地域アジア・太平洋カザフスタンで宗教指導者らがAIと気候危機への対応を訴え

カザフスタンで宗教指導者らがAIと気候危機への対応を訴え

【イスタンブールINPS Japan/Haber7=エネス・クルチ】

トルコのニュースサイト「Haber7」のコラムニスト、ミュルセル・ギュンドードゥ記者によると、カザフスタンの首都アスタナで開催された「世界伝統宗教リーダー会議」の事務局会合で、人工知能(AI)、気候危機、そして難病を抱える子どもたちの権利に関する重要な決定がなされた。|トルコ語|

「平和と和解の宮殿(Palace of Peace and Reconciliation)」 写真:浅霧勝浩/INPS Japan

ギュンドードゥ記者がアスタナから伝えたところによると、カザフスタンは2028年に開催予定の第9回世界伝統宗教リーダー会議に向け、着実に準備を進めている。世界が直面する諸課題に対し、精神的・宗教的な視点から持続可能な解決策を見いだそうと、積極的な外交活動を展開している同国は、首都アスタナに世界伝統宗教リーダー会議の事務局メンバーを招集した。

2026年10月7日、アスタナの「平和と和解の宮殿(Palace of Peace and Reconciliation)」のアトリウムホールで開催された第24回事務局会合には、世界20か国からさまざまな宗教団体の代表者、政府関係者、専門家らが参加した。

多数の参加者や報道関係者が見守るなか、会合の進行役を務めたのは、世界伝統宗教リーダー会議の事務局副議長で、カザフスタンのエルジャン・アシュクバエフ第一外務次官だった。

開会に当たり、カザフスタンのエルラン・カリン副大統領兼世界伝統宗教リーダー会議事務局長が演説し、出席者に謝意を表した。

カリン氏は、カザフスタンの憲法が掲げる基本的価値である団結、寛容、人間の尊重の重要性を強調し、「トカエフ大統領の指導の下、わが国が推進する平和外交の基盤となっているのは、まさにこれらの憲法上の価値観です」と述べた。

「人間の行いによって、陸と海の秩序が乱された」

Fatih Mehmet Karaca, Deputy President of Türkiye’s Presidency of Religious Affairs. Credit:Nokta Gazetesi
トルコ宗務庁の**ファティフ・メフメト・カラジャ副長官 出典:Nokta Gazetesi(トルコ)

トルコを代表して会合に出席した同国宗務庁のファティフ・メフメト・カラジャ副長官は、気候変動との闘いにおいて宗教が果たす役割について演説した。

カラジャ氏は、イスラム教の聖典クルアーン(コーラン)の一節を引用しながら、環境問題に対する人間の責任を強調した。

「クルアーンの『ルーム章』第41節には、『人間が自らの手で行ったことによって、陸にも海にも乱れが生じた。アッラーは、人々が正しい道に立ち返るよう、自らの行いの報いの一部を味わわせる』と記されています。また、『夜の旅章』第27節には、『浪費する者たちは悪魔の仲間であり、悪魔はその主に対して極めて恩知らずである』と説かれています」

カラジャ氏は、環境に対して一人ひとりが負う責任を強調し、「誰もが、次の世代にどのような世界を残すのかを真剣に考えなければなりません」と訴えた。

AIと気候危機に関する文書を採択

会合では、2025年に開催された第8回世界伝統宗教リーダー会議に関連する二つの共同文書、「気候変動との闘いにおける宗教の役割」と「宗教分野における人工知能の利用に関する倫理規範」が提示され、採択された。

カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領の提唱によって策定されたAIに関する文書は、宗教分野において、人工知能が道徳的な主体となることはできず、責任は常に人間が負うべきであり、技術を神聖視してはならないという原則を強調している。

この取り組みは、AIに宗教的権威を与えることを防ぐとともに、クルアーン、福音書、トーラー(モーセ五書)などの聖典が改変されたり、内容を歪められたりすることを防止する狙いがある。

