【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】
今月11日に軍部のクーデターで失脚したオマール・アル・バシール元大統領について、前年からの抗議デモ参加者の殺害への関与・扇動容疑で起訴されるようになったスーダン国内の変化を報じた記事。スーダンでは30年にわたってバシール氏が実権を握り、2003年から続くダルフール紛争では集団虐殺にかかわったとして国際刑事裁判所から逮捕状がでていた。しかし昨年12月から物価高騰をきっかけにデモが全国に広がっていた。(原文へ)
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【チマニマニ(ジンバブエ)IDN=ジェフリー・モヨ】
サイクロン「イダイ」がアフリカ南部に襲来し、その5週間後の4月25日、今度はサイクロン「ケネス」がモザンビークを襲った。この被害について世界食糧計画(WFP)は、もっぱら農村地帯である被災地の漁民・農民の生活は今後数か月にわたって影響を受けるであろうとコメントした。
約3万1000ヘクタール(7万6600エーカー)の作物が収穫期に失われた。「地域の食料事情はすでにかなり不安定な状態にあります。」とハーブ・バーフーセル報道官は語った。

4月28日、アントニオ・グテーレス国連事務総長の報道官は、サイクロン「ケネス」がモザンビークとコモロにもたらした人命の損失と破壊の報に接して、事務総長は「きわめて遺憾に思っている」と述べた。事務総長は「短期的、中期的、長期的な対応を行うのに必要な追加の支援」を国際社会に呼びかけた。
3月14日から15日の夜にかけてモザンビークやマラウィ、ジンバブエといったアフリカ南部の国々を襲ったサイクロン「イダイ」によって、ジンバブエに住むムランビさん(57歳)は、間もなく始まる収穫期を前に、農場を失ってしまった。ムランビさんは、IDNの取材に対して、「最悪の被害です。サイクロンで夫を失い、作物を育てていた畑も失ってしまいました。」と語った。
マラウィでは、アグネス・バンダさん(71歳)にとっても最悪の時が訪れていた。「家族で生き残ったのは私だけです。家は倒壊し、かつて家族が所有していたものはすべて、サイクロンで壊されました。」と、バンダさんは語った。
マラウィ第2の都市ブランタイアの気候変動専門家アディアス・ムルジ氏はIDNの取材に対して、「気候変動の影響がこの地域に壊滅的な被害をもたらすようになりました。イダイのような巨大サイクロンもその兆候の1つです。」と語った。
モザンビークにとって、2度のサイクロンという気候変動の影響と闘っていくには、同国のナジラ・アブドゥラ保健相が指摘した通り、あらゆる人々の協力が必要となるだろう。アブドゥラ保健相は、「気候変動の悪影響を緩和するには、あらゆる政府部門、各国からの支援パートナー、そして社会全体の協調的な取り組みが必要となります。」と語った。

モザンビークは、国連開発計画(UNDP)の支援を受けて、農業・教育・保健・インフラ・エネルギーなどの分野で減災と気候変動対応を統合する取り組みを進めている。
ジンバブエでも、UNDPとそのパートナーらが「ジンバブエ強靭化ファンド」を実行している。これは、強靭化対策に関する政策決定へのエビデンスを提供し、リスクにさらされた地域の能力を強化し、既存のセイフティーネットやその他の関連事業を通じた低コストでの緊急事態対応を提供することを目的としたものだ。
マラウィですら、UNDPが「緑の気候ファンド」の支援を得て、正確な天気予報の提供と地域の早期警戒システム構築が始まっている。これによって、人口200万人、全体の75%の地区がカバーされる。
国連環境計画のアフリカ地域責任者であるジュリエット・ビャオ氏もまた、「天災による人的・経済的被害を軽減するためには、生態系を基盤とした減災と気候変動対応にさらなる緊急の投資を行う必要性があります。」と指摘したうえで、「健全な環境管理と気候変動の影響、災害対応は緊密に結びついており、減災に向けてより体系的で包括的なアプローチが必要とされています。」と語った。
「ジンバブエ環境トラスト」のジョセフ・タソサ代表は、「圧倒的な気候変動の影響に対する地域社会の強靭性を増すためには、早期警戒と緊急対応のメカニズムを強化する必要性を考えなくてはなりません。」と語った。
仙台防災枠組(2015~30)の下で、UNEPは「地域レベルの緊急事態認識と準備ハンドブック」(APELL)第2版を発行した。2015年に出されたこの新版では、地域レベルでの複数の災害に統合的に対応する重要性に焦点を当て、多数の利害関係者と社会全体の関与の重要性を強調した。
また、国連防災機関は2018年のレポートで、気候変動関連の災害がもたらす莫大な経済損失について強調した。報告書によれば、「この20年間で、気候変動関連の災害による直接的な経済的損失は151%の急激な上昇を見せた。」
水鳥真美・防災担当国連事務次長補兼国連事務総長特別代表は、「サイクロン『イダイ』がもたらした被害は、気候変動が通常の気候パターンに影響しそれを阻害する中で、低地にある地帯の多くが海水面上昇に対して脆弱であることを改めて示す明確な事例となりました。」と語った。

