アフリカにおけるデジタルエコノミーの動向を分析した記事。国際連合貿易開発会議(UNCTD)によると2017年現在アフリカのオンライン買物客は2100万人(その半数がナイジェリア、南アフリカ共和国、ケニアが占める)。これは、アフリカの全人口に占める割合としては依然小さいが2014年以来毎年18%の伸びを示しており、世界平均6%を大幅に上回っている。今年7月に運用が開始されるアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)がデジタルエコノミーを大きく伸ばす契機となるだろう。(原文へ)
米国のイラン核合意離脱に困惑する関係諸国
【イスタンブールIDN=バーンハード・シェル】
イランは、正式には「包括的共同行動計画」(JCPOA)として知られる核合意に伴うウラン濃縮について、今後は制限を順守しないと発表したことで、バッシングを受ける事態となっている。この宣言によって、イランの行動・意図や核合意の将来に対する疑念が出てきた。
「これらの問題を最もよく理解するには、イランが核活動を平和目的に限ると約束したJCPOAの構造を見る必要があります。」と指摘するのは、「核脅威イニシアチブ」(NTI)のアーネスト・J・モニツ共同議長兼CEOである。
モニツ氏は「Q&A」の中で「第一に、イランの核活動には、一部には時限的な、一部には恒久的な制限が課されています。第二に、これがより重要な点だが、イランは他に類のない権限を認められた国際査察官が監視する独自の包括的な検証体制の下に置かれています。」と解説している。

モニツ氏は、イランの今回の発表がカセム・ソレイマニ司令官殺害への反応だとする一般的な見方を否定した。「タイミングはソレイマニ司令官の殺害と偶然に一致したものです。米国がJCPOAから一方的に離脱してからちょうど一年経過した2019年5月には、ハサン・ロウハニ大統領が、イランは一部の約束からの逸脱措置を開始し、その他のJCPOA参加国が制裁解除を実行しない限り、60日毎に追加の核合意逸脱措置を実行していくと発表しました。」
モニツ氏はさらに、「イランは、欧州3カ国(フランス・ドイツ・英国)と欧州連合がその後とった一連の措置は『不十分』だと考えています。イランの『5回目かつ最終』の発表は予想通り1月5日になされました。」と語った。
国際社会に対して、「イラン核問題に対処するための外交努力を再活性化すべき。」と訴えているモニツ氏は、「英国・フランス・ドイツが『紛争解決メカニズム』を発動させたことは、この目的にかなうものとなるかもしれない。しかし、これは危険な賭けだ。」と語った。
他のイラン専門家も同様の見方だ。「イラン核合意の紛争解決メカニズムを発動したことで、英国・フランス・ドイツはイランを交渉のテーブルに引き戻そうとしている。しかし、かえって事態を悪化させる可能性もある。」と、コラムニストでイラン・中東問題に関する外交政策アナリストのサヘブ・サデギ氏がフォーリン・ポリシー誌への寄稿文の中で述べている。
モニツ氏は、「米国は、少なくとも、欧州の同盟国やロシア・中国と協力して、イランがこれ以上核活動を拡大しないよう圧力をかけていく必要があるだろう。JCPOAが今後どうなるかは別として、合意の中核的な要素(①相当な長期にわたってイランの核燃料サイクルに明確な制約を課していること、②最高レベルの国際的監視・検証体制をこれに組み合わせていること)は、将来の取決の重要な基盤であり続けなければなりません。」と語った。
EUのジョセップ・ボレル外相は、別の重要な側面を強調して、「欧州は、もしこの合意を延命させようとするのならば、イランがそこから利益を引き出せるようにしなくてはなりません。」と語った。さらには、2月8日発行の『プロジェクト・シンジケート』紙に寄せた記事の中で「もしイラン核合意を存続させたいのならば、イランが合意の完全順守に復帰すれば同国の利益になるようにしなくてはなりません。」と述べている。
スペイン社会労働党出身のボレル氏は1月、フランス・英国・ドイツの3カ国から、紛争解決メカニズムを発動させたとの通告を受けた。ボレル氏は、「EUは核合意に関する紛争解決までの時限を無期限に延期し、国連安保理にこの問題を付託したり新たな制裁を発動したりすることを回避する。」と語った。
「問題の複雑さゆえに、もっと多くの時間が必要だという合意がある。したがって、期限は延長した。」とボレル氏は1月24日の声明で述べている。
ロウハニ大統領は2月3日のボレル氏との会談で、米国が核合意から離脱し対イラン制裁を再開した際、EUが合意を尊重しなかったことを批判した。ロウハニ大統領は一方で、「イラン・イスラム共和国は、今でも問題解決に向けて欧州連合と協力をする用意があり、EUが約束を完全順守するならば、イランは合意に復帰するであろう。」とも述べている。
2019年5月、イランは、米国の合意離脱と、欧州連合がイラン経済を制裁から守るための行動をとらなかったことへの対応として、2か月毎に核合意からの段階的な逸脱措置を開始した。
アンナ・ザウアーブリー氏は2月10日付の『ニューヨーク・タイムズ』紙への意見記事のなかで、ドイツ・フランス・英国が2019年1月に設置した「貿易取引支援機関」(INSTEX)は「米国からの戦略的自立を目指す欧州の必死の努力が不毛であることを示す最たる例の1つだ。」と述べている。
ドナルド・トランプ大統領が2018年5月にJCPOAから離脱して以来、「欧州諸国は適切に対応すべく苦慮を重ねてきた。」しかし、結局その努力は無駄であった。なぜなら、米国が発動した二次制裁がもたらした多大な影響力は、米国市場とドルの力、さらには「金融取引システムを法的・実質的に支配できる米国の能力」に裏打ちされたものだったからである。
ザウアーブリー氏は、中東問題を専門とする政治・経済コンサルタント会社「オリエント・マターズ」(ベルリン)の経営者で外交政策専門家のデイビッド・ジャリルバンド氏の言葉を引用して、「あるレベルでは、ほとんどすべての企業が米国と何らかのつながりがある。」と語った。