会合では、こうした原則を実際の取り組みに反映させていくことが決定された。

難病を抱える子どもたちを守る共同イニシアチブ

2026年10月7日、カザフスタンの首都アスタナで開催された第24回「世界伝統宗教リーダー会議」事務局会合で発言するエルラン・カリン副大統領(事務局長)。従来の外交を補完し、信頼醸成に貢献するスピリチュアル外交の重要性を強調した。|写真:会議広報担当

今回の事務局会合では、カザフスタンとバチカンの共同イニシアチブとして策定された「治癒不能な病気を抱える子どもの権利憲章」も紹介された。

この文書は、10月2日から3日にかけて開催されたカザフスタンとバチカンの合同コロキウムで合意されたものである。

憲章は、子どもの尊厳を守るとともに、包括的な医療、心理的支援、精神的・宗教的なケアを提供し、家族が治療や支援の過程に参加できるようにすることを目指している。また、子どもと家族の宗教的なニーズにも十分な配慮を払うことを重視している。

会合は、事務局会合の議事録の承認に続き、カリン副大統領による閉会の挨拶と参加者全員による記念撮影をもって終了した。

世界各国から宗教指導者や国際機関の代表が参加

今回の事務局会合には、国際的に著名な宗教指導者や関係機関の高官が多数出席した。

主な参加者は以下のとおり。

  • サウジアラビア: ムスリム世界連盟のアブドゥルラフマン・アブドゥッラー・アルザイド事務次長(組織広報担当)
  • バチカン: 教皇庁諸宗教対話省のロラン・バサネー部長
  • アラブ首長国連邦(UAE): ムスリム長老評議会のムハンマド・アブドゥッサラーム事務総長、寛容・共生省のアフラ・アルサブリ局長
  • エジプト: アル・アズハルの最高指導者の首席補佐官を務めるアブドゥルラフマン・ムーサ大使
  • 中国: 中国仏教協会のチウ・シュアン副会長
  • アゼルバイジャン: コーカサス・ムスリム宗務局長のアッラーフシュクル・パシャザデ師(シェイフルイスラーム)
  • 米国: 国連文明の同盟(UNAOC)のニハル・サアド局長
  • ロシア: モスクワ総主教庁対外教会関係局のイーゴリ・ヴィジャノフ副局長(首席司祭)

今回の会合は、世界の主要な宗教・宗派の代表者や国際機関の関係者が一堂に会し、人工知能の倫理的利用、気候変動への対応、そして病気を抱える子どもたちの尊厳と権利の保護という共通課題について、具体的な協力を進める機会となった。


エネス・クルチ(Enes Kılıç)Haber7.com ニュース編集者:Haber7.comは、トルコ最大の都市イスタンブールに本社を置く、トルコ語のオンライン・ニュースポータルである。運営会社はNokta Elektronik Medya A.Ş.で、ゼネラルマネージャー兼編集長はオスマン・アテシリ(Osman Ateşli)氏が務める。テレビ局「Kanal 7」、ラジオ局「Radyo 7」、ニュース専門局「Ülke TV」と同じメディアグループに属し、国内政治、経済、国際ニュース、スポーツ、地方ニュースなど幅広い分野を速報中心に配信している。2025年9月には、トルコ・マラティヤで開催された第4回「ホシュハンル黄金のアンズ賞」で「年間最優秀ニュースサイト賞」を受賞した。INPS JapanはHaber7.comのコラムニスト、ミュルセル・ギュンドードゥ記者(左から二番目)をはじめ世界10数か国から参加した国際記者団とともに、「AI & Digital Bridge 2026」及び「世界伝統宗教リーダー会議第24回事務局会合」を取材した。

INPS Japan

関連記事:

カザフスタン、ユーラシアの地の利をAI時代の強みへ

ステップの精神を甦らせる:カザフスタンで第5回ワールド・ノマド・ゲームズ(世界遊牧民競技大会)が開催される

宗教間対話の舞台裏―信仰と黄金、「生命の木」が語るカザフスタンの物語

最新情報

中央アジア地域会議(カザフスタン)

アジア太平洋女性連盟(FAWA)日本大会

2026年NPT運用検討会議第1回準備委員会 

パートナー

client-image
client-image
client-image
client-image
Toda Peace Institute
IPS Logo
The Nepali Times
London Post News
ATN

書籍紹介

client-image
client-image
seijikanojoken