ジンバブエの気候変動専門家ハピソン・チコワ氏は、IDNの取材に対して、「サイクロン『イダイ』のような気候変動の影響は、悪影響がより致命的なものになるにつれて、より強く感じられることでしょう。今後事態はもっと悪くなるだろう。」と語った。
マラウィのチマンゴ・シメングワ氏のような気象学の専門家も、「世界全体の気温上昇と海水温の上昇があいまって、熱帯のサイクロンを引き起こしています。」と語った。ジンバブエ環境トラストのジョセフ・タソサ氏は、「気温が上昇すると雨水が蒸発しやすくなり、『イダイ』のようなサイクロンが発生します。『イダイ』は、短い期間に1年分の雨を降らせました。」と語った。
ダーバンで開催された国連気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)で富裕国が貧困国に対する気候回復ファンドへの投資を2020年までに年間1000億米ドルに引き上げると約束したことは、こうした背景の下で理解されなくてはならないと識者らは指摘する。しかし、これまでのところ、気候変動ファンドの10%しか確保されていない。(原文へ)
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【ニューヨークIDN=サントー・D・バネルジー】
核兵器なき世界の実現に向けて、無条件にその義務を担い、核兵器禁止条約への署名、批准を支持することを通して、世界のヒバクシャの声に耳を傾け心に刻む。
さらに、犠牲者の支援や、汚染された環境の回復を積極的に進め、被害を受けたコミュニティーへの国際協力と支援を行うよう国連加盟国に求める呼びかけに、さまざまな宗教から53の団体・個人が加わった。
彼らは信仰者として、すべての効果的措置は相互に補完し合うものであり、各分野の前進がその他の分野の前進へと繋がることを認識するよう、諸国に訴えかけた。具体的には、核兵器禁止条約の発効、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効、核分裂性物質の生産停止並びに世界中の備蓄の廃絶、核兵器生産施設の不可逆的な解体といった措置である。
彼らはまた、核兵器の精度の向上・多様化・使用への敷居の低下を企図するプログラムを中止するよう求めた。その他に彼らが挙げた効果的な措置としては、世界的な備蓄核兵器の廃絶がある。これらは、核不拡散条約(NPT)で規定された目標と約束と完全に一致しており、その実現に資する地球的な取り組みである。
彼らは信仰者として、核不拡散条約と核兵器禁止条約には、核兵器禁止条約への立場がいかなるものであれ賛成が可能な、核兵器の移転、他国の核兵器の取得の援助等といった、両条約に共通する中核的禁止事項が存在することを諸国は認識すべきだと訴えた。そして「これらは、核兵器禁止条約を支持するか否かに関わりなく、支持しうる内容だ。」と述べている。
5月1日にニューヨークで発表されたこの共同声明で、「核兵器なき世界」をめざす幅広い宗教団体・個人らは「NPTに定められた、核軍縮の義務履行の具体的かつ実際的な一歩として、すべての締約国がそうした禁止事項の強化に関する建設的な対話を行うよう求める。」と述べている。
2020NPT再検討会議第3回準備委員会の市民社会セッションで発表された共同声明は、世界教会協議会(WCC)のエミリー・ウェルティ氏が「核兵器を憂慮する宗教コミュニティー」を代表して読み上げた。
キリスト教・イスラム教・ヒンズー教・仏教などの各宗教から53団体・個人が趣旨に賛同し名を連ねた共同声明はこのように述べている。「私たちは、破壊や汚染の恐怖から自由な世界で生きる基本的人権を共有し、その価値を認識している。核兵器の無差別で破壊的な力は、私たちの信仰の伝統と全く相容れないものであり、その完全なる廃絶に向けて声をあげ続けることが必要である。私たちは、充実した人生を促し、人間の尊厳が守られるよう、人々が善の意志をもってより良い世界に向けて行動し、政策や制度を形成していく力を持っていることを信じる。私たちにとって、核兵器禁止条約に賛同が集まっていることは、大きな喜びと人類へのさらなる希望となっている。」
これは、「核兵器を憂慮する宗教コミュニティー」が2014年4月以来発表してきた11本目の共同声明である。同コミュニティーはこれまで、「核兵器の人道的影響に関する国際会議」やNPT再検討会議準備委員会、国連総会、核兵器禁止条約交渉会議などの場を利用して、諸宗教による共同声明を発表してきた。
パックス・クリスティ・インターナショナルの国連代表を務めるメアリ・T・エルニック氏は、「私たちの信仰心は、暴力や破壊、絶望の力の虜になることを拒絶する力を与えてくれます。(このコミュニティーを構成している)様々な宗教の間には違いもはありますが、すべての宗教が、あらゆる人々、そしてすべての生きとし生けるものが本質的に互いにつながっていることを認識しています。」と語った。
エルニック氏はまた、「人類と地球そのものは、私たちが積極的に尊重し保護すべき、貴重で壊れやすい天恵に他なりません。」と指摘したうえで、「核兵器は、人類のみならず、地球そのものの存続を脅かす存在です。私たちが知り愛するすべてのものを暴力的に絶滅させる脅威が迫っているなか、私たちは信仰者として、この恐ろしい兵器による恐怖がなくなる日まで、手を取り合い、声をあげ、決然と行動せずにはいられません。」と語った。
創価学会インタナショナル(SGI)の河合公明平和・人権部長はさらに、「対話に向けた一人の努力は、最も破壊的な形で核兵器に示された、自己中心性と相互依存に目を閉ざす人間の傾向性に対峙することを促します。核兵器廃絶には、誰にでも果たすことのできる役割があります。」と付け加えた。
SGIは、60年以上にわたって核廃絶に向けた取り組みを行ってきた、世界に1200万人以上のメンバーを擁する仏教団体である。
共同声明の全文と、声明の趣旨に賛同したキリスト教・イスラム教・ヒンズー教・仏教の53団体・個人のリストはここで参照することができる。(原文へ)
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宗教コミュニティーが幅広い支持による核兵器禁止条約の採択を訴える
【ニューヨークIDN=ジャムシェッド・バルーア】
国連は、冷戦後に重要な成果を生み出してきた軍縮・軍備管理の枠組みが崩壊することを強く懸念しており、画期的な核不拡散条約(NPT)が今後も実行可能な条約であり続けられるように、躍起になっている。
NPTの発効から50年、無期限延長から25年を目前にして、国連安保理(構成15か国。議長はドイツのハイコ・マース外相)は4月2日、国連本部でハイレベル会合を招集した。
4月の安保理議長であるドイツのクリストフ・ホイスゲン国連大使によると、国際の平和と安全の維持を任務とする安保理の加盟国は、「核不拡散体制の礎石であり、核軍縮と原子力の平和利用追求の基礎である」NPTの目標を前進させるという約束を再確認した。
安保理はまた、2020年NPT再検討会議が、NPTの歴史的な成果を記念し、さらにその目標を前進させることで、核軍縮・不拡散体制を強化するという条約へのコミットメントをNPT加盟国が「明確に再確認する」機会を与えていることに同意するとともに、「2020年NPT再検討会議が成功を収めるよう、共に協力・連携していく用意がある」ことを表明した。
しかし安保理での議論をよく見てみれば、2020年NPT再検討会議の「成功」は確実というには程遠い状況にあることがわかる。国連の中満泉事務次長(軍縮問題上級代表)は、安保理に対して、「武器の取得が軍縮の追求よりも優先されているこの時代にあって、NPTはきわめて耐久性が高いことを証明してきました。しかし、それを当たり前のように受け取ってはなりません。」と率直に語りかけた。