ある企業が米国市場で活動していないとしても、もし取引先の銀行や保険会社、あるいはその保険会社を支えている再保険会社は米国で活動していることだろう。「結果として、米国で活動していない企業であっても、影響を受けることになる。」
ザウアーブリー氏はまた、「つまり、国際関係において『戦略的自立』を得たい欧州にとってカギを握るのは、独立した金融取引を行う能力を得ることです。」と語った。
イランは声明の中で、「核合意の範疇に留まる」とする一方で、核合意での約束から「部分的に」逸脱する措置をとっていることを明らかにした。イランは、そうした措置を元に戻すこともできる、としている。イランは、核活動を通じて得た経験を「元に戻す」ことはできないにしても、関連機器を撤去・解体したり、核物質を移出或いは希釈したりすることは可能だ。
前出のモニツ氏は、「イランはこれまでのところ、核合意に伴う主な要素は順守しています。すなわち、核兵器開発に必要な特定の非核活動に関するものも含めて、厳格な検証・監視措置に従っています。もしイランが核合意の『破棄』あるいは核兵器製造に走ることがあるとすれば、検証体制によってその初期の兆候を捉えることが可能です。」と語った。
イランで日々活動に従事している国際原子力機関(IAEA)の査察官からの報告によれば、イランは濃縮レベルを高めてはいるが極めて限定的である。ただ、より高性能の遠心分離機で作業を拡張している。とはいうものの、IAEAが引き続きイラン国内に留まっていることから、イランが既知のあらゆる核関連施設と物質を動員することになる核開発までの「最悪のケース」は、この国連の核監視機関に発見されることなくして起こり得ないとみられている。
モニツ氏は、「核兵器の製造に利用可能なプルトニウムに関して、イランはプルトニウムの分離を禁止した核合意の制限を順守しているほか、中国・英国と協力して、兵器用プルトニウムを製造できないようにするために新型研究炉の設計を変更しています。」と断言した。
モニツ氏はまた、「イランが核合意以前に建設していた原子炉には、年間1発ないし2発の核爆弾を製造できるプルトニウムを生産する能力がありましたが、JCPOAの発効によりその後原子炉の一部は解体されています。」と強調した。(原文へ)
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仏教指導者が核兵器なき安全保障の実現を呼びかける
【ベルリン/東京IDN=ラメシュ・ジャウラ】
核軍縮支持者で著名な仏教哲学者が、「誰もが尊厳をもって安心して生きられる持続可能な地球社会を築く」ための4つの重要なイニシアチブを提言した。イニシアチブは以下の主要項目(①核兵器禁止条約に対する支持構築、②多国間の核軍縮交渉、③気候変動と防災、④戦争や自然災害などによって日常を奪われた子どもたちの教育)を網羅している。
これらのイニシアチブは、創価学会インタナショナル(SGI)の池田大作会長による2020年平和提言に詳述されている。「人類共生の時代へ 建設の鼓動」と題する今年の平和提言は、池田会長が1983年に平和提言の発表を始めてから38回目にあたるもので、原文の日本語版は、創価学会の創立90周年とSGI発足45周年を記念して1月26日に発表された。
池田会長は広島と長崎への原爆投下から75年にあたる2020年に核兵器禁止条約を発効させることを強く訴えている。「これにより、2020年を人類が核時代と決別する出発年としていきたい。」と池田会長は述べている。

核兵器禁止条約は、2017年7月の採択以来、これまで80カ国が署名し、35カ国が批准を終えている。条約発効に必要な50カ国の批准を実現するには、あと15カ国がこれまでより早いペースで署名と批准を行わなければならない。
池田会長は、条約の発効を受けて、ヒバクシャや市民社会が参加する「核なき世界を選択する民衆フォーラム」を広島か長崎で開催するよう提案している。
池田会長は、フォーラムで協議する主要テーマは「生命に対する権利」とし、国際人権法の観点から核兵器の非人道性を浮き彫りにする議論を深めていってはどうか、と述べている。そして、このフォーラムを、「核兵器の禁止によって築きたい世界の姿について、互いの思いを分かち合う場」にしていくことを提案している。
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営団体の1つであるノルウェー・ピープルズエイドの昨年の報告書によると、核兵器禁止条約を支持する国々は135カ国にのぼっている。さらに、核保有国や核依存国の自治体の間でも、条約への支持を表明する動きが広がっている。
多国間交渉
池田会長が具体的な提案を行っている2つ目の項目は、核軍縮を本格的に進めるための方策についてである。池田会長はとりわけ、4月27日から5月22日にかけてニューヨークの国連本部で行われる核不拡散条約(NPT)再検討会議で、2つの合意を最終文書に盛り込むことを呼びかけている。

その一つ目は、「多国間の核軍縮交渉の開始」に関する合意で、2つ目は、「AI(人工知能)等の新技術と核兵器の問題を巡る協議」に関する合意である。
池田会長は、米ロ間の新戦略兵器削減条約(新START)の延長を確保したうえで、多国間の軍縮交渉の道を開くことが肝要と考えている。
新STARTは2021年2月に期限を迎えるが、現在協議は難航している。もし中距離核戦力(INF)全廃条約に続いて新STARTの枠組みまで失われることになれば、およそ半世紀ぶりに両国が核戦力の運用において相互の制約を一切受けない状態が生じることになる。「この空白状態によって、核軍拡競争が再燃する恐れがあります。」と池田会長は警告している。
さらに、この空白状態は、今後小型の核弾頭や超音速兵器の開発が加速することで、局地的な攻撃において核兵器を使用することの検討が現実味を帯びかねない。ゆえに、新SATRTの5年延長を確保することがまずもって必要となる。
池田会長はこうした考えを念頭に、NPT再検討会議での議論を通じて、核兵器の近代化に対するモラトリアム(自発的停止)の流れを生み出すよう提案している。「各加盟国は、次回の2025年の再検討会議までに、多国間核軍縮交渉を開始するとの合意を図るべきではないでしょうか。」と池田会長は述べ、以下の試案を提示している。
「新STARTの5年延長を土台にしたうえで、米国、ロシア、英国、フランス、中国の5カ国による新たな核軍縮条約作りを目指し、まずは核軍縮の検証体制に関する対話に着手する。」

そして、これまで米国とロシアが実際に行ってきた検証での経験や、核兵器国と非核兵器国25カ国が参加して5年前から継続的に行われてきた「核軍縮検証のための国際パートナーシップ(IPMDV)」での議論も踏まえながら、国連常任理事国5カ国(英国、フランス、中国を含む)が核軍縮を実施するための課題について議論を進めていく、というものである。
「こうした対話を通じて得られた信頼醸成を追い風にして、核兵器の削減数についての交渉を本格的に開始することが望ましいのではないかと思います。」
多国間の核軍縮の機運を高めるために、池田会長は、冷戦終結の道を開く後押しとなった「共通の安全保障」の精神を顧みるよう提案している。
「共通の安全保障」は、核抑止が失敗した場合に引き起こされる大量破壊に対する反応として、欧州の政治指導者らの考え方や政策から生まれたもので、東欧諸国との和解政策を推進した西ドイツのヴィリー・ブラント首相と彼の政策が例として挙げられる。
1985年の歴史的な米ソ首脳会談では、ミハイル・ゴルバチョフ書記長とロナルド・レーガン大統領は、「核戦争に勝者はなく、また、核戦争は決して戦われてはならない。」という点で意見の一致を見た。
2018年5月にアントニオ・グテーレス国連事務総長が発表した軍縮アジェンダは、「人類を救うための軍縮」を呼びかけている。作成に携わった国連の中満泉軍縮担当上級代表は、その発表翌日に行ったスピーチで、軍縮と安全保障との関係について、以下のように述べている。

「軍縮は、国際平和と安全保障の原動力であり、国家の安全保障を確保するための有用な手段である。…軍縮はユートピア的な理想ではなく、紛争を予防し、いついかなる時、場所であれ、紛争が起こった際に、その影響を緩和するための具体的な追求である。」
池田会長はまた、「こうした互いが勝者となるウィンウィンの関係を基盤として、今こそ、NPT第6条が求める核軍縮の誠実な履行を力強く推進していくべきです。」と述べている。
NPT第6条は各締約国に対して「核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うこと」を義務付けている。
池田会長は2020年NPT再検討会議で、核関連システムに対するサイバー攻撃や、核兵器の運用におけるAI導入の危険性に関する合意を目指すよう求めている。同会議が「これらの危険性に対する共通の認識を深め、禁止のルール作りのための協議を開始することが望ましい。」と池田会長は述べている。
そのような禁止のルール作りの必要性は、「サイバー攻撃は…核兵器の指揮統制だけでなく、早期警戒、通信、運搬など多岐にわたるシステムに危険が及ぶ恐れがある。最悪の場合、核兵器の発射や爆発を引き起こす事態を招きかねない。」という事実によって明確に示されている。
気候変動と防災
気候変動は、「人類の命運を握る根本課題」である、と池田会長は述べている。気候変動の影響は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の取組みを土台から崩しかねないものとなっている。「青年たちの現実変革への思いが、不屈の楽観主義と相まった時の可能性は計り知れないものがあると思えてなりません。」

