【アスタナINPS Japan/The Astana Times=ナギマ・アブオワ】

「持続的な平和のためには宗教間対話が不可欠です。」と、創価学会の国際局長である長岡良幸氏が『アスタナ・タイムズ』のインタビューで語った。9月17~18日に中央アジアのカザフスタン共和国の首都アスタナで開催されている第8回「世界伝統宗教指導者会議」において、長岡氏は創価学会のこれまでの参加経験、カザフスタンの平和への取り組み、そして対話構築における青年の役割について言及した。
創価学会と国際的ネットワーク
1930年代に設立された日本発祥の仏教団体創価学会(価値創造の団体という意味)は、日蓮大聖人の教えに根差し、「生命の尊厳」と「一人ひとりの力」を強調してきた。その後、日本有数の宗教団体へと成長し、教育・文化活動や地域社会への貢献を展開している。1975年に国際的ネットワークとして創価学会インタナショナル(SGI)が正式に設立され、現在は190を超える国と地域を結び、平和構築、宗教間対話、人権推進を主要な活動分野としている。
会議を通じた交流の拡大

長岡氏によると、創価学会が初めて世界伝統宗教指導者会議に本格参加した2018年の第6回会議は、国際的な宗教対話を大きく広げる転機となったという。
「この会議には、日本ではほとんど馴染みのない宗教も多数参加しています。日本国内のイスラム教徒は少ないため、多くのイスラム団体と直接交流できたことは極めて貴重な機会となりました。」と語った。
「他宗教の指導者との関わりは、平和を共に追求する上で新たな展望を開き、連帯を大きく拡充する契機となりました。」とも語った。
さらにカザフスタンが果たす平和構築の役割に言及し、1991年の核兵器放棄や中央アジア非核兵器地帯条約の推進を高く評価した。2019年には寺崎広嗣氏を団長とするSGI派遣団が東カザフスタン州セメイを訪問し、ネバダ・セミパラチンスク運動の創始者オルジャス・スレイメノフ氏と会ったことも回想した。
「広島・長崎への原爆投下の悲劇に日本と共に立ってくれることに感謝しています。」と述べ、国連の協議資格NGOとしてカザフスタンと核廃絶に向けた連携を一層強化していく意向を示した。
デジタル時代の若者の役割
今回の会議では「青年宗教指導者フォーラム」も開催される。長岡氏は、技術革新に伴う世代間の変化の中で、若者が対話に新しい活力をもたらすと強調した。
「インターネットやスマートフォンの爆発的な発展により、若者と高齢世代の思考や生活は大きく異なってきています。若者は他国の文化や生活様式に容易に触れられるようになり、相互理解への第一歩を踏み出しやすくなっています。」と語った。

一方で、他文化への接触が必ずしも寛容につながるとは限らず、排外主義を助長する危険性にも注意を促した。
「だからこそ創価学会は、万人の尊厳を尊重する信仰に基づき、他者や異文化を尊重する若者を育むことを重視しています。」と語った。
また、故池田大作SGI会長が提唱してきた「世界市民の育成」にも触れ、創価学園や創価大学を含む教育機関の卒業生が国連など国際機関で活躍していることを紹介した。
世界観を広げた出会い
長岡氏は、創価学会の日刊紙「聖教新聞」の米国特派員時代の経験が自身の宗教間対話への姿勢を形づくったと振り返る。彼は、伝統を超えた連帯の必要性を強調する宗教指導者や学者とのインタビューを思い起こした。
「モアハウス大学キング国際礼拝堂のローレンス・E・カーター師は、公民権運動の指導者キング牧師の遺志を受け継ぐことに生涯を捧げた人物です。彼はバプテスト派の牧師として任命されましたが、池田大作SGI会長の思想と出会ったことをきっかけに仏教思想に強い関心を抱くようになりました。」と長岡氏は語った。
また、ハーバード大学のヌール・ヤルマン教授とも出会い、彼が仏教徒に対し、キリスト教とイスラム教の架け橋となり得る可能性を見いだしていたことを紹介した。
「このように、人類社会の未来に真摯に心を砕く人々との数々の出会いが、私の中に他者への深い寛容の感覚を育み、世界観を広げてくれました。」と長岡氏は語った。
この会議は緊急の危機が山積する中で開催され、対話が果たして即時的な解決をもたらせるのかという疑問も投げかけられている。長岡氏はこうした緊張感を認めつつも、その目標を達成するには忍耐と粘り強さが不可欠だと強調した。
忍耐と行動の継続

彼は、池田大作氏が歴史家アーノルド・J・トインビー、ソ連のミハイル・ゴルバチョフ元書記長、ハーバード大学の経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスらと交わした対話を想起し、それが冷戦から環境問題に至るまで幅広い課題を取り上げたことに触れた。
「池田氏は、一度の対話で大きな変革がもたらされることはないと理解しており、常に忍耐と粘り強さの重要性を強調していました。」と長岡氏は語った。
さらに同氏は、宗教指導者が政治の意思決定者に取って代わることはできないが、彼らの継続的な対話は地域社会を超えた理解を広げる助けとなると付け加えた。
「宗教と政治の関係、さらには宗教と政治のかかわり方は、国ごと、地域社会ごとに大きく異なります。したがって、宗教指導者が差し迫った課題にどう関わるかも、国や地域ごとに異なるのです」と長岡氏は語った。
祈りと共感が築く共生
会議の成果については、宗教指導者が示すべき最大の貢献は「祈り」と「共生の理念」であると語った。
「祈りは宗教の根本実践であり、どれほど社会が変化しても人間の精神を育む不可欠な営みです。」と強調した。
神学的な違いは分断の要因ではなく、人類の多様性の表れとして受け止めるべきであり、共感を通じてこそ平和の基盤を築けると確信している。

「宗教間対話は政治家の会見ほど派手に報道されることはありません。しかし、この会議は人類を平和へと導く確かな進展につながると確信しています。」と結んだ。(原文へ)
INPS Japan/ The Astana Times
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