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核軍縮・トランプ政権・北欧諸国
【レイキャビクIDN=ロワナ・ヴィール】
核軍縮への寄与という点でドナルド・トランプ政権は何をすべきと考えているかを尋ねられたスウェーデンのボッセ・ヘドベルク駐アイスランド大使は、「この問題に関する米新政権の見解に対して、現時点では北欧諸国共通の立場はないものと理解しています。メディアからの情報をみるかぎり、新大統領は、米国の核兵器を削減するよりも、核能力強化のための投資を進めようとしているようです。」と答えた。
スウェーデンは、3月21日・22日にジュネーブで開催された軍縮会議に出席した北欧で唯一の国である。フィンランドとノルウェーはジュネーブ軍縮会議の構成国ではあるが、会議には参加しなかった。

3月27日、ニューヨークの国連本部では、核兵器を禁止しその廃絶を究極の目的とした条約を交渉する歴史的協議が開始される。これは、国連総会第一委員会におけるこれまでの交渉の成果である。例えば昨年10月27日の会合では、核軍縮に関する多くの決議が採択されている。
北欧諸国の中では、中立国のスウェーデンだけが、世界全体で核兵器の究極的廃絶を呼びかける主要な決議案であるL.41「多国間核軍縮交渉の前進」(オーストリアやメキシコなど43カ国が共同提案)に賛成した。
ジュネーブ軍縮会議で発言したスウェーデンのマルゴット・ヴァルストローム外相(上部の写真の人物)は、核不拡散条約(NPT)の新たな再検討サイクルが5月に開始されると指摘した。
「この条約は、まちがいなく核軍縮及び核不拡散の要です。しかし、今日までそのポテンシャルが完全に発揮されているとは言いがたい。核軍縮の公約の履行には重大な欠陥があり、その責任の大半は核保有国にあります。自らの核戦力を解体するとの約束を核保有国が無視し続けることはできません。ロシアと米国は、核兵器削減の再開をリードすべき立場にあるのです。」とヴァルドストローム外相は語った。
「NPT運用検討会議に関連して核兵器国がなすべき重要な措置は、例えば、法的拘束力のある消極的安全保証、核搭載可能な巡航ミサイルの禁止、戦術核兵器に関する協議など、他にもたくさんあります。そして、恐らくより重要なのは、警戒態勢の解除等のリスク軽減措置です。」とヴァルドストローム外相は付け加えた。
「核兵器国に対して、不安定化をもたらしかねない警告即発射態勢を放棄するよう強く求めています。偶発的な核兵器の使用を避けるために作戦上の即応態勢を緩和することは、あらゆる人々の利益となります。」とヴァルストローム外相は語った。
フィンランド外務省軍備管理・軍縮・核不拡散室のピア・ノルドベルク参与は、「北欧諸国は、核軍縮も含めて軍備管理や軍縮の問題について定期的に協議を行っています。例えば、国連第一委員会で共同声明を発しています。私たちは核兵器なき世界という共通の目標を有しています。フィンランドにとって、NPTは国際安全保障と核軍縮における要なのです。」と語った。

ノルドベルク氏は、「フィンランド政府はまた、具体的な核軍縮を推進するうえで核保有国が果たす役割を強調しています。」と指摘するとともに、「そうした好例には、ロシア連邦と米国が締結した新戦略兵器削減条約(新START条約)があります。我が国は米ロ両国に対して、条約の履行を継続し、さらに削減を推進するよう強く促しています。」と語った。
「米国に関して言えば、我が国との良好で建設的な対話と実際的な協力が継続することが重要です。私たちは、既存の軍備管理・軍縮の枠組みと合意を尊重・履行し、さらなる協力に向けた信頼を構築していく必要があります。新たな軍拡競争を望んでいる国などありません。NPTを正しく機能させるようにすることが最も重要です。核軍縮におけるほんの小さなステップでも、世界的な安全保障を高めることができるのです。」とノルドベルク氏は語った。
ノルウェーはまだこの問題に対処していない。ボルゲ・ブレンデ外相の政治参与であるボール・ルドヴィ・トルハイム氏は、「私の知る限り、ノルウェー議会ではトランプ政権の核政策についてはまだ討議していません。これはおそらく、今後どうなるかについて判断するには時期尚早だからでしょう。」と語った。
デンマークの状況も似たようなものだ。「トランプ政権の核軍縮に対する態度についてデンマーク議会が討議したとは聞いていません。防衛委員会は、外相と国防相を呼んでトランプ政権の拷問と水責めに関する見解について審議を行ったが、核軍縮については審議していません。」とジェスパー・ティングハース防衛委員会委員長は語った。
アイスランドでは、トランプ政権発足直前の1月に政権が交代した。外務省高官のウルダール・ギュナールスドティール氏によれば「この問題はまだ議論されていない」という。
左派緑の党運動の所属で外務委員会委員でもあるシュタイナン・トーラ・アルナドッティル議員は1月、「アイスランドは核兵器禁止に関する国連協議に参加するのか」とのグドゥロイグル・トール・トールダルソン外相に対する質問の形で、この問題を取り上げようとしている。「北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国が協議への不参加を望んでいるのは承知しています。しかし外相はこの問題にまだ答えていません。」とアルナドティール議員は絶望した口調で語った。
ウフェ・エルマン-ジェンセン氏はデンマークの元外相で、今でも社会問題について活発な発言を続けている。ジェンセン氏は「これはあくまでも個人的な考え」と断ったうえで、「トランプ氏が核抑止を条件付きのものにしたことを懸念しています。というのも、核抑止はそれが無条件であるからこそ有効だからです。同時にトランプ氏は、一部の非核保有国が自らの核抑止力を開発すべきだと示唆しています。トランプ氏ができる最善のことは、NATOを通じて米国が欧州に与えている安全の保証は完全に無条件のものであるということに対する疑念を完全に払拭することに最大限努めるとともに、核兵器を制限する諸条約を順守する姿勢を示すことです。」と語った。
トランプ大統領は、2月にロイター通信が行ったインタビューの中で、「私は核のない世界を誰よりも見たいと思っている人間だ。しかし、それが友好国であっても、他国に劣るつもりは決してない。核兵器をどこの国も持たなければ素晴らしいし、それが理想だ。だが各国が核兵器を持とうとするなら、われわれはその頂点に立つ。」と語った。
3月16日に発表された予算案でトランプ大統領は、核兵器関連予算を11%、国防予算全体を8%増加させる一方で、環境問題や外交関係の予算は削減される見込みだ。また、核軍縮関連事業は廃棄される見込みである。
しかし、アイスランド人でビフロスト大学のマグナス・スヴェイン・ヘルガソン非常勤講師(経済史、米国政治)は、予算はおそらく承認されないだろうと見ている。「トランプ大統領の言葉と行動にはズレがあります。決定するのはトランプ大統領ではなく、議会なのです。」とヘルガソン氏は語った。
レックス・ティラーソン国務長官とジェイムズ・マティス国防長官が核軍縮に関連した決定に関与しうる立場である。ティラーソン氏は上院の指名公聴会において核不拡散の重要性に触れ、マティス氏は上院軍事委員会で「核備蓄に注意を払い、根本的な疑問が問われ、答えられねばならない」と述べている。
しかし、ヘルガソン氏はそうした見方を取らず、「ティラーソン氏はおそらく近代米国史上最も弱い国務長官です。ティラーソン氏やマティス氏の言うことに注目しても仕方ありません。それよりも、スティーブン・バノン主席戦略官・大統領上級顧問に着目すべきです。バノン氏こそが、トランプ大統領のブレーンです。」と語った。(原文へ)
翻訳=INPS Japan
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|視点|核軍縮は人類共通の大義
ジャルガルサイハン・エンクサイハン博士は、NGO「ブルーバナー(青旗)」事務局長で、モンゴルの元国際原子力機関(IAEA)大使・元国連大使(駐ニューヨーク)。この寄稿文は、「核兵器を禁止し、完全廃絶につながるような法的拘束力のある措置(=核兵器禁止条約)」について交渉する国連総会の2回の会期(3月27日~31日、6月15日~7月7日)に先駆けて寄せられたものである。
【ウランバートル(モンゴル)IDN-INPS=J・エンクサイハン博士】
非核兵器保有国には、核兵器保有国に対してその核政策の変更を迫る根拠がないという考えもある。しかし、近年3次にわたって開かれた「核兵器の人道的影響に関する国際会議」(非人道性会議)(2013年のオスロ会議、2014年のナヤリット会議、2015年のウィーン会議)が改めて明確に示したように、意図的なものか否かにかかわらず、核兵器の爆発が起これば、壊滅的な帰結を引きおこし、気候、遺伝子その他広範な分野にわたって破壊的な影響をもたらすことになる。
もちろん、このような事態は、さらなる連鎖反応を引きおこすことになる。従って、グローバルな核軍縮は、核兵器保有国とその同盟国だけの排他的な領域ではあり得ない。さらに、核不拡散条約(NPT)第6条は、「核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、誠実に交渉を行うこと」を全ての加盟国に義務づけている。非核兵器地帯の創設は、核不拡散対策を促進し、さらなる信頼醸成に資する具体的な地域的措置のひとつである。
冷戦終結以来、核兵器は世界全体で約1万5000発にまで削減されたが、一方で核兵器を保有する国の数は増加している。また、運搬手段の精度向上と破壊力の制御(「爆発力調整」技術の導入)を目指す核兵器の近代化競争により、核兵器はより「使用可能」なものとなっており、核抑止ドクトリンは、さらにいっそう危険なものとなっている。

