長期化する避難生活のなかで、バングラデシュのロヒンギャ難民は依然として就労を認められず、人道支援への依存を強いられている。支援の重点化が進むいま、問われているのは、配給の効率化ではなく、自立への道筋をいかに築くかである。
【バングラデシュ・コックスバザールIPS=モハメド・ゾナイド】

世界の関心が、米国、イスラエル、イランをめぐる地政学的緊張の高まりに集まるなか、バングラデシュではもう一つの危機が静かに深刻化している。
国連バングラデシュ事務所が4月2日に発表した声明によると、世界食糧計画(WFP)は4月1日、コックスバザールおよびバシャンチャールのロヒンギャ難民を対象に、新たな「ターゲティング・優先順位付け制度(TPE)」を導入した。
この制度では、各世帯の食料不安の深刻度に応じて、難民1人当たり月額12ドル、10ドル、または7ドルの食料支援が支給される。従来は、すべての難民に一律で12ドルが支給されていた。
支援をより脆弱な人びとに重点的に振り向ける手法は、多くの人道危機において合理的とされる。限られた資源を、より深刻な状況に置かれた人びとへ優先的に届けるためである。だが、ロヒンギャ難民の現実は、そうした枠組みだけでは捉えきれない。
ミャンマーでのジェノサイドと迫害を逃れてから、まもなく9年になる。UNHCRバングラデシュの最新データによると、バイオメトリクスで確認された新規到着者14万4456人と、1990年代および2017年以降に登録された難民104万408人を含め、100万人を超えるロヒンギャ難民が、いまなおバングラデシュ国内のキャンプでの生活を強いられている。その78%を女性と子どもが占める。

しかも、ロヒンギャ難民は他国の一部の難民とは異なり、移動の自由を厳しく制限されている。キャンプの内外で合法的に働くことも、小規模な商売を営むことも認められていない。人道支援機関での役割も、わずかな日当が支払われるボランティアにほぼ限られ、正式な雇用の機会はほとんどない。その結果、彼らはほぼ全面的に人道支援に頼らざるを得ない状況に置かれている。
こうした状況の下で支援額を引き下げることには、深刻な懸念がある。難民に実質的な経済活動への道が閉ざされている以上、食料不安は各世帯固有の事情というより、制度によって生み出された構造的な結果だからである。
人道支援機関は長年にわたり、命を支えるうえで重要な役割を果たしてきた。その努力は疑いようがない。だが、生き延びることを支えるのと、安定した暮らしの基盤を築くことは別である。ロヒンギャ難民や、難民流入の影響を受けてきたコックスバザールの地域社会に自立への道を開く代わりに、現在の仕組みは結果として援助依存を固定化してきた。
「生計向上支援」とされる多くのプログラムも、実際には十分な成果を上げていない。たとえば電気修理などの技能訓練を受けても、それが現実の就労機会につながることは少ない。難民はオートバイを所有しておらず、キャンプの一部では電力供給も不安定で、キャンプの外に出て仕事を探すことも法的に認められていない。加えて、人道支援機関自身も、訓練を受けた難民を自らの事業の中で雇用していない。
ここで問われるのは、実際には活用の余地が乏しい技能に、なぜドナー資金を投じるのかという点である。こうした取り組みは、どのような長期戦略に資するのか。
新たな制度では、難民は「極度の食料不安」「高度の食料不安」「食料不安」の3区分に分類される。高齢者、障害者、子どもが世帯主の家庭など、一部の特に脆弱な世帯は、引き続き最も高い水準の支援を受けることになる。
それでも、より大きな現実は変わらない。バングラデシュのロヒンギャ難民全体が、経済参加を厳しく制限されているのである。
最近キャンプで起きている抗議行動は、しばしば配給削減への反発として受け止められている。だが、その背景にあるのは、将来への見通しが立たないことへの不安である。難民たちが問うているのはシンプルだ。今後さらに資金が減ればどうなるのか。自分たちはどこへ行けばよいのか。ロヒンギャ危機への対応を、このままバングラデシュだけに背負わせるつもりなのか、という問いである。
彼らが世界に伝えたいのは、援助への依存は自ら選んだものではなく、周囲の制度的制約によって生み出されたものだという事実である。いま必要なのは、援助の枠内で依存を管理し続けることではない。彼らが自ら立って生きていけるよう、自立への道を開くことである。
そのためには、長期的で戦略的な対応が欠かせない。ロヒンギャ難民が安全かつ尊厳ある形でミャンマーへ帰還できるようになるまで、キャンプ内でいかに人間らしい生活を保障するかを真剣に議論しなければならない。同時に、難民の経済参加を広げ、適切な規制のもとで社会や経済に貢献できるようにする政策も必要である。

バングラデシュ自体も、選挙後の移行期にある。新政権は、ロヒンギャの帰還実現に向けて取り組む姿勢を示しており、82万9000人分のロヒンギャ関連データをミャンマー側と共有したとしている。
しかし、ロヒンギャ危機を後回しにすることはできない。新政権はまた、長期化する避難民問題が、制限と救済だけでいつまでも対処できるものではないことを認識しなければならない。これは前政権の対応の根底にもあった発想である。
たとえば、キャンプ内での小規模事業、試行的な雇用制度、限定的な就労許可制度といった、慎重に設計された就労機会を導入すれば、政府の管理の下で、人道支援への依存を和らげることができる可能性がある。
各世帯で仮に1人か2人でも、一定の管理のもとで合法的に働くことができれば、人道支援コストは徐々に減少し、キャンプ内経済の安定にもつながり、若者の不満も和らぐ可能性がある。
何より重要なのは、そうした一歩が、尊厳を取り戻す第一歩になり得ることである。
この約9年間、国際機関は世界最大級の難民支援事業の一つを、高い運営能力で支えてきた。だが、根本的な問いはなお残されたままだ。難民が自らの足で立てるようにするための持続可能な仕組みを、どこまで築いてきたのか、という問いである。
世界的に財政圧力が強まり、ドナー疲れも深刻化するなかで、人道支援は縮小へと再調整されつつある。構造改革が伴わなければ、それは依存そのものを減らすのではなく、依存の管理をより効率化するだけに終わりかねない。
ロヒンギャ難民は、援助への依存を自ら選んだのではない。それは、彼らを取り囲む制約のなかで作り出されたものである。食料支援は依然として不可欠だ。だが、人びと全体の未来が、配給カードと脆弱性区分だけによって規定されてはならない。
ロヒンギャ危機に必要なのは、より精緻な援助配分だけではない。保護と社会参加、そして安全な生活を両立させる政策である。

世界は、ロヒンギャに食料を届ける方法を学んだ。
いま本当に問われているのは、彼らが権利と安全、尊厳を備えた形で故郷ミャンマーへ帰還できるその日まで、自ら生きていける道を開く意思が世界にあるかどうかである。
そうでなければ、家族は静かに食事の回数を減らし、若者は危険な非正規労働へと追いやられる。児童労働、早婚、危険な移住、違法行為への関与といったリスクも高まる。機会が失われれば、その空白を埋めるのは絶望である。(原文へ)
モハメド・ゾナイドは、SOPA2025受賞者であり、フリーランスのジャーナリスト、受賞歴のある写真家、現地取材コーディネーターである。国際機関と協働し、Myanmar Now、The Arakan Express News、The Diplomat Magazine、Frontier Myanmar、Inter Press Service、Myanmar Pressphoto Agency などに寄稿している。
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