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|アフガニスタン|NATOはタリバンを制圧できるか

【カブールIPS=ダド・ノラニ】

2週間前、NATOは暴動が激化するアフガニスタン南部の統制を米国から引継ぎ、指揮官は「必要があれば容赦なく攻撃する」と宣言した。だが暴徒鎮圧に本当に必要なものは何か。

今週、トラックで移動中の12人のアフガニスタン人警察官が、連合軍の誤爆により死亡した。連合軍はトラックがタリバン所有のものだったと主張している。事件のあったパクティカ州の知事はカルザイ大統領に報告し、大統領は即座に亡くなった警察官への十分な補償と詳細な調査を命じた。

3年前にアフガニスタンに配備されたNATOの国際治安支援部隊(ISAF)が徐々に存在感を拡大している中、もっとも危険な地域と見られているアフガニスタン南部では、昨秋からタリバンが活発な動きを示している。

 NATOは治安維持、中央政府の権威拡大、復興プロセスの加速を任務とし、アフガニスタン政府および国際社会から活動への助言を受け、定期的に戦略の評価を行なうとしている。米軍主導の部隊は政府および国際社会との協調という点が問題とされていた。

NATOの高官は対テロ軍事作戦には従事しないと言明したが、アフガニスタンの人々が知りたいのは、NATOが地域社会や外国からの支援を受けている反乱勢力との戦いに勝てるのかということだ。さらに麻薬マフィア、危険な近隣諸国、政府の腐敗などの問題もある。南部における最大の問題は、反乱勢力への外国からの支援だろう。

反乱勢力を追いつめるだけではなく、パキスタンとの国境から侵入してくるテロの支援を食い止めなければならないのは周知である。より強固な行動が国際社会に求められている。

また国内および国際部隊に対する国民の信頼を高めることも必要である。人々は反乱勢力の抑圧と極度の貧困から逃れたいと切実に願っている。かつてのソビエトと同じように国際部隊は大都市に基地をおいて活動し、アフガニスタン南部を意図的に回避してきた。南部に展開したNATO軍は変化をもたらすことができるだろうか。

タリバンの活動が活発化しているアフガニスタン南部へのNATO軍の展開について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan 

『慎重な楽観主義(cautious optimism)』へ移行するHIV/AIDS問題

【カナダ、ブルックリンIPS=スティーブン・リーヒ
 
2年に一度開催されている国際エイズ会議が今月13日、カナダのトロントで開催される。UNAIDS(国連合同エイズ計画)によれば、エイズに対する効果的治療や予防、エイズ対策資金の拡大、さらにHIV感染率の安定化により、最近ではエイズ撲滅に向け大きく前進しているとの見方がある。今回の6日間にわたる最大規模の国際会議は、『慎重ながらも明るい見通し』が期待できるものになるだろう。

 現在、世界のHIV感染者の累計は約4000万人に達しているという。そのうちアフリカは約2530万人を占めている。国連の最新の統計によると1981年以降、世界中で約2500万人がエイズで死亡していると見られている。

しかし一方で、エイズウイルスに関する多くの知識や効果的な治療法の研究開発は順調に進められている。Austrian AIDS Societyの代表であり医師のB.シュミート氏は「重要なのはこれら大量の知識や経験を今後、AIDS治療や予防に広く役立てる方法を見出すことである。今年の会議のテーマ『Time to Deliver』は、エイズの適切な予防や治療法を全世界に広げることがいかに差し迫った問題であるかを世界に強くアピールしてくれるだろう」とIPSの取材に応じて語った。

会議では研究者たちによるHIV-1型の新しい研究成果の報告や、感染に抑制的な影響を及ぼす要因の調査が実施される予定である。また、エイズウイルスに有効なワクチンを製造するため(現在進行中である)取り組みについても発表されることになっている。

