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シルヴァーノ・マリアトマシ大司教インタビュー(Vaticn Conference on Nuclear Disarmament)

INPSは、ローマ教皇庁人間開発のための部署が11月10・11両日に主催した国際シンポジウム「核兵器なき世界と統合的な軍縮に向けての展望」を取材した。INPS Japanからは浅霧勝浩マルチメディアディレクターがラメシュ・ジャウラ編集長とバチカンで合流し、主催したシルヴァーノ・マリアトマシ大司教をはじめ、主な参加者とのインタビューや会議の様子を記事並びに映像に収録した。

同部署は、「すべてのことが繋がっている」とするフランシスコ教皇の金言に基づき、「統合的軍縮」と「総合的な開発」の間のつながりに焦点を当てるとともに、「開発」・「軍縮」・「平和」の間の関連性を協議すべく、世界各地から宗教指導者、市民社会、諸政府、国際機関、著名な学者、ノーベル平和賞受賞者、学生代表をバチカン市国に招いた。

Archbishop Silvano Maria Tomasi talks about expectations of the Nov 10-11 International Conference for A World free from Nuclear Weapons.SHOW MORE

INPS Japan

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【国連IDN=ラメシュ・ジャウラ】

ICANは軍縮に民主主義をもたらした

反核活動家であり、2013年以来インドでICANのパートナーを務めるビドヤ・シャンカール・アイヤール氏は、100カ国の非政府組織の連合であるICANは「軍縮に民主主義をもたらした」と語った。ICANは、人々の力をうまく活用して、これまでに作られた中で最も破壊的な兵器であり、人類全体に生存上の脅威をもたらす唯一の兵器を廃絶するための取り組みを行ってきた。

ICANは、今回の受賞は「核時代の到来以来、核兵器に対する抗議の声を挙げ、核兵器はいかなる正当な目的にも資することがなく、地球上から永遠に放棄させられるべきだと主張してきた世界中の数多くの活動家や事態を憂慮している市民らのたゆまぬ努力への賛辞だと考えている。」とした。

それはまた、広島・長崎原爆の被害者、世界中の核爆発実験の被害者への賛辞でもあった。彼らの熱のこもった証言と、惜しみない活動こそが、この画期的な合意をもたらしたものだった。

ICANを構成する組織連合のひとつであるカザフスタン「ATOMプロジェクト」の名誉大使で、腕のない芸術家・反核活動家であるカリプベク・クユコフ氏は、核兵器なき世界を実現するために、同プロジェクトやその他の不拡散パートナーと協力してきたことについて、ICANに感謝の意を表明した。

クユコフ氏は、「2012年8月29日にカザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領がATOMプロジェクトを開始した直後からICANとの協力関係ができたお陰で、同プロジェクトは世界各地の数多くの反核活動家からの支援を得てきました。」と述べた。

クユコフ氏はさらに「この賞は、核兵器実験の悲劇的な結末について世界に知らしめるとともに、広範な国際社会に核兵器の禁止に向けて決定的な行動をとらせる機会です。」「これこそまさに、ナザルバエフ大統領とカザフスタンの人々が1991年以来、実現を目指して取り組んできたことなのです。」と語った。

核時代平和財団(NAPF)のデイビッド・クリーガー会長は、このノーベル平和賞は「今年ついに採択された核兵器禁止条約に向けてたゆみなく活動してきた世界中の数百というICANのパートナー組織や活動家にとっての大きな名誉である。核兵器廃絶に身を捧げてきた被爆者(広島・長崎原爆の生存犠牲者)にとっては、とりわけ嬉しい出来事だった。」と語った。

Rick Wayman
Rick Wayman

NAPFの事業責任者リック・ウェイマン氏は、今年国連で行われた核兵器禁止条約を巡る交渉会議において、ICANの取り組みで積極的な役割を果たした。ウェイマン氏は、ICANの多様な国際活動家チームの一員として、核兵器禁止条約でより強い文言を採用するよう諸国に訴えると同時に、メディアやソーシャルメディアを通してICANのメッセージを広めるのに一役買った。

ウェイマン氏は、「ノーベル委員会がICANの優れた活動を評価してくれたことは、非常にありがたい。核兵器禁止条約の実現は、大胆な戦略と多くのきつい仕事、そして喜びさえももたらしてくれる協働的な取り組みの結果です。とりわけ、数千発の核弾頭を依然として維持している米国において核兵器の廃絶を実現するまでには、まだやらねばならないことがたくさんあります。このノーベル平和賞が世界中でますます多くの人々が核兵器の廃絶に向けて緊急に取り組むことの重要性に目覚めすことを期待しています。この目標は達成はできるし、またそうするつもりです。」と語った。

懸念するNATO、喜ぶ国連

大西洋を跨ぐ軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)の見解は異なっている。予想されたことだが、NATOは、核兵器を廃絶する取り組みは、グローバルな安全保障の「現実」を考慮に入れなければならないとして、核軍縮団体であるICANのノーベル平和賞受賞に対して冷淡な態度を示した。

NATO-Summit 2002/ Public Domain
NATO-Summit 2002/ Public Domain

世界の3つの核兵器国(米国・英国・フランス)が加盟しているNATOは、核兵器禁止条約は北朝鮮の核に開発に対する国際的な対応を阻害するリスクをはらんでいるとして、強く批判している。

NATOのジェンス・シュトルテンベルク事務総長は、ノーベル委員会によって軍縮の「問題に焦点が当てられたこと」を歓迎し、「核兵器なき世界に向けた条件を作り出す目標にNATOはコミットしている。」と語った。しかし、核兵器禁止条約は長年にわたる核不拡散の進展を危機に晒すとして、(すべての核保有国が避けた)同条約を改めて批判した。

Jens Stoltenberg, NATO Secretary General/ NATO

シュトルテンベルク事務総長は声明の中で、「我々が必要としているのは、核兵器の検証可能かつバランスの取れた削減だ。すべてのNATO加盟国が署名しているNPTこそが、引き続き核不拡散を推進する国際的な取り組みを支える唯一の仕組みであり、NATOは、核兵器が存在する限り『核同盟』であり続ける。」と言明した。そして、「NATOは、核軍縮達成の条件が今日まだ揃っていないことを遺憾に思うが、軍縮への努力は現在の安全保障環境の現実を考慮に入れねばならない。」と述べた。

しかし、国連のトップは、ICANの表彰は、核兵器が人類にもたらしている恐るべき脅威に目を向ける必要性を思い起こさせるものだ、と述べた。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は報道官を通じて発表した声明のなかで、「この賞は、(核兵器が)再び使われれば、人類と環境にどのような結果がもたらされるかを訴え、熱心に努力したことが評価されたものだ。」と述べた。

同声明はまた、「核に対する不安が冷戦以後で最も高い水準にある現在、事務総長は、全ての国々に対して、核兵器なき世界へのビジョンと強いコミットメントを示すよう呼びかけている。」と述べ、「核の悪夢」の脅威を終わらせる緊急性を指摘した。

