【国連IDN=タリフ・ディーン】
700以上の宗教団体・市民団体が、朝鮮半島の危機を終結させ「戦争を挑発する軍事行動」を回避するよう訴えている。
これら団体は共同声明の中で、「私たちは今日、大きな危機感を抱いてここにいる。戦争という言葉がかつてないほど身近に感じられる。韓国、米国、北朝鮮の軍事演習が何日も続き、かつてないほど緊張が高まっている。」と述べた。
韓国プレスビテリアン教会、韓国全国教会協議会、韓国平和アピールキャンペーン、6月15日共同声明履行韓国委員会などが署名した。
10月27日に立ち上げられたこのキャンペーンでは、朝鮮半島で進行中の紛争に関わるすべての当事国政府に対して、あらゆる敵対行動を即時停止し、対話と相互の信頼醸成を通じた紛争解決に戻るよう呼び掛けている。
声明文では、和平協定の締結、核兵器と核の脅威のない朝鮮半島(及び世界)の実現、制裁と圧力ではなく対話と協力を通じた紛争の解決、軍拡競争の悪循環からの脱却と、人間の安全保障と環境の持続可能性への投資などを訴えている。
集められた署名は、国連と、大韓民国・朝鮮民主主義人民共和国・米国・中華人民共和国を含めた朝鮮危機の当事国政府に届けられる。
共同声明はまた、危険な軍の演習が繰り返し行われ、この土地のすべての命の安全が危険に晒され出口が見えなくなっていると警告した。
「このままでは、一瞬の過失から予期せぬ武力衝突が起こり、戦争が現実のものとなってしまうかもしれない。軍事的危機と不安定な状況が続けば、社会・経済全体に大きな影響を与える。」
「『新冷戦』と言われる混沌とした国際秩序と軍拡競争の激化の中で、朝鮮半島の危機がどのようなリスクをもたらすか予測することは困難である。現在の火急の課題は、一触即発の状態から脱出することだ。」
他方で、平和的な解決を求める声明は、北朝鮮が核武装を続け、隣国の韓国と長年の宿敵である米国を脅かす弾道ミサイルを相次いで発射する中で出された。
ニューヨーク・タイムズ紙は11月14日、北朝鮮が先週発射した23発を含め、今年に入ってから「どの年よりも多い」86発ものミサイルを発射したと報じた。
同紙は、北朝鮮はまた「韓国に向けて核ミサイルを発射する準備を行っている」としている。
「北朝鮮は開発中の新型大陸間弾道ミサイルを実験するのみならず、米韓同盟が共同軍事演習を強化する中で、両国に対峙するために短距離ミサイルを頻繁に発射している。」
このミサイル実験は、「北朝鮮はいつミサイルを使い果たすのか」という修辞的な疑問も誘発してもいる。
核に関する専門家で「核兵器廃絶国際キャンペーン」の初代代表であり、1996年の包括的核実験禁止条約と2017年の核兵器禁止条約の交渉にも参加したことのあるレベッカ・ジョンソン博士は「北朝鮮における緊張の高まりは、ある文脈の下で理解されねばならない。」と語った。
彼女はIDNに対し、「北朝鮮の非核化は、単に指をくわえて見ているだけではだめで、朝鮮半島全体とその周辺の島や海を非武装化し、非核化するための交渉の中で行われなければなりません。」と語った。
米国、中国、南北朝鮮、日本、ロシアは、過去数十年間の「六者協議」に参加した政府であるが、近年の核の脅威の高まりに対応し、前提条件なしに平和と非核化に関する地域交渉にもっと建設的に関与する必要がある。
「もしそうすれば、核兵器の製造や脅威、使用を防ぐためのより良い方法を見出すことができる。核兵器禁止条約の履行と検証のための新しい多国間ツールを活用することは、各国政府と国民が国家の安全保障を見直す道を開くことにもなり、紛争含みの地域における脅威的な体制の非核化に向かう協議が可能となるだろう。」とジョンソン博士は主張した。
北朝鮮の国営「朝鮮中央通信」によると、10月に相次いだミサイル実験は、米韓による大規模な海上機動訓練に対抗して行われたものである。この実験は、韓国への戦術核の投下を想定したもので、劇的な警告の意味合いが含まれている。
米国務省のネッド・プライス報道官は11月7日、北朝鮮の軍司令官による「反撃」の脅威について問われ、「我が国の対応は、今回の一連の挑発行為を通じて皆さんが聞いてきた通りです。条約上の同盟国、つまり日本と韓国の防衛と安全に対するわが国のコミットメントは、確固たるものです。」と記者団に語った。
「我が国は、防衛と抑止の態勢を強化するための多くの措置を取ってきました。今後もそのアプローチや活動を適切に調整していきます。」
プライス報道官はまた、「朝鮮半島の完全な非核化は、昨年の対朝鮮半島政策見直し(新たな対北朝鮮政策についてトランプ政権の『グランドバーゲン〈一括取引〉』とオバマ政権の『戦略的忍耐』のアプローチはとらないと明言。日韓両国と連携して『調整された現実的アプローチ』をとり、北朝鮮の非核化を目指すとした:INPSJ)完了以来の目標であり、その後変更ありません。また今後も変更はないだろう。」と説明した。
国連のステファン・ドゥジャリク報道官は10月、「北朝鮮最高人民会議が(9月8日に)採択した『核戦力に関する朝鮮民主主義人民共和国の政策について』の法律に対して国連のアントニオ・グテーレス事務総長が懸念を持っています。安全保障ドクトリンにおける核兵器の役割と重要性を強化することは、核のリスクを削減し根絶しようとしてきた国際社会の数十年に及ぶ努力に反するものです。」と記者団に語った。
「北朝鮮は、弾道ミサイル技術を利用したミサイルを開発するなど、核兵器計画を推進することによって、そうした活動を停止するよう求める安保理の諸決議を無視し続けている」と、国連事務総長の言葉を引用して語った。
グテーレス事務総長は北朝鮮に対して、朝鮮半島の持続可能な和平と、完全かつ検証可能な非核化を達成することを視野に入れて、主要な当事者との対話を再開するよう求めている。
他方で、韓国・国連間の第21回軍縮不拡散協議が11月3・4両日にソウルで開催された。
韓国政府と国連軍縮局が主催しているこの協議は「地域および国際安全保障にとって重要な問題について率直な議論を行い、現在の軍縮関連問題を検討すること」を目的としたものである。
国連によるとこの会議には、韓国の朴容民外交調整官(多国間・グローバル問題担当)、中満国連軍縮問題上級代表を初めとして、政府関係者、国連関係者、シンクタンクや 学術機関を含む市民社会組織の代表者など、国内外から50人以上が参加した。
この会議では、「『将来の軍縮状況の評価:宇宙の安全保障とミサイル開発』と題し、国際安全保障の分野で新たな課題に直面している諸問題に対処しようとするものであった。
国連によると、宇宙システムに対する脅威と誤算によって起こるリスクには幅広いものがある。これは、宇宙空間における新たな軍拡競争の可能性に関して国際社会が懸念を強めており、これらの脅威に対応する規範やルール、原則を確立する必要性が高まっている、という。(原文へ)
INPS Japan
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