専門家の間には、HIV/AIDSとの闘いも終盤に入ったと楽観視している者もいるが、東ヨーロッパ、インド北部、一部の中国では未だに感染率は上昇傾向にある。AIDS感染率が最も高いアフリカでは、効果的な対策により一部の地域では感染率が低下したものの、特に極度の貧困に喘ぐ地域では医療関係者の不足や運搬・インフラの不備が原因で適切な治療や診断さえできない状況である。さらに、ウイルス感染を加速させる原因にもなりかねない食料不足や水資源の確保など問題は山積している。

(HIV/AIDS撲滅へ向けた先行きの展望が開けつつあると判断する一方で、今後も慎重な目で様々な運動をフォローしていくとする)『慎重な楽観主義(cautious optimism)』の時期に入ったとされるエイズ問題について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan

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二重苦に苦しむ子どもたちの暗い将来

|イスラエル|狙いは米国の対イラン戦争の地ならしか

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【ワシントンIPS=ガレス・ポーター

国際戦略問題研究所顧問でイスラエルの国防政策の専門家エドワード・ルトワック氏は、イスラエルの

ヒズボラ攻撃は、対イラン攻撃に関する米政権の考えを転換させるためのものだったと指摘している。

同氏によれば、過去においてブッシュ政権の高官らは、イランの核施設空爆のオプションについて、ヒズボラによるイスラエル北部へのロケット弾の報復攻撃で数千に及ぶ犠牲者が出ると推定し、非公式に却下してきた。イスラエルの高官は、ヒズボラのロケット兵器を破壊し、イランからの再供給を阻むための対レバノン攻撃は対イラン攻撃という軍事オプションに対するそうした反対を排除する手段と考えている、とルトワック氏は言う。

 イランがヒズボラに供給してきたミサイルは、イスラエルの対イラン攻撃の抑止を明確に意図するものである、というのがイランとヒズボラに関する専門家らの長年にわたる見方である。イスラエルのジャフィ戦略研究所のイランの専門家エフライム・カム氏は、イスラエル北部に対するヒズボラの脅威は、米国からの攻撃に対するイランの抑止力における重要な要素と2004年12月に書いている。
 
 イスラエルは何カ月もかけて対ヒズボラ攻撃の計画を練ってきた。5月23日のブッシュ大統領との会談におけるオルメルト首相の目的は、イランのウラン濃縮計画の阻止に必要な場合には武力行使を行なうことに同意を迫ることであったのは明らかである。

オルメルト首相は、イランの核施設空爆のリスクを大幅に削減する策としてヒズボラのミサイル能力を低下させる計画を議論し、ブッシュ大統領が了解したものと思われる。米国では報道されなかったが、首相が会談後イスラエルのメディアに言った「とても、とても、とても満足」とのコメントもこれでうなずける。

さらに、イスラエルに停戦を求める動きに対しブッシュ大統領が同意していないことも、大統領がイスラエル政府にいかなる名目を使っても攻撃を始めるよう促したことを示唆している。イスラエルの計画は、チェイニー副大統領とラムズフェルド国防長官にイランの核施設攻撃を主張する新たな手立てを与えたかもしれない。

イスラエルのヒズボラ攻撃について歴史家で安全保障政策のアナリストであるガレス・ポーターの論説を紹介する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan

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米国に直接対話のシグナルを送るイラン



|タイ|鳥インフルエンザに安価なジェネリック薬製造

【バンコクIPS=マルワーン・マカン・マルカール】
 
タイはジェネリック薬品を製造し、エイズ患者の延命に成功している。今度はジェネリック薬品でもう1つの致死的ウイルス、鳥インフルエンザから市民を守る準備が整った。

タイの科学者はタミフルのジェネリック薬製造に成功したと発表した。現在のところタミフルは、鳥インフルエンザの大流行を阻止することのできる唯一の薬品であり、発表のタイミングは絶妙だった。同国では7ヵ月の小康状態の後、伝染力の強いH5N1型ウイルスが家禽に発生して対応を迫られているところに、より安価な治療の可能性がもたらされたからだ。

 タイ科学技術開発局のシリレルク・ソンシビライ(Dr. Sirirerk Songsivilai)副局長はIPSの取材に応じ、「タミフル錠を製造するのは商業目的ではなく、社会の安全保障のためである。国内で製造できるようになったので、在庫を増やしたい」と語った。