非核兵器保有国と国際NGOが核兵器を禁止・廃絶する国際交渉を速やかに開始することを目指したキャンペーンを立ち上げた背景には、このように核軍縮における具体的な進展が見られない現状がある。このことは、近年に採択された国連総会決議「多国間核軍縮交渉を前進させる」にも反映されている。
モンゴルの場合
他国の場合と同じく、モンゴルの政策もその地理的位置と関連しており、特定の時代における主要な出来事の縮図といえよう。多くの場合、モンゴルの政策は、隣国であるロシアや中国において、或いは中露間、その他の大国との関係において起きる出来事の反映であったり、それらに対する反応であったりする。
核リスクの観点から言えば、モンゴルの地理的、地政学的位置はあまり好ましいものではない。しかし、だからと言ってモンゴルが「地理の囚人(Prisoner of Geography)」理論に必然的に当てはまるとか、環境決定論に従う運命にあるという訳ではない。それどころか、モンゴルはむしろ、この地理的な位置関係ゆえに、他国から悪影響を被ったり、あるいは他国に悪影響を及ぼすために利用されたりすることのないように、常により創造的であることを余儀なくされてきた。

こうしてモンゴルは、自国に対する想定外のリスクを減らすために、出来事に可能な限り影響を及ぼそうとしてきた。はたして、核時代の脅威に座して翻弄されるか、或いは、国益の増進を図り、過去の歴史を踏まえで自国の未来を築くべく幾分積極的な役割を果たそうとするか、2つの選択肢のなかから、モンゴルは後者を選択したのである。
リスクに満ちた遠くない過去を振り返る
冷戦期のモンゴルはソ連の衛星国であり、親ソ連の諸政策に密接に従っていた。これにより、概して核実験に反対の立場をとっていたモンゴルは、あらゆる核実験を非難したにもかかわらず、自国の領土からさほど遠くない所で行われていたソ連の核実験については例外とみなしていた。当時、ソ連の核実験を非難するのは政治的に正しくないとみられていた。と言うのも、ソ連の核兵器は米国や北大西洋条約機構(NATO)、中国の戦力との均衡を保つためのものであり、「世界平和と安定を保証するもの」と考えていたからである。
1960年代の中ソ対立期、モンゴルはそれに不本意ながら巻き込まれた。ということは、中ソの軍事的対立に暗に巻き込まれたということである。中国が核兵器を開発し中ソ対立が1969年に国境をめぐる武力衝突に発展した際、ソ連は一時期、成長期にある中国の核兵器施設に対する先制攻撃の可能性を検討し、あるいは、少なくとも検討しているかのように振る舞い、その考えをワルシャワ条約機構の同盟国に伝えた。ソ連はまた米国にも接近して、その反応を探った。
先制攻撃が行われていれば、国際関係、とりわけモンゴルに対して間違いなく破滅的な影響をもたらしたであろう。というのも、中国側は、ソ連軍基地がモンゴルにあることと、二重用途の兵器がそこに配備されていることについて十分認識し、対抗措置を採る計画を確実に持っていたからだ。当時におけるモンゴルの役割は、ソ連軍とその軍事活動を支援する「手駒」としての役割であった。米国の兵器もまた、モンゴル国内のソ連軍基地に向けられていた。

事態を座して黙認することはないという、ソ連に対する米国の反応が、大惨事の危険性を回避するうえでおそらく決定的な要素となった。もし当時中ソ間で核戦争が勃発していたら、1962年のキューバミサイル危機は20世紀の歴史書では単に脚注で触れられる程度の事件とされていただろう。これは、軍事的に敵対している核保有国の片方に盲目的に追従してはならないという重要な教訓をモンゴルに与えることになった。
新たな安全保障環境
1990年初めの冷戦終結、中ソ関係の正常化、モンゴルからのロシア軍基地・部隊の撤退は、モンゴルをとりまく安全保障環境を大きく変えた。モンゴルはもはや、特定の核兵器国(=ソ連)のジュニア・パートナーではなくなったのだ。
さらに、2つの隣国(=中ソ両国)は、隣接する第三国の領土や空域を互いに敵対するために利用しないことを約束した。これを受けてモンゴルは、隣国との均衡を保った関係を追求し、モンゴルの死活的な利益に直接の影響を及ぼさない中露二国間の紛争においては中立を保つと宣言した。
立場を明確にしたモンゴル
モンゴルは1992年9月、冷戦期の教訓を胸に、一国非核兵器地帯(SS-NWFZ)の地位を宣言し、その地位を国際的に保証させるように努力をすると誓った。モンゴル国内に核兵器を保有せず、近くの国でも遠くの国でもモンゴル領土内に核兵器を配備することを認めないという内容である。実際にこのことは、核兵器の脅威がモンゴルの領土(英国・フランス・ドイツ・イタリアの領土の面積の合計に等しい)からは発しないということを意味する。こうしてモンゴルは、信頼性、予測可能性、安定性の向上という共通の利害に積極的に貢献することを意図したのである。
目標を達成する道の選択
核兵器の拡散防止は最も緊急の対応を要する国際問題のひとつであり、共同の取り組みと、核兵器国の参加によってのみ達成できるものだ。モンゴルの場合だと、国際関係において新奇な「一国非核兵器地帯」という地位を受け入れるのに核保有五大国(P5)(国連安保理の常任理事国である米・露・中・英・仏)としてはややためらいがあったものの、その地政学的な位置故に、初めて非核兵器地帯化を決めたのである。五大国は、これが他の小規模国・島嶼国にとっての良き前例となり、自国領土を一国非核兵器地帯と宣言して核保有五大国(P5)から安全の保証を求めるようになるのではないかと考えたのである。
この目的を達成し共通の取り組みに貢献するために、モンゴルは、「関与」、「対話」、「戦略的忍耐」、そして「妥協を追求する」道を選択した。五大国や他の国連加盟国とこの精神を持って協力することで、モンゴルは1998年、国連総会に「モンゴルの国際安全保障と非核兵器地位」と題する決議を採択させることに成功した。この国連総会決議は、モンゴルの政策を、同地域の安定性と予測可能性に貢献するものとして歓迎し、この問題を自らの議題として取り込んだのである。
モンゴルでは2000年2月、国家大フラル(国会にあたる)が、一国レベルで非核地位を定義する立法を行い、その地位を犯すような行為を犯罪化した。また、いかなる方法によっても核兵器を領土に配備したり領土を通過させたりすることを公式に違法化した。同法はまた、この問題の社会的重要性に鑑み、法の範囲内において、履行状況を公的に監視し、関連の国家機関に示唆や提案を与える権利を、NGOや、さらに個人にまでも付与している。
モンゴルの非核兵器地位を促進する目的で2005年に設立されたNGO「ブルーバナー(青旗)」は、同法の履行に関してモンゴル当局が検討を開始する契機を3度にわたって提供するともに、必要なフォローアップ措置に関して政府に勧告を提出している。