ICANやその他多くの市民団体の協調的な取り組みは7月、この数十年間で初の核軍縮に関する多国間の法的拘束力ある文書である核兵器禁止条約の採択に貢献した。

また、国連軍縮部門のトップもICANに対して祝意を示し、「核兵器のない世界の達成は国連にとって緊急の優先事項であり続ける。」と強調した。中満泉国連軍縮問題担当上級代表は、ノーベル平和賞がこの問題に弾みをつけることへの期待を表明するとともに、国際社会が、紛争を予防し、国際的緊張を和らげ、持続可能な平和と安全保障を実現するための方法として軍縮を真剣に追求するよう呼びかけた。

世界には依然として1万5000発以上の核兵器が備蓄されており、その多くが高度な警戒態勢下にあり、通告後数分で発射可能な状態にある。さらにこの数カ月間、北朝鮮の核兵器開発を巡る緊張状態が高まっている。

核軍縮は、1946年の国連総会における第1号決議が、核兵器とあらゆる大量破壊兵器を世界から一掃するとの目標を打ち立てて以来、常に国連の目標であり続けてきた。

Federica Mogherini/ Union Europea En Perù, CC BY 2.0
Federica Mogherini/ Union Europea En Perù, CC BY 2.0

2015年に締結された(そしてトランプ大統領が嫌っている)イラン核合意の立役者として、イランの外相とともに今年の平和賞の受賞候補者の一人と目されていたフェデリカ・モゲリーニ欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表は、「世界が、新たな核実験と核の危機という脅威にさらされている中、本日、ICANにノーベル平和賞が授与されたことは、国際社会全体の目標であり、長期の平和と安全を確保する道である、核不拡散と軍縮にとって強力な後押しとなる。」と語った。

モルゲリーニ上級代表はさらに、「(核保有国の英国とフランスを含む)EUは、核兵器のない世界を達成するというコミットメントを共有しており、世界中のパートナーと共に、核不拡散と軍縮に向けた日々の努力を継続する。不拡散条約の完全な実施とその評価、包括的核実験禁止条約の発効のために、不断の活動を続ける。そして、朝鮮半島の非核化に向け、政治的解決の道を平和裏に模索しており、イランとの合意が、全ての側により完全に実施されることを担保すべく、努力を継続する。」と語った。

米朝関係を巡るさまざまな反応や不安定さを考えると、核兵器なき世界という目標は、米国のバラク・オバマ大統領が2009年4月にプラハでの歴史的演説で「核兵器なき世界に向けた具体的措置」を約束した頃に比べれば、もはや手の届くところにはない。オバマ大統領には「国際的な外交と諸国の人々の協力を強化することに並はずれた努力をした」として、2009年のノーベル平和賞が与えられている。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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【国連IDN=ラメシュ・ジャウラ】

米国のロナルド・レーガン大統領とソ連(当時)のミハイル・ゴルバチョフ共産党書記長(当時)が1987年12月10日にワシントンで署名した歴史的な共同声明は「核戦争には勝者はなく、決して戦われてはならないとの冷厳な信念によって、人々は導かれ続けるであろう」と述べた。

それから30年、「国際社会の重要な一面を今日特徴づけている和平プロセスにおいて主導的な役割を果たした」として1990年にノーベル平和賞を受賞したゴルバチョフ氏は、「軍事ドクトリンが再び核兵器使用を認めているという事実を深く憂慮」している。

Mihail Gorbachev/ Katsuhiro Asagiri
Mihail Gorbachev/ Katsuhiro Asagiri

ゴルバチョフ氏は、こうした考えを念頭に置いて、2017年のノーベル平和賞核兵器廃絶国際キャンペーンICAN、本拠ジュネーブ)に授与されるとの発表を歓迎した。

「ノーベル委員会は非常によい決定をしました。この賞は、核兵器とはどんなものであり、その廃絶が目指されてきたという事実を、常に思い起こさせてくれるだろう。『核兵器なき世界』以外にどのような目標があるというのだろうか!」―これは、国際社会経済・政治研究基金(ゴルバチョフ財団)のウェブサイトに掲載された声明である。

ノルウェー・ノーベル委員会は、10月6日の受賞者発表で、ICANは「核兵器使用が人類にもたらす壊滅的な惨禍について注意を引こうとし、条約に基づいた核兵器の禁止実現に向けた画期的な努力に対して受賞した」と述べた。

創価学会インタナショナル(SGI)池田大作会長にとっても、これは大いに喜ばしい出来事であった。東京を本拠とし、全世界に1300万人の会員を擁するこの仏教徒のネットワークは、創価学会の戸田城聖第2代会長が1957年9月8日に「原水爆禁止宣言」を発表して以来60年に亘って、核兵器の廃絶に向けて取り組んできた。

核兵器なき世界の実現が喫緊の課題であると訴え続けてきたSGI会長は、世界192カ国・地域のSGIメンバーを代表し、ICANに対して「衷心からの祝意」を表明した。

Daisaku Ikeda/ Photo Credit: Seikyo Shimbun
Daisaku Ikeda/ Photo Credit: Seikyo Shimbun

「今回の受賞の契機となった核兵器禁止条約は、不可能と思える大きな課題に向けて希望を持って前進し取り組むとき、世界にどれほど大きなインパクトを与えることができるかを示すものです。」と池田会長は祝辞の中で述べた。

池田会長はさらに、「この受賞に、核兵器の廃絶を求めてきた全ての関係者、なかんずく被爆者の方々とそれに連帯する市民社会のメンバーは、どれほど勇気付けられることでしょう。」「2007年のICAN発足以来、SGIはその国際パートナーとして、核兵器のない世界を目指し共に力を合わせて歩みを進めて参りました。私どもSGIにとってもICANによるこの度の受賞は、何ものにも代え難い喜びであります。」と述べた。

「核兵器禁止条約の採択、ICANのノーベル平和賞を受け、核兵器廃絶への挑戦は、いよいようねりを増しつつ、新たなステージに入りました。」と池田会長は主張した。

「私どもSGIは核兵器禁止条約の一層の普及への努力に力を注ぐと共に、一人ひとりの『生命の権利』、人類の『生存の権利』に対する最大の脅威である核兵器の廃絶に向け、さらに不退の決意で皆様と連帯し、尽力して参ります。」と池田会長は強調した。

「新世代」の活動家たち

ICANのベアトリス・フィン事務局長は、「今回の受賞は、とりわけ『新しい世代』の活動家たちの努力が認められたことを示すものです。」と述べた。「新しい世代」の活動家とは、「冷戦後に育ち、なぜ核兵器が依然として存在するのか理解できない人たち」のことだ。

Beatrice Fihn
Beatrice Fihn

フィン事務局長はまた、「とりわけ、ノーベル平和賞は、核兵器禁止条約の成立に尽力した被爆者の功績が認められたものでもあります。」と語った。7月7日に核兵器を法的に禁止する条約の制定を目指す交渉会議で採択された同条約は、核軍縮に向けた法的拘束力がある多国間の取り決めとしては、この20年で初のものであった。フィン事務局長は、広島原爆の被爆者であるサーロー節子氏の言葉を引用して、「7月7日は核兵器の終わりの始まりです。」と語った。