池田会長は、この観点から、2030年に向けてユース気候サミットを毎年開催するよう提案するとともに、気候変動の問題に関わる意思決定への青年の参画を主流化させるための安保理決議を採択するよう呼びかけている。
「気候変動を巡って取り組みが迫られているのは、温室効果ガスの削減だけではありません。異常気象になる被害の拡大を防止するための対応が待ったなしとなっています。先月(2019年12月)マドリードで行われた気候変動枠組条約の第25回締約国会合(COP25)でも、この2つの課題を中心に討議が進められました。」と池田会長は述べている。
池田会長は気候変動と防災に関するテーマに特に焦点を当てた国連の会合を日本で行うことを提唱している。世界の人口の4割は海岸線から100キロ以内に住んでおり、その地域では気候変動の影響によるリスクが高まっている。日本でも人口の多くが沿岸地域で暮らしている。
これを踏まえて、池田会長は「中国や韓国をはじめ、アジアの沿岸地域の自治体と、気候変動と防災という共通課題を巡って互いの経験から学び、災害リスクを軽減するための相乗効果をアジア全体で生み出していくべき」と、考えている。
2020年は、北京行動綱領が採択されて25周年にあたる。第4回世界女性会議で発表された同行動綱領は、ジェンダー平等の指針を明確に打ち出している。そこにはこう記されている。
「女性の地位向上及び女性と男性の平等の達成は、人権の問題であり、社会正義のための条件であって、女性の問題として切り離して見るべきではない。それは、持続可能で公正な、開発された社会を築くための唯一の道である。」
このジェンダー平等の精神は、防災においても欠かせない。災害にしても、気候変動に伴う異常気象にしても、インフラ整備などのハード面での防災だけでは、レジリエンスの強化を図ることはできない。そこで池田会長は、「ジェンダー平等はもとより、日常生活の中で置き去りにされがちであった人々の存在を、地域社会におけるレジリエンスの同心円の中核に据えていく。」ことが強く求められると述べている。
危機に直面した子どもたちの教育
最後に池田会長が第4の提案として述べているのが、紛争や自然災害などの影響で教育機会を失った子どもたちへの支援強化である。「次代を担う子供たちの人権と未来を守ることが、持続可能なグローバル社会を作るうえで要石となると考えています。」と池田会長は述べている。

子どもの権利条約は今年9月に発効30周年を迎える。今や国連の加盟国数よりも多い196カ国・地域が参加するこの条約は、世界で最も普遍的な人権条約となっている。
子どもの権利条約は、全ての子どもに教育を受ける権利を保障する加盟国政府の義務を明記しており、条約の発効時には約20%に及んでいた、小学校に通う機会を得られていない子どもの割合は、2019年には10%以下にまで減少した。しかしその前進の一方で、紛争や災害の影響を受けた国で暮らす子供たちの多くが深刻な状況に直面している。
国連児童基金(ユニセフ)は子どもたちにとって、学校の存在は、日常を取り戻すための大切な空間であると強調している。学校で友達と一緒の時間を過ごすことは、紛争や災害で受けた心の傷を癒すための手助けにもなっている。
こうした問題を踏まえて、2016年の世界人道サミットで設立を見たのが、ECW(教育を後回しにできない)基金である。池田会長は、ユニセフが主導するECW基金の資金基盤の強化を図るよう呼び掛けている。
SGIは192カ国と地域で、平和、文化、教育を推進しているコミュニティーを基盤とした仏教徒のネットワークである。1983年から毎年、池田会長は、SGI創立記念日にあたる1月26日に、世界の諸問題に対する仏教徒としての視点や解決策を提供する平和提言を発表している。(原文へ)
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監視・検証を伴う核軍縮へ向けて
【ニューヨークIDN=ラドワン・ジャキーム】
核兵器のない世界の実現に向けて国際社会が弛まぬ努力を続ける中、検証体制とその方法論が、これからの核軍縮活動を正確に監視・検証するという複雑な問題を理解する上で極めて重要となる。核軍縮活動は今後、各国を以前よりもさらに介入的な検証に従わせる方向にむかうものとみられている。
米国とロシアが実際に行ってきた検証での経験をはじめ、「核軍縮の検証に向けた国際パートナーシップ」(IPNDV)、国連安保理5大国(米国・ロシア・英国・フランス・中国)や関心をもつ諸国との対話から学ぶことで、核兵器禁止条約が規定する効果的な核兵器の禁止に貢献することが可能だ。

25カ国以上の参加を得て2014年12月に始まったIPNDVは、米国務省が「核脅威イニシアチブ」(NTI)と協同して行っている官民パートナーシップで、核兵器国・非核兵器国双方の能力を強化し、核軍縮の監視・検証問題に対処する技術的解決策を生みだすことを目的としている。
核兵器の数は、この30年間で、冷戦期のピーク時の約7万発と比べると、推定約1万4500万発と大幅に減少してきた。軍縮の専門家によれば、これだけの削減を可能としたのは、軍備管理条約の順守状況を互いに検証する能力を各国が高めたことにあるという。
核不拡散条約(NPT)に盛り込まれた目標である核兵器の更なる削減と核軍縮の前進に向けて強固な基盤を築くために、核兵器のライフサイクル(核物質の生産・管理,核弾頭の製造・配備・保管,削減・解体・廃棄等)を通じた監視・検証問題の正確な評価がきわめて重要だ。
NPT第6条は各締約国に対して、「核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うこと」を義務づけている。
IPNDVは、2015年3月の初会合以来、核軍縮検証のための多様な国際プログラムを構築して新境地を開いてきた。IPNDVの構成国・団体は互いに協力して、核軍縮検証に伴う問題点とそれに対処する方途や技術を特定するうえで、貴重な成果をあげてきた。
第1フェーズ(2015年~17年)の焦点は、「基礎的解体シナリオ(Basic Dismantlement Scenario)」と呼ばれる、14ステップある核兵器解体プロセスのうち、ステップ6~10、すなわち解体施設に核兵器を受入れたところから解体後に核物質、爆発物質、構造材に分けて貯蔵するところまでの検証を対象としたものだった。
IPNDVは、「このパートナーシップは、核軍縮の検証という中核的な難題を解くためのアプローチを理解し発見する上で大きく貢献してきた。」として、第1フェーズの成果を「厳しい課題はあるものの、将来の核兵器廃棄プロセスにおいて安全、セキュリティー、及び機微情報の管理をうまく行いつつ、核兵器解体を多国間で監視することが可能な、潜在的に適用可能な技術、インフォメーションバリア、査察手順が準備できる。」と結論付けている。