政府医薬品局(Government Pharmaceutical Organisation:GPO)のモンコル・ジワサンチカーン(Dr. Mongkol Jiwasantikarn)局長は4日『ザ・ネーション(The Nation)』紙で「タミフルが不足すれば鳥インフルエンザの大流行は避けられず、今回の成功はタイを救うことになろう」と語ったと報じられた。

政府機関であるGPOは、率先して同国の患者に安価なジェネリック医薬品を提供してきた。2002年にはジェネリック抗エイズ薬の提供を開始し、1ヶ月に必要な投薬量の薬価を30米ドルに抑制する目覚しい業績を上げている。当時、先進国の医薬品業界大手が製造する抗エイズ薬は1ヶ月で450ドルもしていた。

3日の記者会見で今回の成功が発表され、GPOも国内生産薬が薬価を大幅に抑制すると確認した。ジェネリック薬は公立病院で処方し、1カプセル70バーツ(1.85ドル)とする予定。これはブランド版タミフルの1カプセル120バーツ(3.15ドル)と比較するとほぼ半額である。

タイの2人の科学者がジェネリック版タミフル抗ウイルス薬の製造開発に要した6ヶ月の間に、スイス医薬品大手ロシュが製造する特許版タミフルの供給不足が世界中で問題となった。同社は、タミフル特許権の放棄を迫られた。ロシュに批判的な人々の中には米上院有力者もいる。鳥インフルエンザが引き金となって大流行が起きることも予想される状況で、タミフルの特許権保護を図ることは、多国籍企業である同社が人の命より利益を優先する姿勢を露骨に示すものとみなされた。
 
 この致死的ウイルスの発生地である東南アジアの開発途上国では、タミフル供給不足の不安はいっそう高まった。西側の裕福な国がロシュの提供する限られたブランド版タミフルを買占めたからである。

現在、タイは100万錠のタミフルを備蓄している。このなかにはオリジナル版と、インドから輸入した成分で製造したジェネリック版がある。GPOは、初回製造期間でタイ版タミフル100万錠を製造し、備蓄に加えることを望んでいる。

WHO(世界保健機構)東南アジア局の広報官ハーサラン・パンデイ(Harsaran Pandey)氏は電話取材に応じ、「各国がジェネリック医薬品を製造することには何の問題もない。危機の第1段階に対処する薬品を入手することになるのだから。しかし、どの国も、アメリカのように裕福な国でさえ、全国民に行渡る量の備蓄をしようとしていない」とニューデリーから応えた。

WHOは、発生地において患者に適切な投薬を行うなど様々な予防策を講じない限り、鳥インフルエンザは世界的大流行を引き起こすと警告を発している。ヒトの間で新型ウイルスの感染が起きるような事態になれば、何百万人もの犠牲者が出るだろう。

世界的な人道主義団体である国境なき医師団(Medecins Sans Frontieres:MSF)も、今回のGPOのジェネリック薬開発を支持する。「膨大な数の人間に感染する恐れのある疾病について、国にジェネリック薬品を製造する能力があるなら製造すべきである。ただし、薬品の質はよいものでなければならない」とMSFベルギー支部のタイ国コーディネーであるターポール・コーソーン(Paul Cawthorne)氏はIPSの取材に応じて語った。

「ロシュは現在の需要に対して供給能力がなく、特許保護を訴える立場にはない。特許を保護しようとすれば、公的分野の競争に敗れるだろう」

GPOが大流行に歯止めをかける希望を与える一方、7月以来、鳥インフルエンザがタイ北部、中部地域で急速に拡大している。4日までに、15地域の家禽にH5N1型ウイルスが拡大したことを動物疾病の専門家は確認した。

国民保健省は鳥インフルエンザ感染が疑われる者のリストに164人を加えた。先月には17歳の少年が亡くなり、2004年以来の鳥インフルエンザによる死亡者は15人となった。