「もちろん、平和賞によってトランプ(米大統領)に核兵器を放棄させることができるとは思いません。」「私たちは、核兵器が人々にとって受入れ難いものにしようとしているのです。…なぜなら、政府は最終的には国民の求めることをしなければならないからです。」とフィン事務局長は10月9日にニューヨークの国連本部で行われた記者会見で述べた。

9月20日に署名開放された核兵器禁止条約は、これまでに50カ国が署名し、3カ国(タイ、南米ガイアナ、バチカン)が批准している。しかし、条約が発効するにはあと47カ国の批准が必要だ。ICANの大きな目標は、2018年末までに核兵器禁止条約に50カ国の批准を得ることです。」とフィン事務局長は記者らに語った。

 ICANアジア太平洋局長のティム・ライト氏は、「日本が核兵器禁止条約に署名・批准していないことは、1945年の広島・長崎の原爆を生き延びた被爆者への裏切りです。」と指摘したうえで、「被爆者の方々は、人類への深刻な警告を発しています。私たちは彼らの証言に耳を傾け、その呼びかけに応えねばならなりません。」と語った。日本は自ら核兵器は保有していないが、米国の「核の傘」に守られている。

Tim Wright/ ICAN
Tim Wright/ ICAN

日本の外務省はICANのノーベル平和賞受賞について、「ICANの行ってきた活動は,日本政府のアプローチとは異なりますが、核廃絶というゴールは共有しています。今回の受賞を契機として,国際社会で核軍縮・不拡散に向けた認識が広がることを喜ばしく思います。」との丸山則夫外務報道官の談話を発表した。

丸山外務報道官はこの談話の中で、ノーベル委員会が受賞発表の中で北朝鮮の核開発に言及している点を指摘したうえで、「北朝鮮の核・ミサイル問題はこれまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、国際社会と連携してあらゆる手段により圧力を最大限まで高め,北朝鮮の政策を変えさせる必要があります。我が国は、核兵器の非人道性に対する正確な認識とともに、こうした厳しい安全保障環境に対する冷静な認識に基づいて、非核兵器国のみならず核兵器国の協力も得て、現実的かつ実践的な核軍縮・不拡散の取組を進めて行くことこそが、真に核兵器のない世界を目指す上で必要であると考えています。」と述べた。

丸山外務報道官はさらに、「広島・長崎の被爆者は、核兵器のない世界の実現に向けて被爆の実相を世界に伝えてきました。」と指摘したうえで、「核兵器廃絶に向けた被爆者・被爆地の長年の努力に対し、この機会に改めて敬意を表したいと思います。」と述べた。

ノルウェー・ノーベル委員会のベリト・レイス=アンデルセン委員長は、委員会の決定に関する説明の中で、「ICANは、国際法による核兵器禁止に向けた取り組みで主導的役割を果たした。」と述べた。7月7日、122カ国の国連加盟国が核兵器禁止条約の採択に賛成した。この条約は50カ国が批准した段階で発効し、全ての締約国に対して、国際法の下で法的拘束力を持つものとなる。

レイス=アンデルセン委員長はさらに、「委員会は、核兵器禁止条約だけでは核兵器を一発も削減できないことや、現段階では核保有国とその同盟国は賛同していないことを認識している。」と述べた。

実際、米国はすぐさま「今日の発表によってこの条約に関する米国の立場にいささかの変更もない。米国は『核兵器禁止条約』に賛成もしないし、署名もしないということだ。」とする声明を発表した。

レイス=アンデルセン委員長は、「委員会は、核兵器なき世界の実現に向けた次のステップでは、核保有国を巻き込まねばならないと強調したい。従って今年の平和賞はこれらの国々に対し、世界に存在するおよそ1万5000発の核兵器の段階的で偏りのない、注意深い監視の下での廃棄を目指した真剣な交渉の開始を求める呼び掛けでもあります。」と述べた。

ICAN
ICAN

同委員長はさらに、「核不拡散条約(NPT)は、核軍縮を促進し、核兵器のさらなる拡散を予防する主要な国際法律文書であり続けるだろう。」と述べ、核兵器を現在保有する国のうち5カ国(米国・ロシア・英国・フランス・中国)は、1970年のNPTへの加入を通じて、この目標の実現を既に約束している事実を指摘した。 後編に続く (原文へ

翻訳=INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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【国連IDN=シャンタ・ロイ】

ドナルド・トランプ米大統領は、核兵器に関する一貫性のない言動を繰り返し、北朝鮮を「完全に破壊する」と公に威嚇したことから、反核・反戦活動家の間に激しい政治的反発を招いている。

「中心的な問題は、ドナルド・トランプが、核兵器がいったいどんなものであるのか、たとえ一発でも、北朝鮮、あるいはいかなる場所に発射した場合に引き起こされる人道上の大惨事について、彼が無知であるように見えることだ。」と語るのは、「アクロニム軍縮外交研究所」のレベッカ・ジョンソン博士である。彼女は、2017年のノーベル平和賞受賞団体である「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)創設時の共同代表でもある。

緊張が高まる中、エドワード・マーキー上院議員(マサチューセッツ州選出)と、テッド・リュー下院議員(カリフォルニア州)―いずれも民主党―は、米議会に対して、議会による宣戦布告なしに核兵器の先行使用を一方的に命令する大統領の権限を制限する法案を提出している。

今年1月下旬に提出されたこの法案は、9月の国連総会での演説など、トランプ大統領による最近の激しい発言を受けて、注目を集めるようになってきている。国連でトランプ大統領は、「米国は大きな力と忍耐を備えているが、自国や同盟国の防衛を迫られれば、北朝鮮を完全に破壊せざるをえない。」と表明した。

この数カ月間トランプ大統領は、もし北朝鮮が米国を威嚇するなら、「世界が見たこともないような炎と怒りに直面するだろう。」と述べている。また、米国の核戦力は「過去のいかなる時期よりもはるかに強く、強力だ。」とツイートしている。

Bob Corker official Senate photo

共和党所属で、強い権限を持つ上院外交関係委員会の委員長であるボブ・コーカー上院議員(テネシー州選出)は10月8日、トランプ大統領の無謀な言動は、米国を「第三次世界大戦への道」に引きずり込みかねない、と発言した。ここで語られていないことは、「もしそんな戦争が起きれば、それは核戦争かもしれない」ということだ。

他方、トランプ大統領は、7月の国家安全保障評議会の会合で米国の核戦力を10倍に増強することを自身が求めたとの米テレビネットワークの報道を強く否定した。

米国防総省によると、米国が保有する核弾頭数は、1960年代のピーク時は約3万発にのぼったが、現在は約4000発にまで減少している。

ジョンソン博士はIDNの取材に対して、「トランプ(大統領)も北朝鮮の金正恩(委員長)も、あたかも崖に向かって高速車を飛ばして度胸を競い合う『チキンレース』を演じて気勢を張っている酔っぱらいの若者のようだ。」と語った。