IPNDVの第1フェーズは、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催された2017年11月の第5回総会をもって完了した。
第2フェーズ(2018年~19年)では、将来の核軍縮検証を支え、演習やデモンストレーションといった目に見える活動を通じて示していくために、効果的かつ実践的な検証オプションの理解を深化させた。
IPNDVは、技術者や政策集団、学界を含めた広範な核軍縮検証コミュニティへの関与と働きかけを強めている。加えて、ニューヨークの国連本部で2019年4月29日から5月10日まで開催された2020年NPT再検討会議第3回準備委員会において、「核軍縮検証に関する国連政府専門家会合(GGE)」およびNPT加盟国と、作業結果を共有した。
昨年12月3~5日にカナダ・オタワで開催された第7回IPNDV総会には、24カ国に欧州連合を加えた89人が集まり第2フェーズを完了、第3フェーズの計画過程に入った。
第7回総会では、IPNDVの知見を「机上から実践へ」持ち込むための実践的な活動や技術的デモンストレーションも行われた。参加者らは、第3フェーズ(2020年~21年)において対処すべき技術のギャップや政策課題に焦点を当てた。第3フェーズに関しては、3月18~19日にスイス政府主催で立ち上げシンポジウムが開催され、IPNDVのこれまでの活動と、広範な核軍縮検証におけるその位置づけを検証することになっている。
4月27日から5月22日にかけてニューヨークの国連本部で開催されるNPT再検討会議にわずか数週間先立つ形でシンポジウムと展示が開かれることは重要な意味を持つ。なぜなら、IPNDVの第1フェーズと第2フェーズの知見は、核軍縮検証における技術の可能性と限界、実践的な軍縮検証の演習とデモンストレーション、核軍縮の広範な文脈におけるIPNDVの作業に関連しているからだ。

今年1月に発表されたIPNDVの「第2フェーズ概略報告:核軍縮検証における机上から実践への移行」は、核兵器の申告を検証の問題や、核兵器削減の検証、検証技術に焦点を当てている。
12月にオタワで開催された第7回総会以降、IPNDVの参加者は、カナダで初めて原子炉が設置された歴史的場所である「チョークリバー研究所」を訪問し、兵器級核物質の有無を検証する実験技術のデモンストレーションを見学した。これは、核軍縮検証プロセスにおいて極めて重要な任務である。
チョークリバーでのデモンストレーションは、第2フェーズで行われた全5回の実践的演習・技術デモンストレーションの一環であり、核兵器解体サイクルの全体を通じて応用可能な技術と手順を確定するIPNDVの能力を高めることを目的としていた。
第2フェーズでは、演習とデモンストレーションに加えて、国家申告や条約の限界など、その他の監視・検証上の考慮をいかに見極めるかを追求したものであった。
これらの活動は、多国間での核解体検証は可能であるとした第1フェーズの知見を最終的に補強するものであるが、まだまだ課題は多い。特定の国の核兵器事業に特有の外部要因や安全・危機管理情報の流出を防ぐために、ツールや政策、手続きに関連した検証オプションの柔軟な適用が必要とされることだろう。(原文へ)
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アグリビジネス産業がいかに国連に影響力を及ぼしているか
合成肥料や遺伝子組み換え作物など企業主導の農業開発のあり方に警鐘を鳴らしてきた、オークランド研究所のアヌラダ・ミッタル事務局長による視点。グテーレス国連事務総長はSDGs「行動の10年」の一環として、2021年に「食料システム・サミット」を招集予定だが、そのための特使としてアグネス・カリバタAGRA(アフリカ緑の革命のための同盟)総裁が任命されたことに大きな反発(85カ国175の市民社会が反対を表明)が起きている。FAO等が持続可能な農業と環境保護の観点から「家族経営の農家」の役割をますます重視するなかでの人選であるだけに、今後、アフリカの農業開発の行方を巡る議論が高まるものと思われる。(原文へ)FBポスト
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奴隷制は世界の半数の国々で犯罪とされていない
【ノッティンガムIDN=カタリーナ・シュワルツ、ジーン・アライン、アンドレア・ニコルソン】
国際社会は過去200年の間に、奴隷制(=人間を所有すること)を認める「法的な条文を削除すること」には成功したが、ノッティンガム大学が193国を対象に行った調査研究によると、今でも世界のおよそ半数の国々(94カ国)では、他人を実質的に奴隷状態においても「法的に罰せられない実態」が続いている。(原文へ)FBポスト
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|視点|植民地主義が世界に及ぼした影響を遅々として認めようとしない欧州諸国(マイケル・マクイクラン ルンド大学客員研究員)
国連がグローバルな目標達成のために有名な文学フェスティバルを活用
【ジャピプールIDN=デビンダー・クマール】
貧困からジェンダー、気候変動、不平等、財政格差の縮小に至るまで、世界のあらゆる難題に対する持続可能な解決策を加速する「行動の10年」の一環として、国連は1月末に新たなツールを活用することにした。つまり、インドの魅惑的なラジャスタン州の風光明媚な州都ジャイプルで行われた世界最大の文学フェスティバルだ。ジャイプルは、その豪華な宮殿や史跡の多くに使われている石がピンク色であるために、「ピンクの街」として知られている。
フェスティバルは1月27日、国連の現地コーディネーターであるレナータ・デッサリエン氏をゲストに迎えた。デッサリエン氏は、気候変動に関する特別セッションの参加者らに対して、「国連は、破壊的な気候変動のペースを遅らせるために最大限の努力をしています。」と語った。国連は気候危機に対して十分に行動できているかとの質問に対しては、「国連は『世界警察』として機能することはできません。」と回答した。

デッサリエン氏は、「国連は世界政府でもありません。国連に認められていることや出来ることには限界があります。」と指摘したうえで、「しかし、実際には多くの面でその限界を押し広げようとしています。国連というものを一番うまく表現すると、『世界の説得者』、つまり、何が根本的に正しいのかを人々に説得して回る役ということになると思います。」と語った。
食料生産を脅かす気候パターンの変化から、壊滅的な洪水のリスクを増大させる海水面の上昇に至るまで、気候変動がもたらす影響がグローバルな範囲に及び、空前の規模になっているという十分な証拠がある。もし気候の現状を変えることができなければ、6億人以上のインド国民がマイナスの影響を受けると推測されている。
セッションでは、気候危機により大きな影響を受けたインド・ラダック地域の人々の驚くべき現状についても紹介された。ラダックにある「ヒマラヤ・オルタナティブ研究所」の所長で、太陽光エネルギーの研究家、教育家でもあるソナム・ワンチュク氏は、「ヒマラヤの山中、とりわけラダックでは氷河が解け、慢性的な水不足が発生していましたが、最近では春になると干ばつが起こるようになっています。水不足のために村全体を放棄しなくてはならなくなった村を私は少なくとも2つ知っています。さらに秋になると、干ばつと背中合わせで突発的な洪水が発生しています。」と語った。

ワンチュク氏は、洪水によって多くの人が亡くなり、流されてしまった村でボランティアをしていた2006年当時、最後に洪水が起こったのはいつかと尋ねたことがある。「しかし、村人らに洪水の記憶はありませんでした。しかしその後、その村は2010年、2015年、2017年と立て続けに洪水に見舞われています。」と、ワンチュク氏は語った。
ワンチュク氏は、山間部の住民が「とにかく生きていくことができる」よう、平地や都市部に住む人々に対して、責任感を持ち、「シンプルな生活」をしてほしいと訴えた。
オンラインジャーナル「PARI」の編集者ナミタ・ワイカール氏は、沿岸部の諸都市で気候変動の悪影響を受けている人々の体験を紹介した。ワイカール氏は現在、国連開発計画による次期「人間開発報告書」に向けた、気候変動の影響に最も晒されるインドの社会的弱者のストーリーを記録している。
「農村部では、海草が激減したために生活を変えざるを得なかったタミル・ナドゥの村々があります。同じように、デリーのような内陸の漁村では、淡水で魚を獲ろうとしても死んだ魚ばかりが釣れしまう。彼らの話を聞いて胸が押しつぶされそうになった。」と、ワイカール氏は語った。