ウイルスに感染した家禽類との接触でヒトに死亡者が出ているのは10カ国に上り、タイはその1国である。WHOによれば2003年の冬以来、感染者は232人に上り、そのうち134人が現在までに亡くなっている。鳥インフルエンザの死亡者が最も多いのはベトナムとインドネシアで、それぞれ42人が亡くなっている。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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|チリ|今こそ過去の人権犯罪の真相究明に乗り出す時

【サンチアゴIPS=グスタボ・ゴンザレス】

パラグアイの元独裁者アルフレド・ストロエスネル氏の死去は、チリで新たな論争を呼び起こした。元独裁者アウグスト・ピノチェト(1973~1990年)が死去した場合、政府と軍はいかなる対応を取るのか、という問題である。

この問題を公の場で持ち出したのは、チリ陸軍司令官オスカル・イズリエタ将軍だった。ストロエスネル氏がブラジルで亡命生活の末に93歳で死亡したとの報道を受け、イズリエタ司令官は水曜夜、もしピノチェトが死亡時になお法的訴追の対象となっていたとしても、軍は「最大限の栄誉」をもって遇すると語った。その理由として同氏は、有罪が確定するまでは法的に「無罪と推定される」からだと説明した。

これは、パラグアイのニカノル・ドゥアルテ大統領が、ストロエスネル氏の遺体の帰国は認める一方で、逃亡中の身で死去した以上、いかなる栄誉も与えないと述べたことについて、テレビ局Chilevisiónの記者から見解を問われたことに答えたものだった。

現在90歳のピノチェトは、糖尿病や心血管系の疾患を抱え、常時医療管理下に置かれている。だが、こうした健康問題は同時に、人道に対する罪をめぐる訴追を免れる盾ともなってきた。

人権団体は、とくに「軽度の認知症」とされる症状が、ピノチェトに事実上の免責を与える役割を果たしてきたと批判している。裁判所は、1973年のクーデター直後に政治犯を各地で殺害した「死のキャラバン」事件や、1974年にブエノスアイレスで起きた前陸軍司令官カルロス・プラッツ将軍暗殺事件に関し、ピノチェトには裁判に耐えるだけの精神的能力がないと判断してきた。

もっとも、これらの事件が再び審理対象となる可能性はなお残されている。活動家やアナリストの間では、高齢の元独裁者が本当に認知症なのか、それとも裁きを逃れているだけなのか、疑問視する声が絶えない。しかも現在は、ピノチェト本人とその家族について、脱税や公金の不正流用に関する捜査も進められている。

昨年チリの裁判所に持ち込まれた事件によれば、米国のリッグス銀行やその他の海外金融機関に、ピノチェト、その妻、5人の子ども、さらに側近らの名義による秘密口座が存在していたことが判明しており、そこから脱税と不正蓄財の疑いが浮上している。

現在は引退したフアン・グスマン判事はかつて、「死のキャラバン」による57件の殺害と18件の「拉致」(強制失踪)について、ピノチェトには法的責任があり、裁判にかけられるべきだと判断した。だが2002年7月、最高裁は下級審の判断を支持し、ピノチェトには公判に耐える精神的能力がないと結論づけた。

さらに2005年3月には、最高裁は、それ以前に控訴裁判所が下していた免責特権剥奪の判断を覆した。この剥奪判断は、ピノチェトの「認知症」を根拠としていた。結果として、元独裁者が被告とされていたプラッツ将軍夫妻の爆弾テロ暗殺事件も打ち切られることになった。この暗殺は、独裁政権の秘密警察DINAによって組織されたもので、当時その長官だったマヌエル・コントレラス大佐は、ピノチェトに直接報告する立場にあった。

重要なのは、これら2件の事件でピノチェトの無罪が認定されたわけではない、という点である。論争を呼んだ医療鑑定に基づき、「軽度の認知症」のため裁判に耐えられないと判断されたにすぎない。

それにもかかわらず、イズリエタ司令官は、軍が将来ピノチェトの葬儀に全面的な軍の栄誉を与える方針を正当化しようとした。退役将軍であるピノチェトは、有罪判決を受けない限り無罪と推定されるべきだ、というのがその論拠である。「判決が出ていれば話は別だ。しかし訴追の途上にある限り、法の下では無罪と推定される」と同司令官は述べた。