中満事務次官はまた、「冷戦後に構築してきた軍縮の成功は、ここにきて止まってしまいました。安全保障環境が、核兵器の有用性を謳う危険なレトリックと、安全保障ドクトリンにおける核兵器依存強化にとって換わられてしまっており、核兵器が使用される可能性は、この数十年の中で最も高いものになっています。」と警告した。
中満事務次官はさらに、「しかし、21世紀の新たな軍備管理・軍縮アプローチがどのようなものであれ、明確な点が一つあります。それは、NPTが依然として我々の集団的な安全保障メカニズムの中心に座っており、軍縮・不拡散・原子力の平和利用というNPTの三本柱を横断する『目的に即した』ものでなければならない、という点です。2020年の再検討会議は、これらの目標に向かって前進し、NPTという国際安全保障の要を今後25〜50年を通じて目標にかなうものにさせ続けるための『絶好の機会』を提供しているのです。」と語った。
ドイツのハイコ・マース外相は、それに続く議論で、「はっきりとものを言おうではないか」と前置きしたうえで、「この数十年にわたる軍縮の成功によって、私たちは自らをごまかしてはいけません。核兵器の削減は停滞しており、中距離核戦力(INF)全廃条約の失効によって、核の『再武装』の可能性が現実に生まれているのです。」と語った。
1987年のINF条約は、米国とソ連(現在のロシア連邦)に対して、射程500〜5500キロのすべての核兵器型および通常型の地上発射ミサイル(弾道及び巡航型を含む)を廃棄し永遠に製造しないことを義務付けていた。超大国が初めて、その核兵器を削減し、特定のカテゴリーの核兵器を完全に廃棄し、検証のための広範な現地査察を利用することに同意した条約であった。
国際原子力機関(IAEA)はNPTの当事者ではないが、NPTから派生する主要な検証措置の責任を委託されている。IAEAの天野之弥事務局長は、IAEAの成功を振り返って、NPT加盟国179カ国を含めた182カ国において核不拡散の保障措置が適用されていると語った。しかし、保障措置の下にある核物質と核施設は増え続けており、IAEA通常予算の削減圧力が強まっていることと相まって、大きな試練に直面している。