ニューヨーク・タイムズが10月12日の社説で指摘したように、トランプ氏は大統領予備選中に、「もし核兵器を使わないのなら、持つ意味は何なのか」と疑問を呈したと言われる。

Donald Trump/ The White House
Donald Trump/ The White House

提案されている法案に関してジョンソン博士は「この状況において、もし法案が超党派による多数の支持を得て、議会が大統領から核の発射権限を取り上げることができれば、もちろん有益です。」と語った。

共和党が多数を占めるの議会でこの法案が支持を得るのは困難が予想されるが、多くの共和党議員が一部の法律に関してトランプ大統領を公然と批判する兆候が出てきている。例えば、対ロシア制裁の一方的解除を大統領に認めない、といったことが挙げられる。

ジョンソン博士は、「こうした政治的な制約がたとえどんなに有益であったとしても、米国が依然として数千発の核弾頭を警戒態勢に置いている状況の下では、あくまで脆弱で一時的な安全策に過ぎません。」と語った。

ジョンソン博士はまた、「トランプ大統領は、核兵器を除去し、その取得や使用を防ごうとする国際的な核軍縮・安全保障の取り決めを損なおうとしています。」と指摘した。

ジョンソン博士はさらに、「第一に、米国は7月7日に122カ国の賛成で採択された核兵器禁止条約を否定しました。そしてトランプ大統領は現在、イランとの信頼を築いてきた核合意を破壊しようと全力を挙げています。しかしこのような動きは、北朝鮮のように核開発を推進したいと考えているイランの強硬派の思う壺になっているのです。」と語った。

M.V.-Ramana
M.V.-Ramana

審議中の法案について、ブリティッシュ・コロンビア大学公共政策・グローバル問題大学院教授であるM・V・ラマナ博士はIDNの取材に対して、「この法案は、通過する可能性が高いからではなく、壊滅的な影響をもたらす核兵器の使用権限を、ドナルド・トランプ氏に限らずいかなる米大統領に対しても制限しようとする議論に道を開くものとして、重要な取り組みであると思います。」と語った。

「この極度の破壊力を統制する能力は決して個人に委ねられるべきではありません。これこそが、核兵器の非民主性を示す主な意味合いと言えるでしょう。」と『約束された力:インドの核エネルギーを検証する』の著者でもあるラマナ氏は語った。

提案されている法案H.R.669S.200には、「2017年核兵器先制使用制限法案」という名称が付けられている。

Official photo of U.S. Congressman Ted W. Lieu
Official photo of U.S. Congressman Ted W. Lieu

リュー下院議員は「核戦力の三本柱(=陸・海・空軍戦力であるICBM・SLBM・戦略爆撃機)に対する無知をさらけ出した人物が米国の最高司令官であり、その人物が核兵器に関する『予測不能性』への願望を口にし、大統領候補だった時期に米国の核政策に関して大雑把な内容をツイートしていたということは、恐るべき現実です。議会は、米国が核兵器を使用する最初の国になる状況を制限することで、世界の安定維持のために行動を起こすべきです。」「我が国の創立者たちは、抑制と均衡のシステムを作り出しました。この基準を、核戦争という、文明を終焉させかねない脅威に適用することが肝要です。我が国の核兵器発射政策を米国憲法の理念に一致させ、より安全な世界に向けて邁進すべく、マーキー上院議員とともに2017年核兵器先制使用制限法案を提出できることを誇りに思います。」と述べたと伝えられている。

マーキー上院議員は、「核戦争は人類の生存に対する最大級のリスクです。しかし、トランプ大統領はテロリストに対して核攻撃を検討すると示唆しています。残念なことに、紛争において核兵器の先制使用オプションを維持することによって、米国の政策はトランプ大統領にその権限を与えてしまっているのです。他の核武装国との危機においては、この政策は意図しない核のエスカレーションを引き起こすリスクを大幅に増すことになるのです。」と語った。

マーキー上院議員はまた、「トランプ大統領であれ、また他のいかなる大統領であれ、核攻撃に対する反撃以外の局面で核兵器の使用を容認されるべきではありません。核兵器の先制使用を制限することで、この法案はこの単純な原則を法制化するものです。」と語った。

Official portrait of U.S. Senator Ed Markey
Official portrait of U.S. Senator Ed Markey

8月14日にボストンで行った記者会見でマーキー上院議員は「どの大統領も、議会の承認なしに核の第一撃を発射する権限を与えられるべきではありません。こうした攻撃は、道徳に反し、均衡を欠き、米国民と人類文明の生存を危機に晒しかねない壊滅的な核の報復という脅威を米国にもたらすものとなるでしょう。」と語った。

ジョンソン博士は、「トランプ氏は無知にも、核兵器は米国の力を行使し彼の個人的な男らしさをひけらかすための素晴らしく巨大な兵器であり、自身を最強で無敵なものにする『抑止』と呼ばれる魔法の手段を手に入れたぐらいに考えているようだ。」と語った。

「核兵器使用の威嚇を行うことが『抑止』だとみなされていますが、抑止は魔法ではありません。」「それは、明確な意思疎通があり、計算違いや誤解、あるいは政治的・技術的ミスのリスクが存在しないときにのみ機能する防衛の一形態です。」とジョンソン博士は語った。

「しかし、依然として1万5000発の核兵器を保有している9カ国を正当化するために使われている、核抑止に関する幻想は、トランプ氏だけが抱いているものではありません。そのため、ICANはこの10年にわたって、核抑止政策に伴う危険性と、この恐るべき大量破壊兵器の使用が人類と地球に及ぼす恐るべき影響を示することで、核兵器禁止条約の実現に向けて諸政府と市民社会を動員してきたのです。」「この根本的なメッセージは、この危険な大量殺戮兵器に関して『安全に管理できる主体(=Safe hands)』など存在しないということです。」とジョンソン博士は指摘した。今や核兵器は条約によって禁止されているのだ。

Photo: The writer addressing UN Open-ended working group on nuclear disarmament on May 2, 2016 in Geneva. Credit: Acronym Institute for Disarmament Diplomacy.
Photo: The writer addressing UN Open-ended working group on nuclear disarmament on May 2, 2016 in Geneva. Credit: Acronym Institute for Disarmament Diplomacy.