だがこの主張は物議を醸している。「死のキャラバン」事件やプラッツ事件で無罪判断が出ていないことに加え、ピノチェトは認知症とされた後も、リッグス銀行事件の捜査によれば、海外銀行口座の管理を続けていたからである。本人や家族、側近らは、秘密口座に少なくとも2000万ドルを蓄えていたとみられている。

軍は、1973年から1998年まで陸軍総司令官を務めたピノチェトに対し、死去の際には軍葬の栄誉を与える用意があるだけでなく、現在も高額の年金、護衛、さらには複数の裁判における弁護費用の負担といった特権を与え続けている。

もっとも、極右組織「祖国と自由(Patria y Libertad)」の創設者で、現在ピノチェト弁護団を率いるパブロ・ロドリゲス氏は、自らの弁護活動は政治的信念に基づくものであり、無報酬で行っていると繰り返し述べている。

多くの国際的な観測筋にとって、人権侵害と汚職の双方で数々の訴追を受けているピノチェトが、なお軍人恩給や退役将軍としての地位を保持していることは理解しがたい。だが、同じことはDINA元長官マヌエル・コントレラスにも当てはまる。コントレラスは、1976年の元外相オルランド・レテリエル暗殺事件で7年間服役し、現在も別の人権侵害事件で収監されているにもかかわらず、軍から除隊も降格もされていない。

ストロエスネルとピノチェトの共通点は、高齢の元独裁者であることにとどまらない。両者は権力の座にあった時代、一定の結びつきも築いていた。ストロエスネルは、国際社会がチリ独裁政権を孤立させる中にあって、数少ない例外的な存在だった。1974年9月、サルバドール・アジェンデ政権を打倒したクーデターから1年後、ストロエスネルはサンティアゴを訪れ、「陸軍栄光の日」の式典に主賓として出席し、ピノチェトと勲章を交換している。

さらに、パラグアイ独裁政権(1954~1989年)は、DINA工作員アルマンド・フェルナンデス・ラリオス少佐と、米国出身のマイケル・タウンリーに偽造旅券を提供し、反カストロ派キューバ亡命者らと連携してレテリエル暗殺を計画するため、米国入国を可能にしたとされる。

チリの被拘禁・失踪者家族会は声明で、「ストロエスネルは、アウグスト・ピノチェト、ラファエル・ビデラ(アルゼンチン)、フアン・マリア・ボルダベリー(ウルグアイ)、ウゴ・バンセル(ボリビア)らと並び、邪悪な『コンドル作戦』の責任者の一人だった」と指摘している。

この秘密裏の「コンドル作戦」によって、「南米南部地域の独裁政権は、政治的反対者、とりわけ左派活動家を、組織的かつ協調的に排除することが可能になった」と声明は述べている。さらに同人権団体は、「元独裁者の死は、ストロエスネルがパラグアイに対して犯した犯罪と汚職を調査・解明し、裁くことができなかった国際社会に空白を残した。それは、また一人の独裁者が、政治亡命の目的を誤って解釈した保護のもと、まったくの不処罰のまま死んでいったという感覚を残す」と批判している。(原文へ) 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩 


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|アフガニスタン|深刻な小麦不足は干ばつとケシ栽培が原因

【カブールIPS=セディクラ・バデル(The Killid Group)】

アフガニスタンの主要作物であり、主食の小麦の生産量が今年は440万トンから370万トンに減少。7月25日には緊急援助委員会の委員長を務めるモハマド・カリム・カリリ副大統領が、250万人が深刻な食料不足に苦しんでいると明らかにした。

農業省は長引く干ばつが原因としていているが、専門家と一般市民は、利益の多いケシ栽培に転換している農民が増えていることも重大な要因と訴えている。背景には、周辺諸国からの安い輸入小麦粉がある。

