【ブリュッセルIPS=デビッド・クローニン】
国連パレスチナ委員会(UN Committee on the Exercise of the Inalienable Rights of the Palestinian People)の開催に合わせ、国連貿易開発会議(UNCTAD)は8月30日、パレスチナ自治区の貧困が最悪レベルに達したとする報告書を発表。2006年に極貧人口が倍増して100万人以上となり、公務員の46%が十分な食料を手にできず、ガザ地区の53%の家庭で収入が半減したことが明らかになった。
報告書は、パレスチナの経済悪化の要因としてイスラエルによる人と物の流通制限を挙げた。EUにおけるパレスチナ代表シャヒード(Leila Shahid)氏はイスラエルが550ヶ所の検問所を設けたことで西岸地区は孤立していると報告している。
イスラエルが西岸地区で建設中の760kmにおよぶ分離壁は孤立した貧民街を作ると非難が集まっており、エルサレムにおける反分離壁運動ではパレスチナ人の困窮が南アフリカのアパルトヘイト政策で困窮した黒人に匹敵すると指摘している。
報告書はさらにイスラエルがパレスチナ自治政府の代理で徴税した8億ドルの送金を拒否していることを非難。
パレスチナ国際連帯運動(ISM)の活動員が参加していることで、国連パレスチナ委員会を反イスラエル的とする報道もあるが、バジ(Paul Badji)委員長は「パレスチナ人の人権を守ることは反イスラエルではない」と一蹴している。
EUではブッシュ政権による300億ドルの対イスラエル軍事支援は和平に利することはないとする意見、さらにイスラエルの行為がEUとの貿易協定の人権尊重条項に抵触するという意見がある。
イスラエルによる隔離政策がパレスチナ人の困窮に拍車をかける状況について報告する。
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
関連記事:
イスラエルとパレスチナ、穏健派の見解