「核兵器を配備し、その使用の威嚇を行うことは、事実上戦争犯罪と人道に対する罪を犯す準備に等しい行為であり、違法とみなされるべきです。核兵器禁止条約は、核兵器の地位や価値に対するいかなる幻想も剥ぎとるものです。従って、米国も北朝鮮もロシアも、その他すべての核武装国も参加して、その核戦力を廃棄し、我々すべてが直面している安全保障上の難題を解決するためにより効果的な意思疎通を図り始める必要があります。」とジョンソン博士は語った。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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国連事務総長、紛争後の平和維持よりも予防外交を選択

【ニューヨークIDN=シャンタ・ロイ】

シリア・イエメン・アフガニスタン・キプロス・カシミール・パレスチナ・スーダン・コンゴ民主共和国(DRC)など、未解決の政治的・軍事的危機が増大し続ける事態に直面する中、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、今後の方針を立てるために、「調停に関するハイレベル諮問委員会」を任命した。

諮問委員会の主な任務は「予防外交」だ。「予防(外交)は治療(紛争後の平和維持)にまさる」とする古くからの格言を基礎にしている。

この諮問委員会が創設された背景には主として国連安全保障理事会(15カ国)が機能不全に陥っている事情がある。国連安保理は、戦争と平和を宣言する権限を付与された国連で最も影響力がある機関とも言われるが、拒否権を持つ米国・英国・フランス・ロシア・中国の5常任理事国が、世界全体を救うことよりも自らの政治的・経済的・軍事的利益を守ることに汲々とする中で、行きづまり状態にある。

George Lopez/ University of Notre Dame
George Lopez/ University of Notre Dame

国連における政治的出来事を注意深く監視してきたノートルダム大学クロック研究所のジョージ・A・ロペス氏(セオドア・M・ヘスバーグ師名誉教授[平和学])はIDNの取材に対して、諮問委員会を創設することで、グテーレス事務総長は「国連を、事態がエスカレーションする段階にあたっては暴力の予防に積極的に取り組み、紛争状態にあっては速やかに停戦の確保に向けて効果的に行動できる組織にすることを目指しています。」と語った。

ロペス氏は、諮問委員会は、ロペス氏が「重鎮揃いの専門家集団」と説明したように、男性9人と女性9人で構成される委員には、ノーベル平和賞受賞者が2人、元大統領・首相が5人、元外交官などのオールスターキャストが揃っている。

米国平和研究所(ワシントンDC)の元副所長であり、「北朝鮮に関する国連専門家パネル」の元委員でもあるロペス氏は、「グテーレス事務総長は、特別大使や安保理による近年の実績よりも、より迅速で効果的に戦争当事者を調停の席につかせるために名声と経験を利用できる世界的に政治的影響力があるチームを集めた。」と語った。

ある古くからの国連観測筋は、IDNの取材に対して、安保理は、明らかに非難や制裁、特別大使の任命においてのみ有効性を発揮している、と語った。

「安保理は、紛争当事者を調停に向かわせるのがあまり得意とはいえない。ほとんどの戦争当事者にとっては、7~9人から成る著名人のチームに背を向けることで『大義への正統性を失うことは望ましくない』と考えるだろう。そのようにして、この諮問委員会は、あたかも『ドアに食い込んだくさび(=何かの歯止めになるもの)』のような存在になっています。」

「国連には、この10年ほど、『調停支援ユニット』と呼ばれる、比較的効果があった調停専門家の技術集団が存在しました。」とロペス氏は指摘した。彼らは第一級の実践家であったが、今回の委員会ほどの知名度と影響力を持たないという。

「しかし、新しい諮問委員会が政治的効果を発揮できるのか、それとも、効果を持たない顧問団がまた一つ生まれてしまうだけなのかは、予断を許しません。」とロペス氏は付け加えた。

「グテーレス事務総長は諮問委員会の発表にあたって、なぜ『予防外交』という言葉を使わなかったのか」という質問に対して国連のドゥジャリク事務総長報道官は、「たしかに、事務総長はその言葉は使わなかったかもしれません。(しかし)事務総長は調停活動のために、自身が必要に応じで招集する極めて著名な方々を世界中から集めた点を強調しました。それは間違いなく、誰でもそう言うと思いますが、必要な時に実施する予防外交の一環だと言ってよいでしょう。従って、予防外交は事務総長の課題の中では常に高い優先順位を与えられていると思います。」と語った。

Stéphane Dujarric/ UN Photo/Evan Schneider
Stéphane Dujarric/ UN Photo/Evan Schneider

諮問委員会の仕事の調整を行うための事務局を創設するかという問いに対してドゥジャリッチ報道官は10月5日、ニューヨークの国連事務局職員が実務を担うと語った。

ドゥジャリッチ報道官はさらに、「これは仕事ではなく、自発的な参加となります。国連事務総長にその時々において呼ばれ、予防外交や調停の活動に従事します。そして、諮問委員らは、必要ならいつでも呼んでほしいと言っているのです。」と説明を加えた。

ドゥジャリッチ報道官はまた、事務総長が諮問委員会の会合を招集しニューヨークでそれを執り行う意向であると指摘したうえで、「そう遠くない将来に執り行われるだろう。」と語った。

18人の諮問委員は、事務総長の裁量によって活動することになる。

「国連による調停の余地があると事務総長がみなす紛争や緊張が世界のさまざまな場所で起こったと考えられる場合、事務総長は、その危機に関して任務に最も適したと考えられるメンバーを呼ぶことになります。」とドゥジャリッチ報道官は語った。

国連は、9月13日に諮問委員会についての発表を行った際、18人の委員に関して、比類のない経験と技術、知識、人脈を活用できる現在及びかつての世界的指導者や、元高官、著名な専門家であると評した。

グテーレス事務総長は、諮問委員会の創設は、彼自身が推奨する「平和を求める外交の高まり」の一環であり、国連の予防・調停活動に適切な優先順位を与えるものだと述べた。

SDGs Goal No. 16
SDGs Goal No. 16

諮問委員会は、地域機関や非政府組織、世界中で調停活動に従事しているその他の組織と国連がより効果的に協力するのを可能にすることが期待されている。

18人のメンバーには、例えば次のような人々が含まれる。

ミシェル・バチェレ大統領(チリ):間を開けて2回、チリの大統領を務める。UNウィメンの初代事務局長。

ラディカ・クマラワスミ(スリランカ):国際的に有名な弁護士で、「女性に対する暴力に関する国連特別報告者」を務めた人権活動家。2006~12年には「児童・武力紛争に関する国連事務総長特別代表」も務める。

レイマー・ボウィー(リベリア):2011年のノーベル平和賞受賞者。「リベリア和解イニチアチブ」創設者。「平和構築における女性ネットワーク/西アフリカ平和構築ネットワーク」の共同創設者・元代表。

他のメンバーは、次の通り。

ジャン=マリー・ゲーノ(フランス):2000~08年まで国連事務次官(平和維持担当)を務めた元フランス外交官。戦争の予防とより平和的な世界の構築に向けた政策の形成に取り組む独立組織である「国際危機グループ」の総裁を2014年以来務める。

タルヤ・ハロネン・フィンランド大統領(2000~12、同国で初の女性大統領)。現在、「世界女性リーダーカウンシル」のメンバー。同カウンシルは、女性の現職・元職の首相・大統領からなるネットワークで、メンバーの経験を活用して、最高位のレベルにおける政治過程での女性の完全参加・代表を支援することを主要な目標とする。

デイビッド・ハーランド(ニュージーランド):「人道的対話センター」所長。同センターは、本拠をスイスのジュネーブに置き、対話と調停を通じて武力紛争の予防・緩和・解決に向けて世界的な活動を行う。