この問題に関して共通の基盤と合意を見出すために、二国間、三国間、および五大国+モンゴル間で、数多くの協議が持たれている。これらの会合の結果として、モンゴルは、五大国がモンゴルの地位を尊重し、その違反につながるようないかなる行動をも慎むとの条件のもとに、その独自の地位を定義する法的拘束力のある条約の制定を主張しないことに合意した。2012年9月、五大国とモンゴルは、合意した諒解に関してそれぞれの宣言に署名し、対話を通じて、政治的・外交的方法によって関連するすべての当事者の利益を追求することの意義を強調した。
実践的な意味合いでは、五大国の共同宣言はモンゴルが安定性と予測可能性の地域になったことを意味する。というのも、地域的な防衛体制、あるいは、対抗的な防衛体制を含め、五大国のいずれもモンゴルを将来の核の対立に巻き込むことがないからである。その意味において、五大国共同宣言はモンゴルの国益に資するだけではなく、時間と空間が重要な戦略的軍事資産になっている時代においては、地域の安定と予測可能性の利益に資するものとなっている。共同宣言を通じて、五大国とモンゴルはお互いに、モンゴルとその広大な領土を対抗するために利用することがないと約束したのである。

現在モンゴルは、その一国非核地帯地位を東アジア地域の安全保障や安定とつなげる適切な措置の策定について検討している。モンゴルの諺にあるように、アヒルは湖が穏やかな間は静かにしているものだ。こうすれば国家は、防衛予算を削減して(国家予算の1%以下)持続可能な開発目標(SDGs)にあるように、国の開発問題に対処し、人間開発を促進し、社会のあらゆる人々のための人間の安全保障を高める機会を手に入れることができるのである。
地域レベルでは、NGO「ブルーバナー」が、方向性を同じくする北東アジアのNGOやシンクタンクと協力して、もちろん地域特有のニーズや課題を考慮に入れつつ、地域の非核兵器地帯化の構想を促進し、その基本的な要素を検討している。(原文へ)
翻訳=INPS Japan
※ジャルガルサイハン・エンクサイハン博士は、モンゴルを国内外で代表する政府の一員として印象的な経歴の持ち主である。2013~14年、多国間問題担当大使。モンゴルで2013年に開かれた「民主主義国共同体」の閣僚会合に向けた組織委員会の顧問。2008~12年、モンゴルの駐オーストリア大使、国際原子力機関(IAEA)大使。1996~2003年、モンゴルの国連大使(駐ニューヨーク)。1978~1986年、外交官として国連代表部に勤務。
This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.
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「民衆の声を聴け」と国連に訴え
【ローマIDN=フィル・ハリス】
世界中の市民社会の活動家らが、新たに国連事務総長に就任したアントニオ・グテーレス氏に対して、「市民社会の擁護者となり、国連をより包摂的な組織にするための具体的な措置を取るよう」要求している。
国連事務総長職を選ぶプロセスを改革するよう国連に呼びかけてきた「70億人のための1人」キャンペーン創始者のうち4人が、『市民社会の国連への関与を強化する』と題された最新の報告書の中で、これがいかにして可能であるかについて、世界各地の市民社会組織から集めた幅広い提案を紹介している。
英国国連協会(UNA-UK)、フリードリッヒ・エーベルト財団(FES)ニューヨーク支部、シヴィカス(CIVICUS)、アヴァーズ(Avaas)の4つの団体は、国連が、諸政府間だけではなく、地域のリーダーや市民団体、活動家を巻き込んで多元主義を強化する方法について、実践的な勧告を提示している。
報告書はまえがきで「世界の70億人が国連のもっとも重要な利害関係者であり、受益者でありつづけている。国連の実績は彼らの目を通して測られるべきだ。」と強調している。
また、世界的に不確実な時代にあって、人々は組織や政治的リーダーシップへの信頼を失いつつあり、他方で国家主義的な傾向が国際システムへの深刻な脅威になっていると警告した。
報告書は、国連難民高等弁務官やポルトガル首相を歴任してきたグテーレス氏が、国連事務総長に任命される前に「市民社会との対話と協力が今後数年の国連活動の中心的な側面になるだろう」と約束していたことを想起した。
若者活動家やNGOの代表、専門家など、この報告書の執筆者は、このグテーレス氏の約束をとりあげ、青少年問題や持続可能な開発目標(SDGs)、ジェンダー、平和構築などに関する幅広い共通の利益に関して、市民社会と広範な関係を構築していくよう求めた。
アフリカのフェミニスト活動家で、CIVICUS理事、「アフリカ若者運動」の初代議長でもあるアヤ・チェビ氏は、「国連は民衆に対して最終的に責任を取るべき機関です。国連が永続して任務を果たせるかどうかは、主に193の加盟国の市民に奉仕し積極的に関与できる能力にかかっています。」と語った。
チェビ氏は、「国連は、これまでの市民社会との関わりでは、必ずしも現場レベルの現実を反映しているとは限らない大規模で資金力の豊かな団体の意見を聞く傾向にあり、もっとも支援を必要とする市民の声は届いていなかった」と指摘したうえで、「SDGsに向けた国連の新アジェンダは、世界の『北』と『南』における市民社会の間の権力関係のバランスを変える機会を提供しています。」と語った。

青少年問題に関しては、気候変動に関する青年活動家で、気候変動キャンペーン「将来は私たちのものだ(The Future is Ours)」の共同署名者でもあるカジ・アテーア氏は、「将来に最大の利害関係を持っている」若い世代が、将来における気候変動に関する交渉に代表として派遣されるべきだと主張している。
アテーア氏は、「権力者はお互いの意見にばかり関心を持っています。しかも私たちの代表として現在決定を下す立場にある人々は現場で結果を確認しようとしません。」と指摘したうえで、「私たちはミレニアル世代として、私たちが向かう方向性を導き変化をもたらす必要があります。起こるべきことについて発言すべきなのは私たちなのです。今こそそのときであり、将来は私たちのものなのです。」と語った。
地域開発コンサルタント「2乗のインパクト(Impact Squared)」の創設者・CEOであるノア・ガフニ・スレイニー氏は、国連の野心的な持続可能な開発アジェンダの達成にミレニアル世代を関与させるよう呼びかけた。

スレイニー氏は、世界を変えたいと思っているのはミレニアル世代だけではないことを認識しつつも、「国連がSDGsやパリ協定のような野心的な国連の取り組みを追求するうえで、この影響力がある世代の能力に関与し活かしていこうとするならば、この世代が以前の世代とはどれほど異なるかを認識することがきわめて重要です。」と語った。
SDGsの問題には、「ステークホールダーフォーラム」の代表で「持続可能な開発に向けた英国のステークホールダーたち」(UKSSD)の共同議長でもあるファルーク・ウラー氏も触れた。ウラー氏は、「これらの目標達成には公共政策だけでは不十分で、地域レベルの行動とつなげる必要がある。」と論じた。
ウラー氏は、「国連の役割のひとつは、SDGsを履行していくうえで、市民社会を巻き込んだより強力でより公式なメカニズム…さらには、市民社会を含む定期的で透明性が確保された包摂的な報告メカニズムを立ち上げ資金提供することを奨励することにあります。」と語った。
もう一人の報告書執筆者は、女性・女児のための公正な世界の実現に向けて活動している国際女性人権団体「イクオリティ・ナウ(Equality Now)」のプログラム・オフィサーであるメリーナ・リト氏である。「イクオリティ・ナウ」は、女性国連事務総長の実現に向けてこの20年間活動を続けてきており、国連で働く女性の割合が少ない点を問題視している。
リト氏は、「最近の国連事務総長選で女性が指名されなかったのは遺憾」という「イクオリティ・ナウ」の見解を述べたうえで、グテーレス新事務総長に対しては、「国連職員間のジェンダー平等の確保や、世界中の女性・女児に対する暴力・差別の予防を優先化する取り組みを通じて、フェミニズムの課題に対する揺るぎない支援者になる」ことを求めた。