特にIAEAが直面している重大な問題は、イランと朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による核開発計画だ。天野事務局長は、「イランは『包括的共同行動計画』の下での義務を完全に履行し続けており、今後もそうしなければならなりません。他方で、IAEAは、北朝鮮の核開発を監視し、IAEAが利用可能なすべての検証措置関連情報を評価し続けます。IAEAは北朝鮮に査察官を戻す要請があれば、数週間以内で応えることができます。」と語った。
天野事務局長はまた、「広い意味でIAEAは、多くの部門を横断して核科学技術を利用可能とすることで、多くの人々の健康と繁栄に貢献してきました。原子力は、安定的なエネルギーの供給と地球温暖効果ガスの抑制という2つの難題に対応することを可能にします。核技術を適宜利用することで持続可能な開発目標(SDGs)の達成を支援することは、IAEAにとって重要な任務の一つです。」と語った。
つづく議論では、コートジボワールやドミニカ共和国といった非常任理事国が、核技術がもたらす利益について報告した。さらに、テロリストによる核兵器の取得、核分裂性物質生産禁止条約に関する協議を躓かせている軍縮機構の行き詰まり、中東非核兵器地帯創設の遅れといった問題に焦点があてられた。
一部の加盟国は、北朝鮮の核開発や、軍縮合意の停止といった問題によって悪化している安全保障環境の崩壊について触れた。
ロシアのバシリー・A・ネベンシア国連大使は、「普遍的に認められてきた規範を損なおうとする試みがなされており、すでに複雑化していた状況がより悪化しています。」と指摘したうえで、「2020年NPT再検討会議は政治的得点稼ぎのために利用されてはなりません。」と語った。
ネベンシア国連大使はまた、「ロシアは核戦力を85%以上削減してきたが、グローバルな安全保障環境に懸念を持っています。ミサイル防衛システムの配備、宇宙への兵器配備、単独の制裁を通じた他国の軍事能力抑制の試みといった米国の行いは、核兵器を削減するのに好ましい環境を作ってはいません。」と語った。
米国のアンドレア・リー・トムソン事務次官(軍備管理・国際安全保障担当)は、「2020年NPT再検討会議を人質に取るような対立を各国が避けるならば、会議で全会一致の合意を得ることは可能でしょう。」と語った。また、「核戦力を増強している国々の行動が、グローバルな安全保障環境の悪化に寄与していることを忘れるべきではありません。」と述べ、「米国は2020年NPT再検討会議で良い成果を追求することになるでしょう。」と語った。
中国の馬朝旭国連大使は、「NPT再検討プロセスは危機に瀕している。」と指摘した。また「核不拡散における単独行動主義と二重基準が存在し続けており、国際社会は、共通の未来という観念を保持し、連帯と協力を強化し、2020年再検討プロセスを統一された成果に向かって動かしていかねばならない。」と語った。そして、ロシアと米国に対して、「関連する核兵器関連協定の協議に復帰するべきだ。」と促した。また、「国際社会は、多国間主義を支持し保ち続けねばならない。」と語った。
フランスのジャン=イヴ・ル・ドリアン欧州・外務相は、「緊張状態と、エネルギーがますます世界中で必要とされている現状を考えるならば、NPTの重要性は以前よりも増している。」と語った。クウェートのアバ・カリド・アルハマド・アルサバー副首相は、この目的のために、多国間主義と国連憲章の原則が基本的なツールであり続けていると指摘した。
多くの加盟国が、核軍縮・核不拡散・原子力の平和利用の三本柱の間の戦略的なバランスを、すべての加盟国の利益を最大化する形で追求し続けることの必要性を強調した。
ポーランドのヤツェク・チャプトヴィチ外相は、三本柱の中で軍縮がもっとも成果を上げていないことに遺憾の意を示し、その点での取り組みは「せいぜいが『努力中』というにとどまってしまっている。」と付け加えた。非核兵器国の代表らは、この状況を変えるために、ある取り決めが法的拘束力のあるNPTを補完することになると語った。
インドネシアと南アフリカ共和国の代表らは、国連総会で2017年7月に採択された核兵器禁止条約の発効促進に向けて熱心に呼びかけた。
インドネシアのルトノ・レスタリ・プリアンサリ・マルスディ外相は、「核兵器の廃絶こそが世界的な大惨事を避ける唯一の保証となる。」と語った。マルスディ外相は、軍縮・不拡散・原子力の平和利用の三本柱への強い支持を表明する一方で、「軍縮に関する条項がもっとも履行されていない。」と懸念を示した。そして、「非核兵器国が核兵器を保有する権利を放棄したのだから、核保有国は軍縮を進めなければならない。」と訴えた。
マルスディ外相はまた、「諸大国には、大きな責任が伴います。」と指摘したうえで、核保有国に対して、「模範を示すべきだ」と促した。また、「2020年、NPT加盟諸国は、政治的意思を発揮し柔軟性のあるあらゆる努力を傾け、2015年再検討会議で最終合意を導けなかった失敗を繰り返してはなりません。」と語った。
マルスディ外相はさらに、「核兵器禁止条約の発効によって、NPT第6条に規定された核兵器完全廃絶の目的も前進することになるでしょう。人類の生存は、なによりも核兵器を廃絶する集団的な勇気を持ちうるかどうかにかかっていのです。」と語った。
南アフリカのジェリー・マシューズ・マトジラ国連大使は、「核不拡散条約において核軍縮の問題に対処する緊急性と真剣味が欠けていることに、きわめて不満だ。」と語った。

マトジラ国連大使はまた、「こうした状態は、NPTおよびその再検討プロセスをますます強い圧力の下に晒し、期待からはるかに外れるものとなっています。とりわけ核軍縮に関する目に見える進歩が、国際の平和と安全を達成・維持する上での大きな決定要因になるはずです。」と指摘した。
マトジラ大使はさらに、「南アフリカは、核兵器禁止条約の批准書を今年2月25日に寄託することで核軍縮に対する前向きな姿勢を明示しました。」と語った。それ以前に21カ国が既に核兵器禁止条約の批准を済ませており、マトジラ大使は、他国もその輪に加わるように訴えた。
南アフリカは、一時は独自の核兵器開発を推し進めたがその後核兵器を自ら廃棄し、この大量破壊兵器に対する急進的な反対国に転じるという、りっぱな模範を示してきた。(原文へ)(PDF版)
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【ニューヨークIDN=ショーン・ブキャナン】
世界各地で礼拝所を標的とした一連のヘイトクライムによる攻撃が仕掛けられる中、異文化間対話のためのフォーラムが5月2日に開かれ、「こうした卑劣な攻撃にはひとつのパターンがある。それは『他者』への憎悪であり、加害者らは、宗教コミュニティ全体を乗っ取り、宗教間の対立を煽っている。」と指摘された。
国連「文明の同盟」特別代表のミゲル・アンヘル・モラティノス氏は、アゼルバイジャンのバクーで開かれた第5回「文化間対話に関するグローバルフォーラム」(国連後援)で演説し、問題は決して信仰そのものにあるのではなく、「聖典の歪んだ解釈により信仰者を背後で操作し、互いに対立させようとする者たちの存在なのです。」と語った。
モラティノス氏はさらに、「長引く紛争とテロリズム、暴力的過激主義の不安定な結びつきは、国際社会にとって難題であり続けており、暴力的な過激主義者らは「私たちの社会を分断し、不安定の種をまき散らそうとしているのです。」と語った。