漁民らはワイカール氏に、「夜に網を張っても、朝に獲れるのは『死んだ魚のうち最も新鮮なもの』に過ぎません。」と語った。川や沿岸部を下水や工業廃水で汚染しないようにすることが緊急の課題となっている。ワイカール氏は、「別の漁民の女性によれば、自分たちがかつて獲っていた魚は、いまや『ディスカバリー・チャンネル』でしか見れない、と言います。このことから、状況が如何に深刻かがわかります。」と語った。
作家で教育者、映画監督のシュバンギ・スワルップ氏は、自身のフィクション作品を通じてエコロジーの問題を追求しており、作品に気候変動の問題をいかに組み込んでいるかについて説明した。「私たちの物語は人間中心主義的で、強迫観念に満ちており、きわめて不快なものです。自然や宇宙に対する尊重が見られません。」
「だから私は、地理的な断層線が物語の道筋になる小説を書こうと思いました。話は、アンダマン諸島で始まって、次にミャンマー、ネパールと進み、最後はラダックで終わります。ストーリーを作りながら、地域の問題を解決するにあたって国境が如何に意味のないものであるかを悟りました。」とスワルップ氏は語った。
市民社会活動家のアプールヴァ・オザ氏は、気候変動を巡る議論から利益思考を排除する必要性を改めて強調した。「すべてを経済的な問題として測ろうとする、行き過ぎた傾向があります。例えば、私が何かを提案をすると、それで農民の年収を倍増できるのかと聞かれます。私が言えるのは、その提案を通じて、自然が守られ、環境が維持され、地下水を使いすぎないようにできる、ということだけです。つまり、収入を倍増させることは保証できないが、進歩は保証できると答えます。」
ボリウッドの有名女優で国連の持続可能な開発大使でもあるディア・ミルザ氏が「時間は残っているでしょうか? 私たちにはあと10年しかありません。女性や母親、子どもたちの声に耳を傾けるべきです。もし科学が理解できないのなら、自然を見つめてみるべきです。」と語りかけたとき、会場は静寂に包まれた。
彼女のメッセージは明確だ。つまり、環境面でより持続可能な世界を作り出すために皆が責任を負っており、芸術や文化部門の人々も例外ではない、ということだ。

司会のサミール・サラン氏は、「このフェスティバルは文学に関心のある人々の集まりです。物語はこういう場所から生まれ出る。もし気候変動がそうした物語の一部になるならば、気候変動を抑える望ましいステップをとるうえで、力を得ることになるだろう。私たちが自らについて語る物語が、自分たちの行動を決めることになります。もし私たちの物語が環境にやさしいものならば、おそらく私たちの未来は、環境にやさしく、繁栄したものになるだろう。」と述べて、セッションを締めくくった。
5日間にわたって行われたこの「ジャイプル文学フェスティバル」は、「地球上で最大の文学祭」と言われ、今回は、40万人以上の読書愛好家が参加し、20カ国から集まった約2000人の発言者が200以上のセッションで語った。議論の対象になった文学は、20以上の言語で書かれている。
第13回「ジャイプル文学フェスティバル」には、ノーベル文学賞受賞者のアビジット・バネルジー氏、ピューリッツァー賞受賞者のフォレスト・ガンダー氏、ジャーナリストのクリスティーナ・ラム氏、『ニューヨーカー』誌のジャーナリストであるデクスター・フィルキンス氏、マン・ブッカー賞受賞者のハワード・ヤコブソン氏、エリザベス・ギルバート氏、それに、インドの人気作家であるシャシ・タルール氏やジェイブド・アクタール氏といったベストセラー作家も参加し、討論と対話を行った。(原文へ)
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|国連|2020年の優先課題(アントニオ・グテーレス国連事務総長)
【ニューヨークIDN=アントニオ・グテーレス】
2020年は国連創設75周年にあたります。私は国連が体現するものすべて、そして私たちがともに達成してきたものすべてに、大きな力を感じています。とはいえ、記念日の意義は過去を祝うことではなく、未来に目を向けることにあります。
私たちは未来に希望の眼差しを向けなくてはなりません。しかし、そこに錯覚があってはなりません。私はきょう皆様に、私たちが直面している課題について、ありのままにシンプルな言葉で語りたいと思います。
私たちの中に、ヨハネの黙示録さながらに「四騎士」がいるのが見えます。21世紀の進歩を危うくし、21世紀の可能性を危険にさらそうとしている4つの脅威です。