リト氏によると、ジェンダー問題に取り組んでいる市民社会の声を最高レベルの政策フォーラムにおいて取り入れることを通じて、女性の権利の問題について国連がリーダーシップを取る緊急の必要性がある。
「女性の権利への政治的風当たりがますます強まる時代にあって、女性の市民社会の声を支持することには、国連が加盟国に対してリーダーシップを示し、持続可能な開発目標や既存の国連の人権枠組みの中でこれらの問題に対する解決姿勢を見せることも含まれます。」とリト氏は語った。
他方、国際社会で平和構築能力の強化がますます求められる中、クウェーカー国連事務所(QUNO)の国連代表であるレイチェル・メイデニーカ氏は、国連平和構築委員会は市民社会とより体系的に関わることで恩恵を受けるだろうと論じた。
「平和構築委員会が新たな『持続可能な平和』アジェンダの実行に向けて次のステップを取ろうとするのならば、市民社会との関与をより強化し組織化すべきなのは明らかです。」とメイデニーカ氏は語った。

UNA-UKのキャンペーン責任者を務め、「70億人のための1人」の共同創始者でもあるベン・ドナルドソン氏は、国連システムやその外部にわたって市民社会を支援すべきとの報告書の呼びかけをまとめて、「国連は『市民社会との対話と協力』というグテーレス事務総長のビジョンを実現するために市民社会の空間を守るように協調的な支援を行わねばなりません。」と語った。
ドナルドソン氏は、国連特別報告官のマイナ・キアイ氏の言葉を引いている。キアイ特別報告官は2016年に「私たちはこの10年間、抑圧的な法律や慣行が前例のない規模で世界中に広がるのを目の当たりにしてきた。これらはすべて、民衆が組織化し、発言し、民主的な権利や義務に関わるのを阻止するために企図されたものだ。」と記している。
ドナルドソン氏によれば、「市民社会スペース(市民社会が活動できる領域)は『急速に萎んで』おり、国連は『市民社会スペースを守り、再開を支援し、スペースを拡大する取り組みの先頭に立つために、可能な限りの手を尽くさなければならない。』」(原文へ)
翻訳=INPS Japan
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核兵器禁止条約交渉に暗雲立ち込める
【ワシントンDC・IDN=ロドニー・レイノルズ】
193カ国で構成される国連総会が2つの重要な会期(3月、6月~7月の計20日間)からなる会議を開催する。それは、世界的な核兵器の廃絶に向けた、一か八かの賭けとなることだろう。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)軍縮・軍備管理・不拡散プログラムの責任者タリク・ラウフ氏は、「2017年が、核兵器が禁止される年になるのか、それとも、それを実現しようとする動きがある種の『フェイクニュース』とされてしまうのかは、まだわからない。」と、やや懐疑的だ。
来たる総会会期に垂れ込めている暗雲は、ドナルド・トランプ米大統領の存在である。トランプ大統領の指は危険にも7000発以上の核兵器の引き金にかけられており、核軍縮に関する彼の見解は、拡散から既存の核戦力の強化に至るまで、常に一貫性を欠いている。

3月27日~31日と6月15日~7月7日(この間に15日間)に予定されている2回の会期の目的は、「核兵器を禁止し、完全廃絶につながるような法的拘束力のある措置(=核兵器禁止条約)」について交渉することである。
しかし、これはどの程度現実的で、実現可能なのだろうか? とりわけ、米国・英国・フランス・ロシアなど主要な核保有国からは強い反発を引き起こすことが予想されている。これらの国々は、会議を脱線させ、非核兵器国の間に混乱を引きおこそうとして、背後で動き回っているとされる。
ラウフ氏は、IDNの取材に対して、「あらゆる兆候から言えることは、参加予定の非核兵器国の間の根深い見解の対立を背景に、交渉は困難なものになるだろう。」と語った。
「会議に参加するかもしれない北大西洋条約機構(NATO)と[核保有国と]同盟関係にある非核保有国は、核保有国に成り代わって会議を妨害し議論を複雑にすることでしょう。」とライフ氏は警告した。
「また、核兵器を禁止する条約を確立する素早い規範定立を望む非核保有国と、検証に関する条項を含めたより詳細な条約を望む非核保有国との間にも、別の分断線が引かれているかもしれません。」とラウフ氏は指摘した。ラウフ氏はかつて、国際原子力機関(IAEA)で核の検証・安全保障政策調整部門のトップを務めた経験がある。
ラウフ氏は、「(きたる会議では)市民社会の参加が核兵器に関する多国間条約交渉において初めて顕著な特徴となる可能性がありますが、一方で一部の国々が、市民社会の影響力行使や関与を抑えつけようとする兆候を見せています。」と語った。
核政策法律家委員会(LCNP)のジョン・バローズ代表は、IDNの取材に対して、「国連本部で2月16日に開催され、100カ国以上が参加した準備会合から判断すると、『核兵器を禁止し、完全廃絶につながるような条約』、すなわち核兵器禁止条約の交渉に向けてかなりの推進力が生まれています。」と語った。
バローズ氏はまた、「このプロセスは、核軍縮を誠実に交渉するという核不拡散条約(NPT)上の義務と、国連総会が最初に採択した決議に従って核軍縮に関して迅速かつ力強く前進することを核保有国が拒否していることに、ほとんどの非核保有国からの不満が高まる中から生まれてきたものです。」と指摘するとともに、「ここ数年の間、米国、英国、フランス、ロシア、その他すべての核兵器国が、このプロセスに反対を表明してきました。これらの国々と、米国と軍事同盟を組むほとんどの国々は[核禁止条約交渉会議には]参加しないでしょう。」と語った。
「しかし、興味深いことに、中国とインドはいずれも準備会合に参加し、明らかに本交渉にも参加しそうです。両国が最初から核兵器禁条約に参加することはなさそうだが、核軍縮の多国間交渉にコミットしているという姿勢を見せたいのでしょう。」
国際反核法律家協会(IALANA)国連事務所の所長でもあるバローズ氏は、「オランダもまた準備会合に参加しており、報道によると、準備会合には参加しなかった日本も本交渉に参加するかどうか検討中です。」と語った。
ラウフ氏はIDNの取材に対して、「非核保有国の大多数によるこの動きは、核保有国との間だけではなく、非核保有国の内部でも顕著な差異を明るみに出すことになりました。」と語った。
NATOや米国の太平洋地域における同盟国などの核に依存する同盟国、それに加えてロシアは、核兵器を禁止する多国間条約のいかなる交渉にも強く反対する一方、「ステップ・バイ・ステップ」や「段階的」アプローチなどの言葉を、何の定義もなく、時限も設定せずに使うことで、「核兵器なき世界」の達成という目標に一応のリップサービスをした形にはなっている。
3次にわたって開かれた「核兵器の人道的影響に関する国際会議」(非人道性会議)(2013年のオスロ、2014年のナヤリット、2015年のウィーン)は、核兵器の存在によって人類にもたらされている脅威と、核爆発による壊滅的な人間への影響に対する深い懸念に世界的な関心を呼び寄せることになった。
非核保有国の多数は、こうしたリスクに鑑みて、核兵器なき世界の達成に向けたすべての国家による緊急行動の必要性を強調し、核軍縮に向けた今日までの進展はきわめて緩慢なものであると指摘してきた。
「これらの国々はまた、NPTは核兵器国に軍縮の義務を課しているが、条約の約50年の歴史の中でこの義務は果たされておらず、これから果たされる兆しもないことを強調しました。」とラウフ氏は語った。
これらの国々はまた、核兵器の禁止・廃絶に関しては法的な欠落が存在すると指摘してきた。なぜなら、核軍縮に関しては、生物兵器禁止条約や化学兵器禁止条約のような条約が存在しないからだ。両条約は、生物兵器と化学兵器をそれぞれ禁止し、その完全廃棄を義務づけている。
これに従って、これらの国々は、核兵器なき世界の追求に向けて4つの別々のアプローチを提唱している。すなわち、包括的な核兵器禁止条約、禁止先行型の核兵器禁止条約、枠組み協定型、「ビルディング・ブロック(ブロック積み上げ方式)」を基礎とした漸進的なアプローチの4つである。
他方で、一部のNATO諸国は、そうした法的欠落は存在せず、NPTが核軍縮追求のための本質的な基盤を提供していると反論している。

