【アブダビWAM】
「リビアの新政権作りを目指す暫定国民評議会は、自由で民主的な選挙を8カ月以内に行うとしたタイムテーブルを発表した。」
「この発表は、前政権最後の拠点であるシルトが20日陥落した際にムアンマール・カダフィ大佐が殺害された状況について真相解明を求める国際社会からの要求が高まっている中で行われた。」とアラブ首長国連邦(UAE)の日刊紙が報じた。
「今のタイミングでカダフィ大佐の死に関する調査を要求するのは少しナイーブであろう。この不可避の末路に至るまでには、多くの段階を経てきており、カダフィ大佐はいつでも退陣或いは国際社会に身柄を預けることで、この血なまぐさい紛争に終止符を打つことができたはずである。しかし大佐はその選択肢を選ばず、最後の瞬間までシルトに身を隠していた。その結果、8カ月という長きにわたる血なまぐさい内戦が現出し、暴力と憎しみに満ちた争いがついには彼の死へとつながったのである。」とガルフ・ニュース紙は10月24日付の論説の中で報じた。
従って、国際社会は、今日のリビアに起こっていることに、注目を移すべきである。過去40年に亘ってカダフィ大佐は、自らに従わない全ての人々を残虐に弾圧し排除してきた。その結果、暫定国民評議会の諸勢力は、この独裁者と政権に対する反抗で統一戦線を形成してきた訳である。
「総選挙が行われる8か月後までに、暫定国民評議会は、全ての政治勢力や部族が受け入れることができる新たなフレームワークを作らなければならない。そしてそれはこれからのリビアのあり方について存在する様々な政治的な意見を広く尊重するオープンなものでなければならない。」と同紙は指摘した。
血塗られた独裁者の側についていたと見做されているリビア国民に対する憎悪が国中を覆っている今日の状況を考えれば、国民的和解がなされる必要がある。
「セイフ・アル・イスラム氏(カダフィ大佐の二男)が依然逃亡している中、旧サダフィ支持勢力からの反攻勢の危険性は依然として存在するが、今日リビア全土を覆っている反カダフィ感情を考慮すればその可能性は低いだろう。暫定国民評議会がまず着手すべきは、国内各地の民兵を解散し武器を回収することである。そして一刻も早く法の統治を回復するとともに、教育やヘルスケアに対する施策に着手べきである。8カ月に及ぶ内戦で破壊されたインフラも直ちに立て直さなければならない。そして、暫定国民評議会は、カダフィ大佐が海外の各地に隠匿した考えられている個人資産2000億ドルへのアクセスを確保しなければならない。」と、ガルフ・ニュース紙は結論付けた。(原文へ)
翻訳=IPS Japan戸田千鶴
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