SDGsGoal4(質の高い教育をみんなに)平和には子どもたちの声が必要だ

平和には子どもたちの声が必要だ

【東京IPS=大谷美紀子】

「われら連合国の人民は、われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い……。」国際連合は、この決意のもとに設立された。

Mikiko Otani President、Child Rights Connect

子どもたちは人類のほぼ3分の1を占めているにもかかわらず、戦争によって不均衡なほど深刻な影響を受けている。しかし、子どもたちの声が耳を傾けられることはほとんどなく、和平プロセスにも子どもたちが参加する機会は極めて限られている。

マシェル報告書から安保理決議第2427号へ

今から30年前、グラサ・マシェル氏は、画期的な報告書「武力紛争が子どもに及ぼす影響」の中で、すでに国連に対して重要な問題を提起していた。マシェル氏は、「子どもたちを守る最も効果的な方法は、武力紛争の発生を防ぐことである。」と指摘した。

さらに、「すべての人々が、自分たちも意思決定に公平に参加できていると感じられる必要がある。」と述べ、若者たちを単なる犠牲者としてではなく、「解決策を生み出す積極的な参加者」として捉えるべきだと強調した。

子どもの参加の必要性は、2007年に策定された「軍隊または武装集団に関与した子どもに関するパリ原則およびガイドライン」でも強調された。マシェル報告書の当初の版では、子どもの参加について十分な注意が払われていたとはいえない。

しかし、2009年に実施された10年間の取り組みに関する戦略的レビューでは、この問題が重要な課題として取り上げられ、「平和をつくる担い手としての子どもたち」という独立した章が設けられた。

こうした認識の高まりを受け、2018年には国連安全保障理事会が決議第2427号を採択した。同決議は、加盟国と国連システムに対し、「紛争の全過程を通じて、子どもたちの意見が考慮されることを確保する」よう求めている。

さらに、紛争後の復興、再建、平和構築の過程において、子どもたちの意見を考慮しながら、子どもたちの「エンパワーメント(主体的に行動する力を高めること)」を十分に組み込み、優先課題として位置付けるよう求めている。

子どもの参加は権利であり、平和を生み出す力でもある

子どもが自らの意見を表明し、意思決定に参加することは、世界で最も広く批准されている人権条約である1989年の「子どもの権利条約」に基づく権利である。武力紛争に関わる状況を含め、子どもたちに影響を及ぼすすべての事柄について、子どもたちの声に耳を傾け、その意見に適切な重みを与えなければならない。

子どもの参加は、紛争の予防、紛争下での保護、紛争後の回復、社会への再統合、そして被害に対する救済や賠償にとって、極めて重要である。さらに、子どもたちは、分断され、傷ついた地域社会を再び結びつけるうえでも重要な役割を果たすことができる。社会的な結束を促進し、平和を築くための原動力となり得るのである。

子どもたちの参加をさらに強化すべきだという国際的な機運は、着実に高まっている。

国連安全保障理事会では、2018年にコロンビアの元子ども兵士、2020年にはマリ出身の15歳の少女、2023年にはカメルーン出身の18歳の平和構築活動家が、それぞれ自らの経験や考えを述べた。3人に共通していたのは、子どもたち自身が意思決定に参加できるようにすべきだという訴えだった。

2026年は、武力紛争の影響を受ける子どもたちにとって、特に重要な節目の年である。国連総会が「子どもと武力紛争」に関する任務を創設してから、30周年を迎えるためだ。

この節目に、国連人権理事会は、武力紛争の影響を受ける子どもの権利を扱った決議第61/21号を通じて、子どもの参加を求める取り組みの対象範囲をさらに広げた。

同決議は各国に対し、武力紛争の影響を受けた子どもたちが、政策やプログラムの立案、実施、進捗確認、評価に実質的に参加できるよう確保することを求めている。対象となるのは、紛争予防から和平プロセス、紛争後の対応まで、紛争のすべての段階に及ぶ。そこには、子どもの保護、司法へのアクセス、責任追及、被害の救済・賠償、回復なども含まれる。

この決議は、特に大きな意義を持っている。

紛争下にある10カ国から、12歳から17歳までの子ども24人が参加し、決議案の起草を主導した国・地域の一つである欧州連合(EU)との協議の場で、自らの意見を表明したからだ。

子どもたちから寄せられた多くの提言は、実際に決議の内容を形づくるうえで役立った。

この過程は、国際的な子どもの権利ネットワーク「Child Rights Connect」が2026年に公表した会合報告書と、子ども向け解説資料にも記録されている。

「子どもと武力紛争」に関する国連の取り組みは、子どもの権利条約を重要な基盤としている。マシェル報告書も同条約に深く根ざしており、その後、この分野の取り組みは国連総会によって制度化され、安全保障理事会によって強化されてきた。そして今、人権理事会が子どもの権利という観点から、この取り組みを補完する役割を果たすようになっている。

これは、2023年に国連事務総長が発表した指針文書の方向性とも一致する。同文書は、平和と安全保障の分野を含め、国連システム全体の活動に子どもの権利の視点を組み込むよう求めている。

今後に向けた三つの提言

今後の取り組みを前進させるために、私は三つの提言を行いたい。

第一に、国連の各種機関・制度、各国政府、市民社会は、子どもや若者とのパートナーシップを支援・強化し、子どもたちの実質的な参加を現実のものにすべきである。

子どもたちを意見聴取の対象とするだけでなく、政策や平和構築の取り組みを共に進めるパートナーとして位置付けることが重要である。

第二に、2027年2月にフランスが国連児童基金(UNICEF)と共同開催する、パリ原則20周年記念会議に子どもたちを参加させるべきである。

特に、軍隊や武装集団に関与した経験のある子どもたちが、権利の主体であると同時に、社会を変革する担い手として果たし得る役割に光を当てる必要がある。

第三に、世界的な平和構築の制度や議論の場において、子どもたちの参加を積極的に支援すべきである。

その出発点となるのが、2027年6月に開催される年次平和構築週間である。2027年は、国連総会決議第80/269号(2026年)によって宣言された「未来世代のための平和強化の国際の10年(2027~2036年)」が始まる年でもある。子どもたちの声を平和構築の中心に据えることは、この国際的な取り組みを実質的なものにするうえでも不可欠である。

大谷美紀子は、国際人権法の専門家として広く知られる法律家であり、現在、子どもの権利の促進に取り組むジュネーブ拠点の国際NGOネットワーク「Child Rights Connect」の代表を務めている。国連子どもの権利委員会では、2期8年間にわたり委員を務め、そのうち2021年から2023年までは委員長を務めた。

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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