ニュース|米国|議会、エイズ対策予算可決するも、禁欲主義の影響強く

|米国|議会、エイズ対策予算可決するも、禁欲主義の影響強く

【ワシントンIPS=ジム・ローブ】

米下院外交委員会は、2月27日、HIV/AIDS・マラリア・結核対策に今後5年間で500億ドルを支出するための法案を可決した。共和・民主両党の間に合意があり、3月中旬には本会議を通過する見通し。 

この法案は、「2003年エイズ・結核・マラリア対策グローバルリーダーシップ法」を拡大したもので、ブッシュ大統領が1月の一般教書演説で約束した額に200億ドルも上乗せしている。

 エイズ問題に関わる活動家らはこの法案を歓迎する一方で、キリスト教右派の主張する反中絶的な内容を盛った法案に民主党が簡単に賛成してしまったことを批判している。 

「グローバルエイズ連合」(GAA)のポール・ゼイツ代表は、草案段階において家族計画や「リプロダクティブ・ヘルス」のための予算が法案に入っていたにもかかわらず、それが最終段階になって落ちてしまったことに失望の色を隠さない。この法律に従えば、中絶を実行したりそれを推進する活動を行っている病院や団体に対しては、予算が支出できない。 

また、売春と人身売買を否定することを拒んだ団体に対しても、支援を行うことができない。しかし、「健康とジェンダー平等センター」のセーラ・シッペル代表は、性労働者はエイズ感染の可能性が最も高い人びとであり、性労働の否定が支援の条件にされてしまうと、現場で効果的な予防策を打つことはできない、と批判する。 

また、「エイズ救済大統領緊急計画」(PEPFAR)では、予算の3分の1が性的禁欲と婚姻生活における性的貞操を促進するために割り当てられている。 

しかし、米会計検査院(GAO)が2006年に行った調査では、性的禁欲と貞操のために予算を割くことは、母親から子供へとエイズが感染することを防ぐプログラムへの予算支出を妨げる効果を生み出すことが明らかになっている。 

米下院外交委員会が可決したエイズ対策予算について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリー=山口響/IPS Japan浅霧勝浩 

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