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カザフスタン、核不拡散に向けた重要な一歩でIAEAに加わる

アスタナIDN=ラメシュ・ジャウラ】

8月29日午前11時5分(現地時間)、カザフスタンの首都アスタナでは全ての核実験被害者に対する黙祷が捧げられたが、そこから2713マイル(4365キロ)離れた北朝鮮では、同日、中距離弾道ミサイルが発射され日本の上空を通過して太平洋に落下した。この日、カザフスタンでは、核不拡散に新しい1ページを切り開く可能性のある新たな施設が、国連の核査察機関の協力の下で正式に開設された。

米国が原子爆弾を初めて爆発させた1945年7月から、1996年の包括的核実験禁止条約(CTBT)署名開放までの50年間に、世界全体で2000回以上の核実験が行われた。1996年9月にCTBTが署名開放されてから2016年までには9回の核実験が行われた。それ以降に核実験を行ってきたのは北朝鮮のみである。

国連が2009年12月2日、カザフスタンをはじめとするいくつかの共同提出国による決議を全会一致で採択し、8月29日を「核実験に反対する国際デー」と決めたにも関わらず、(北朝鮮による)これらの核実験は行われてきた。国連総会決議64/35は、1991年8月29日にセミパラチンスク核実験場が閉鎖されたことを記念している。「ポリゴン」としても知られる同実験場は、ソ連の主要な核実験場であった。

At the opening of the CTBT exhibition in the Vienna International Centre's Rotunda: Karipbek Kuyukov (right), Honorary Ambassador of The ATOM Project, Kazakhstan's campaign to end nuclear testing./ CTBTO
At the opening of the CTBT exhibition in the Vienna International Centre’s Rotunda: Karipbek Kuyukov (right), Honorary Ambassador of The ATOM Project, Kazakhstan’s campaign to end nuclear testing./ CTBTO

「ATOM(廃止する=Abolish、実験=Test、私たちの使命=Our Mission)プロジェクト」の名誉大使で、腕のない芸術家・反核活動家であるカリプベク・クユコフ氏は、セミパラチンスク核実験場の閉鎖に重要な役割を果たした。ソ連時代、クユコフ氏を含む150万人以上のカザフスタン国民が核実験の影響に曝され、今日までに、奇形や疾病、生涯にわたる健康上の問題を抱えた子どもたちが生まれてきた。

「セミパラチンスク核実験場は、カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領が(ソ連崩壊に伴ってカザフスタンが独立を獲得した際に出した)歴史的な大統領令によって閉鎖されました。ナザルバエフ氏はそれ以降、核不拡散・軍縮分野における世界的な取り組みで主導的な役割を果たしてきました。」と、カシムジョマルト・トカエフ上院議長は「科学と世界問題に関するパグウォッシュ会議」第62回年次会合の閉会で語った。パグウォッシュ会議は、共同創設者であるジョセフ・ロートブラット卿とともに1995年にノーベル平和賞を受賞した団体である。

パグウォッシュ会議は、アスタナで8月25日から29日にかけて開かれた年次会合で「新たな核の危機に直面して」というテーマを掲げて、その60周年を記念した。同組織は、核兵器を否定し、「あなた方の人間性を心に留めよ」、「紛争を平和的に解決する方策を見出そう」等、世界の指導者らに「新しい思考」を促した1955年のラッセル=アインシュタイン宣言に端を発している。

核兵器やその他の大量破壊兵器が人類にもたらす壊滅的な脅威に関する検討に科学的知見と理性をもたらしてきたパグウォッシュ会議では、過去10年にわたって元国連事務次長のジャヤンタ・ダナパラ氏が議長とつとめてきた。セルジオ・ドゥアルテ元国連事務次長が次期議長に就く予定だ。

8月29日は核不拡散にあらたな1ページを開く日となるかもしれない。カザフスタン東部オスケメンのウルバ冶金工場に、国際原子力機関(IAEA)の低濃縮ウラン(LEU)バンク映像資料)が開設されたのである。大都市の電力を3年間賄うのに十分な90トンのLEUが貯蔵され、IAEA加盟国が核燃料の入手が困難な状態に陥った場合に売却される。

LEU Bank Storage Facility/ Katsuhiro Asagiri
LEU Bank Storage Facility/ Katsuhiro Asagiri

同日、ナザルバエフ大統領が主催しIAEA加盟国の代表やドナーが参列する中、アスタナで開催されたLEUバンク開所式典で登壇したIAEAの天野之弥事務局長は、「IAEAのLEUバンクは、核燃料供給について予測不能で経済的事情とは関係のない問題が発生した場合でも、安定的にLEUを取得できるようIAEA加盟各国に保障を与える最終的なメカニズムです。」と指摘したうえで、「LEUバンクは、必ずや、原発用燃料の入手を確実にする国際的な取り組みに対して重要な貢献をすることになります。」と語った。