モラティノス氏は、第5回グローバルフォーラムのテーマである「差別・不平等・暴力的過激主義に対抗する対話から行動へ」はきわめて時宜を得たものであり、「フォーラムに集った人々は、最近発生している恐るべきテロ攻撃について間違いなく真剣な考察を加えていくことになるだろう。」と語った。
「私は今日、ある決意を持って皆さんの前に立っています。」とモラティノス氏は語った。同氏はその前日、スリランカのコロンボで日曜日の復活祭の最中にカトリック教会やホテルへのテロ攻撃によって犠牲になった250人以上の人々に対して哀悼の意を捧げて来たばかりだ、と説明した。
モラティノス氏は、「礼拝所を標的にしたヘイトクライムとテロ攻撃が頻発しています。」と指摘した上で、「これは、いかなる宗教、国、民族もこうした言語に絶する暴力から逃れられない事実を私たちに突き付けている。」との見方を示した。
モラティノス氏は、ユダヤ教の信者らがカリフォルニアのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で「過越の祭」の最終日に参加する中で攻撃されたこと、昨年には、ピッツバーグのシナゴーグで襲撃があったことを指摘した。これらの事件は、フィリピンの大聖堂への攻撃や、クライストチャーチ(ニュージーランド)でのモスク乱射事件といった、同様の暴力的事件が発生する中で起こったものだった。
SNSは『怒りを焚きつける』だけ
モラティノス氏によれば、SNSは「怒りの火に油を注ぐ」だけだという。これに、急進的な白人至上主義で極右的な人々が「歪んだイデオロギーを吐き出す」たまり場となる闇サイトが加わる。
モラティノス氏は、「暴力的過激主義を予防することと、持続可能な平和を実現することは、相互補完的な関係にあり、一方が強化されれば、もう一方も強化される目標です。」と指摘したうえで、「紛争と暴力的過激主義を予防する基本的なツールとして対話がいかに重要であるかは、いくら強調しても強調しきれません。」と語った。
モラティノス氏は、地域に根差した取り組みを通じて暴力的過激主義に対する対抗的な語りを提供したり、異文化•宗教間対話を促進し、SNSを積極的に利用してヘイトスピーチに対抗したりする若者の役割を強調して、「結局のところ、これらの若者たちは、将来にわたってのみならず、今日の私たちにとっても希望なのです。彼らの活動は、『暴力的過激主義を予防する行動計画』に従って安保理が委託した『若者・平和・安全保障』に関する最近の進捗報告で打ち出された勧告に対応したものです。」と語った。
排除の「余地なし」
ユネスコのナダ・アル=ナシフ事務局長補(人文・社会科学担当)は開会の挨拶で、異文化間対話と相互理解を促進する重要性を強調した。

文化間・文明間の効果的かつ効率的な対話を確立すべく10年前にアゼルバイジャンによって立ち上げられた「バクー・プロセス」について指摘したアル=ナシフ氏は、「これまで長い道のりをたどってきましたが、具体的な行動でもって継続性と新たなインパクトを生み出せるフォローアップが必要です。」と語った。
アル=ナシフ氏はまた、憎しみや不寛容、無知を蔓延させる分断の力が新たに生まれていると指摘したうえで、「文化の多様性が排外主義的なポピュリズムの圧力によって危機にさらされている時代にあって、世界は近年最悪の難民・避難民の危機に直面しています。また、個人やコミュニティをうまくつなげる能力を持った新技術が濫用され、分断と無理解の種がまかれています。」と語った。
アル=ナシフ氏はさらに、「深く、時として予測不能な変化を遂げつつある社会において包摂と連帯を強化する緊急の必要がある」と強調したうえで、「『持続可能な開発のための2030アジェンダ』を前進させるために必要な革新を媒介するうえでも若者たちの役割は重要です。」と語った。
「今日国際社会が直面している諸課題は複雑であり、国境は問題を解決するうえで意味をなしません。従って、問題解決の手段として単独主義や排除がまかりとおる余地はないのです。」
目標とすべきは、「人権と相互尊重を基礎にした変化を受け入れること、そしてそれを前向きな方向へと導き、すべての人にとってより公正で包摂的で持続可能な未来を作ることです。」
「そのためには対話がカギを握ることになります。」つまり、「人間の心に平和の砦を築くというユネスコの任務の中心に据えられている理念もまさに対話に他なりません。」と、アル=ナシフ氏は語った。
アル=ナシフ氏はまた、教育こそが「偏見を打ち砕き、無知や無関心と闘うことで暴力的過激主義につながるプロセスを壊す最も効果的な方法であり、多様性こそが、包摂的で持続可能な社会を実現するために鍵となる資源です。」と指摘したうえで、ユネスコは人権としての教育を弛みなく保護していくと強調した。
バクーの「前向きなプラットフォーム」プロセス
アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は、バクー・プロセスについて、「文化間対話に関する国際社会の関心に焦点を当てた、『正しい決定を下すための望ましく前向きなプラットフォーム』である。」と説明した。
アリエフ大統領はさらに、バクー・プロセスは欧州と世界のその他の地域との間における「最も重要な動きのひとつ」であり、「文化、宗教、政治、経済、安全保障問題に関してさらなる対話が必要です。」と語った。
イスラム協力機構のユーセフ・アル=オサイミーン事務局長は、今日の世界にはあらゆる種類の差別があふれていると嘆いた。
アル=オサイミーン事務局長は、「テロリズムには、宗教も民族も国籍もありません。」と指摘したうえで、文化間の対話が「絶対に必要だ」と呼びかけた。

欧州評議会のガブリエラ・バッタイニ=ドラゴーニ事務次長は、平等な権利とすべての人々の尊重を基礎にした包摂的な社会の実現には、理解が必要だと語った。
ドラゴーニ事務次長は、「文化間対話の促進は一過性の出来事ではなく、終わりのない挑戦であり、それには、不安を和らげ、無知を振り払う教育が必要です。さらに、相互に安心感を与えて協力することで、諸政府は政治的意志を基盤とした社会的包摂に道を開くことができます。」と語った。
イスラム教育科学文化機構のアブドゥラジア・オスマン・アルトワイジリ事務局長は、文化間対話を成功させる政治的意志の必要性について熱く語った。
アルトワイジリ事務局長は、「政治的意思なしには過激主義の高揚と闘うことはできません。」と指摘したうえで、この点で進展をもたらしていない、超大国から国連安保理に到る、世界の意思決定者らを厳しく批判した。(原文へ)
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【ニューヨークIDN=サントー・D・バネルジー】
中東非大量破壊兵器地帯(WMDFZ)と中東非核兵器地帯(NWFZ)の創設に関する会議(=中東会議)は、2018年12月の国連総会第一委員会がある決定を下すまでは忘れ去られていたようだ。その決定とは、世界で最も不安定な地域の一つである中東において、核拡散のリスクに対処する国際会議の「招集を国連事務総長に委託する」というものであった。
1995年核不拡散条約(NPT)再検討会議で、NPTの無期限延長を定めた一連の決定事項の一部として、「大量破壊兵器、すなわち、核兵器、化学兵器、生物兵器、並びに、それらの運搬手段を効果的に検証可能な形で中東から廃絶した地帯を創設すること」が要請されていたという事実に、この国連総会第一委員会決議の重要性が表れている。

