地域アジア・太平洋|フィリピン|報道の自由を脅かすジャーナリスト殺害

|フィリピン|報道の自由を脅かすジャーナリスト殺害

【マニラIPS=プライム・サミエント】

ジャーナリストのマーレーン・エスペラトが居間で射殺されてから3年。彼女はいまだフィリピン・ジャーナリストの窮状のシンボルとなっている。 

エスペラトがジャーナリストになったのは偶然である。彼女は農務省で働いている時、高官の汚職に気づき、それがきっかけとなって南部スルタン・クダラトの新聞コラムニスト、ラジオ・キャスターへと転身した。彼女は、中央ミンダナオの農務省における不正行為を暴き続けていたが、2005年3月、こどもたちの目の前で不審者に射殺されてしまった。

 メディアの自由と責任センター(CMFR)は今月、アロヨ大統領就任の2001年以来62人のジャーナリストが殺害されたと報告した。ニューヨークを拠とするジャーナリスト保護委員会は、フィリピンはジャーナリストにとって世界で最も危険な国の1つであると宣言している。また、フィリピン・ジャーナリストのための自由基金(FFFJ)は先週、今年殺害されたジャーナリストの数を見ても、批判的な報道、コメントに堪えられない人々がジャーナリストの口を塞ぎ報道の自由や国内の民主対話を妨害する傾向が未だ強いことを示しているとコメントしている。 

11月のラジオ局dxRS Radyo Natinのアレシオ・パドリガオ氏殺害、12月のレオ・ミラ氏殺害を含め、今年これまでに8人のジャーナリストが殺されている。 

CMFRのメリンダ・クィントス・デ・ジザス事務局長は、「これはジャーリストへの攻撃であり、報道の自由への攻撃だ。脆弱な司法/裁判システム、警察捜査のいい加減さ、処罰の不徹底などが原因にあげられる。我々は皆でメディアに対する圧力や脅迫と闘う方法を考えるべきだ」と語る。 

しかし政府の保護は期待できない。ある弁護士は、警察、検察は仕事量に比して給与が低くそこまで手は回らないと語っており、ジャーナリストは自ら身体の安全に注意する他ないと語っている。 

FFFJのキンサヤス法律顧問は、「報道の自由は、情報取得権利、情報へのアクセス確保、情報の伝播権利、報道後の身分の保障の4つの要素で成り立っている。ところがフィリピンでは、名誉誹謗記事には悪意が隠れているとして、無罪証明の責任は被告であるジャーナリスト側にある。また、巨大政治一家は、特に地方においてジャーナリストの脅迫や殺害によって不正暴露を食い止めようとする傾向がある」と語っている。 

ジャーナリストにとって最も危険な国フィリピンのメディア弾圧について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリ=IPS Japan浅霧勝浩 

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