包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)準備委員会のラッシーナ・ゼルボ事務局長もまた、LEUバンクの開所式典に参加した。

ゼルボ事務局長は、今日の国際社会が直面している難題に言及して、「8月29日は、核実験の禁止という課題が、依然として未完の任務であることを想い起こさせてくれます。私たちは、核実験を歴史の彼方に押し込めようと取り組んでいますが、地域・国際レベルにおける信頼の重要性を忘れてはなりません。」と語った

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の軍縮・軍備管理・不拡散プログラムの前責任者であるタリク・ラウフ氏は、「アスタナでの(LEUバンクの)開所式典は、1957年のIAEA憲章で想定されたIAEA自身が保有・運営する核燃料バンクの設置に向けた長い行程における重要な一里塚になるだろう。」と語った

LEUバンク設立構想は2006年9月、ワシントンDCに本拠を置く「核脅威イニシアチブ(NTI)」によって提案された。NTIはIAEAに5000万ドルを提供し、さらに、世界的な投資家であるウォーレン・バフェット氏がLEUバンクのために追加で1億ドルを供与した。

IAEAは、2009年初頭までには、欧州連合から5000万ユーロ、クウェートから1000万ドル、ノルウェーから500万ドル、アラブ首長国連邦から1000万ドル、米国から5000万ドルを集めて、資金調達の目標を達成した。カザフスタンは、自国内へのIAEA・LEUバンクの設置を申し出た唯一の国であり、このプロジェクトのために約50万ドルを提供した。

IAEA Director General Yukiya Amano at the IAEA Headquarters in Vienna, Austria. 28 May 2014./ By IAEA Imagebank - Danilo Türk & Yukiya Amano (01910499), CC BY-SA 2.0
IAEA Director General Yukiya Amano at the IAEA Headquarters in Vienna, Austria. 28 May 2014./ By IAEA Imagebank – Danilo Türk & Yukiya Amano (01910499), CC BY-SA 2.0

天野事務局長は、「LEUバンクの設立・運営はIAEA加盟国とその他のドナーの自発的供与によって完全に資金的手当てがなされており、その額は総計1.5億ドル、20年間の運営が可能で、IAEAの予算やその他の活動に全く影響を及ぼしません。」と語った。

天野事務局長は、「寛大なる資金提供によってこのプロジェクトを可能にした」全てのドナーに対して、また、LEUバンクを機能させるために、LEUの自国領通過に同意した中国とロシアに謝意を述べた。

天野事務局長はまた、「経済成長のための十分なエネルギー確保と気候変動の影響緩和という2つの難題に対処するために核エネルギーが有効である。」と強調したうえで、「約30カ国が原発導入に関心を示しています。」と語った。これは、現在世界で447基の原子炉を稼働させている国の数と同じである。また、主にアジアにおいて58基の原子炉が建設中である。

「したがって、LEUバンクのような最終手段のメカニズムが確立され、核燃料の将来的なニーズを満たすことに各国が自信を持てる状況を作り出していることがきわめて重要です。」と天野事務局長は語った。

IAEAによると、LEUバンクは、民間市場やその他の既存のLEU供給取り決めに障害が発生した際に、各国に核燃料を確実に供給するための世界的な取り組みの一環である。

IAEAの承認の下で設置された他の核燃料供給メカニズムとしては、ロシア・アンガルスク国際ウラン濃縮センターで同国がIAEAの監視下で運営するLEU備蓄や、英国によるLEU濃縮作業の提供保証などがある。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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核実験禁止条約の早期発効を訴える国際会議

Kazakh Deputy Foreign Minister Roman Vassilenko Gives a Glimpse into Kazakhstan’s Modernization Plans

Deputy Foreign Minister Roman Vassilenko explains at length Kazakhstan’s modernization plans aimed, among others, at developing the Kazakh language, making the young generation trilingual, and switching over from the Cyrillic to the Latin alphabet by 2025.

The ambitious plan includes getting 100 eminent books translated from foreign languages into Kazakh, showing 100 new faces of people working for the good of the country, and establishing dynamic political, economic and communications links with Central Asian neighbours. Vassilenko also explains the “legacy” of the three month-long EXPO 2017 Astana – “an event of the year” – which closed its doors on September 10, 2017 after attracting some four million visitors.

WATCH VIDEO > A Background Briefing by Kazakhstan’s Deputy Foreign Minister Roman Vassilenko.