ノーリーン・ヘイザー(シンガポール):シンガポール国立大学評議員(2013~)。シンガポール経営大学、シンガポールS・ラジャラトナム国際大学院特別研究員(2016~)。国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)事務局長(2007~14)、国連女性開発基金(UNIFEM、現在はUNウィメンに統合)の代表(1994~2007)。

その他のメンバーは、以下のとおり。

ナセル・ジュデー(ヨルダン):ヨルダン上院議員、元副首相、元外務・移民大臣(2009~17)。

ラムテイン・ラマムラ(アルジェリア):アルジェリア共和国外相(2013~17)として、マリを初めとして地域での調停活動に大きな役割を果たす。

・グラーサ・マシェル(モザンビーク):元解放軍闘士。モザンビークの初代教育文化相(1975~89)。女性・児童の権利を国際的に擁護。

これに加えて、以下も委員である。

アシャ=ローズ・ミギロ(タンザニア):タンザニアの元英国高等委員、2007~12まで国連の第3国連事務次官を務め、ミレニアム開発目標の履行を通じて国連の貧困との闘いを先導。

ラデン・モハマド・マルティ・マリアナ・ナタレガワ(インドネシア):元インドネシア外相(2009~14)。元国連大使、元英国・アイルランド大使。

オルシェグン・オバサンジョ(ナイジェリア):1999~2007までナイジェリア大統領。それ以前は、 ナイジェリア連邦共和国第3代軍事評議会副議長、ナイジェリア国軍総司令官(1976~79)。

ローザ・オトゥンバエワ(キルギス):元キルギス大統領で、同国独立時に外相・副首相も務める。

ミシェル・ピエール=ルイ(ハイチ):元ハイチ首相。2008年9月から09年11月まで司法・治安相。

さらに以下も委員を務める。

ジョセ・ラモス=オルタ(東ティモール):ノーベル賞受賞者で、ジャーナリスト、東ティモールの独立を30年も推進。独立したばかりの東ティモールの外相、首相、元首を務めた。

ゲルト・ローゼンタール(グアテマラ):1969~74と2006~08にそれぞれ計画相、外相を務める。ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)事務局長(1989~97)。

ジャスティン・ウェルビー師(英国):カンタベリー大主教、2013年より英国国教会のトップ。(原文へ

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Reporting the Landmark Resolution at UNGA

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INPS-IDN reports the landmark resolution adopted by the United Nations on October 27 for launching negotiations in 2017 on a legally binding treaty outlawing nuclear weapons. 

UN Resolution to Outlaw Nuclear Weapons Hailed

NEW YORK (IDN) – Nuclear disarmament campaigners have hailed the landmark resolution adopted by the United Nations on October 27 for launching negotiations in 2017 on a legally binding treaty outlawing nuclear weapons. The resolution heralds an end to two decades of paralysis in multilateral nuclear disarmament efforts.

In a historic move, at a meeting of the First Committee of the UN General Assembly, which deals with disarmament and international security, 123 member states of the UN voted in favour of the resolution, 38 voted against and 16 abstained.

The resolution will set up a UN conference beginning in March 2017, open to all member states, to negotiate a “legally binding instrument to prohibit nuclear weapons, leading towards their total elimination”. The negotiations will continue in June and July.

There are more than 15,000 nuclear weapons in the world today, mostly in the arsenals of just two nations: the United States and Russia. Seven other nations possess nuclear weapons: Britain, France, China, Israel, India, Pakistan and North Korea.

Most of the nine nuclear-armed nations voted against the UN resolution. Many of their allies, including those in Europe that host nuclear weapons on their territory as part of a NATO arrangement, also failed to support the resolution.

But the nations of Africa, Latin America, the Caribbean, Southeast Asia and the Pacific voted overwhelmingly in favour of the resolution, and are likely to be key players at the negotiating conference in New York in 2017.

The UN vote came just hours after the European Parliament adopted its own resolution on this subject – 415 in favour and 124 against, with 74 abstentions – inviting European Union member states to “participate constructively” in next year’s negotiations.

Echoing the views of a wide range if civil society and faith based organizations, Setsuko Thurlow, a survivor of the Hiroshima bombing, said: “This is a truly historic moment for the entire world. For those of us who survived the atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki, it is a very joyous occasion. We have been waiting so long for this day to come.”

“Nuclear weapons are absolutely abhorrent. All nations should participate in the negotiations next year to outlaw them. I hope to be there myself to remind delegates of the unspeakable suffering that nuclear weapons cause. It is all of our responsibility to make sure that such suffering never happens again.”

The International Campaign to Abolish Nuclear Weapons (ICAN), a civil society coalition active in 100 countries, greeted the adoption of the resolution as a major step forward, marking a fundamental shift in the way that the world tackles this paramount threat.

“For seven decades, the UN has warned of the dangers of nuclear weapons, and people globally have campaigned for their abolition. Today the majority of states finally resolved to outlaw these weapons,” said Beatrice Fihn, executive director of ICAN.

ICAN said, despite arm-twisting by a number of nuclear-armed states, the resolution was adopted in a landslide. A total of 57 nations were co-sponsors, with Austria, Brazil, Ireland, Mexico, Nigeria and South Africa taking the lead in drafting the resolution.

Arms Control Association’s Executive Director Daryl Kimball said in a statement: “Today’s vote marks a new phase in the decades-long struggle to eliminate the threats posed by nuclear weapons. In order to attain a world free of nuclear weapons, it will be necessary, at some point, to establish a legally-binding norm to prohibit such weapons. As such, the pursuit of a treaty banning the development, production, possession and use of nuclear weapons is a key step along the way.”

Kimball added: “Although the world’s nuclear-armed states will likely boycott the negotiations on a nuclear weapons ban, this unprecedented new process could help to further delegitimize nuclear weapons and strengthen the legal and political norm against their use – a worthy goal.”

Kimball said, the strong support for negotiations on a ban treaty needs to be understood as a logical international response to the growing risks and catastrophic consequences of a conflict between nuclear-armed states, the accelerating global technological nuclear arms race, and underwhelming pace of progress by the world’s nine nuclear-armed states on nuclear disarmament in recent years.

He added: “The coming ban treaty negotiations are not a substitute for necessary, progressive steps on nuclear disarmament, but they do have the potential to strengthen the taboo against the further development and use of nuclear weapons.

“In the coming months and years, the non-nuclear-weapon states and nuclear-armed states – particularly the United States, Russia, China, India and Pakistan – can and should do more to overcome old obstacles and animosities to advance disarmament and nuclear risk reduction measures, which are essential if we are to avoid nuclear conflict.”

Ahead of the adoption of the resolution on October 24, 15 Nobel Peace Prize winners urged nations to support the negotiations and to bring them “to a timely and successful conclusion so that we can proceed rapidly toward the final elimination of this existential threat to humanity”.

The International Committee of the Red Cross also appealed to governments to support this process, stating on October 12 that the international community has a “unique opportunity” to achieve a ban on the “most destructive weapon ever invented”.