これらの国々は、「国際的な安全保障環境、現在の地政学的な状況、既存の安全保障ドクトリンにおける核兵器の役割が、核軍縮の効果的措置の追求にあたって考慮に入れられねばならない。」と指摘したうえで、「その点で、核兵器禁止条約は、国家安全保障に資するものではない。」と論じている。
これらの国々はまた、核兵器禁止条約は、NPTの履行に関して混乱を生み出し、NPTの核軍縮義務の達成を難しくする、と主張している。
「実際は、核兵器禁止条約はNPTに影響を与えることはないだろう。」とラウフ氏は見ている。NPTの加盟国はいずれにせよNPTに制約され、その完全履行の義務を負っているからだ。
核兵器禁止条約は、NPTを超えて、核兵器の保有やその配備(例えば、NATOの下で米国の核を配備しているベルギー・イタリア・オランダ・トルコや、かつての日本や韓国等、外国への配備も含む。)までも禁止するものだ。
「大気圏、宇宙空間、水中での核実験を禁じた1963年の部分的核実験禁止条約が、あらゆる核爆発実験を禁じた1996年の包括的核実験禁止条約と矛盾しないのと同様に、1968年のNPTも核兵器禁止条約と矛盾することはありません。」とラウフ氏は語った。
バローズ氏は、「現在想定されている核兵器禁止条約は、核兵器の保有および使用を禁止するが、検証を伴った核兵器の解体や「核兵器なき世界」のガバナンスに関する詳細な条項を含んだものにならないだろう。」と語った。。
背後にある考え方は、核保有国の参加なしに、そうした国々に直接関係ある問題を交渉しても意味はなく、核保有国の専門能力や見解、コミットメントが、問題を満足いく形で解決するには必要だ、というものだ。
「このアプローチにおける禁止条約は、核兵器の不使用に関する既存の規範を強化し、戦時の行動を規定している国際人道法と核兵器使用を両立不可能にするように法定化するものとなる。また、NPTと各地域の非核兵器地帯の下での核兵器の取得禁止に関する既存の規範も強化されることになるだろう。」とバローズは付け加えた。
バローズ氏は、「核兵器禁止条約はまた、非核兵器地帯を確立する諸条約を基盤とし、ある意味ではそれらを統合するものでもあります。」と語った、非核兵器地帯として史上初めてラテンアメリカ・カリブ海地域に確立したトラテロルコ条約は、2月14日にメキシコシティにおいて50周年を祝った。
「核兵器禁止条約の重要性は、とりわけ政治的な側面にあると言った方がよいかもしれません。なぜなら同条約は、核兵器に関する現状は受け容れがたく、核兵器は二度と使用されてはならず、NPTと国連の文脈、とりわけ1978年の国連軍縮特別総会でなされた核軍縮の約束を果たすうえでこれ以上の遅れは許されないという、強力で明確な意思表明となるからです。」
「しかし、条約の内容次第では、特定の法的帰結も考えられます。」とバローズ氏は指摘した。
たとえば、核兵器への資金提供が禁止されれば、核兵器を製造する企業への投資に相当の影響を与えるかもしれません。また、禁止条約に参加する国にとっては、条約の非締約国による核兵器使用の準備にいかなる形でも支援・協力することが禁止されるかもしれません。」とバローズ氏は語った。(原文へ)
翻訳=INPS Japan
This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.
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日本、CTBTOにこれまでで最大の拠出へ
【ベルリン/ウィーンIDN=ジャムシェッド・バルーア】
広島・長崎への原爆投下を経験した唯一の国である日本が、包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)に対してこれまでで最大の拠出を行うことを決定した。
約243万ドルにも上る資金は、検証関連の幅広い活動を支援してCTBTOの探知能力を向上させ、「核兵器なき世界」への道を切り開くことだろう。

この規模の自発的拠出は、「始めた仕事を終わらせる」、すなわち、包括的核実験禁止条約(CTBT)を発効させ、国際監視制度(IMS)を完全なものにすることへの日本のコミットメントを示す強力なシグナルと認識されるべきものだ、とCTBTOのラッシーナ・ゼルボ事務局長は語った。
2月23日、CTBTO事務局(ウィーン)で拠出決定を記念する式典が開かれ、ゼルボ事務局長は、北野充在ウィーン国際機関日本政府代表部大使に対して、過去最大規模となる日本の支援に感謝の意を表明した。
「この寛大な拠出金は放射性核種の監視技術を向上させる国際監視制度をさらに強化することになるだろう。これによって、核爆発実験が行われたかどうかを決定的に判断することができます。」とゼルボ事務局長は語った。
「CTBTOの検証体制は昨年の1月と9月に北朝鮮が行った核実験を探知しており、そのたびにその有効性と国際社会への貢献が証明されています。国際社会に対してその効果と多大なる貢献を証明した」「実際、検証体制は北朝鮮による5回の核実験すべての探知に成功しています。」と北野大使は語った。
水中音響監視もまたCTBTOの検証体制の一部を成している。日本は水中音響監視局の強化に関する専門能力を有する数少ない国の一つであり、日本からの資金の一部はCTBTOがこの技術をマスターする能力強化のために使われる予定だ。

拠出金は特に、①核実験時の検知能力の向上に資するための可搬式希ガス観測装置の整備、②実験の有無判定時に必要となる放射性キセノンの検知精度向上に資するための通常時の放射性キセノン観測の実施、③核実験時のデータ解析・評価の迅速化に資するためのソフトウェアの開発のための専門家の雇用、に利用されることになる。
日本は、CTBTが署名開放された1996年9月24日に署名し、それから1年以内の1997年7月8日に批准した。日本はCTBT4番目の批准国であり、核能力を持った44の発効要件国(条約の「附属書Ⅱ」に掲げられている条約交渉当時に核施設を保有していた国々)としては初めて批准した。
核実験を確実に探知することを目的としたCTBTOの国際監視制度(IMS)の一部として、日本は、地震学的観測所6カ所、微気圧振動監視観測所1カ所、放射性核種監視のための施設2カ所と、放射性核種研究所1カ所のホスト国となっている。
CTBTOのウェブサイトによると、日本は、長年にわたる相当規模の自発的拠出に加え、一般予算の面でも米国に続いて2番目の拠出国となっている。
2014年初頭、日本は、検証体制の強化と賢人会議(GEM)の活動支援のために45万5000ドルを自発的に拠出した。その数週間前、日本は、高性能のコンピューター機器の取得のために73万7000ドルを自発的に拠出し、CTBTOが空中で放射性物質をより正確に把握できるようにした。
日本はカザフスタンと共に条約発効支援の国際的な取り組みをリードし、2015年から17年にかけて「CTBT批准促進会議」(第14条会議)の共同コーディネーター国となっている。
CTBTOによれば、183カ国が条約を批准し、166カ国が署名している。米国のビル・クリントン大統領は1996年にCTBTに署名した際、CTBTを「軍備管理の歴史上もっとも長期にわたって追求され、もっとも厳しい闘いをつうじて得られたもの」と呼んでいる(しかし上院の反対で米国は未批准のままである)。
それ以降、核爆発実験禁止は世界的な規範となってきたが、CTBT自体は条約の「附属書Ⅱ」に記載された残り8カ国が批准しなければ、発効しない。8カ国とは、未批准の中国・エジプト・イラン・イスラエル・米国と、未署名のインド・北朝鮮・パキスタンである。とはいえ、CTBTは国際安全保障体制における確固とした柱となってきた。
国連安保理は2016年9月23日、決議2310の採択をもって条約20周年を祝った。同決議は、条約への国際的支持を認識し、条約が生み出した核爆発実験禁止の国際規範を強化し、条約の遵守を検証するための国際監視制度の価値を強調し、条約の「発効」を促進するために未署名・未批准国に対して早期の批准を呼びかけた。
同意決議が安保理で採択された直後にIDNの取材に応じたゼルボ事務局長は、「CTBTOは核爆発実験禁止の規範を強化するいかなる取り組みも歓迎します。」「国際社会は、核実験の禁止が実現してはじめて、核兵器なき世界に向けて第一歩を踏み出せるのです。」と語った。
ゼルボ事務局長はまた、「核兵器なき世界は、核実験禁止によってももたらされますが、既存の合意を強化する措置を採ることによって、国際社会が望んでいる『核兵器なき世界』、つまり、今日一部の人々が口にしている核兵器の近代化の企図が存在しない世界、に向けて歩みを進めていくことができます。」と語った。
地下であれ水中であれ大気圏内であれ、地球上のいかなる場所で行われた核爆発をも探知することを目指すCTBTの検証体制は、世界全体で337カ所の監視施設から構成されている。