Filmed by Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan

FBポスト

アイスランド、ノルウェーで核兵器禁止条約が議論される

【レイキャビクIDN=ロワナ・ヴィール】

人口34万4000人のアイスランドは独自の軍事力を保持していないが、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国として、7月7日に採択された、画期的なものになりうる核兵器禁止条約に関する議論に参加しなかった。

グドゥロイグル・トール・トールダルソン外相は、条約交渉会議の開始以前に、核不拡散条約(NPT)があまり成功を収めていないことから、核兵器禁止の議論にアイスランドは加わるのかとのスタイナン・トーラ・アルナドティール議員(左翼緑の党)からの質問に議会で答弁している。

トールダルソン外相はこれに対して、他のNATO諸国と同じく、アイスランドは核兵器国が軍縮プロセスに加わることが必要だと考えているが、交渉会議では明らかに核兵器国が参加しそうにないと答えた。

Map of Iceland
Map of Iceland

「他方で、この問題に関してはプロセスが遅々として進まず、安全保障問題に関して多くのあまりよくない予兆もある……これは、核兵器なき世界という目標に関するものではなく、この目標に向けた手段に関するものだ。我々はここで問題とされている手段が好ましいものとは思わない。」とトールダルソン外相は説明した。

「さらに、わが国の国連大使は、この問題の進展を注意深く見守ることになろう」とも述べた。

歴史学教授で、アイスランドの平和団体「軍事基地反対運動」の元議長でもあるスヴェリール・ヤコブソン氏は、トールダルソン外相の発言を厳しく批判した。「こうした国々(NATO諸国)は実際には、核兵器をいつ、そしてどのように廃絶すべきかについては、彼らだけに決定権があるという立場にあるかにみえる。もしこれが目的の問題ならば、廃絶を支持する大多数の国々の提案に対して、なぜ核兵器国が代案を出さないのだろうか?」とヤコブソン氏は指摘した。

条約の採択後、トールダルソン外相はこう述べた。「核兵器に対するアイスランドの立場は明瞭だ。目的は『核兵器なき世界』であるべきであり、核兵器は体系的で相互的な形で廃棄されねばならない、というものだ。これを実現するもっとも現実的なやり方、そしてまた、我々がもっとも効果的であると考えるやり方は、核不拡散条約(NPT)や包括的核実験禁止条約(CTBT)のような、すでに存在する合意やプロセスに依拠する、というものだ。」

ある外務省関係者は、「NATO自身は『核兵器なき世界』という目標を2010年の戦略概念で掲げているが、同時に、核兵器が存在している間は、核兵器は抑止と防衛準備の一環であり続けると明確化している。トールダルソン外相は、これが防衛同盟の自然なあり方であるとしているが、同時に、NATO諸国は冷戦以来、核戦力を95%も削減していることが留意されねばならない。」と語っている。

これに対してヤコブソン氏は「米国の核戦力のほぼ全部が『近代化』されており、これは明らかにNPTに反するものだ。」とコメントしている。

トールダルソン外相は、122カ国が核兵器禁止条約を採択したあとにアイスランド国営放送が行ったインタビューの中で、「ニューヨークの国連本部で示された措置は現実的なものではない。」と語った。トールダルソン外相は、「核兵器が解体される際は、相互主義の原則に則ってなされるべきだ。NATO加盟国やその他の国々が核兵器を解体した結果、例えば北朝鮮のような国々が唯一の核兵器保有国々として残るようなことがあってはならない。そのような事態を望ましいと考える人は誰もいないはずだ。」と語った。

「核廃絶に向けた努力をNATOが拒む理由が北朝鮮に関連しているとするならば、なぜNATOは、北朝鮮やその他の国に対して核兵器を先制的に使用しないとの確約をしないのか? 北朝鮮について様々な意見があるにせよ、提示されてもいない提案を拒否したことで非難される言われはない。朝鮮半島における最近の緊張の高まりは、両側から炊き付けられているものだ。例えば、米国は韓国にミサイル防衛システム「THAAD」を配備する決定を下した(そしてまた、ミサイル防衛計画全体がNPTに違反するものだと論じることも可能だ。というのも、唯一考えられるその目的は、反撃される恐れなしに核攻撃を加える能力を得ることにあるからだ)。」とヤコブソン氏は指摘した。

Sverrir Jakobsson

アイスランドは、独自の軍隊を保持していないが、イラク侵攻の際には有志連合に参加している。また、様々な国連平和維持活動にも要員を送っており、現在アフガニスタンでも、アイスランド人一名が、NATO報道官として活動している。NATOは定期的に、アイスランドで航空警備作戦を実施している。

アイスランドは、最近の海軍演習「バルトップス」(BALTIC OPERATIONS、6月1~16日)に参加しなかった北欧で唯一の国だ。これは、参加国に高度な訓練を行うことを目的とした多国間の年次海上演習である。今年は14カ国(ベルギー、デンマーク、エストニア、フランス、ドイツ、ラトビア、リトアニア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、英国、米国。それに加えて、NATOの「強化機会パートナー(Enhanced Opportunities Partners)」であるフィンランドとスウェーデン)が参加した。

