【バンジュル、ガンビア=ジュリアナ・ンノコ】
ガンビアの最高裁判所は、女性と少女を女性器切除(FGM)から守る法律が、同国憲法に適合するかどうかを審理している。FGMはガンビアで広く行われてきた慣行で、少女が押さえつけられた状態で性器の一部が切除され、場合によっては傷口が縫い合わされることもある。
FGMは国際人権法上、拷問および残虐で非人道的または品位を傷つける取り扱いに当たる。死に至る危険があるほか、感染症、出産時の合併症、胎児死亡、心理的影響など、生涯にわたる健康被害を引き起こし得る。最高裁の判断は、女性と少女がこうした有害な慣行から引き続き守られるのかどうかを左右する。
宗教指導者らと国会議員の一部は2024年、議会で2015年制定のFGM禁止法の撤廃を試みたが、実現しなかった。彼らは次に争点を最高裁へ持ち込み、禁止法は文化や宗教の自由など憲法上の権利を侵害すると主張している。これは西アフリカの一国に限った問題ではない。女性の権利をめぐる国際的な揺り戻しの一環であり、女性と少女をジェンダーに基づく暴力から守ってきた長年の進展を後退させかねない。

世界保健機関(WHO)は、FGMに医学的な必要性はないとしている。医療従事者が行う、いわゆる「医療化(メディカライゼーション)」であっても、人権侵害であることに変わりはない。場所や施術者が誰であれ、FGMが安全になることはない。
それでも、FGMを受けた女性と少女は世界で2億3000万人を超える。生存者の約63%(1億4400万人)はアフリカに集中している。ガンビアでは2020年、15〜49歳の女性の約4分の3がFGMを受けたと回答し、そのうち約3分の2は5歳未満で施術を受けていた。これは抽象的な人権問題ではなく、何百万人もの女性と少女に生涯にわたり影響を及ぼす公衆衛生上の危機である。
FGMは、女性と少女が最高水準の健康を享受する権利や身体の安全、さらには生命の権利を侵害する行為である。FGMを受けた女性は、出産時の合併症や慢性的な感染症、心理的外傷などに苦しみ、場合によっては命を落とすこともある。2025年8月には、生後1か月の女児がFGM後の出血により死亡したと報じられた。
2015年の禁止法は大きな前進だった。ガンビアは、FGMが健康、身体の安全、拷問からの自由といった基本的人権を侵害する行為だと認め、禁止に踏み切った数十の国々に加わった。政府はさらに、持続可能な開発目標(SDGs)とも整合する形で、2030年までに慣行を根絶する国家戦略も採択した。だが、禁止法の運用や戦略の実施は遅れがちで、いまその枠組み自体が揺らいでいる。
最高裁では、人権の観点から見過ごせない主張が提出されている。報道によれば、証人として出廷した著名なイスラム指導者は、「女性の割礼」はイスラムの一部で害はないと述べた。手続き後に乳児が2人死亡した事例について問われると、「私たちはムスリムであり、人が亡くなるのは神の御心だ」と答えたという。さらに、FGMの「利益」は女性の性的欲求を抑えることにあり、「それは男性にとって問題になり得る」とまで述べた。
しかし、原告側の主張は検証に耐えない。シャリーア(イスラム法)にFGMを義務づける規定はなく、スンナ(預言者の言行)に基づくものでも、宗教上の「徳」とされる行為でもない。FGMはイスラム以前から存在し、ムスリム社会で普遍的に行われているわけでもない。信仰と結びつけられてきたのは、一部の共同体が文化的慣行を誤って宗教と関連づけてきたためである。
また、FGMを宗教の自由に基づく憲法上の権利とみなす主張も、誤解を招きかねない。ガンビア憲法は、宗教や文化の自由を含む権利であっても、他者の生命や、拷問・非人道的扱いからの自由、差別を受けない権利などの基本的人権を侵害する場合には制限され得るとしている。
ガンビア国内では、「ジェンダーに基づく暴力反対ネットワーク」や「女性の解放とリーダーシップ(WILL)」などの団体が、この訴訟に反対している。市民社会組織は2024年、禁止法の撤廃を目指した議会での動きを阻止するため、生存者や地域指導者、女性団体を全国で動員した。いま反対運動の中心にいるのは、自らの命と尊厳を守るため声を上げる女性と少女たちである。

「この訴訟に反対する声を上げた人々は、特にソーシャルメディア上で嫌がらせを受けています。その結果、多くの生存者や女性の権利擁護者が沈黙せざるを得ない状況になっています」と、反FGM活動家で生存者でもあり、WILL創設者のファトゥ・バレ氏は語った。
ガンビアは、「アフリカ人権憲章」と、その議定書である「アフリカにおける女性の権利に関する議定書(マプト議定書)」、さらに「アフリカ児童の権利及び福祉憲章」を批准している。マプト議定書第5条(b)は、FGMのあらゆる形態と、その医療化を明確に禁止している。
さらに2025年7月、ガンビア政府は同年採択された「女性に対する暴力終結のためのアフリカ連合条約」に署名し、有害な慣行の防止と生存者保護のための法的措置を採択・実施する姿勢を改めて示した。これは、FGM禁止を支える憲法上の義務を改めて確認する動きでもある。
いま、ガンビアの少女と女性の健康と尊厳は最高裁の判断に委ねられている。ただし、判決がどうであれ、政府には、包括的な教育プログラムや地域主導の取り組みの推進、既存法の厳格な執行、生存者への医療・心理支援への投資を通じて、FGM根絶を進める責任がある。これは、何十万もの女性と少女の命を守るために不可欠である。(原文へ)
ジュリアナ・ンノコはヒューマン・ライツ・ウォッチの上級女性権利研究員。
INPS Japan/IPS UN Bureau Report
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