「国際監視制度(IMS)が有する価値は、国家が核実験を行えないよう検証することにとどまりません。加盟国は、防災や環境モニタリングといった領域においてCTBTのデータを幅広く民生・科学・産業に利用する方法を確認しているのです。」と、2017年2月14日にメキシコシティで開催されたラテンアメリカ・カリブ海地域核実験禁止機構(OPANAL)第25回総会でゼルボ事務局長は語った。
「地震を探知しリアルタイムで津波警報を発するのであれ、深刻な台風や核事故からの放射性物質拡散を追跡するのであれ、気象学や気候変動、海洋生物の研究を前進させるのであれ、CTBTのデータは、人類の発展にとって独自で価値のある貢献を成す可能性に満ちています。」とゼルボ氏は語った。(原文へ)
翻訳=INPS Japan
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人権教育の力に焦点をあてた展示会
【ジュネーブIDN=ラヴィ・カントゥ・デヴァラコンダ】
国際的な市民団体や各国政府が手を結び、人権教育が人々の生活を変革する力に光を当てている。「人権教育および研修に関する国連宣言」採択5周年を記念して、3月6日に展示「変革の一歩‐人権教育の力」が国連欧州本部で開幕した。

3月17日まで開催予定の展示は、排外主義や偏見、不寛容の傾向が社会で強まる中、「尊厳・平等・平和を促進し、人権侵害を防止するうえで人権教育および研修が果たす重要な役割を強調するもの」になっている。
この展示は、「国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)」の協賛を得て、創価学会インタナショナル(SGI)が、「人権教育2020(HRE2020)」、「人権教育学習NGO作業部会」、「人権教育と研修に関する9か国プラットフォーム」との共同で開催したものだ。
25枚のパネルからなる展示は、人権教育が変革につながった事例として、オーストラリアやブルキナファソ、ペルー、ポルトガル、トルコでの成果を取り上げており、市民や政府、市民団体に対して、「人権文化」を涵養するために行動しようと呼びかけている。
開幕式で、 在ジュネーブ国際機関ブラジル政府代表部のマリア・ナザレ・ファラーニ・アゼベド大使は、「人権教育と研修の意義は、とりわけ社会の分断と暴力的過激主義が進行していることを考えたとき、社会における平和で寛容的、かつ持続可能な社会の実現のために特に注目すべきものになっています。」と語った。
アゼベド大使の発言は「人権教育と研修に関する9か国プラットフォーム」に参加している各国政府を代表してなされたものだ。9カ国とは、ブラジル・コスタリカ・イタリア・モロッコ・フィリピン・セネガル・スロベニア・スイス・タイである。

国連人権高等弁務官事務所のクレイグ・モカイバー開発・経済・社会問題部長は、「人権の持つ力に対する認識が高まる中で、蔓延する偏見や虐待、失業、搾取、不平等、そして独裁や政治腐敗、不正を容認できないと叫んでいる人々の『うなり声』が世界中にひろがっています。」と語った。
「この展示が示しているとおり、人権の知識は、人々が自由と尊厳ある生を享受するための力なのです。」とモカイバー部長は語った。
モカイバー部長は、「トルコにおける家庭内暴力」や、オーストラリア当局による厳格で暴力的な差別措置の被害者らを救う人権教育および研修を広めているSGIの取り組みを称賛した。
SGIは、世界で1300万人の会員を擁する、地域に根差した仏教団体である。会員らは、仏教の伝統である人間主義を根本に、平和や文化、教育を推進している。
東京を本拠とするSGIの寺崎広嗣平和運動総局長は、池田大作SGI会長の言葉を引用して、「人権教育を通じて日頃から互いの多様性と尊厳を大切にし合う社会の土壌を育み、一人でも多くの人々が『人権文化』の建設の担い手となっていく流れをつくり定着させていくことが今ほど必要な時はありません。」と語った。

池田会長は、寺崎総局長が代読したメッセージのなかで、今回の展示が国連人権理事会の会場において開催されたことを紹介。また、難民や移民、外国人などに対する嫌悪や排斥の動きが各国で見られる中、人権教育および研修に関する国連宣言の「あらゆる形態の差別、人種主義、固定観念化、憎悪の煽動、それらの背景にある有害な態度や偏見と戦い貢献すること」との一節に触れ、人権教育をあらゆるレベルにおいて推進する継続的な努力がなされることの重要性を訴えている。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)ジュネーブ連絡事務所のアブドゥルアズィーズ・アルムザイニ所長は、「大きな変化と不透明さに直面する時代にあって、人権への知識を持つことは、あらゆる人々が持つ権利への敬意を培うための、本質的な手段と見なされるべきです。」と語った。
アルムザイニ所長は、今回の展示は「人権教育が、平和、正義、非暴力、寛容、そして人間の尊厳の尊重といった価値を涵養する強力な言動力となりえます。」と語った。
「ユネスコは、70年前に世界人権宣言が採択されて以来、市民的権利、文化的権利、経済的権利、社会的権利、政治的権利といったあらゆる人権が、継続的な人権教育および研修を通じて、よりよく普及・促進されるよう取り組んできました。」とアルムザイニ所長は語った。
人権問題に取り組む15の非政府組織の連合体で、今回の展示の共催者であるHRE2020を代表して挨拶したエマ・メランデル・ボリ氏は、民主主義への挑戦と人権侵害によって損なわれた今日の世界においては、「国連人権宣言に謳われている人権の監視と履行を継続的に行っていく必要性を強調した。

「拡大する暴力と、国家やその新しい統治者による人権侵害の拡大を背景に、人権教育および研修を通じて被害者をエンパワー(内発的な力の開花)するために必要な、さまざまなアプローチをとることが重要です。」と寺崎総局長は語った。
展示会場でIDN-INPSの取材に応じた寺崎総局長は、「人権侵害に関わるそれぞれの事例について徹底的な検証が必要であることは言うまでもないが、他方、小学校以降の人生のあらゆる段階において、人権教育を中心に据える必要があります。あらゆる人々の心の中に人権の重要性を理解する感情を喚起しない限り、人権侵害は繰り返されることになるでしょう。この展示を通じた(SGIの)取り組みの狙いは、まさにこの点にあります。」と語った。
寺崎総局長は、現在米国で移民が直面している窮状について問われ、「米国は多元主義と多様性を通じて成長し、そのおかげで急速に発展してきました。もし米国がこの点で実際に態度を変えるならば、それは自らの過去を拒否し、否定するということになります。」と語った。