1990年にエジプトが初めて提案した中東WMDFZは、この地域にNWFZの創立を提案する長い歴史の中で出てきたものだ。同時追求が目指されたこれら2つの提案には、国際社会の幅広い支持があるものの、実際にはほとんど進展してこなかった。
2018年12月22日、国連総会第一委員会は、アルジェリア、バーレーン、コモロ諸島、ジブチ、(国連加盟メンバーであるアラブ連盟を代表した)エジプト、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、モーリタニア、モロッコ、オマーン、カタール、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、チュニジア、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメン、パレスチナの修正案に対する採決を行った。
軍縮・国際安全保障委員会(DISEC)とも呼ばれている国連総会第一委員会は、国連事務総長に対して、「核兵器およびその他大量破壊兵器のない地帯を法的拘束力のある形で中東に創設する協議がまとまるまで」、国連本部において毎年1週間の会議を開くよう要請した。さらに、この点に関する進展を国連総会に毎年報告するよう求めた。
イスラエル・ミクロネシア・米国は決議に反対し、71カ国が棄権した。
中東のWMDFZおよびNWFZ構想が実現可能なのか、単なる幻想に終わるのかは、まだわからない。
中東会議招集の前提条件として、次のようなものが付された。▽1995年NPT再検討会議で採択された中東決議を参照すべきかどうか、▽中東諸国家の自由意思によってなされた取り決めを基礎に、中東にWMDFZおよびNWFZを法的拘束力のある形で創設する協議をまとめることを目指すべきかどうか、▽この会議でなされる全ての決定は、中東のすべての国家の全会一致によるべきかどうか。
会議はさらに、1995年NPT再検討会議での中東決議の共同提出国でありNPTの寄託国でもある米国・ロシア・英国の特別な責任を確認し、1995年、2000年、2010年の各NPT再検討会議の最終合意に従って関連する義務を果たすよう、この3カ国に呼びかけた。
国連総会第一委員会決議はまた、国際原子力機関(IAEA)、化学兵器禁止条約機構(OPCW)、生物兵器禁止条約履行支援ユニットに対して、会議開催に必要な基礎的文書を準備するよう要請した。
IAEAの天野之弥事務局長は、4月2日の安保理に対するブリーフィングで、「中東会議のために、同会議のファシリテーターに対して基礎的文書をIAEAとして2012年に提出しています。」と語った。報告書では、IAEAが行ってきた活動と、中東非核兵器地帯の態様に関して得られた経験について記されている。