第1の騎士は、私たちがここ数年目の当たりにしている全世界的な戦略地政学上の緊張状態という姿で現れています。
破壊的な紛争は、広い範囲で悲惨な結果を生み続けています。テロ攻撃は無情にも多くの命を奪っています。核の脅威は高まっています。戦争や迫害によって故郷を追われた人々の数は第2次世界大戦以来、最も多くなっています。貿易やテクノロジーを巡る緊張は解けていません。「大規模破壊」のリスクは現実のものとなっています。
第2に、私たちは存亡にかかわる気候危機に直面しています。
気温の上昇は記録を更新し続けています。過去10年間は観測史上、最も暑い10年間となりました。科学者によると、広島に投下されたものと同じ原爆5発が毎秒投下されるペースで海洋温度が上昇しています。
近い将来、絶滅するおそれのある生物は100万種に上ります。地球はまさに燃えています。その一方で、気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)では、多くの政策決定者が依然として時間を無駄にする様子が見られました。私たちの世界は、後戻りのできない地点に近づいています。
第3の騎士は、世界的な不信の高まりと拡大という姿をしています。
北から南まで、不安と不満が社会を激しく揺り動かしています。2つとして同じ状況はないものの、苛立ちが街にあふれているという点は共通しています。グローバリゼーションが自分たちのためになっていないと確信する人々が増えています。
昨日も国連の報告書で明らかにされたとおり、世界人口の3人に2人は、格差が拡大している国で暮らしています。政治的既成勢力に対する信頼は低下しています。若者は立ち上がっています。女性は当然のことながら、平等や、暴力と差別からの自由を求めています。
同時に、恐怖と不安も広がっています。難民や移民に対する敵意が高まり、憎悪が蓄積しています。
第4の脅威は、デジタル化の負の側面です。
テクノロジーは、私たちが対応できる能力はもとより、理解できる能力さえも超えるスピードで進化しています。新技術は非常に大きな恩恵をもたらす一方で、犯罪、憎悪の扇動、フェイクニュース、人々の抑圧や搾取、プライバシーの侵害にも悪用されています。
第4次産業革命が労働市場と社会の構造そのものに及ぼす深刻な影響に対する備えも、私たちにはできていません。人工知能(AI)は、驚異的な能力と恐るべき可能性を作り出しています。自律型殺人兵器、すなわち人間の判断も責任も伴わず、独自の殺人能力を有する機械は、私たちを道徳的、政治的に許しがたい領域へと連れ込んでいます。
大規模な地政学的緊張、気候危機、世界的な不信、テクノロジーの負の側面という「これら四騎士」は、私たちが共有する未来のあらゆる側面に危害を及ぼしかねません。
国連創設75周年を心地よい言葉で記念できない理由は、ここにあります。私たちは21世紀のこれら4つの難題に、21世紀の4つの解決策をもって取り組まねばなりません。では、それぞれ1つずつ見ていきましょう。
第1に、すでに申し上げた平和と安全です。期待できる兆候はいくつか見られます。
昨年はコンゴ民主共和国からマダガスカル、そしてマリからモルディブその他に至るまで、重要な選挙後の紛争が回避されました。
イエメンでは戦闘行為が続いているものの、フダイダでの停戦は不安定ながら守られています。シリアでは、依然として実質的な障害が残っているものの、制憲委員会が立ち上げられました。
中央アフリカ共和国では、和平協定が実施に移されています。そして最近では、重要な局面を迎えているリビアの主たる関係者が、ベルリンでの会議に参集して「リビアの武力紛争や内戦への干渉を控える」ことを約束するとともに、「すべての国際的主体に同じ」約束をするよう強く訴えました。
こうした取り組みにはいずれも忍耐と粘り強い努力が必要ですが、人命を救うためには絶対に欠かせません。私たちが今後、取り組むべき作業もはっきりと見えています。ペルシャ湾からイスラエル・パレスチナ紛争、サヘルとチャド湖地域からベネズエラに至るまで、全世界にゴルディアスの結び目のような難題が見られます。安全保障理事会決議は無視されています。外からの干渉が火に油を注いでいます。
そして私たちは、有効な次善策もないまま、国際的な軍縮と軍備管理(体制)の柱を失うリスクを抱えています。
もちろん、国連は引き続き、困窮を極めている何百万もの人々に救命援助を届けていきます。
しかし、一時的な救済は恒久的な解決に代わるものではありません。私たちは平和活動の連続体のすべてにおいて、予防を指針とせねばなりません。
私たちは調停能力と持続的な平和のためのツールを強化し、これを長期的な開発へとつなげなければなりません。
私たちのPKOのための行動(A4P)イニシアティブは、実績と安全性を高めています。私たちは民間人保護の効果を高めつつあり、女性平和維持要員の数もかつてなく増えています。
女性と平和、安全に関する安全保障理事会決議1325採択から20周年にあたる今年は、言葉をさらに実行に移す機会でもあります。
同時に、私たちは守るべき平和がない場合、平和維持が不十分であることも知っています。私たちは国連憲章第7章に基づき、予見可能な資金を提供することで、地域的パートナーが実効的な平和執行とテロ対策活動を実施できる条件を整備する必要があります。特にその必要が大きいのは、サヘルからチャド湖に至る地域をはじめとするアフリカです。
そして私たちは、社会的排除から経済的絶望、暴力的な女性蔑視からガバナンスの崩壊に至るまで、危機と騒乱の根本的原因を注視し、暴力と過激主義を助長する要素に対処しなければなりません。
私は昨年、ヘイトスピーチと闘い、信仰の場所を守るため、今までに類を見ないアクション・プランを立ち上げました。今年は、ヘイトスピーチ対策における教育の役割に関する会議を招集する予定です。
私たちは「軍縮アジェンダ」の前進も続けなければなりません。私はすべての締約国に対し、2020年核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議で、NPTが引き続き核戦争を予防し、核兵器廃絶を促進することで、その基本的目標を達成できるよう協力することを呼びかけます。
第2の「騎士」は気候崩壊の脅威です。私たちは気候変動対策を約束し、これに対処せねばなりません。私たちは自然と闘っています。それに対し、自然は激しい反撃に出ているのです。
最近のオーストラリアでの山火事で、人々が家を追われ、野生生物が炎の餌食になる姿を見るとき、私たちは現状の苦境に対する深い悲しみと、これから起きることに対する恐怖を感じずにはいられません。
世界保健機関(WHO)によると、その間にも、大気汚染と気候変動が相まって、毎年700万人が命を落としています。もはや段階的なアプローチでは不十分です。次回の気候会議(グラスゴーで開催されるCOP26)で、各国政府は私たちの世界が必要とし、人々が要求する革新的な変化を、さらに大きな野心をもって実現しなければなりません。それは緩和に対する野心であり、適応に対する野心であり、資金に対する野心でもあります。

あらゆる都市や地域、銀行、年金基金、業界が気温上昇を1.5˚Cに抑えるため、その行動を一から考え直さねばなりません。科学界は明確な結論を出しています。私たちは2030年までに、温室効果ガス排出量を対2010年で45%削減するとともに、2050年までに正味ゼロ・エミッションを達成する必要があります。
その義務は主として、排出大国が担わねばなりません。この危機を最も大きく助長した国々が、率先して対策を講じなければならないからです。そこに躊躇があれば、私たちは万事休すです。しかし、私は今でも、気候変動との闘いで勝つことはできると信じています。人々もそう思っています。テクノロジーは私たちの味方です。
科学者たちも、まだ手遅れではないと言っています。経済学者やや資産管理者は、気候に優しい投資こそが、21世紀の競争に勝利するカギだと言っています。灰色経済からグリーン経済へ移行するためのツールと知識は、もうすべて揃っています。
ですから、変革を受け入れようではありませんか。昨年9月の気候行動サミットの成果を積み上げ、グラスゴー会議を成功に導けるような約束をしようではありませんか。
今年はグラスゴー会議のほかにも、決定的行動をとれる機会が2つあります。その1つは6月にリスボン(ポルトガル)で開催される国連海洋会議です。世界の海は汚染や乱獲をはじめ、各方面からの攻撃にさらされています。
プラスチックごみは、私たちの口に入る魚だけでなく、私たちが飲む水や、吸い込む空気も汚しています。
私たちはリスボン会議の機会を捉え、これ以上の乱用から海を守り、人々と地球の健康に海が果たす根本的な役割を認識せねばなりません。
例えば、いくつかの国内的イニシアティブの成功を受け、使い捨てプラスチックの使用を世界的に禁止する機は熟したと言えます。
2つ目は10月に中国の昆明で開催される生物多様性会議です。生物種喪失のペースは、過去1000万年のどの時期と比べても、桁違いに速くなっています。
私たちは昆明会議を最大限に活用し、ポスト2020年のグローバルな生物多様性枠組みを採択しなければなりません。自然と調和した暮らしは、これまで以上に重要となっています。
あらゆることが相互に関連
世界的な不信という第3の騎士を退けるためには、公正なグローバリゼーションを構築しなければなりません。私たちには「持続可能な開発のための2030アジェンダ」という計画があります。皆様の政府もすべて、その実現を誓っています。

国と地方の政治指導者から起業家、投資家、市民社会その他多くの人々に至るまで、私は行く先々で、持続可能な開発目標(SDGs)に対する極めて大きな熱意を耳にしています。
幼児死亡率の削減から教育の普及、家族計画へのアクセス改善からインターネットへのアクセス拡大に至るまで、具体的な前進も見えています。しかし、それだけでは不十分です。
実際のところ、私たちは道を外れています。このまま行けば、2030年になっても5億人が依然として、極度の貧困状態で暮らしていることになります。
また、経済社会への参加に関するジェンダー格差の解消には、まだ250年以上もかかる計算になってしまいます。それを許すわけにはいきません。
このような理由から、私たちは2030年までにSDGsを達成するための「行動の10年」を立ち上げているところです。「行動の10年」は、公正なグローバリゼーションを達成し、経済成長を推進し、紛争を予防するうえで中心的な役割を果たします。