Analyzing the importance of the resolution, organizations campaigning for prohibition of nuclear weapons said nuclear weapons remain the only weapons of mass destruction not yet outlawed in a comprehensive and universal manner, despite their well-documented catastrophic humanitarian and environmental impacts.

Biological weapons, chemical weapons, anti-personnel landmines and cluster munitions are all explicitly prohibited under international law. But only partial prohibitions currently exist for nuclear weapons.

“A treaty prohibiting nuclear weapons would strengthen the global norm against the use and possession of these weapons, closing major loopholes in the existing international legal regime and spurring long-overdue action on disarmament,” said Fihn.

She added: “Today’s vote demonstrates very clearly that a majority of the world’s nations consider the prohibition of nuclear weapons to be necessary, feasible and urgent. They view it as the most viable option for achieving real progress on disarmament.”

The October 27 resolution, known as L.41, acts upon the key recommendation of a UN working group on nuclear disarmament that met in Geneva in 2016 to assess the merits of various proposals for achieving a nuclear-weapon-free world.

It also follows three major intergovernmental conferences examining the humanitarian impact of nuclear weapons, held in Norway, Mexico and Austria in 2013 and 2014. These gatherings helped reframe the nuclear weapons debate to focus on the harm that such weapons inflict on people.

The conferences also enabled non-nuclear-armed nations to play a more assertive role in the disarmament arena. By the third and final conference, which took place in Vienna in December 2014, most governments had signalled their desire to outlaw nuclear weapons.

Following the Vienna conference, ICAN was joined by several civil society and faith based organizations in garnering support for a 127-nation diplomatic pledge, known as the humanitarian pledge, committing governments to cooperate in efforts “to stigmatize, prohibit and eliminate nuclear weapons”.

The importance of the resolution also lies in the fact that for seven decades, UN members have pushed and prodded the world’s nuclear-armed states to address the threats posed by nuclear weapons.

The first resolution of the UN General Assembly First Committee on international security, which was adopted in 1946, established a commission to make proposals for “the elimination from national armaments of atomic weapons and of all other major weapons adaptable to mass destruction.”

Twenty years have passed since a multilateral nuclear disarmament instrument was last negotiated: the 1996 Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty, which has yet to enter into legal force due to the opposition of a handful of nations, ICAN noted.

“This treaty won’t eliminate nuclear weapons overnight,” concluded Fihn. “But it will establish a powerful new international legal standard, stigmatizing nuclear weapons and compelling nations to take urgent action on disarmament.” [IDN-InDepthNews – 28 October 2016]

先住民族の存在を認め、土地の権利を与えよ

【ストックホルムIDN=ファビオラ・オルティス】

開発問題では先住民族の姿はまったく見えない。しかし、地域・先住民社会が、彼らの土地と資源に対する権利を守る取り組みを支援する世界初・唯一の資金提供機関が設立されたことで、変化がもたらされることが期待されている。

「先住民族の権利に関する国連特別報告官」のビクトリア・タウリ=コルパス氏は、「私たち(=先住民)も入れてほしい(=存在を認め土地の権利を与えてほしい)。そうすれば、子どもたちのために自分たちの土地を守り、世界全体の子どもたちのために地球の生物多様性を守ることができます。」と機関立ち上げにあたって語った。先住民族・伝統民族の土地への権利を認識することは、世界の開発・環境・気候問題への低コストの解決法となる。

新機関「国際土地森林保有権ファシリティ」は、土地や森林に対する集団的な権利認識を高めるために創設されたものであり、スウェーデン政府、フォード財団、「権利と資源イニシアチブ(RRI)」がストックホルムで共催した国際会議で10月3日、公式に発表された。

Victoria Tauli-Corpuz/ UNSR on the rigts of indigenous peoples
Victoria Tauli-Corpuz/ UNSR on the rigts of indigenous peoples

ほとんどの先住民族にとって「土地は全てを意味します。」とタウリ=コルパス氏は指摘した。土地に対する権利を確保することで「彼らは、家族を食べさせ、文化的・伝統的知識を実践することが可能となります。」

世界の人口の3分の1にあたるおよそ25億人が、生活を地域コミュニティーの共有地に依存している。「権利と資源イニシアチブ(RRI)」の2015年の報告書によると、彼らは、地球の土地の半分以上を伝統的な仕組みの中で管理しているが、先住民族や地域社会は世界の土地のわずか1割の所有権しか、法的には有していないという。

「国際土地森林保有権ファシリティ」は、先住民や地域社会に所有権を付与するプロジェクトに対して、年間1000万ドルの投資を今後10年間実施する予定だ。これによって、4000万ヘクタールの熱帯雨林の土地の所有者を確定して保護し、CO2排出を0.5ギガトン以上削減することが可能となる。

「権利と資源イニシアチブ(RRI)」のコーディネーターを務めるアンディ・ホワイト氏は、「『国際土地森林保有権ファシリティ』は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)気候変動に関するパリ協定とも連動しています。」と強調するとともに、「既に成立している各地の法律を活用して先住民族の権利を強化すべく、先住民族や地域の指導者らと協力していきます。」と語った。

「先住民族は、土地や土壌の利用、森林の木材、地下の鉱物資源を求める政府や民間からの圧力に耐えながら、数世紀にわたって森林を管理してきました。」とホワイト氏は指摘した。

SDGs Goal No. 15
SDGs Goal No. 15

「国際土地森林保有権ファシリティ」は、カメルーン・インドネシア・リベリア・マリ・パナマ・ペルーの6カ国の200万ヘクタールの森林で、アフリカ・アジア・ラテンアメリカをカバーする6つのパイロットプロジェクトを既に開始している。

アマゾン川流域の一部にあたるペルーの熱帯雨林のケースは興味深い。国土の半分以上が森林であり、その土地のほとんどが先住民族の管理下にあるからだ。

ペルーはボリビアに次いで南米では2番目に先住民族人口の数が多い。国土の15%にあたるおよそ2000万ヘクタールが、先住民族の所有権確認を待っている状態だ。

ペルー環境法協会の事業担当シルバーナ・バルドビーノ氏は、IDNの取材に対して、「先住民族の関与なしに公共政策や保全戦略を策定することはできません。」彼らと話をすることなく内閣で決まりを作ることなどできません。実際に現地に暮らしている人々を巻き込むことなく保全政策を描くなど非論理的と言わざるを得ません。」と語った。

バルドビーノ氏はストックホルム会議で、土地の権利を確定し森林を管理するペルーの成功事例について紹介した。「マドレ・ディオス県はこの地域の大きな割合を占め、自然保護区域に指定されています。先住民族が彼らの土地の境界を画定することは重要です。これは歴史的な負債と言えます。」とバルドビーノ氏は語った。

ペルー東南部の熱帯のマドレ・ディオス県は80万ヘクタールあり、違法伐採、金の採掘、石油探査の圧力に常にさらされている。

「国際土地森林保有権ファシリティ」が支援するこの最初のパイロット・プロジェクトでは、5つのコミュニティーが対象となった。11万2000ヘクタール以上がジオレファレンスされ、その結果3つのコミュニティーが実際に自らの土地の所有権を確保することが可能になった。

