SDGsGoal2(飢餓をゼロに)世界食糧システムサミットは、企業ではなく農民や民衆の権利を認める必要がある、と活動家ら

世界食糧システムサミットは、企業ではなく農民や民衆の権利を認める必要がある、と活動家ら

【シドニーIDN=カリンガ・セレヴィラトネ】

今週ニューヨークからオンライン形式で開催される歴史的な国連世界食料システム・サミット(WFSS)では、90カ国を超える各国首脳が、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた食料システム改革の公約を表明する見通しである。だが、市民社会団体や農民組織の間では、小規模農家の土地に対する権利や、人びとが手頃な価格で食料にアクセスする権利といった、食料安全保障の根幹に関わる課題が十分に認識されるのかに強い懸念が広がっている。

9月23日に国連総会期間中のニューヨークで開かれるWFSSは、この種の会合としては初めての試みであり、とりわけ新型コロナウイルス禍からの回復局面において深刻化する食料安全保障の問題に、各国首脳がどのように対応するのかが焦点となる。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、首脳らに向けた事前メッセージの中で、食料安全保障は2030年までのSDGs達成に不可欠であると強調した。グテーレス氏は、「機能する食料システムは、紛争を防ぎ、環境を守り、すべての人に健康と生計をもたらすことができる。食には希望がある」と述べたうえで、「食は、すべての持続可能な開発目標の達成に向けた行動を加速させ、COVID-19からのより良い回復を支える力となる」と訴えた。

しかし、この楽観論を共有しない声も少なくない。マレーシアに拠点を置くシンクタンク「Third World Network(TWN)」は、「今回のサミットは、COVID-19に起因する食料危機にも、持続不可能で不健康、不公正な食料システムを生み出している構造的要因にも向き合っていない」と指摘し、国連が企業利益に過度に配慮していると批判している。

実際、世界の食料・商品取引は、ごく少数の多国籍企業によって支配されている。種子産業では、ダウ・デュポンとモンサント・バイエル・クロップサイエンスの2社で市場の53%を占める一方、農作物に使用される化学物質や農薬を製造・販売する世界の農薬産業の70%は、わずか3社に集中している。こうした企業は生産から消費に至る食料連鎖を支配するだけでなく、いまやビッグテック企業と提携して食料システムのデジタル化を進め、その影響力をさらに強めようとしている。

その一方で、先住民族や地域共同体を含む小規模生産者たちは、世界の食料の60~80%を担っている。国際土地連合(International Land Coalition)は、土地所有の不平等が、小規模農業に従事する推計25億人の生計を直接脅かしていると警告している。

ジンバブエの小規模有機農家エリザベス・ムポフ氏と、ニカラグア土地労働者協会のエドガルド・ガルシア氏は、アルジャジーラに寄稿した論考の中で、「にもかかわらず、私たちの食料システムの未来を定義する段になると、国連がサミットの計画、原則、内容を構想するために招くのは誰か。大規模アグリビジネスなのである」と警鐘を鳴らした。

TWNは、FIAN Internationalの政策ブリーフを引用しながら、WFSSは「十分かつ適切な食料と栄養に対する人権」が国家に義務を課すものであることを、国際社会に対して明確な政策判断として示す必要があると主張している。そのうえで各国政府に対し、「公共の利益を最優先に据え、食料システムを公共的関心事項として位置づけ、食料を共有財と認識すべきだ。公的機関と共同体組織を強化し、企業権力を解体し、企業と金融資本を規制しなければならない」と求めている。

こうした中、この1年を通じて市民社会の動きは勢いを増してきた。とりわけ7月には、世界各地から4万人を超える人々が約850のオンライン対話に参加し、今週のサミットに向けた政策文書や声明の取りまとめを進めてきた。

Blue Marble Evaluation Networkのマイケル・クイン・パットン氏によれば、そこから浮かび上がった主要テーマは、「変革とは、部分的な改革にとどまらない、大規模で深く広範な変化を意味する」という点であった。これは、公平性を優先課題とし、女性農民、先住民族、小規模農家など、これまで周縁化されてきた人々の声を力づけつつ、食料システムに関わるすべての人を利害関係者として位置づけることを意味する。パットン氏はまた、「対話参加者たちは一貫して、地域に根ざした食料システムの重要性を強調した。異なる文脈には異なる解決策が必要だからだ」と語っている。

国際農業開発基金(IFAD)のギルバート・F・ホングボ総裁は、7月にローマで開催された国連食料システム・プレサミットを前に、「農村の人々は長年にわたり食料バリューチェーンの中で周縁化されてきた。世界の食料の多くを生産しているにもかかわらず、その対価はあまりにも少なく、危機への脆弱性を抱えたままだ」と訴えた。そのうえで、「農村の生産者に現実の変化をもたらす具体的な行動がなければ、飢餓と貧困はさらに拡大し、不安定化と移住の増加を招くだろう」と警告した。

また、国連食糧農業機関(FAO)の屈冬玉事務局長も、今週の会合に合わせた声明で、長年減少傾向にあった世界の飢餓人口が再び増加に転じていることを踏まえ、WFSSは時宜を得たものだと強調した。屈氏は、世界の農業・食料システムは十分に機能していないとしたうえで、「世界の農業・食料システムの変革は、最終的には各国および地域レベルでの行動にかかっている」と述べた。

それでも、市民社会団体や農民組織は、国連が正しい方向に向かっているとはみていない。持続可能な食料システムに関する国際専門家パネル(IPES-Food)のメンバーであるモリー・アンダーソン教授は、ニュースサイト『The Current』に対し、今回のサミットが大企業との結びつきゆえに批判を浴びている背景について、「国連とそのパートナーは、デジタル化や遺伝子編集、精密農業を推し進めようとしている。しかし、そうした手法は世界で最も貧しく飢えた人々をほとんど助けることにはならず、むしろ貧困層と富裕層の格差をさらに拡大させる恐れがある」と指摘した。

こうした理由から、市民社会団体や農民組織は、彼らの言葉を借りれば「すでに用意された食卓に着く」のではなく、その外側から闘う道を選んだ。彼らは、これまで食料サミットの開催に関与してきたFAOや国連世界食料安全保障委員会(CFS)が脇に追いやられ、グテーレス事務総長が企業利益を代表する世界経済フォーラム(WEF)と緊密に協議しながら今回のサミットを進めてきたとみている。

小規模食料生産者の利益を代表する市民社会ネットワーク「People’s Coalition on Food Sovereignty」の共同議長シルビア・マラリ氏は、『The Current』に対し、「国連が利益よりも人びとの利益を優先する方向へと自らを立て直せないのであれば、私たちは対抗サミットを開き、外から介入するしかないという立場を示すことが重要だった」と語った。

このため、世界各地の市民社会団体や農民団体は今週、マレーシア、グアテマラ、ベネズエラ、オーストラリア、パキスタン、フィリピン、スリランカ、インドネシア、カンボジア、インドなどを起点に、「食料システムに関するグローバル人民サミット」と題する一連のオンライン会合を開催し、最終的にはオンラインによる「グローバル行動・発言の日」へとつなげている。(原文へ

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