ノルウェーもまた、NATOに参加する北欧諸国のひとつである。2016年、ノルウェーは、(ボルゲ・ブレンデ外相がいうところの)「圧倒的多数の支持を受けた」軍縮の検証に関する決議を国連総会に提案した。ブレンデ外相は「検証に向けた我々の取り組みは、核兵器ネットワークの将来的な削減に向けた下準備を行う上で不可欠なものだ」と、同国紙に核兵器禁止条約に関するノルウェー政府の立場を表明した寄稿文の中で述べている。

「NATOの核抑止を一方的に引っ込めるだけでは我々の安全保障を強化することにならず、戦略的な不安定さにつながってきた。オランダは交渉会議に参加したが、新条約は、NATOに加盟する同国の立場と折り合わないとの結論に達した。ノルウェーが、唯一のNATO加盟国として、禁止条約に加わることがあるとすれば、ほぼ70年にわたって我々に安全を与えてきた共通の同盟安全保障政策から距離を取ることを意味する。それは無責任な判断だと言わざるを得ない。」というのが、ブレンデ外相の見解である。

Map of Norway
Map of Norway

しかし、ヤコブソン氏は、「NATOに一方的軍縮を進めろとは誰も言っていない。ただ、軍縮に向けた方向で何らかの措置を採ってほしいと言っているだけなのだが、NATOはそれを拒否しているのだ。核兵器は多くの点で特異なものだ。たとえば、使用すれば、間違いなく、大規模な殺戮を引きおこす。この数年にも、核兵器を保有する攻撃的な国々によって引き起こされたものも含めて数多くの戦争があった。」と語った。

「核兵器禁止のために活用されている論理は、禁止条約が核兵器を非正当化するというものだ。他の軍縮プロセスやその効果と比較して論じる人もいる。核兵器はその抑止効果において特異なものであり、他の兵器と比較することは不可能だ。まったく異なった戦略的、政治的意味合いがあり、長崎以降、使用されたことがない兵器である。この敷居は維持されるべきだ。」とブレンデ外相は続けた。

ヤコブソン氏はこうした外相の意見に反論して、「これもまた巧妙な議論だ。核兵器はたしかに多くの点で特異なものだ。たとえば、使用すれば、間違いなく、大規模な殺戮を引きおこす。しかしその抑止効果には疑問を付すことができる。この70年間、戦争を予防することがなかったからだ。」と語った。

ICAN
ICAN

ブレンデ外相の政治顧問のひとりであるマリット・ベルゲル・ロスランド副大臣は、「何が問題なのか?」と問うたICANノルウェー支部のアンネ・マッテ・スカラン氏に反論する寄稿文を書いている。ロスランド副大臣は、「7月7日にニューヨークの国連で交渉された条約には、NPTへの加盟、あるいは、より強力な管理メカニズムを持った国際原子力機関(IAEA)付属議定書への加入が要件とされていない問題がある。これでは、既存のグローバルな核不拡散体制を損ないかねない。」と指摘した。

スカラン氏の疑問は、ノルウェーの日刊紙『クラッセコンペン』に掲載された書簡の一部であった。彼女は続けてこう記している。「ブレンデ氏は、核兵器国が参加していないという事実だけに着目している。それよりも、何が正しく何が間違っているかということについて、以前は声を聴いてもらえなかったプレーヤーたちが場所を占め、力を握り、基準を設定したというところに価値を見出してもらいたいものだ。歴史は、変化が起きる時には、権力や正統性、特権を失った者が抵抗することを示している。しかし、結果的には、それが普通になるのだ。結果的には、新しい規範が確立され、受け容れられるのだ。」(原文へ

翻訳=INPS Japan

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南部アフリカの都市住民を襲う貧困

【ハラレIDN=ジェフリー・モヨ】

人生のある局面において、彼女はジンバブエ国鉄の有能な会計士であった。ジンバブエの首都ハラレから25キロ離れた南東部にある人口の多い非正規居住区エプワースに住む彼女が今送っているのは、「転落人生」である。

5年前に夫を亡くし、3人の子を持つシュバイ・チコトさん(48)は、この数年で貧困層に転落してしまった数多くの南部アフリカの都市住民のひとりにすぎない。そんなチコトさんは、今後13年間であらゆる形態の貧困を根絶するとの目標を国連が掲げたことについて、特に何とも思っていない。

チコトさんにとっては、貧困をなくす取り組みを国連が行うことは、「ないよりはまし」といった程度のものだ。チトコさんはIDNの取材に対して、「持続可能な開発目標(SDGs)に沿って国連でこれらのターゲットが提示されたことを知ってはいますが、いま私が置かれている境遇を見てください。まさに深刻な貧困の中にいます。かつて私が半官半民組織で職を得ていたなんて信じられますか?」と語った。