農民は、政府の問題への対応が遅く、未解決の問題が食料不足の原因だと主張する。

地球温暖化の中、水不足、干ばつ、自然災害が問題の根源にはあるが、農地の3分の2が灌漑用水に頼っているアフガニスタンにとって、ダムの建設や配水システムの整備が緊急課題である。

 安い輸入小麦を規制する法律の制定や手続きの導入など、政府による農民に対する保護策も求められる。国内外の農産物の価格や市場に関する情報、金融融資や原材料の供与、改良種・肥料・農薬の提供なども不十分なままである。

国連とアフガニスタン政府は7640万米ドルの食料援助の要請を共同で行なった。これまでに米国際開発庁(USAID)(世界食糧計画に2000万ドルの拠出を約束)、日本(300万ドル)などから拠出の申し出が来ている。

農業灌漑相は、水の供給に700万ドル、動物飼料900万ドル、食料に5000万ドルが必要としている。

政府が小麦危機への迅速な対応策を見出せないでいると、アフガニスタンの農民は確実にケシ栽培への転向を図るだろう。これは長期的に政府を深刻な窮地に追い込むものである。アフガニスタンの小麦不足の原因について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan 

|ソマリア|糾弾、暗殺、辞任

【ナイロビIPS=ジョイス・ムラマ】


 今週末に行なわれた不信任投票で、ソマリアのアリ・モハメド・ゲディ首相は解任を免れた。ゲディ首相率いる政府は、東アフリカの国ソマリアに秩序と調和をもたらさないと、国会議員から糾弾されていた。投票は、閣僚が暗殺され、議員が銃撃され、さらに政府報道官によると11人の大臣が辞任するという騒然とした週を締めくくるものとなった。

不信任決議では、ソマリア暫定政権の88人の国会議員がゲディ首相を支持した。126票は不支持だったが、決議成立に必要な3分の2以上の多数となる139票にはわずかに及ばなかった。

 現暫定政権は、地域的組織である「政府間干ばつ開発機構」が陣頭指揮を取った2年を超える話し合いを経て、2004年に隣国ケニアで成立した。暫定政府は昨年ソマリア中南部のバイドアに移ったが、政権の影響力をソマリア全土に及ぼすことができないでいる。ソマリアの国土は、1991年に独裁者モハメド・シアド・バレが失脚して以来、抗争を続ける部族により、それぞれの領地に切り刻まれている。

先月、イスラム過激派が米国に支援されていると見られていた派閥の領袖から首都モガディシュの支配権を奪い、南部の大半における権力も掌握した。米国政府はこのイスラム過激派がアルカイダの活動家を匿っていると主張しているが、母体であるイスラム法廷連合(UIC)は否定している。
 
7月29日の不信任決議は、275議席の国会でゲディ首相の退陣を求めて行なわれた2度目のものだった。2004年に退陣を求めた決議は、ゲディ首相の任命が暫定国家憲章(暫定憲法)に違反していると考えた国会議員により可決された。しかしながらアブドゥラヒ・ユスフ・アフメド大統領はその後ゲディを再び首相に任命した。

今回の不信任案が可決されていれば、すでに多くの大臣が辞任して弱体化している政府は崩壊していただろう。

報道によると、イスラム過激派が数十キロまで迫っているバイドアに、議会の承認を得ないまま暫定政府支援のためのエチオピア部隊が7月初めに到着したことに大臣たちは反発した。大臣たちはなぜ軍隊の配備に国会の承認を得ようとしないのか質問したが、エチオピアは依然答えようとしない。

さらに大臣たちは政府とUICとの対決を防ぐための交渉におけるゲディの無能と、交渉進展の障害となっていることを非難した。この交渉はエチオピアの部隊が姿を見せたことによって中止となっている。エチオピア部隊の出現は過激派を刺激して、エチオピアに対する「聖戦(ジハード)」を宣言させることにもなった。ソマリア人の多くはエチオピアに根強い反感を抱いている。ここ数十年、両国が何度も衝突を繰り返しているせいである。

イスラム法廷連合(UIC)と暫定政府の交渉はスーダンの首都ハルツームで8月1日に再開される予定だが、イスラム側はエチオピアの部隊がソマリアから撤退すれば参加すると言っている。6月に始まった交渉はアラブ連盟が主導している。

