ニュース|視点|広島からガザへ──大量死を正当化する論理の連鎖(サクライン・イマーム元BCC記者)

|視点|広島からガザへ──大量死を正当化する論理の連鎖(サクライン・イマーム元BCC記者)

【ロンドンLondon Post=サクライン・イマーム】

1945年8月6日、第2次世界大戦が終結に近づき、日本の敗北がほぼ確実となっていた時、米国は戦争史上最も恐るべき決断を下した。民間人を標的に、人類史上最悪の破壊兵器を投下するという選択である。パイロットの母の名にちなんで「エノラ・ゲイ」と名付けられたB29爆撃機が、初の原子爆弾「リトルボーイ」を広島に投下したのは午前8時15分だった。爆弾は志摩病院上空600メートルで爆発し、15,000トンのTNT火薬に相当する威力で都市を火と灰の海に変えた。即死者は7万人にのぼり、ほとんどが罪なき民間人だった。その後数か月で、放射線障害や熱傷、負傷により死者は14万人に達した。爆心地から半径1.5マイル以内は完全に破壊され、活気ある都市は数秒で巨大な墓場と化した。3日後の8月9日には長崎に2発目の原爆が投下され、傷口はさらに深まった。日本はまもなく降伏したが、真の勝者は放射能の灰に刻まれた新たな世界支配の時代だった。

これは軍事的必然ではなく、技術力と帝国的威光を誇示するための冷徹な演出であった。人類を絶滅させる力を誰が握っているかを示すための「地政学的メッセージ」として行われた虐殺である。死を政治の道具とする「死の政治学(ネクロポリティクス)」──国家が生と死の選別権を握り、誰が生き、誰が死ぬのかを決める行為──の最も鮮烈な実演であった。広島と長崎は単なる悲劇ではなく、国家権力が死を政策に変える冷酷な宣言であった。

同じ論理が今日、ガザで繰り返されている。イスラエルの現政権は「自衛」の名の下に、230万人のパレスチナ人に対して体系的な破壊作戦を展開している。住宅地は破壊され、病院、学校、難民キャンプまでも爆撃されている。国連のデータによれば、死者は3万8千人を超え、その70%が女性と子どもである。国際司法裁判所ではジェノサイド(集団虐殺)の訴えが審理されているが、主要な大国は沈黙、あるいはこの残虐行為への共犯関係にある。1945年、原爆投下が道徳的正当化の衣をまとっていたように、ガザの破壊も「テロとの戦い」として合理化され、その背後にあるネクロポリティクスの現実──命を取捨選択する傲慢な意志──が覆い隠されている。

Hiroshima aftermath/ Wikimedia Commons
Hiroshima aftermath/ Wikimedia Commons

1998年、筆者がラホール記者クラブ会長を務めていた時、1人の若い日本人女性と出会った。彼女は広島の被爆者を祖母に持つ3世で、放射線被害による苦しみを受け継いでいた。彼女は日本のNGO「ピースボート」の一員として、同年にパキスタンが核実験を行った後、核廃絶を訴えるためにラホールを訪れていた。1945年に日本が経験した原子戦争の惨禍を世界に伝えるのが彼女の使命だった。しかし、パキスタンの主要な公的機関のいずれも、彼女らを歓迎しようとはしなかった。筆者は自ら彼女らを受け入れ、広島・長崎の破壊を記録したオリジナル写真展を一般公開した。それは単なる被害記録ではなく、世界の良心に突き付ける挑戦であった。

広島、長崎、そしてガザ──これらは、未解決の惨禍が世紀の両端を刻む暗い碑である。瓦礫と化したこれらの地は、文明も道徳も人間性も、死が政策として武器化される時にいかに灰燼に帰するかを証言している。原爆投下は戦争の終焉ではなく、帝国的権力が殲滅によって支配を刻み込む世界秩序の始まりだった。ガザでの民間人の標的化、インフラの破壊、共同体の消滅は、同じネクロポリティクスの論理を反響させている──大量死を常態化させて支配を強化するという発想である。広島の被爆者とガザの生存者は、命を使い捨てにされた者同士として、悲劇的な連帯を分かち合っている。

これらの出来事は、人類がいつまで「死によって統治する」支配者を許容するのかという切迫した問いを突き付ける。広島の灰とガザの瓦礫は、一部の命が軽んじられてよいという虚構を拒否し、次なる惨禍を生み出し続けるネクロポリティクスに対する断固たる裁きを求めている。(原文へ

INPS Japan

*INPS Japanでは、ガザ紛争のように複雑な背景を持つ現在進行中の戦争を分析するにあたって、当事国を含む様々な国の記者や国際機関の専門家らによる視点を紹介しています。

Original URL: https://londonpost.news/from-hiroshima-to-gaza-the-reign-of-death/

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