天野事務局長はまた、「IAEAは、加盟国から要請があれば、検証の履行に関する経験を共有することで核軍縮における役割を果たす用意があります。」と語った。
ロシア外務省は、今回の国連総会第一委員会決議は「論理的かつバランスの取れたもの」であり、「中東諸国の利益を満たしたもの」であると評した。ロシアは、以前からの合意(①会議が全ての中東諸国に開放されており、参加は各国の自発的な判断によるものであること、②中東諸国の自由な対話を通じて、そして全会一致の原則によってのみ合意がなされるという了解、③意図的な期限の設定を慎むこと)に沿って交渉を進める重要性を強調した。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の新たな報告書が指摘するように、中東非核兵器地帯創設に向けた国際的な取り組みには40年の歴史がある。いわゆる1995年NPT再検討会議における中東決議によって、中東に非WMD地帯を創設するというより大きな目標がNPT再検討プロセスの一環となった。
1月に出されたSIPRI報告書の著者ティッティ・エラスト氏は、「非WMD地帯提案をめぐって諸国を長らく分断してきた主要な問題は、それを、より安定的かつ安全な中東を『実現する手段』と見るか、それとも、中東の安全保障環境『改善の帰結』と見るかという点にあります。」と指摘した。
エラスト氏はまた、「協議の順番を解決する方法は容易ではありませんが、中東非WMD地帯を推進するさらなる取り組みには、両方の視点が必要です。」と語った。SIPRI報告書は、「どちらのアプローチも、中東決議をめぐる対立が2020年のNPT再検討会議で出てくることは妨げられないが、中東の軍備管理・軍縮の目標を促進し、長期的にはNPTを強化する可能性を、そのどちらもが秘めている。」と指摘している。
SIPRI報告書はさらに、「他の中東諸国が、イスラエルからの相互的な措置を待たずに、建設的な軍備管理対話を開始し、あるいは、軍備管理に関する自らの公約を強化すべく突き進もうとするのなら、非WMD地帯への舞台を設定する大きな進展を得ることができるかもしれない。」と述べ、中東唯一の核保有国を除いて非WMD地帯を創設するという第一のアプローチの方が比較的実行が容易、と指摘している。
エラスト氏は、「そうしたアプローチは、国連の支援による中東会議の実施を呼びかけた国連総会第一委員会決議によって、新たな政治的推進力を得ています。」と指摘したうえで、「アラブ諸国やイランによる本気度が、このプロセスを維持するのに十分なものであれば、この計画は成功する可能性があります。」と語った。
3つの寄託国(米国・英国・ロシア)すべてからの支持があれば、イスラエル参加の可能性が増し、NPTにおける中東決議の不履行をめぐる緊張の安全弁として機能するかもしれない。
軍備管理協会「不拡散政策プログラム」の責任者ケルジー・ダベンポート氏が指摘するように、中東のWMDFZやNWFZに対して国際的な支持があり、中東のすべての国々によるものも含め、数々の決議が採択されているにも関わらず、非核・非大量破壊兵器地帯創設に向けたステップの条件や順番を巡る諸国の対立により、実際的な進展が妨げられてきた。
イスラエルは、中東に存在する脅威や安全保障上の懸念に関する認識の違いを反映して、WMDFZ創設に関する議論を、まずは中東地域に包括的平和が実現し、中東諸国が国際責務を遵守する環境が整っていることが前提条件とする問題と結びつけている。アラブ諸国はこれに対して、そのような結び付け方をするべきではなく、むしろWMDFZを創設することが、平和的関係の構築に資すると論じている。
加えて、将来的なWMDFZによって、1995年NPT再検討会議の中東決議にあるように、核兵器および化学・生物兵器の保有・取得・実験・製造・使用のみならず、その運搬手段をも禁じられることになる。
何がこれらの非通常兵器を構成するかという定義は、核兵器、化学兵器、生物兵器に関する国際諸条約や、1948年の「通常軍備に関する国連委員会」決議に含まれている。この地帯の下で禁じられることになる運搬手段の規制に関しても、共通の了解が必要となるだろう。(原文へ)
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中央アジアのカザフスタン南部のアルマトイ県。アルマトイから西に約100キロの位置にデゲレス村がある。2019年5月1日、この村の創立100周年のイベントに、数少ない外国人として参加し、祭りの様子を映像に収録した。
On May 1, I was cordially invited to join a village festival at Degeres, about 100 km west from Almaty, Kazakhstan where local villagers cerebrated the 100th anniversary of the foundation of the village. We were among a very few foreigners joining their festival and experienced a genuine Kazakh hospitality.
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【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】
キリスト教徒が約7割を占めるガーナで審議されているLGBTQコミュニティに厳しい罰則を科すであろう法案(正式名:適切な人間の性的権利とガーナの家族の価値観の促進)について、英国国教会のカンタベリー大主教が「深刻な懸念」を表明した。法案が可決されれば、LGBTQは投獄(最高懲役十年)か、「(性的志向を変える)転向療法」を強制されることになる。大主教は、「私たちは教会の世界的な家族ですが、教会の使命はすべての文化と国で同じです。その行動と言葉を通して、イエス・キリストを通してすべての人間に無条件の愛を神が提供することを示すことである」と述べ、LGBTQコミュニティーの権利を侵害することになる法案を非難した。(原文へ)
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【アト・バシIDN=カリンガ・セレヴィラトネ】
INPSと中央アジア大学の共同プロジェクト:中央アジアのキルギスから、地域住民の生活に欠かせない市場の取材を通じて、中国が新たに整備した新シルクロードのインパクトや変わりゆく人々の営みを紹介した記事。(原文へ)
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【スーサミール(キルギス)IDN=カリンガ・セレヴィラトネ】
中国が最近再整備した新しいシルクロードを旅するには、もう夏が近づくというのに雪に覆われた険しい山を車で登っていかねばならない。キルギスの首都ビシケクから続く道は、4000メートルの頂に上った後、美しい谷へと向かって1500メートル以上も下り、この国でもっとも辺鄙なところにある村へと至る。ここには、住民が伝統的に遊牧生活を送ってきた人口約1300人のスーサミール村がある。
一部の熱心な若いボランティアたちによって運営されているコミュニティー・ラジオのプロジェクトは、ブロードバンド時代のラジオに新しい意味合いを与えつつある。この旧来型のメディアが、この辺鄙な地域を世界につなげることによって、地域を解放しつつあるのだ。スーサミールFM103のディレクターを務めるアイザダ・カルカンベコワさんは、「リスナーのほとんどは山間部に住んでいます。そこには電気はなく、このラジオがあるだけです。彼らは我々からニュースを得て、音楽のリクエストをし、放送時間を長くすることを希望しています。」と語った。
ラジオ局に集っている地元の10代のボランティアたちに対して、こんな辺鄙な場所に住んでいることをどう思うかと尋ねてみたところ、「ラジオのおかげで外の世界とつながることができています。」との答えがすぐさま返ってきた。

「人々は仕事中もラジオをつけます。夏季に畑で作業するときもラジオを楽しみ、学びを得るのです。私たちは、ニュースや情報、音楽で、彼らを世界とつなげています。」と、このラジオ局でボランティアをしている16才のインダスベコワ・アイテンギールさんは語った。アイテンギールさんは、ラジオの経験を活かして大学に進み、英語の通訳になりたいと考えている。彼女のリスナーたちをもっと世界に対して開くことができるかもしれないからだ。
そのクラスメートで、ソフトウェアの開発者になりたいウンスナイ・アチコワさんは、「ここにいる人たちはほとんど親戚で、互いに支えあって生きています。キルギスの他の場所とちがって、ここの人々は、自分たちを助けてくれないと言って政府を非難することもありません。」と語った。
「声なき者のための声」という原則を適用して、欧州からの資金援助や訓練によってコミュニティラジオが設立されたアジアの多くの国々で、政府がコミュニティラジオを反対勢力とみなし、それに敵対したり、少なくとも非協力的な態度を取ったりしていることは、興味深い現象だ。
しかし、スーサミールFM103コミュニティラジオは別の道を辿っている。自治体と協力して隔週の地域ニュースレターを発行しようかというところまで来ている。ニュースレターには、自治体が提供したニュースや、ラジオ局が制作した独立の地域ニュースが掲載される予定だ。
スーサミールの冬は、一面が雪に覆われる厳しいものだ。しかし、夏が来ると谷全体が高く生い茂った青々とした草で覆われ、キルギス有数の放牧地になる。遊牧民からも人気の土地だ。この場所は、静かな所で山の新鮮な空気を楽しみたい登山家や旅行者にとっても人気の場所になりつつある。冬の間の深い雪もまた、近くの斜面にスキーリゾートを作ろうしているキルギス企業の注目を集めている。