私たちは改革された国連開発システムを活用し、ローカルからグローバルなレベルに至るまで、パートナーへの働きかけを行っていきます。
SDGsの達成に向けたムーブメントの結集を図るために。資金を動員するために。そして、どこの誰にとっても利益をもたらせるような野心、イノベーション、解決策を作り出すために。
私たちは「行動の10年」を通じ、貧困の根絶、社会保障、健康と流行病対策、教育、エネルギー、水と衛生、持続可能な輸送とインフラ、インターネットへのアクセスに投資していかなければなりません。
私たちはガバナンスを改善し、不正な資金の流れに対処し、腐敗を撲滅するとともに、効果的で常識的かつ公正な税制を制定しなければなりません。私たちは未来のための経済を構築し、若者をはじめとするすべての人にディーセント・ワークを確保せねばなりません。そして、私たち全員の利益として、女性と女児を特に重視しなければなりません。
北京行動綱領採択25周年にあたる今年は、ジェンダー平等という観点から経済、政治、社会制度を考え直す機会となります。政策決定への女性の平等な参加を推進し、女性と女児に対するあらゆる形態の暴力に終止符を打つ時が来ています。
私たちは無給の育児・介護を含め、女性の経済への包摂と参加を阻む障壁を取り除かねばなりません。そして、全世界で解決策を推し進めてきた数多くの女性の声に耳を傾け、学ばなければなりません。
私はこれから「行動の10年」を推進するプラットフォームを年1回のペースで実施する予定です。
9月の第1回SDG行動フォーラムでは、進捗状況を明らかにしたうえで、成功に至る軌道を定めます。
ですから、2020年代を「行動の10年」にすると同時に、2020年を緊急行動の1年としようではありませんか。
そして、その中で信頼の回復にも全力を尽くそうではありませんか。すべての加盟国に特にお願いしたいことがあります。人々の声に耳を傾けてください。すべての人が発言し、合意点を見出せる新たな道を開いてください。平和的な集会と表現の自由を尊重してください。シビック・スペースと報道の自由を守ってください。
そして、変革と建設的な解決を要求する若者、特に若い女性のアイディアとエネルギー、期待感を取り入れていこうではありませんか。
第4に、デジタル化の負の側面に取り組むためには、テクノロジーをプラスの変革に活用しなければなりません。グローバル労働市場を筆頭に、行動できる領域はいくつかあります。

自動化が、2030年までに数千万人の雇用に取って代わるものと見られます。
私たちは教育制度を策定し直す必要があります。大切なのは単に学ぶことではなく、生涯を通じた学習の仕方を学ぶことです。
私たちには、社会的セーフティーネットに対する革新的なアプローチと、労働という概念、そして仕事と余暇、その他の活動の生涯にわたるバランスの再考が必要です。
また、サイバー空間という荒野に秩序を取り入れなければなりません。
テロリストや白人至上主義者をはじめ、憎悪の種をまく人々は、インターネットやソーシャルメディアを悪用しています。
ボットはデマを広めて分断を煽り、民主主義を根底から損なっています。来年、サイバー犯罪の被害額は6兆ドルに達すると見られています。
サイバー空間自体が二つに分かれるリスクを抱えています。私たちはグローバルなデジタル協力を促進することにより、デジタル世界の分断を防がなければなりません。
国連は各国政府、企業、市民社会などが一堂に会し、新たな協定や規範を策定し、越えてはならない一線を定め、機敏かつ柔軟な規制枠組みを構築するうえで、ぴったりの話し合いの場です。
法的拘束力を伴う措置を要する対策もあり得ます。一方、自主的協力やベストプラクティスの交換に基づく措置もあるでしょう。
その中には、安全の文脈における情報通信に関する開放型ワーキンググループや、サイバー空間と総会における責任ある行動推進に関する政府専門家グループのような既存のプロセスや制度に対する支援も含まれます。
実効的なデジタル政策について議論、提案するための中心的な集いの場として、インターネット・ガバナンス・フォーラムの強化を図ることについては、コンセンサスができ上がっているものと確信しています。
私は「デジタル協力に関するハイレベル・パネル報告書」に基づき、デジタル相互依存時代のインターネット接続、人権、信頼と安全を取り扱う「デジタル協力のためのロードマップ」を程なく提示する予定です。同時に、私たちには人工知能(AI)を世の中のためになる力とするための共通の取り組みも必要です。
昨年は「特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)」で重要な一歩が踏み出されたものの、私たちは依然として、人間の判断や統制に服さない殺人機械の世界へ迷い込もうとしています。すべての加盟国に単純かつ直接的なお願いがあります。今すぐに自律型致死兵器システム(LAWS)を禁止してください。

以上、4つの大きな脅威と、この1年に見通せる4つの大きな解決策についてお話ししました。
この作業全体を通じ、すべての人権の推進と擁護を中心的な要素としなければなりません。私は世界各地で、人権の尊重が様々な形で損なわれていることを深く憂慮しています。私も繰り返し強調してきたとおり、国連憲章は人々とその権利を私たちの活動の中心に据えるよう義務づけています。こうした理由から、私は来月ジュネーブで、人権と人間の尊厳に対するグローバルな行動の強化を求めるつもりです。
これらの課題にすべて対処するためには、国連を引き続き、新時代の課題に見合う存在としていかなければなりません。
私が就任当初から、皆様の支援を受けながら、柔軟性、透明性、説明責任に根差す広範な国連改革を進めてきた理由も、ここにあります。
2020年も、私たちはさらに前進を積み重ねます。事実、私たちは既に、大きな成果とともに新年を迎えました。元旦、私たちは国連史上初めて、常勤の事務次長と事務次長補という最高幹部レベルで男女同数を達成したからです。期限よりも2年早く、目標を達成したことになります。
今後も改革の手を緩めず、組織のあらゆるレベルで包摂性とジェンダー平等の向上を確保していきます。改革を阻む時代遅れの規則や複雑な手続きを廃止するため、皆様の支援をお願いします。
私はまた、国連職員の地理的配分をより公平にし、地理的多様性を高めるという意味で、2020年を有意義な前進の年とすることも約束したいと思います。
私たちはそのための事務局全体にわたる戦略を立ち上げました。しかし、ご存じのとおり、ジェンダー平等と多様性の目標の達成は、空席を埋める能力にかかっており、これは資金に大きく左右されます。
私は、セクシャルハラスメントを予防し、これに終止符を打つための取り組みもさらに進めていきます。内部監査室(OIOS)には専門の調査チームが設けられ、すでに活動を始めています。
国連ファミリー全体の各種枠組みにはそれぞれ、新たなセクハラ対策が盛り込まれています。セクハラ常習者が国連システムにこっそり戻ってくることがないよう、システム全体的な集中型スクリーニング・データベースも設けられました。
私たちの性的搾取・虐待対策戦略も、被害者に対する援助や支援の拡充などを通じ、前進しつつあります。
最も幅広い意味で、私は国連を、すべての職員が尊重され、全員に発言権があり、全員がベストを尽くせるようにするという点で、最高の職場にする決意でいます。
私たちは、新たな障害者包摂戦略でも前進を遂げています。そして私は、国連システムと平和維持活動において、性的少数者(LGBTI)職員の平等と差別禁止を確保する決意を固めています。
今年は私たちに共通の未来にとって、極めて重要な年となるでしょう。私は全世界の人々に参画していただきたいと願っています。政府や国際機関は、話をする場所で、話を聞く場所ではないと見られることがあまりにも多くなっています。