寺崎総局長は、予測不能性、不確実性、暴力、剥奪、不安、さらには、人権への一般的な攻撃で特徴づけられる現在のグローバルな局面に対する懸念を表明し、「だからこそ、SGIは人権教育に力を入れています。」と語った。
展示のテーマに関連したものに、インドの作家で文芸や政治問題に関する著作があるパンカジ・ミシュラ氏による『怒りの時代―現在の歴史』がある。
この著書の中でミシュラ氏は、こう述べている。「先制攻撃による戦争、大量報復、レジーム・チェンジ(体制転換)、国造りとイスラム改革といった9・11後の政策はことごとく失敗に、それも壊滅的な失敗に終わっている。他方で、超法規的殺人、拷問、レンディション(特例拘置引き渡し)、無期限収監、大規模な監視を通じて、無自覚に進められている欧米自身の啓蒙主義に対する汚い戦争は、大成功を収めているのである。」(原文へ)
INPS Japan
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資源利用最大化を図るタンザニアの学校
【ダルエスサラームIDN=キジト・マコエ・シゲラ】
鐘の音が鳴って、ヘキマ小学校は放課後になる。そしてこの鐘は、レイラ・キトワナちゃん(10歳)と同級生の児童達にとって、学校の畑へ水やりする時間を告げるものでもある。児童たちは、巨大タンクに溜められた雨水を使ったドリップ(点滴)灌漑システムを利用して、この立体的な畑に交替で水やりをしている。
「いろんな種類の野菜を育ています。これらは私たちの食事の大事な一部になります。」とキトワナちゃんは語った。
ダルエスサラームキノノドニ地区の貧しいタンデール集落にあるこの学校の大半の児童たちは、最近まで、授業に出るよりも水の確保に多くの時間を費やしていた。「井戸があったけど、しょっぱくて飲むことができず、トイレ用の水としてしか使えませんでした。」とキトワナちゃんは語った。
極端な水不足、貧しい学習環境のために、低所得層の多くの児童が通学を諦めていた、と教師らは説明する。しかし、学校が「アーバン・ネクサス」のアプローチを採用してからというものの、状況は格段に改善した。これは、水・エネルギー・食料資源を効率的かつ統合的な方法で利用しようとするものだ。
「アーバン・ネクサス」アプローチを通じて、水と衛生、エネルギー、食料と廃棄物をリンクする機会が創出される。こうした解決策は、単一の開発手法を適用するだけでは生み出されないものだ。
ICLEI(「持続可能性を求める地方政府」)とドイツ国際協力公社が5万7000ユーロをかけて支援する「アーバン・ネクサス」のパイロット・プロジェクトの下で、ヘキマ小学校と近隣のエリム小学校は、利用可能な資源をより効率的に使えるようになってきた。
ヘキマ小学校のムンガ・ムテンゲティ校長によれば、プロジェクトのおかげで、学校は、燃料となる木材の消費を減らし、より多くの水を入手し、学校給食のための野菜を育て利用することが可能になったという。
「今では、多くの水やエネルギーを得ることができるようになりました。」「生徒が水汲みに苦労することがなくなり、代わりに教室で時間を過ごせるようになりました。」とムテンゲティ校長は語った。
人口が急速に拡大しているタンザニアの都市部では、水・エネルギー・食料・衛生の供給システムの管理に大きな問題が生じている。しかし、自治体は、縦割りの計画・管理体制が原因で利用可能な資源を十分に活用できていない。

そのため、「アーバン・ネクサス」のアプローチは、一元管理化された統合的なシステムを通じて、より良い結果をもたらすために、限られた資源を活用する方法へと変革しようと試みるものだ。
「私たちは、学校向けに、自らの水供給、エネルギー、改善された衛生システムでもって自立が可能となるビジョンを策定したかったのです。」とICLEIのプロジェクト管理者であるサラ・バーチ氏は語った。
「私たちは料理のために使う木材を半分にし、雨季に利用できる水の量を2倍にし、入手できる食料を増やしました。」「子どもたちに、粗末なおかゆのようなものだけではなく、栄養豊富な野菜スープで十分に栄養をつけてあげたかったのです。」とバーチ氏は語った。
バーチ氏は、「近隣で出されるゴミのかなりの量を使うことになるバイオガス・プラントも小学校で設置していくつもりです。」これにより、「地域住民が出すゴミを使って、公共施設でエネルギーを生み出すことができます。」と語った。
気候変動の脅威の高まりに直面して、専門家らは、アーバン・ネクサスのモデルがそのリスクを低減し、未来の生産的で強靭(レジリエント)な都市を作るために必要なものだとしている。そうした都市は、地元および国全体の経済発展に多大なる貢献をなしうるだろう。
ダルエスサラームは、エネルギーや水の不足、粗末な廃棄物処理、貧困と高い失業率など、数多くのリスクと脆弱性を抱えている。
ダルエスサラームでは人口の約7割が非正規の居住地区に住んでいるため、タンデールのような人口密度の高いスラムは特に洪水に弱い。大雨が降るとしばしば激しい洪水が起こり、数千人が家屋を追われ、被害額は数百万ドルにも及ぶことになる。
「人口の多い地区では、学校が住民同士が連絡をとりあうための理想的な場所となっており、洪水時の強靭性を強めるハブとしてしばしば機能しています。」とバーチ氏は語った。
キノンドニ市の公務員ヨハナ・ムゴンジャ氏によると、この学校プロジェクトから得られた経験は、他の学校や公共機関にとっての模範となるものであり、環境教育の機会も提供しているという。「食糧栽培が、建物の壁や、コンパクトな空間においても可能だということを示すことができれば、地域住民に同じ試みをする気を起こさせることができます。」とムゴンジャ氏は語った。
実際、多くの地域住民がこのプロジェクトを見学に訪れ、自分の家の敷地で何ができるか尋ねるという。

タンザニアにおけるアーバン・ネクサスのパイロット・プロジェクトは、南アジアで実行されているより大きなプロジェクトの一部である。マハラシュトラ州第3の都市で、インドで急速に発展しているナーシク(ブドウ園とブドウ生産で知られる)は、水・エネルギー・食料部門のつながりを明確化することを通じてアーバン・ネクサスのアプローチの利点を示すことを目的としたパイロット・プロジェクトの現場として選ばれた。
水・エネルギー・食料安全保障とその相互の関係の問題は、2012年6月に開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)においても国際的に注目され、持続可能な開発目標(SDGs)の策定にあたっても重要な役割を果たした。
「今日、気候変動と資源の棄損に伴ったリスクの累積によって、都市は進歩・建設・開発・計画のやり方を変えなくてはならなくなっています。」とナーシク市幹部のサトヤ・ナラヤナ氏は語った。
「こうした機会がどこに眠っているのかを探り、それらを把握し、そのうえで計画を策定して実行に移す方策を考えることは、多くの都市において課題となっています。」とナラヤナ氏は付け加えた。(原文へ)
翻訳=INPS Japan
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Editorial: Onwards and Upwards in 2017
By Ramesh Jaura
We don’t want to look back … just recall that we faced numerous obstacles when we re-launched IDN-InDepthNews at the beginning of 2016 under the umbrella of the International Press Syndicate (INPS), formerly Globalom Media, established in March 2009.
As we move forward in 2017, we are very grateful to our colleagues around the world – Phil Harris, Shastri Ramachandran, A.D. McKenzie, Neena Bhadrari, Kalinga Seneviratne, Katsuhiro Asagiri, Jacques Couvas, Fabiola Ortiz, Justus Wanzala, Jeffrey Moyo, Kizito Makoye Shigela, Stella Paul, Lowana Veal, Vesna Peric Zimonjic and Lisa Vives of Global Information Network, to name just a few.

We owe sincere thanks to our contributors whose expert analyses and viewpoints enhanced the quality of what we offer to our readers: Jayantha Dhanapala (former UN Under-Secretary-General for Disarmament Affairs); David Krieger (President and founder of the Nuclear Age Peace Foundation); Alyn Ware (Global Coordinator, Parliamentarians for Nuclear Non-Proliferation and Disarmament); Dr Palitha Kohona (former Ambassador and Permanent Representative of Sri Lanka to the United Nations in New York); Siddharth Chatterjee (UN Resident Coordinator and UNDP Resident Representative in Kenya); Franz Baumann (former UN Assistant Secretary-General, Special Adviser to the Secretary-General on Environment and Peace Operations); and Jonathan Power (a well-known foreign-affairs columnist for the past 30 years).

We are also grateful for and appreciate the support we received from Tokyo-based Soka Gakkai International for coverage of issues related to a nuclear-weapons free world and sustainable development – and this in large part due to INPS Japan headed by Katsuhiro Asagiri.

