【コロンボIPS=アマンタ・ペレラ】
人口1950万人の内、公式に確認されたエイズ発症者数614人、HIV/AIDS罹患率0.1%と、公式統計を見る限り、スリランカはエイズ感染の影響を殆ど受けていないように見える。しかし、専門家の間では、同国のエイズ感染率が相対的に低いことは認めているものの、初期段階にある現在の内に思い切った対策をとらなければ、深刻な事態へと感染が広がっていくと見られている。
専門家は、感染拡大のリスクとして、(1)東北部(長らくタミールの虎との内戦が続いている)から流失した国内難民(厳しい生活環境の中で感染リスクが高い性行動をとる傾向にある)、(2)軍隊駐屯地周辺を中心とした売春婦の増加、(3)感染後も診察にいかない傾向(性感染症患者の診療所への出頭率15%)とモニタリング体制の弱さ、(4)性教育の遅れ、(5)コンドーム使用率の低さ(特に田舎で低い)、(6)10万人に及ぶスリランカ女性の海外出稼ぎ者の存在、(7)国内人口の多数を占める性的にアクティブな青少年層の存在、(8)長い場合は10年に及ぶ感染潜伏期間をもつHIV/AIDS感染の特徴、を挙げ、このままではハイリスク集団を中心としたHIV/AIDS感染から幅広い社会層へと感染が広がる事態を警告している。スリランカ社会の水面下で広がるHIV/AIDS感染の脅威を警告する専門家達による諸議論を報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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