3人の子の母親であり大卒でもあるラジオ・ディレクターのアイザダさんはIDNの取材に対して、「ラジオ局は2011年にほとんど何の資産もなしに始まりました。」と語った。アイザダさんは自らが代表と務めるNGO「アイジャリク」を設立し、欧州連合からの資金を使って、「インターニューズ」が彼女らを訓練し、コミュニティラジオの発足にこぎつけた。
アイザダさんは、「当時は、コミュニティラジオがどんなものかさえわかっていませんでした。免許を取得するも2年かかりました。」と語った。しかしその時までには彼女のNGOの資金は尽き、送信器やスタジオ機材など2万ドル分を購入する資金は自前で調達しなくてはならなかった。
「そのころ、国連開発計画(UNDP)がこの近辺で牧草地に関するプロジェクトを始めていて、ラジオを使ってプロジェクトの宣伝をしないかと持ちかけたのです。それで機材を買い、2011年12月、訓練を受けてきた5人のボランティアで放送を始めました。」アイザダさんは語った。
スーサミール谷はキルギス最大の牧草地である。ソ連時代はよく利用されていたが、ソ連崩壊に伴い関連インフラが著しく劣化した。スーサミール地域の牧草地では2万8000頭の家畜を飼うことができる。プロジェクトのおかげで、別の3万ヘクタール分の牧草地への道が拓け、山間地の道路51キロが整備され、排水渠56か所が復旧した。

「私たちは開発プロジェクトに関する広報の役割を果たしました。」とアイザラさんは振り返った。「老人がラジオ局にやってきて、牧草を育てるにあたって自分たちが何をやってきたかを説明します。(UNDPが設立した)牧草委員会がやってきて、委員が自分たちの活動について話します。」牧草を育てていた人たちは最初、新しいサービスを利用するためになぜ委員会にお金を払わなくてはいけないのかと疑問に思っていたようだ。しかし、ラジオがその理由を説明し、その必要性を議論する主要な役割を果たしたのです。
今日、アイザダさんはどこからの資金にも頼らずにラジオ局を運営し、自分自身は「キルギス地域メディア協会」でのトレーナーの仕事で自活している。ドイツの「DWアカデミー」での訓練経験を生かしたものだ。この仕事のために彼女は首都ビシケクに定期的に出かけるが、片道4時間かかる。「ラジオ局運営のために給料はもらっていません。完全にボランティアです。」とアイザダさんは語った。
ラジオ放送は毎日3時半から7時まで、11人のボランティアが運営している。うち7人は学校の生徒だ。また、地元のイスラム指導者や村の病院の医者を迎えた番組も放送している。その医者は、15才のボランティア、サリムサコワ・グルザールさんが制作する健康番組に登場している。また、そのイスラム指導者は毎週、30分枠の番組を担当しており、イスラムの教えについて語ったり、時には警察官を招いて、過激主義について議論したりすることもある。「政府もそれを望んでいるのです。」とアイザダさんは語った。
若いボランティアたちのチームは、近くの5つの村からニュース番組を制作し、最近では、ニュースを投稿するウェブサイトも開設した。彼らが取材に行くときには一人が記事と共にウェブサイトに投稿する写真撮影を担当している。「キルギスと世界の人々が私たちのニュースが読めるようになりました。」と、ウェブサイト作成を担当したアナルベク・カルディコフさんは語った。彼らのフェイスブックは約700、インスタグラムには約670人のフォロワーがいる。
彼らが手掛けた最近のニュースに、学校が洪水にみまわれた写真を添付して投稿したものがあったが、これはすぐに地元自治体の関心を呼び、問題解決につながった。
アイザダさんは、「自治体と提携してニュースレターを制作することで、制作資金を自治体から獲得でき、ラジオ局の経済基盤を固められます。ラジオ局ではすでに、地元議会の審議を録音してラジオで放送しています。何が話しあわれているか分かるようになり、議員たちもよく準備して審議に臨むようになりました。ラジオ放送のお蔭で、(地方レベルでの)ガバナンスも良くなってきたと地元の人たちも指摘しています。」と語った。
アイザダさんはさらに、「このラジオ局では、若いボランティアたちが、ときおり『街頭インタビュー』で地域住民が抱いている懸念を報じています。」と指摘したうえで、「自治体は私たちをよく支援してくれています。たとえ地元の人々からラジオで批判されたとしても、彼らはいつもインタビューに応じてくれます。」と語った。「街頭インタビューを行うことで、私たちは一般の人たちと自治体の橋渡しをしているのです。私たちは親戚なのだから、争うわけにはいかないのです。」とサリムサコワさんは語った。

もっとも人気のある番組は、山間部の住民らが電話やWhatsAppで歌やニュースをリクエストする夕方のバラエティ番組だ。ボランティアになぜ高齢の人がいないのかという問いに対してアイザダさんは、「キルギスの文化では、高齢の人はボランティアをしません。彼らにはそれが理解できないのです。若い人に向かって『なぜ金ももらえないのに放送なんかするのか。』と尋ねてくるくらいです。」と語った。
ラジオ放送に携わる若いボランティアたちは大きな志を持っている。ラジオ局設立時に関わったスタッフの一人は大学に進み、現在は首都のビシケクでジャーナリストをしている。週末を利用して帰郷していたジェイルさんは、IDNの取材に対して、「彼女(アイザダ)がジャーナリズムの道に誘ってくれました。今は議会で報道官として働いています。」と語った。
「ここでボランティアをすることで自信がついてきています。私の場合、以前よりもうまく話せるようになりました。かつては引っ込み思案だったけど、自分の意見を言えるようになりました。」とインダスベコワさんは語った。(原文へ)PDF
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This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.
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