We joined the Secretariat of the ACP Group of States, headed by Secretary-General Dr. Patrick I. Gomes, to monitor the implementation of Sustainable Development Goals (SDGs) in African, Caribbean and Pacific countries.
We would also like to thank friends who helped us launch UN Insider, which is highly appreciated by an increasing number of Permanent Missions of 193 member states accredited to the United Nations in New York. This Monday newsletter has also been drawing attention of Permanent Missions accredited to the United Nations in Vienna. In 2017, we will continue to rely on our relentless commitment and count on the support of a growing number of our readers and subscribers as well as Editors, Bureau Chiefs, the Board of Directors and our Board of Advisers.
Help us to continue connecting the dots by providing news and analysis reflecting the concerns of the marginalised sections of societies in rich, middle and low-income countries and building bridges between citizens and institutions – whether national, sub-regional, regional, international, intergovernmental or non-governmental – with a view to making information more democratic and participatory. (IDN-INPS 02 January 2017)
The global International Press Syndicate Group provides news and analysis with a view to making information more democratic and participatory.
Image credit: embracingthedetour.com.
Note: The website of the image carries a quote from a poem by Frances Anne “Fanny” Kemble, a notable British actress from a theatre family in the early and mid-19th century:
Fail not for sorrow, falter not for sin,
But onward, upward, till the goal ye win.
若者は持続可能な開発アジェンダの推進力(クリスティーナ・ガラッチ国連事務次長インタビュー)
【ニューヨークIDN=ラメシュ・ジャウラ】
非政府組織(NGO)や学者の代表らが、韓国南東部の慶州で昨年の6月1日まで3日間にわたって開催された第66回国連広報局(DPI)/NGO会議で、持続可能な開発目標の第4目標(すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯教育の機会を促進すること)の重要性を確認するグローバルな教育行動アジェンダ(慶州行動計画)を採択した。
その後、どのような進展があったのだろうか。また、2015年9月に国際社会によって承認された持続可能な開発目標(SDGs)が履行されて2年目となる今年、若者集団が果たしている役割は何だろうか。 1月にアントニオ・グテーレス新国連事務総長とマネジメントチームが就任したが、そうした中で今年も国連広報局/NGO会議は開催されるのだろうか? 広報担当の国連事務次長という職責とはどのようなものなのだろうか。
これらは、インターナショナル・プレス・シンジケート(INPS)の基幹媒体であるIDNのラメシュ・ジャウラ記者兼編集長が、国連広報局の代表を務めるクリスティーナ・ガラッチ国連事務次長(広報担当)に問いかけた質問である。インタビューの全文は以下のとおり。
Q:約7か月前の2016年6月1日、韓国の慶州で開かれた第66回国連広報局/NGO会議で非政府組織(NGO)や学者の代表らがグローバルな教育行動アジェンダを採択しました。それ以降にどのような成果があったとお考えですか。
A:昨年の慶州での会議は、国連の市民社会への関与という点で画期的な会議でした。NGOだけではなく、学者や学生、若者グループからも、これまでにない数の参加がありました。2030アジェンダのすべての目標を達成するうえで、教育が果たす決定的な役割に対する認識は高まっていると言えるでしょう。

国連広報局は、このアジェンダをいかにして前進させるのかについて議論を活性化させるべく、会議閉幕以来、慶州行動計画を広範な国連部局やNGOと共有しています。
会議以来、多くのNGOがそれぞれの持ち場で、行動計画と広範な2030アジェンダを履行するため活動を活発に展開しています。主要な問題に関する意識を高めるための各種イベントやパネル討論が開かれています。また、「世界市民のための国際教育デー」の創設に向けて、いくつかのNGOが実行委員会を組織しました。
Q:国連広報局/NGO会議の歴史では初めて、若者たちが「若者宣言」を策定・発表しました。そのときあなたは「数多くの若者が参加しているが、これは国連と協力することに若者が意義を見出している証拠だ」と指摘なさいました。この7カ月で両者のパートナーシップはどれだけ強くなりましたか。
A:国連と若者の間の関係は引き続き強まってきています。若者は持続可能な開発アジェンダの達成に不可欠な推進力であり、私たちは、若者のエネルギーと情熱を、現場で真の前進と変化に結びつけるような取り組みに、ますます力を入れるようになってきています。
国連広報局は、慶州会議の後、グローバルな問題に関して若者やNGOの若者グループをいかに関与させていくかについて、国連と市民社会パートナー双方に対する諮問機関となるようなNGO若者実行委員会を立ち上げました。
国連は、若者の活動に焦点を当てるか、意識を高め関与を促すために、毎週のように世界各地で若者関連のイベントや活動を開いており、気候変動や公害であれ、賃金の平等や性的暴力であれ、飢餓や貧困の撲滅であれ、最も差し迫ったグローバルな問題への解決策を見つけようとしています。

また、新国連事務総長の青少年問題特使の選定プロセスも始まっています。青少年問題特使は、若者を代表して世界的なアドボカシー活動を先導するのです。現在、アフマド・アルヘンダウィ氏の任期がちょうど切れたばかりで、アントニオ・グテーレス事務総長は、速やかに次の青少年問題特使を任命しようと考えています。グテーレス事務総長は、若者を動員し協力関係を構築していくことを自身の任務の主要な目的と考えています。
Q:持続可能な開発目標の2年目(=2017年)とそれ以降において、若者に何か特別の役割があるとお考えですか。
A:現在、世界には15~24歳の若者が12億人もおり、若者の数は歴史上最大になっています。この数は今後も増え続けることでしょう。若者は明日のリーダーであり、人類の将来を形作る上で極めて重要な役割を果たすことになります。
世界では、若者がますますグローバルな問題、とりわけ持続可能な開発の問題に関わりを持つようになってきており、ポジティブな変化を生み出す大小様々な方法を模索しています。そしてすでに多くの若者が、各々の国や地域コミュニティーにおいて革新的なプロジェクトやアイデアに着手・実践しています。
今後私たちは、若者たちが新しいアジェンダを実行する最前線に立てるよう、若者や若者団体と関与し続けていかなければなりません。そして若者たちも、自分たちの主張が聞いてもらえるよう声を挙げ続けていかなければなりません。
Q:2017年は新事務総長の就任と、新マネジメントチームの発足で幕を開けました。それでも、国連広報局/NGO会議が今年中に開かれることになるでしょうか。 もしそうだとすれば、会場はどこになるでしょうか。
A:今年は国連広報局/NGO会議を開く予定はありません。次の会議を2018年に開催するオプションを探っているところです。他方で、グテーレス事務総長のチームと協力して、国連広報局によるNGOとの協働が、事務総長の実質的な優先事項とうまく連携するように試みているところです。
Q:国連広報局長としてのあなたの任期も終わりに近づいていますが、国連の活動を広く一般に知らしめるという意味において、任期中に直面した課題や、成し遂げたものとしてはどのようなものがありますでしょうか。またあなたの次のキャリアにとって、ここでの経験はどれほど有益だとお考えですか。
A:国連で広報担当の事務次長として働いたことは、とても実りの多い経験でした。なぜなら、毎日、国連での出来事を国際社会に伝えるグローバルチームを率いるという機会を得たのですから。

課題は、人々が数百もの異なる言語を話し、ラジオやポスター、テレビといった伝統的なものから、ソーシャルメディアのような新しいものまで、無数の媒体を通じてニュースや情報を受け取っている世界において、またそうした時代において、国連のことをいかにして伝えるのか、という点です。できるだけ多くの人々に、できるだけ多くの手段で情報を伝えなくてはならないのですが、同時にまた、国連広報局の予算が増えていないということも認識しなくてはなりませんでした。
だからこそ「パートナーシップ」が魔法の言葉となるのです。私たちが、政府やNGO、民間部門、活動家等、国連が提示する課題の解決に努力する用意がある全ての人々と真のパートナーシップを組むことができれば、国境や、異なった言語や文化、国、世代を超えて活動を展開することが可能になるのです。
私がこれまで携わってきたあらゆる仕事において、なんらかの発見がありましたが、この仕事も例外ではありません。私にとって、国連広報局がこの2年間で取り扱ってきた問題の深さと幅広さは特異なものでした。そして、さらに印象的だったのは、国連加盟国、メディア、市民社会、企業など、世界のあらゆる場所において、国連と協力することに真摯に関心を抱いている人々がいることです。国連は、よりよい世界を目指して活動しようとする人々にとって選択に値するパートナーであり、最も動員力があり、真の意味でそうした人々の声を集約できる存在なのです。(原文へ)
翻訳=INPS Japan
This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.
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