SDGs Goal No. 1
SDGs Goal No. 1

マラウィのコンドワニ・チエメケゾさんの状況もチコトさんと似たようなものだ。彼女は、スコットランドの伝道師らが1870年代につくったマラウィ最古の都市であるブランタイアのスラム地区に住んでいる。

チエメケゾさんはIDNの取材に対して、「2部屋の粗末な家に孫たちと住んでいます。全員無職で、生きるために道端であらゆるものを売って暮らしています。今は授業料を払うお金がないので孫たちを学校に通わせていません。」と語った。

チエメケゾさんは、エイズのために自身の5人の子を亡くし、自身が(孫にあたる)孤児の面倒を見ることになった。しかも、自身が貧困に見舞われる中でである。

国連によれば、マラウィにおける極度の貧困率は、1990年以来半減しているが、依然として同国の5人に1人が1日1.25ドル以下で生活している。

チエメケゾさんのようなマラウィの都市生活者にとって状況は一層悪化している。

「食べ物は見つけにくいが、ここにもう何年も、何世代にもわたって住んでいるし、行く場所もないから離れることができません。貧しさがひどくなっても、ここで死ぬことになると思います。」とチエメケゾさんは悲痛な笑みを浮かべながら語った。

南アフリカ共和国(南ア)では、とりわけ子どもたちが都市部で蔓延している貧困の犠牲となっている。「南ア統計」によると、同国の子ども970万人が都市のスラムに住んでいるという。

Shanty town in Soweto, South Africa, 2005/ Matt-80 - Own work, CC BY 2.0
Shanty town in Soweto, South Africa, 2005/ Matt-80 – Own work, CC BY 2.0

南ア社会福祉省によると、推定人口5200万人の同国において、およそ190万人が粗末な住居に住んでいるという。

その他多くのアフリカ諸国と同じように、長年にわたって、進行する都市化がこの問題の背景にあり、ヨハネスブルクのメールリ・クマロ氏のように、独立以前の白人少数派政府が都市の貧困の原因を作ったと非難する開発専門家もいる。

ボーア人のアパルトヘイト政府は、黒人の南アフリカ国民のために適切な都市空間を設けませんでした。にも関わらず、黒人が数世紀にわたって、遠隔地を離れ、職を求めて都市に流入しつづけた結果、いまや、あちこちの町や都市に住む貧しい人々が次々とスラムを形成しています。」とクマロ氏はIDNの取材に対して語った。

南アの首都ヨハネスブルクにおいても貧困は広がっている。「南ア統計」によると、同市には4万7000の貧困世帯があり、食料を満足に手に入れられない人がおよそ15万人いるという。

ジンバブエの人権活動家らは、南ア指導者らの強欲こそが、都市部の貧困に拍車をかけてきたと見ている。

「食事もまともに取れず、粗末な家にしか住めない人々が町にいる状態は、人権侵害です。そしてこれは、人びとの生活向上に力を入れず、政治的エリートの利益に奉仕することを選んでいる政府によって引き起こされています。」と、同国で受賞歴がある人権活動家テリー・マツバンガさんはIDNの取材に対して語った。

市民団体によると、ジンバブエでは都市貧困が猛威を振るっている。

貧困削減フォーラム・トラスト(PRFT)のジュディス・カウレム代表は、「2016年6月から17年5月にかけてムタレ、ビンドゥラ、マスビンゴ、ブラワヨ、グウェル、シュルグウィといった都市の貧困地区に住む人々の調査で私たちが使った貧困指標(世帯収入・支出調査)を基礎にして、私たちは、調査対象となった世帯の8割以上が、都市の基礎的ニーズを満たすのに必要な平均コスト以下の収入しか得ていないとの知見を得ました。」と語った。

PRTFによると、都市の基礎的ニーズとは、人間らしく尊厳を持った生活を送るために5人家族が必要とする最低限の量を指すという。

PRTFは、2008年に「貧困削減フォーラム」を前身として創設された市民社会組織(CSO)であり、貧困層に寄り添った社会経済政策の形成・実行に影響を及ぼすことを目標として調査を行っている。

国連開発計画(UNDP)によると、ジンバブエの北側にあるザンビアでは、人口1700万人のうち約4割(680万人)が都市に住んでおり、うち23%が極度の貧困に陥っているという。

アンゴラでは状況はさらに深刻で、米国国際開発庁(USAID)によると、首都ルアンダの人口480万のうち68%が貧困線以下で生活している。

アンゴラの全人口およそ2500万人のうち約7割が、「ムセケ」と呼ばれるルアンダ郊外のスラム地区に住んでいる。公共サービスはきわめて限定的で、施設は老朽化し、資源も基礎サービスも悪化している。

ルアンダで活動する独立の開発専門家ホドゥコマ・バガンバ氏の見るところ、貧困はアンゴラ各地で継続的に悪化してきている。

バガンバ氏はIDNの取材に対して、「貧困は何百万人もの都市住民を飲みこんでいますが、アンゴラの街々に住む人々に逃げ場はありません。誰もがまともな職を得る見通しがないまま都市に留まりつづけようとするので、都市部の貧困がますます深刻になっているのです。」と語った。