ソマリアのもうひとつの隣国エリトリアも、ソマリアは1992年に武器を禁輸しているにもかかわらず、UICに武器を供給し続けて事態をいっそう複雑にしている。

「先週、エリトリアからイスラム過激派への武器を搭載していると見られる貨物輸送機2機がモガディシュに到着した」とモガディシュの現地ジャーナリストはIPSの取材に応じて語った。この事実は、エリトリアとエチオピアとの長年の緊張関係がソマリアにおける紛争として表面化するのではないかという不安を掻き立てる。

 両国は1998年から2000年まで激しい国境紛争を起こしており、その前の戦いで1993年にエリトリアはエチオピアから分離している。

「ソマリアは最悪の状況に進んでいる。人々は事態の展開を敏感に観察していて、もうまもなくエチオピアとエリトリアの代理戦争がソマリアの地で行なわれるのを目撃するのではないかと考えている」と現地ジャーナリストはいう。

週末の報道によると、ゲディ政府はイラン、リビア、エジプトもイスラム過激派を支援していると非難した。

近隣地域が煽る戦争がソマリアで起こる可能性の迫っている中で、29日には数百人の人々が田舎町バイドアのモスクの外で前日に暗殺されたアブダラ・イサク・ディロウ憲法連邦問題大臣の葬儀に参列するためにバイドアに集まった。

「殺害の原因はまだ分かっていないが、警察は犯人を逮捕して投獄した」と、暫定政府のアブディラーマン・ディナリ報道官は、バイドアからIPSの取材に応じて語った。バイドアでは28日の暗殺をきっかけに暴動が起きた。

その前々日にも国会の憲法問題委員会のモハメド・イブラヒム・モハメド委員長が銃撃を受けた。同委員長は一命を取り留めている。

匿名を条件に、ある政治評論家は、「ソマリアの情勢を改善するためにはアフリカ連合(AU)の介入が鍵だ」と語った。「アフリカ連合を通じたアフリカの存在がソマリアに介入し平和をもたらす手伝いをする必要がある」とモガディシュを訪れた評論家はいう。

しかしながら、平和維持部隊をソマリアに送るという、AU53カ国によって先月行なわれた提案は、UICに拒否された。UICはそのような部隊はソマリアの混乱をより刺激し、より深めるだけだとしている。(原文へ

翻訳=IPS Japan

IPS関連ヘッドラインサマリー:
ソマリアから脱出するジャーナリスト

|アフガニスタン|タリバンの命令で閉鎖される学校

【カブールIPS=ハディ・ガファリ、アディラ・カビリ】

アフガニスタンのウルズガン州のいくつかの地区には、学校が全くない。学校があったとしても、教員不足・教材不足のために生徒が集まらない。これは、反政府勢力のタリバンが学校を自らの闘争のターゲットのひとつとしているためだ。

中部のダイクンディ県では、38の学校が教員不足のために閉鎖の危機にある。8,000人の生徒が影響を受けている。

街の建物の壁には「夜の手紙」と呼ばれる警告書が張り出されている。ここには、宗教教育のために子供をモスクの学校に通わせるよう書かれている。

7月18日には、パクティカ県ワザクワ地区において、ある高校が放火された。

米国の団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によると、過去18ヶ月の間に教員や生徒、学校に対する暴力事件が約200件記録されている。また、少なくとも18人の教員・教育当局者が暗殺されている。

教員の不足や学校の閉鎖には、国際的なドナーがアフガンの教育への支援を徐々に減らしつつあるというもうひとつの原因もある。しかし、マンスリ経済大臣はこうした関係を否定している。

不安定化するアフガンの教育について報告する。(原文へ)

翻訳/サマリー=IPS Japan


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表現の自由を求めるパキスタンのジャーナリストたち

|ネパール|武装解除はまだできないと国連に主張するマオイスト

【カトマンズIPS=スマン・プラダン】

ネパールのコイララ首相の要請で和平プロセスを支援するため国連のミッションがカトマンズに派遣されて1週間になるが、ネパール共産党毛派マオイストと主要7政党の対立は鮮明になるばかりで、未だ打開の道は見出せないままだ。

