【トリポリINPS/ECCE=イマネ・デルナイカ・カマリ】
文化教育エリートセンター(Elite Center of Culture and Education:ECCE)は2023年1月14日、在レバノンインド大使館と日本大使館の後援のもと、ベイルート・アラブ大学(BAU)トリポリ校にて、「天響の夢(Sky Dream)」と題したレバノン・日本・インド関連の展示・舞踊・歌などで構成された大規模な文化イベントを開催し多くの観客で賑わった。
このイベントでは、セントジョセフ大学日本文化センターで日本語を教えている南詠子氏が主宰するレバノンの舞台舞踊団「レバノンのドリーマーズ・ジャパン(Dreamers Japan in Lebanon)」が日本の時代劇をモチーフとした舞踊を、そして、在レバノンインド大使館でインド舞踊を教えているプロのアーティスト、ディペッシュ・ホスキリ氏と国連機関で社会開発を担当している杉田聖子氏がレバノンの学生たちと共にインドの古典舞踊バラタナティアムを披露した。バラタナティアムはインド四大古典舞踊のなかで最も古い伝統を持ち、6世紀から9世紀にかけての古文書や寺院彫刻は、それが当時すでに高度に洗練された舞台芸術であったことを示唆している
これらの作品は、インド、日本、レバノンという3つの古い文化が一体となって素晴らしい創造性を発揮し、芸術は時間と空間を越えて人々の魂をつなぐという出演者らの確固たる信念を体現したものとなった。
開会式典には、スハイル・アジャズ・カーン駐レバノンインド大使、馬越正之日本大使(南2等書記官が代理出席)、グレッタ・ヌーン日本大使館文化部長、朴韓国大使夫妻、イェリザン・カリキノフカザフスタン大使をはじめ、各国の外交官、レバノン政府の大臣、代理、大学や病院の学長、文化・科学・宗教団体や自治体の代表、そして多くの学生たちが出席した。
ベイルート・アラブ大学のアミール・ジャラル・アル・アダウィ学長が、ハーリド・バグダディ副学長、オマール・ホウリ事務局長、理事・事務局関係者、イマーネ・デルナイカ・カマリ博士(ECCE代表)、アメール・カマリ氏等と共に、出席者を歓迎した。
式典は国歌斉唱で始まり、アダウィ学長が「あらゆる文化に対してオープンであることは、人間文化を豊かにするために当大学が掲げているモットーの一つです。「このイベントは独自の創造性をもってコミュニティの問題に光を当てるものであり、文化・芸術シーンへの貴重な一ページを加えるものです。」と語った。
カマリ博士は、「天響の夢(Sky Dream)」というこのイベントのテーマについて、「相次ぐトラブルと危機を経験している現在のレバノンには、まさに暗黒の日々を光に転ずる『天響の夢』が必要であり、時宜を得たタイトルだと思います。レバノンの救済プロジェクトは、本質的に文化プロジェクトでなければなりません。レバノンには文化が牽引する政策が必要であり、文化は、異文化との間に総合的かつ双方向の関わりを持つことができなければ成熟の域に達することができません。ECCEは、こうした理念から、ここトリポリ市の文化的なインターフェースとなり、異なる文明や文化を結びつける存在になるべく活動に取り組んでいます。」と述べ、ベイルート・アラブ大学、インド大使館、日本大使館の協力に謝意を述べた。
続いて登壇したカーン博士(駐レバノンインド大使)は、「レバノンとインドは、1950年代初頭に外交関係を開始して以来、常に友好的な関係を保っており、この関係は相互尊重と、とりわけコミュニティの多文化と民主主義の伝統を含む共通項に基づいています。」と語った。
続いてカーン大使は、インド国外でマハトマ・ガンディーの価値観を広めた人物としてジャムナラル・バジャジ国際賞を受賞したウガリット・ユナン博士を表彰した。また、在レバノンインド大使館の友人で、以前からインド文化の普及やインドとレバノンの友好関係の強化に協力してきたカマリ博士も表彰された。
スピーチに続いて、17世紀にコレラが流行した際、天からのメッセージを運んで病気を治したという日本の神話「アマビコ」を再現した12コマの踊りと歌で構成したショー等が披露された。コロナ禍を経て、この題材から、この芸術的創造性を通じてレバノンと世界に希望とポジティブな気持ちを広めようと、演劇ショーのアイデアが生まれた。
ベイルート・アラブ大学のキャンパスでは、これらのショーが披露される傍ら、インドと日本大使館のパビリオンでは、両国のパンフレット、雑誌、ポスター、民族衣装などが展示され、レバノンの芸術パビリオンでは、同国の観光地に関する絵画やトリポリ市内の古い歴史遺産の装飾などが展示された。(原文へ)
INPS Japan
*イマーネ・デルナイカ・カマリは、文化教育エリートセンター代表、政治評論家、セントジョセフ大学講師。
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