Southern Africa regions/ Burmesedays, minor amendments by Joelf - Own work based on the earlier map by Shaund and Nick Roux, CC BY-SA 3.0
Southern Africa regions/ Burmesedays, minor amendments by Joelf – Own work based on the earlier map by Shaund and Nick Roux, CC BY-SA 3.0

人口230万人のボツワナでは、貧困はますます、地方よりも都市部の現象になっていていると言われている。

世界銀行は、「ボツワナ貧困評価」と題された報告書の中で、「2002~03年と09~10年の間で都市化のレベルに変化はないが、貧困はさらに都市の現象になってきている。2009~10年において、ボツワナの人口のうち43%は地方に居住しており、これは2002~03年からわずか1%減少したに過ぎない。しかしボツワナの貧困は、2002~03年から09~10年の間に、より都市における現象となった。」と指摘している。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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「イエメンに死が迫る」なか、国連は頼りにならず

【アンマンIDN=バーンハード・シェル】

アラブ世界で最も貧しい国のひとつであるイエメンで2年以上に続いている紛争に対して、国連は明らかに政治的解決策を提示できずにいる。イエメンでは、国際的に承認されたアブド・ラッボ・マンスール・ハーディ大統領の政府に忠誠を誓う勢力と、反体制組織フーシと組む勢力との間の内戦で国が荒廃している。

独立の情報源によれば、2015年3月以来、7600人以上が殺害され、4万2000人が負傷しているが、その大部分が、大統領側を支持するサウジアラビア主導の多国籍軍の空爆によるものだ。この紛争と、多国籍軍による封鎖で人道的危機が引き起こされ、人口の7割が支援を必要としている。

国連の無力は8月18日にニューヨークで開かれた安保理会合の場でも明らかであった。

この日、事務総長のイエメン問題特別大使であるイスマイル・オウルド・チェイク・アフメド氏は「空・陸・海からイエメンの人びとに死が迫っている」と述べた。

イエメンで空前の規模に広がる病気や感染症について触れたアフメド大使は、「コレラを生き延びた人びとも、イエメンに感染し、和平への道を塞ぎ続けている『政治的コレラ』の悪影響を被り続けることになるだろう。」と語った。

アフメド大使は、「国際社会は平和的解決への支持で一致しているものの、一部の紛争当事者が、内部の分断を利用し個人的利益を得ようとしている。」と指摘したうえで、「現在欠けているものは、紛争当事者が、速やかに、また、言い訳をしたり引き延ばしたりすることなく、戦争を終わらせ、国益を個人的利得よりも優先する意思を示すことです。」と語った。

「問題解決に本腰を入れることなく無作為に時が過ぎれば、アルカイダのようなテロ集団がアラビア半島に拡大し、アデン湾を通って逃れる難民が拡大することを意味し、さらなる破壊と死がもたらされることになります。」とアフメド大使は語った。8月初めには、船を捨てて海に飛び込むことを余儀なくされた41人以上の難民が亡くなっている。

アフメド大使は、安保理で同じく発言したスティーブン・オブライアン国連事務次長(人道問題担当)兼緊急援助調整官が述べた主要な点を繰り返した。

Stephen O’Brien/ International Office, OGL

「紛争以前、イエメンは発展しており、飢餓に悩む人は少なく、通学率も上昇していました。しかし、これが完全に逆転してしまいました。2700万のイエメン人口のうち1700万人の食料が不足し、700万人近くが飢餓に直面し、約1600万人が水不足や衛生問題に直面しています。」とオブライエン事務次長は声明の中で語った。

オブライエン事務次長は、資金不足など、いくつかの重要な課題を挙げた。23億ドルの「イエメン人道対応計画」は、資金をわずか39%しか充足できていない。オブライエン事務次長はまた、重要な商業・人道物資や人員の配置に対する干渉があると強調した。

サナアの事実上の政府や、その支配下にある地域の公務員らは、人道的行動を阻止したり、遅らせたり、さらには干渉したりしています。」とオブライエン事務次長は語った。人道支援関係者は国際社会に対して、全ての港が商業輸送を含めた民間に対して開放されるように要請していた。

オブライエン事務次長は、影響力のある諸政府や個人に対して、戦闘当事者に対して働きかけて、国際人道法・人権法を尊重し、アカウンタビリティを強化するようにさせるべきだと訴えた。

120万人の公務員給与が数か月も遅配になっていることから、オブライエン事務次長は、「公務員の給与を支払って国の基本サービスが崩壊しないようにしなくてはならない。」と呼びかけた。オブライエン事務次長はまた、「この人道的な悲劇は、意図的かつ無慈悲に引き起こされているものです。これは政治的なものであり、いずれも現在は欠けている意志と勇気をもってすれば、止めることが可能なものです。」と指摘したうえで、国連が訴えている、紛争に対する政治的な解決の必要性を改めて表明した。

