【シドニーIPS=ニーナ・バンダリ】
オーストラリアの国民の多くは、対外援助を貧困削減と持続可能な開発を目的に行うべきであると考えている。しかし、国会議員の大半は商業的利益に即した対外援助を目指しているようだ。オーストラリアのNGO団体AID/WATCHは5日、ニューサウスウェールズ議会で対外援助政策に対する国民と政府との考え方には大きな開きがあることを指摘した。
MDG(ミレニアム開発目標)によると、途上国は2010年までに政府開発援助(ODA)を国民総所得(GNI)の0.5%、2015年までには0.7%にするという目標を掲げている。
一方、オーストラリア政府は2010年までに援助総額を32億米ドルにまで増やすとしているが、対外援助の割合としては僅か0.36%に過ぎない。2006年から2007年にかけて、同国のODA総額は23億ドル(GNIの0.3%)で、OECD加盟国22カ国中19位である。
AID/WATCHは、オーストラリア政府が『貧困対策を中心とした人道的援助』から大きく逸れて、『自国の経済成長に焦点を当てた援助』へと進んでいることを懸念している。AID/WATCHの調査によると、71%の国会議員が開発援助の目的は国益増進であるとしている。
AID/WATCHのケイト・ウィーン氏は「オーストラリアが(援助供与国である)パプアニューギニアやソロモン諸島との関係の緊密化を進めているなかで、このような調査結果が出るのは非常に残念だ」と語る。対外援助をめぐるオーストラリア国内での意見の違いについて報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan
関連記事:
欧米豪民主主義諸国の制裁でフィジー中国に接近
|南太平洋|フィジーの将来を決める賢人会議報告書
圧制的な豪州から南太平洋諸国を救う中国