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地域アジア・太平洋宗教指導者が集い、傷ついた世界を癒す方法を探る

宗教指導者が集い、傷ついた世界を癒す方法を探る

【ヌルスルタン(アスタナ)IDN=カリンガ・セネビラトネ】

9月13日に開催された第7回「世界伝統宗教指導者会議」の事務局会合において、マウレン・アシムバエフ事務局長は、「世界全体が、コロナ禍、紛争、制裁、気候変動などの世界的問題の影響を経験しており、私たちは、世界全体で地政学的対立と紛争の激化を目の当たりにしています。」と語った。

「世界伝統宗教指導者会議」の事務局会合が開催された「平和と調和の宮殿」撮影:浅霧勝浩
「世界伝統宗教指導者会議」の事務局会合が開催された「平和と調和の宮殿」撮影:浅霧勝浩

カザフスタンの首都を会場として2日間開催され、ローマ法王フランシスコが基調講演を予定している今回の会議を前に、アシムバエフ事務局長は、「国家間の不信、戦争、テロ、国際機関による効果的対応の欠如が世界全体の状況にマイナスに作用しています。この状況の下、私たちの会議は、対話、矛盾の克服、紛争の終結、平和の達成を求め、国際社会に対して重要なメッセージを送ることができます。」と語った。

調和の中で人々が生きる多宗教・多文化社会を実現してきたことを誇るカザフスタンは、9・11同時多発テロ後に世界全体で宗教的対立が起こる中、2003年にこの会議を開始した。第1回会議には23カ国から17人の代表団が集まった。

世界伝統宗教指導者会議は3年毎に開催されている。

9月14日に開幕した第7回会議には50カ国・100以上の代表、国際メディア約230社、国内メディア500社が集まった。

今回の会議のハイライトはローマ法王フランシスコの参加であった。法王はカザフスタンに3日間の滞在の予定で9月13日に到着した。この20年でローマ法王が中央アジアの同国訪問するのは初めてのことである。イスラム教徒が大半を占める(人口の7割)このカザフスタンにおいて、人口1900万人のうちカトリックは約12.5万人しかいない。

到着した日の夜、ローマ法王は、約1000人の参加者で埋まったカザフスタン中央コンサートホールにおいて市民社会や各国外交官の代表らとの公式会見に臨んだ。

カザフスタンのカシム=ジョマルト・トカエフ大統領は、ローマ法王を迎えるにあたり、ソ連からの独立後30年間、同国は「多様性における統一」の概念に基づき、民族・宗教間の調和のための独自のモデルを構築してきたことに触れ、このような経験があるからこそ、カザフスタンでは「世界伝統宗教指導者会議」を開催しているのだと指摘した。

ローマ法王フランシスコ(左)とカシム・ジョマルト・トカエフ大統領(右)撮影:浅霧勝浩
ローマ法王フランシスコ(左)とカシム・ジョマルト・トカエフ大統領(右)撮影:浅霧勝浩

トカエフ大統領は、ローマ法王のカザフスタン訪問に謝意を示しつつ、「2003年に始めたこの会議は、各々の信仰が異なっていても一堂に集い協力し合うことができることを示す好例と言えます。私は、対話と人間の博愛、尊重のみが共存と寛容を可能にすると強く信じています。法王の訪問はこの会議の価値を高め、そのメッセージを世界に広く伝えるのに役立つだろう。」と語った。

トカエフ大統領はまた、「世界のほとんどの発展途上地域で食糧不足に直面しています。同時に、世界の最も脆弱な国々で地政学的対立が激化し、世界各地で緊張が高まっています。」と指摘した。

カザフスタンは「健全で世俗的な」社会を形成してきたとして称賛したローマ法王は、「現在の地政学的な緊張関係の中では、対話を促進する外交的な取り組みを強化することが肝要です。」「敵意を悪化させず、集団間の対立激化を鎮静化させる術を学ぶべき時です。私たちには、人々の間の相互理解と対話を国際レベルで促進できる指導者が必要であり、それによって、新たな世代の声を考慮に入れつつ、より安定的で平和的な世界を構築することが必要です。」と語った。

Map of Kazakhstan
Map of Kazakhstan

「そのためには、誰が相手であっても、理解や忍耐、そして全ての人との対話が必要です。繰り返しますが、たとえ『誰が相手であっても』です。」とローマ法王は強調した。

車椅子乗って登壇したローマ法王フランシスコは「腐敗の害悪」を乗りこえる必要についても語った。そうすることで、人々のニーズに対して、言葉だけの注目を与えるのではなく、真に対処することが可能になるからだ。カザフスタンの豊富な天然資源について言及した法王は、そうした富は不平等を生じかねないと指摘した。「社会の繁栄は一部の者たちの手中にのみ納めてはならず、多くの人々が共有しなくてはならない。」と法王は指摘した。

カザフスタン外務省が9月13日に開いた記者ブリーフィングで、「ナザルバエフ宗教間・文明間対話発展センター」のブラート・サルセンバエフ・センター長は、今回のような会議が国家間紛争に対していかに建設的な解決策を与えうるかという記者からの質問に答えて、今回の会議を独自のものたらしめているものは、これまでの同種の集まりとは異なって、カザフスタンが、世界各地の宗教の単なる代表団ではなく、その指導者の参画を得ている点にある、と指摘した。

カザフスタン外務省に開催された、国際メディア代表に対するプレス・ブリーフィング。中央左が、ナザルバエフ宗教間・文明間対話発展センター」のブラート・サルセンバエフ・センター長、右がローマン・バシレンコ外務副大臣 撮影:浅霧勝浩

サルセンバエフ・センター長は同時に、この会議が、世界の紛争に関連した「全ての問題を解決できるわけではない」ことも認めており、「私たちは、(問題解決に向けた)適切な雰囲気を作り、イニシアチブを提案し、いくつかのステップを提供しようとしていますが、これは長い道のりです。」と語った。

記者ブリーフィングの司会を務めたカザフスタンのローマン・バシレンコ外務副大臣は、会議の最終文書は「きわめて影響力の強い精神的な指導者の声として」、世界の多くの国際機関や各国政府に送られ、メディア、特にSNS上を通じて拡散される予定だと語った。

会議の議長を務めたアシムバエフ事務局長は、精神的な指導者や宗教者らは、「もしこの会議が共通の建設的なアジェンダの下に国際社会を連帯させることができるならば、イデオロギー的、精神的な空白を新たな意味合いで満たすことができるだろう。」と語った。(原文へ

INPS Japan

第7回世界伝統宗教指導者会議(9/14-15)には世界各地から約230の主だったメディアが、カザフスタンに記者を派遣した。IDN/INPSを代表して日本から取材に当たった浅霧勝浩INPS Japan理事長/マルチメディアディレクターが、現地で同行した各国の記者たちの視点から一連の行事を映像にまとめた。撮影・編集:浅霧勝浩

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