氏は、部族の慣習の名のもとに犯罪を擁護しているとして、ゼーリ議員の即時退任を求めている。 

パキスタン憲法は、18歳以上の女性に自由意志による結婚を認めているが、旧態依然たる慣習によって処罰あるいは処刑される女性は多い。パキスタン人権委員会によると、2007年には‘名誉のための殺人’の犠牲となった女性は636人に達するという。しかし届け出のないケースも多いため、実際は同数を遥かに上回ると思われる。(名誉のための殺人は2004年に禁止されたが、法の力は弱く加害者が処罰されるケースは稀だ) 

匿名希望のあるバローチ共和党(BRP)議員は、「警察の捜査を逃れるため、3人の少女の遺体は掘り返され、どこか別のところへ埋められた。サッタールが土地問題を主原因に、20人強を殺害しているのは周知の事実だが、どれも問題にされていない。これがパキスタンだ。力のある者は殺人、まして複数殺人を犯しても罪を免れることができるのだ」と語っている。 

バロチスタン州で起こった少女生き埋め事件について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩 

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