国連には、話を聞く場になってもらいたいと思います。創設75周年を迎え、私はできるだけ多くの人々に、国連と話し合うチャンスを用意したいと考えています。
その希望と不安を聞くために。その経験から学ぶために。私たちが望む未来と、私たちが必要とする国連を構築するためのアイディアを引き出すために。
私たちはそのために、全世界で調査と対話を立ち上げています。そして、特に若者の声を優先して聞いています。私たちは一緒に耳を傾ける必要があります。そして、私たちは一緒に行動する必要があります。
創設75周年を節目に、すべての人に平和な未来を確保するための私たちのアジェンダ全体で、困難ではあるが極めて重要な決定を下そうではありませんか。(原文へ)
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以下は2020年1月22日に開催された国連総会におけるアントニオ・グテーレス国連事務総長の演説からの抜粋。
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|スリランカ|核不拡散・軍縮への取り組みを強化
【ジュネーブ/コロンボIDN=ジャヤ・ラマチャンドラン】
ドイツ政府は、スリランカの「軍縮・開発フォーラム」(FDD)に対して、核不拡散条約(NPT)と包括的核実験禁止条約(CTBT)の文言を現地の公用語であるシンハラ語、タミル語に翻訳するための資金を提供するという珍しい支援を行った。NPTとCTBTの文言はこれまで、国連の公式言語であるアラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語でしか利用できなかった。
現地語によるNPTやCTBTに関する書籍(①NPTとスリランカ、②スリランカはなぜCTBTに批准すべきか、③スリランカはなぜ核実験禁止条約に加盟すべきか)の出版は、スリランカが、核不拡散・軍縮への支持とコミットメントを明確に示し、CTBTや核兵器禁止条約(TPNW)に速やかに批准し加入することの重要性を示している。
かつてスリランカは、とりわけジャヤンタ・ダナパラ大使が歴史的なNPT再検討・延長会議の議長を務めた1995年に、核軍縮分野で主導的な役割を果たした。

スリランカはNPTを1968年7月1日に署名し、1979年3月5日に批准している。CTBTについては、1996年10月24日に署名はしているが、まだ批准していない。スリランカはまた、2017年9月20日に署名開放された核兵器禁止条約にまだ加盟していない。
1970年に発効したNPTは、核兵器と核技術の拡散を予防し、原子力の平和利用における協力を促進し、核軍縮及び一般的かつ完全な軍縮という目標に向かって前進することをめざす画期的な国際条約である。
国連総会が1996年に採択したCTBTは、誰であっても、あらゆる空間(地上、宇宙空間、大気圏内、水中、地下を含む)における核爆発を禁じている。184カ国が参加したこの条約は、ほぼ普遍的な地位を得ている。しかし、核技術を持った特定44カ国の署名・批准が条約発効の条件となっている。その中で依然として8カ国(中国・エジプト・インド・イラン・イスラエル・北朝鮮・パキスタン・米国)が参加していない。なかでもインド・北朝鮮・パキスタンは署名すらしていない。
核兵器禁止条約には、あらゆる核兵器関連活動に加わることを包括的に禁止する条項があり、核兵器の開発・実験・製造・取得・保有・備蓄・使用及び使用の威嚇を禁じている。
条約はまた、国の領域に核兵器を配備することを禁じ、禁止事項に関して他のいかなる国を支援することも禁じている。加盟国には、その管轄下にある個人による、あるいは領土においてなされる、同条約に関する禁止事項を予防し取り締まる義務がある。
1月中旬に翻訳書籍の発表を行ったドイツのヨルン・ローデ駐スリランカ大使は、日本駐在中に広島を訪問した思い出を振り返った。広島は1945年、長崎とともに、史上初の原爆攻撃の被害を受けた都市である。ローデ大使は、「ドイツは核軍縮と核不拡散に取り組んでいます。」と語った。
しかし専門家らは、「ドイツは第二次世界大戦後、NPTの規定もあり核兵器の製造を控えてきたが、核兵器を製造する能力を持つ大国の一つである。」と指摘している。またドイツは、北大西洋条約機構(NATO)の核共有(ニュークリア・シェアリング)政策を受入れており、米国の核兵器を使用するための訓練に参加している。

加えてドイツは、他の工業先進国と同じく、核兵器や化学兵器などの大量破壊兵器(WMD)に使用可能な部品を製造している。英国やオランダ、インド、米国、ベルギー、スペイン、ブラジルの企業と並んで、ドイツ企業もまた、イラン・イラク戦争でイラクが化学兵器攻撃に使用した兵器の前駆物質(=原材料)をイラクに提供している。
ローデ大使は、「NPTとCTBTの文言が現地語に翻訳されたことで、学界やメディア、市民社会、一般の人々の間で、核兵器に依存した世界の持つ意味や、核兵器不拡散の必要性、さらには核実験禁止の必要性についての議論が広範になされ、理解が広がることを期待します。」と語った。
「軍縮・開発フォーラム」は、「スリランカがアジアで人道主義的な軍縮を推進するリーダーとなり、軍縮と開発のつながりを可視化する支援を行うこと」を目的としている。
極めて重要な安全保障
核軍縮や核不拡散をめぐる多国間の議論においてスリランカの存在が注目されることはめったにないが、ポーク海峡によってインドから隔てられているこの島国にとって、安全保障は極めて死活的な意味を持っている。スリランカとインドは、南アジアに戦略的な地位を占め、インド洋における共通の安全保障の傘を構築しようとしている。

インド・パキスタン間の核兵器を巡る対立、さらには、米国や他のNATO諸国、中国、ロシアがインド洋に持つ利害関係は、核兵器を保有しないスリランカにとって死活的な重要性を持つ。
こうした背景のもとに、ニューヨークの国連本部で4月27日から5月22日にかけて5年ぶりに開催される2020NPT再検討会議は、スリランカにとって特に重要なものだ。前回の2015NPT再検討会議は、全会一致の実質的な成果を生み出すことなく終わっている。
国連欧州本部のA・L・A・アジズスリランカ軍縮大使は、NPTは「国際の平和と安全を構築するうえで、公平で非差別的な取り組みを確保する世界的な核不拡散・軍縮体制であり、原子力の平和利用を促進する技術への平等なアクセスを通じて、すべての加盟国に経済発展の見通しを確保するものです。」と指摘した。
「従ってスリランカは、NPTを、五大国(米国・ロシア・中国・英国・フランス)を含む最大数の国連加盟国が加入した法的枠組みとしてその普遍化を実現するためのあらゆる取り組みを支援します。」とアジズ大使は語った。
アジズ大使はさらに、「スリランカは、条約の条項を意味ある形で履行するために、国際原子力機関(IAEA)によるフルスコープ保障措置の適用要求を支持しています。NPT第6条の履行が遅々として進展していないのは憂慮すべき傾向ですが、軍縮に向けたこの現実的な道筋から離れてしまえば、中長期的には、軍拡競争の再来を引き起こし、人類に重大な影響がもたらされることになりかねません。」と語った。

NPT第6条には、各締約国は「核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約束する」と規定されている。
この目的がまだ達成されていないことには広範な合意がある。他方で、政治評論家が言うように、持続可能な開発への資金調達が緊急に求められる中、核軍拡競争が国際の平和と安全を脅かし始めている。
2019年初頭の時点で、推定1万3890発の核兵器が存在する。
1996年当時、核兵器の使用と威嚇の適法性に関して、スリランカのクリストファー・ウィーラマントリー国際司法裁判所(ICJ)判事は、ICJの勧告的意見に対する有名な反対意見において、「核兵器の使用と威嚇は、国際人道法に違反し、いかなる状況においても違法である」と強調した。(原文へ)
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