国連はこれまで3回の和平協議を開催している。2016年4月にクウェートで開かれた3回目の協議では突破口があるかに思われた。フーシ側もサウジ側も、協議に向かうようプレッシャーを受け、その意思があるように見えたからだ。

しかし、3カ月後に協議は失敗に終わり、戦闘は激化した。国連によれば、これによって民間の死亡者数は劇的に増加したという。

ハーディ大統領率いる政府は、反乱軍が支配下のすべての地域から撤退し武装解除に応じることを求めた国連安保理決議2216が完全に履行されない限り、政治的プロセスは進まない、と主張している。

Abd_Rabbuh_Mansur_Hadi_2013
Abd_Rabbuh_Mansur_Hadi_2013

しかし、報道によれば、ハーディ大統領側も追い込まれている。『フォーリン・ポリシー』誌が報じた国連の秘密報告書によると、「ハーディ大統領の権威は、彼を権力の座に戻そうと奮闘しているサウジアラビアとアラブ首長国連邦が資金援助し支配している武装集団によって崩されている。」という。

さらに同レポートは、「ハーディ政権の閣僚の一部はすでに彼と袂を分かち、イエメン南部の支配を視野に入れて別の移行協議会を作っている。国連の専門家パネルによると、この協議会はイエメン軍からのかなりの支持を受けており、ハーディ大統領による南部統治の能力にとって大きな脅威となっている。」と述べている。

報告書はまた、「イエメンの正統政府の権威は今年に入ってかなり落ち込んでおり、多くの地域においてすでに弱体化しているか不在状態である。正統政府がその実効支配下にあると主張している8つの地域を効果的に統治する能力については、いまや疑問が付されている。」と報告書は述べている。

『フォーリン・ポリシー』誌はさらに、「約2年半にわたって、米国製の航空機と精密誘導ロケットで武装したサウジアラビアやその同盟国が、世界で最も貧しい国のひとつに対して最も先進的な空爆を仕掛けてきた。」と報じている。

「しかし、サウジアラビア主導連合の圧倒的な軍事力は、決して彼らを勝利に近づけてはいない。むしろ、イエメンの政治的分裂を促進し、人道的危機を深めて国を飢餓の瀬戸際に追いやり、多数の民間人被害に対する民衆の怒りに火をつけている。」

『フォーリン・ポリシー』誌は、国連安保理専門家パネルの次の言葉を引用している。「サウジアラビア主導の連合軍による戦略爆撃は、現地に作戦面あるいは戦術面の効果をほとんど及ぼすことなく、かえって市民の抵抗をより強固にしてしまっている。」連合軍はまた、民族的なフーシの反体制勢力と、首都のサナアを含めたイエメンの13地域を支配する、失脚した元指導者であるアリ・アブドラ・サーレハ氏との間の軍事同盟を「強化」する結果になっている。

この混乱によって、イスラム国やアルカイダのような過激主義者が跋扈する土壌が生まれており、専門家パネルは、これが「『西側』の目標に対するテロ攻撃を仕掛けようと狙っている。」とみている。報告書は、アルカイダが船舶に対する攻撃の実行能力を強化しているかもしれないと指摘し、同集団がかつて支配していたムカラで海上攻撃用の爆発装置と海洋レーダースキャナーが押収された事実を引用している。アルカイダの現地指導者であるカシム・アルレイミ氏は最近、西側の目標に対する「単独行動による」攻撃を仕掛けるよう呼びかけるビデオを流している、と専門家パネルは指摘している。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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Disarmament Talk with former UN Under-Secretary-General Jayantha Dhanapala

Former UN Under-Secretary-General and outgoing Pugwash Conference President Jayantha Dhanapala explains ‘old’ and ‘new’ nuclear dangers the world is confronted with.

In an interview with IDN-INPS Editor-in-Chief Ramesh Jaura, he commends Kazakh President Nursultan Nazarbayev for his commitment to resolving global issues, and proposes ‘Astana peace process’ – as in the case of Syria – to revive six-party talks on Korea. Venue of the interview during the Pugwash Conference on ‘Confronting New Nuclear Dangers’ (August 25-29, 2017) was the Radisson Hotel in Astana, Kazakhstan.

WATCH VIDEO > Interview with Jayantha Dhanapala

In Astana with Nuclear Disarmament Expert Tariq Rauf

Tariq Rauf, former Director of SIPRI’s Disarmament, Arms Control and Non-proliferation Programme, explains in an interview with IDN-INPS Editor-in-Chief the ‘old’ and ‘new’ nuclear dangers confronting the world, and reveals how and why the 65-nation UN Conference on Disarmament in Geneva remains blocked for nearly two decades.

