地域アフリカ西アフリカの脆弱な中心―なぜギニアビサウは重要なのか

西アフリカの脆弱な中心―なぜギニアビサウは重要なのか

SDG16(平和・正義・強固な制度)こそが、平和と良き統治への鍵となるかもしれない

【ロンドンLondon Post=スルシュティ・ホード】

SDGs Goal No. 16
SDGs Goal No. 16

民主的な進展が脆弱でしばしば逆行するこの地域において、ギニアビサウは複雑なパラドックスを体現している。豊かな天然資源を持ちながら、慢性的な不安定状態が続いているのだ。西アフリカのこの国は過去40年で5度のクーデターを経験し、改革の試みは政治的対立や制度の脆弱さ、市民の信頼欠如によって幾度も頓挫してきた。しかし、前進の道は存在するかもしれない―その鍵となるのが国連の持続可能な開発目標(SDGs)第16目標、「平和・正義・強固な制度」である。ギニアビサウにとって、これは単なる理想ではなく、生存戦略なのだ。

政治刷新への呼びかけ

ロンドン・ポストはギニアビサウの元運輸・通信大臣であり、同国初の民主的に選出された大統領ジョアン・ベルナルド・ヴィエイラ(愛称「ニノ」)の甥でもあるジョアン・ベルナルド・ヴィエイラ氏に話を聞いた。
叔父であるヴィエイラ大統領はギニアビサウの独立闘争の英雄であり、1973年3月24日にポルトガルからの独立を宣言した人物だ。甥のヴィエイラ氏も国家統治と政策形成に20年以上携わる経験豊富な政治指導者であり、民主改革と制度的強靭性の重要な提唱者として台頭している。

「最も喫緊の課題は、市民の国家への信頼回復です」とヴィエイラ氏は強調する。
「そのためには独立した司法、徹底した反汚職措置、市民に対して専門的かつ尊厳ある奉仕ができる治安部隊が不可欠です。」

また、外部から押し付けられた平和ではなく、内発的な合意による平和が必要だと述べた。
「平和は政治勢力間の公開対話と憲法秩序への揺るぎない尊重の上に築かれるべきです。」

さらに、包摂的な司法の重要性を訴え、法手続きの簡素化、公共サービスの地方分権化、特に女性、子ども、農村住民などの周縁化された層への無料法的支援の拡充が必要だと述べた。
「司法は都市部だけの特権であってはなりません」と彼は付け加えた。

岐路に立つ国家

私は国際的な選挙戦略に関わる立場から、ギニアビサウがまさに崖っぷちに立たされていると見ている。貧困率は深刻で、1日1.95ドル未満で暮らす人々が68%を超えており、2002年の56.6%から悪化している。これは単なる経済危機ではなく、統治の危機でもある。司法制度は資金不足で政治的影響を受け、アクセス困難な状態が続いている。農村部では法的な身分すら持たない人が多く、生まれた子どもの4人に1人しか出生登録されていないため、教育、医療、市民権から排除されているのが現状だ。

African Continent/ Wikimedia Commons
African Continent/ Wikimedia Commons

思決定の場から排除されている。性暴力は蔓延し、加害者の多くは裁かれていない。汚職は蔓延し、本来市民を守るべきサービスさえ弱体化させている。

女性と若者――国民の大多数を占める――は指導層や意思決定の場から排除されている。性暴力は蔓延し、加害者の多くは裁かれていない。汚職は蔓延し、本来市民を守るべきサービスさえ弱体化させている。

SDG16を本気で実施すれば、こうした潮流を逆転させることができる。具体的な改革の枠組みは次の通りだ:

  • 司法の独立性強化
  • 執行可能な法律による汚職対策
  • 言論の自由と市民参加の保護
  • 平和的な紛争解決の仕組み構築
  • 司法と市民登録への平等なアクセス確保

強固な制度は単に権利を守るだけでなく、開発の原動力ともなる。透明で公正な統治は資源を最も必要とする人々へ届ける力を持つ。女の子は学校に通い続け、女性は恐怖なく暮らし、若者は仕事と生きがいを見出す。法的に安定した環境が整えば、国内外からの投資も呼び込めるだろう。

なぜギニアビサウの安定が重要なのか

ギニアビサウは小国ではあるが、その不安定さは地域全体に波及する。しばしば「麻薬国家」と呼ばれ、国際的な麻薬密輸の中継地となっており、これがさらなる汚職と秩序崩壊を招いている。もし改革がさらに遅れれば、西アフリカ全体の不安定化につながりかねない。

2025年11月30日に予定されている大統領選挙は、国の進路を立て直すまたとない機会だ。選挙が自由かつ公正、平和的に行われれば、市民の信頼を取り戻し、ギニアビサウの民主的可能性を国際社会にも示すことができる。

ヴィエイラ氏が言う通りだ:「国家が信頼され、公正で市民を守る存在になってこそ、ギニアビサウは安定した繁栄の未来を築けるのです。」

SDG16の実践――海外からの教訓

ルワンダやガーナは貴重な教訓を提供している。ジェノサイド後のルワンダは司法改革と反汚職裁判所を優先し、トランスペアレンシー・インターナショナルの汚職認識指数で2000年0年の121位から51位へと大きく改善した。ガーナでは土地登記や裁判手続きのデジタル化により官僚的な汚職が40%削減された(世界司法プロジェクト調べ)。

ギニアビサウでも、こうした措置が開発の扉を開く可能性がある。透明な統治がカシューナッツ収益を医療や教育に回し、法的な身分保障が女性や農村住民のエンパワーメントにつながる。

国連のアミナ・モハメド副事務総長はこう述べている:「強固な制度は単に権利を守るだけではありません――それは進歩を加速させるのです。」

結びに

ギニアビサウはいま岐路に立っている。その道のりは決して容易ではないが、不可能でもない。政治的勇気、地域協力、そしてSDG116の着実な実行があれば、この脆弱な国家も強靭な民主主義国家へと変貌できる。青写真はすでに存在している――いま必要なのは、それを実現するための集団的意志だ。

This article is produced to you by London Post, in collaboration with INPS Japan and Soka Gakkai International, in consultative status with UN ECOSOC.

関連記事:

クーデターの指導者たちは国連演説に正当性を求めようとしたのか

アフリカのクーデター:国連の紛争予防努力に課題

|ナミビア|ドイツの忘れ去られた大量殺戮(アデケイェ・アデバジョ汎アフリカ思考・対話研究所所長)

最新情報

中央アジア地域会議(カザフスタン)

アジア太平洋女性連盟(FAWA)日本大会

2026年NPT運用検討会議第1回準備委員会 

パートナー

client-image
client-image
client-image
client-image
Toda Peace Institute
IPS Logo
The Nepali Times
London Post News
ATN

書籍紹介

client-image
client-image
seijikanojoken