国連ミッションの任務のひとつは武装勢力の武器管理の道を探る手助けをすることと、憲法制定議会の自由で公正な選挙の実施に向けて技術その他支援を行なうことである。同議会による新憲法の制定こそ、13,000人もの命を奪った10年に及ぶ紛争の恒久的解決策、とすべての陣営が見ている。

 だが国連にできることは各当事者が認めることに限られており、彼らの間に共通の理解を生み出すことは困難な様相を呈してきている。マオイストは、武器を国連の監視下に置くのは、政府軍も同様の行動をとることが条件と主張。一方政府は、正規軍である政府軍が武装解除に従うことはあり得ないとの論だ。

この決定的な意見の対立に、国連ミッションを率いるスウェーデンの外交官Staffan deMistura氏は7月31日、「国連ミッションには残り3日半しかない。ネパールの対話者全員がとりわけ武器管理の問題について共通の理解に早急に達することがきわめて重要」と述べ、不満をあらわにした。

しかしこうした苛立ちに、マオイスト側は「国連の仕事は我々に圧力をかけることではない。合意に達するのは我々であって、国連は仲介役にすぎない」と述べ、主要7政党側も、「国連の圧力は余計なこと」とまったく同じ反応を見せている。

しかし国連ミッションに近い筋は、和平プロセスを制度化できるチャンスが今であればあると指摘。しかし関係双方が武器管理の細かな点でもめている間に、レバノン、スーダン、スリランカの危機が国連の注意を奪い始めており、「このチャンスをつかまなければネパールは忘れ去られるだろう」と危惧する。

武器管理を巡るマオイストと主要7政党の対立に、国連の関与ばかりでなく、暫定政権の樹立と憲法制定議会の選挙の実施まで危ぶまれているネパールの和平プロセスについて報告する。(原文へ

翻訳/サマリー:IPS Japan浅霧勝浩

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国連は和平プロセス実現の救世主となるか

法の裁きを受けることなく死んだクメール・ルージュの「屠殺人」

【バンコクIPS=マルワン・マカン・マルカール】

7月20日、クメール・ルージュの「屠殺人」と呼ばれたタ・モク(80)が、多機能不全で死亡した。

クメール・ルージュ崩壊から27年。国連の支援を得て、カンボジア裁判所内に、国際法学者13人、カンボジア裁判官17人で構成されるExtraordinary Chambers in the Courts of Cambodiaが7月3日に開設され、7月10日から立証調査が開始されたばかりであった。タ・モクは、裁判に引き出される最初の司令官と見られていた。

 クメール・ルージュの残虐行為を綴った本「裁かれるべき7人」(Seven Candidates for Prosecution)は、クメール・ルージュ政策に直接係った人物としてヌオン・チー、イエン・サリ等7人の名を上げている。タ・モクの死亡により、国民の関心はこれら高齢の旧政権要人に向けられている。

プノンペンにある独立機関「カンボジア資料センター」は、収集していた資料を裁判所に提出。資料の中には、約2万ヶ所の合同埋葬所、189の刑務所、犠牲者3万人の証言等が含まれるという(クメール・ルージュは1975-1979年の5年間で、当時の人口の1/4に当る約170万人を殺害したとされている)。

注目されるのは、同裁判が、米国、中国、タイといった外国政府のカンボジアに対する関与まで踏み込んだ審議ができるかどうかである。1960年代後半のベトナム戦争では、米国はカンボジアへの秘密爆撃を行っており、ポル・ポト失権後のベトナム軍カンボジア侵攻に当たっては、米国、中国、タイはクメール・ルージュ残党の支援を行っていた。

カンボジア人権開発協会のサライ会長は、「モクの死で、重要な証人かつ大罪人を失った。この様なことが起こらないよう、迅速な裁判が必要」と語っている。カンボジアで開始されたクメール・ルージュ裁判について報告する。

翻訳/サマリー=IPS Japan:

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