Because each of the 65 members exercises veto, the CTBT has not entered into force after 21 years. He also looks at North Korea and describes the difficulties on way to the Middle East becoming a nuclear weapons and WMD free zone. Venue of the interview during the Pugwash Conference on ‘Confronting New Nuclear Dangers’ (August 25-29, 2017) was the Radisson Hotel in Astana, Kazakhstan.

WATCH VIDEO > Disarmament Talk with Non-proliferation Expert Tariq Rauf

ATOMプロジェクト名誉大使カリプベク・クユコフ氏インタビュー

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.

INPSは、パグウォッシュ会議が「新たな核の危機に直面して」というテーマを掲げ、カザフスタンで「核実験に反対する国際デー」(8/29)に合わせて開催したを第62回総会を取材した。ラメシュ・ジャウラ編集長とアスタナで合流したINPS Japanの浅霧勝浩マルチメディアディレクターは、会議期間中、「ATOM(廃止する=Abolish、実験=Test、私たちの使命=Our Mission)プロジェクト」の名誉大使で、腕のない芸術家・反核活動家であるカリプベク・クユコフ氏とのインタビューを収録した。

クユコフ氏は、セミパラチンスク核実験場の閉鎖に重要な役割を果たした。ソ連時代、クユコフ氏を含む150万人以上のカザフスタン国民が核実験の影響に曝され、今日までに、奇形や疾病、生涯にわたる健康上の問題を抱えた子どもたちが生まれてきた。

Honorary Ambassador of the ATOM Project and non-proliferation activist Karipbek Kuyukov talks to IDN-INPS about the success of the broad-based movement for the closing down of the nuclear testing site independent Kazakhstan inherited from the Soviet Union after its collapse. He urges North Korea to end nuclear tests and appeals to the international community to help usher in a world free of nuclear weapons.

翻訳=INPS Japan

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LEU備蓄バンク開設式を取材

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Video documentary filmed by Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan

INPS Japanの浅霧勝浩マルチメディアディレクターはドイツから合流したラメシュ・ジャウラ編集長と共に、国際原子力機関(IAEA)がカザフスタン東部のウストカメノゴルスク(オスメケン)に設置した「低濃縮ウラン(LEU)備蓄バンク」と運営主体のウルバ冶金工場を視察する国際プレスツアーに参加し、取材及びドキュメンタリーを制作した。また、翌日首都アスタナとLEU備蓄バンクを衛星で繋いで開催された開設式(天野之弥IAEA事務局長ヌルスルタン・ナザルバエフ大統領が共催)を取材した。この映像は、開設式後に開かれた記者会見の様子を収録したものです。

低濃縮ウラン(LEU)バンクは、ウラン濃縮能力のない国々が安定した核燃料提供を受けられるようにすることで、核不拡散条約が加盟国に認めている「核の平和利用」を保障すると同時に、核不拡散の強化に貢献することを目的としている。

Press Conference following the inauguration ceremony of the International Atomic Energy Agency (IAEA) Low Enriched Uranium (LEU) Bank Storage Facility on Aug 29. INPS visited the Facility at the Ulba Metallurgical Plant (UMP) in the eastern city of Ust-Kamenogorsk on the previous day together with journalists from around the world.

INPS Japan

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ジャヤンタ・ダナパラパグウォッシュ会議議長インタビュー

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.

INPSは、パグウォッシュ会議が「新たな核の危機に直面して」というテーマを掲げ、カザフスタンで「核実験に反対する国際デー」(8/29)に合わせて開催したを第62回総会を取材した。ラメシュ・ジャウラ編集長とアスタナで合流したINPS Japanの浅霧勝浩マルチメディアディレクターは、会議期間中、ジャヤンタ・ダナパラパグウォッシュ会議議長の単独インタビューを収録した。

パグウォッシュ会議は、核兵器を否定し、「あなた方の人間性を心に留めよ」、「紛争を平和的に解決する方策を見出そう」等、世界の指導者らに「新しい思考」を促した1955年のラッセル=アインシュタイン宣言に端を発しており、共同創設者であるジョセフ・ロートブラット卿とともに1995年にノーベル平和賞を受賞した団体である。

Former UN Under-Secretary-General and outgoing Pugwash Conference President Jayantha Dhanapala explains ‘old’ and ‘new’ nuclear dangers the world is confronted with, commends Kazakh President Nursultan Nazarbayev for his commitment to resolving global issues, and proposes ‘Astana peace process’ – as in the case of Syria – to revive six-party talks on Korea. Venue of the interview during the Pugwash Conference on ‘Confronting New Nuclear Dangers’ (August 25-29, 2017) was the Radisson Hotel in Astana, Kazakhstan.SHOW LESS

翻訳=INPS Japan

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