この県では、36コミュニティーに7つの先住民族が住んでいる。これらのコミュニティーの多くでは、土地に対する権利を確保する前に、領域に関する主張を法的かつ物理的に明確化することが必要とされている。

Courtesy Tenure Facility
Courtesy Tenure Facility

土地の所有権を確保することで、より持続可能で平等な開発を実現するプラットフォームが整うだけではなく、土地をめぐる紛争も減らせると、「国際土地森林保有権ファシリティ」のノネッテ・ロヨ代表は指摘した。

ロヨ代表はIDNの取材に対して、「世界全体がアマゾンの森林に目を向けています。現在、先住民族は非常に大きな難題に直面しています。つまり、彼らは木々が依然として豊かに茂り成長し続けている森林を占拠しているのです。彼らは、こうした場所を何世代にもわたって保護してきたのです。」と語った。

2016年11月に発表されたある調査によると、熱帯雨林の地上に蓄積された炭素のうち少なくとも4分の1が、先住民族や地域コミュニティーが集団的に管理する土地にあるという。

国際エネルギー機関によると、この量は2015年の世界全体の排出量の7割にあたるという。(原文へ

INPS Japan

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【ゴマIDN=ファビオラ・オルティス】

16歳のメルビン(身元保護のため仮名)は、コンゴ民主共和国(DRC)東部、北キブ州の首都ゴマ郊外にある元子ども兵士の避難所に今年2月以来暮らしている。彼は小さな村の出身だ。

メルビンの経験は、DCR東部の村々に住む数多くのコンゴ人少年・少女たちの経験とおおよそ似たようなものだ。自分の村から誘拐され、反乱勢力ニャトゥラに強制的に加えられた。主にコンゴのフツ族によって2010年に組織されたマイマイ(Mayi-Mayi)が率いる武装集団である。この集団が国際的に非難を受けている人権侵害のひとつとして、子ども兵士の徴集があり、彼らが犯した最も凶悪な犯罪のひとつと言われている。

家族の行方が分からなくなった内向的なメルビンが故郷の村に帰れなくなって2年が経つ。彼は紛争によって生まれた数多くの孤児のひとりだ。

国連事務総長による、児童と武装紛争に関するコンゴ民主共和国の国別報告によれば、2010年から2013年の間に少なくとも4194件の子ども兵士徴集の事例があったという。記録された事例のうちおよそ3分の1が、15歳以下の子どもだ。76%の事例が北キブ州で発生している。兵士、護衛、調理人、荷物運び、警備、性奴隷として使われた少年少女の証言が残っている。

国際連合児童基金(ユニセフ)のアンソニー・レイク事務局長が2月に述べたところでは、この10年(2007~17年)の間に、世界で少なくとも6万5000人の児童が軍隊や武装集団から解放されたという。うち2万人以上がコンゴ民主共和国の子ども達だ。子ども兵士の徴集が違法な行為であることを考えると、武力紛争に利用され徴集された子供たちの数を正確に把握することは困難だ。しかし、ユニセフは、世界中の紛争で数万人の18歳未満の少年少女が利用されたと推定している。

子ども・武力紛争ウォッチリスト」のボニー・ベリー事業担当上級マネージャーは、「国連で検証された数値は、問題の一部分を指しているにすぎません。というのも、情勢不安や戦闘などで、確かなデータを取る目的で現地に入ることが困難であったり、地理的な問題やインフラの問題があったり、武装集団と接触することを政府から禁じられたりすることがあるからです。」と語った。

内向的なメルビンは、ゴマで活動する地元の非営利組織PAMI(貧困との闘いを支援するプログラム)の施設で暮らしている。1997年に創設されたPAMIは、コンゴにおけるユニセフのパートナー団体のひとつで、軍隊や武装集団とつながりをもった子どもたち(CAFAGと呼ばれる)の確認を行ったり、身寄りのない子どもたちの避難所を運営したりしている。

メルビンは、低木地帯で数か月戦闘に加わったのち、9人の少年たちと逃亡することを決心した。メルビンはIDNの取材に対して、「武装集団には数多くの青年や子供たちがいました。2000人ぐらいの反乱軍兵士がいたのではないかと思います。私は武器を持って逃げました。自分の村に戻るのはとても危険です。きっと殺されてしまいます。」と語った。

避難所に保護されてからのメルビンの生活は一変した。「武装集団にいた頃の暮らしとは全然違います。」とメルビンは語った。

内向的で引きこもりがちになっていたメルビンも、今では日々の暮らしに新たな意味合いと、自己表現の術を見出すとともに、自尊心を取り戻すことができた。この5カ月間、メルビンは、アフリカにルーツを持つブラジルの格闘技カポエイラを学んでいる。

格闘技であると当時に踊りでもあるこの文化的実践は、相互の尊重と社会的連帯を促進するものであり、2014年には、ユネスコの無形文化遺産にも指定された。

コンゴ民主共和国では、カナダ、スウェーデン、AMADE-モンディール(世界こどもの友協会)、ベルギー、キンシャサのブラジル大使館が支援する「平和のためのカポエイラ」(Capoeira pour la Paix)という名前のユニセフの活動が、子どものための武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)プログラムの中に含まれている。

Map of Congo
Map of Congo

「ハイチやパナマでも、カポエイラが弱い立場の子どもたちのために使われていたと聞いています。最初は、『平和のためのカポエイラ』をいかに子どものためのDDRプログラムに統合して、軍隊や武装集団から解放された子どもたちの社会復帰を支援できるかを見極めるために、パイロットプロジェクトとして始まりました。」と、ユニセフDCR東部支局で児童保護を担当する専門家マリー・ディオプ氏は語った。

この夏、活動は3年目を迎え、ゴマの移行期ケアセンターでの心理社会的支援活動に完全に統合された。「子どもたちが他の子どもや大人と非常に穏やかな形で共存できるようになったのは、カポエイラを通じてです。カポエイラは、子どもたちに対する『悪者』イメージの払拭に一役買っています。」とディオプ氏は語った。

キンシャサ出身のアレックス・カリブ(29)さんは、この活動でカポエイラを教えている。国連のボランティアとして、彼は、DCR東部の反乱勢力から動員解除された子どもたちのためのカポエイラ教室を開設してきた。

「練習を始めてから12年になりますが、カポエイラは私の人生に前向きな変化をもたらし、自身を取り戻させてくれました。まさにカポエイラに出会った最初の瞬間に、私は自分の国でこれを広く伝える役割を果たしていきたいと思いました。」とカリブさんは語った。

カリブさんにとってカポエイラは、人々を結びつけ、社会的な差異を乗り越え、参加者を家族のように繋げるものだ。「カポエイラをすると皆が兄弟姉妹のようになります。これにより攻撃的になることもありませんし、むしろ、調和や平和、愛、相互尊重を促進できるのです。」とカリブさんは説明した。

カリブさんは、2016年初めに北キブ州に来て以来、子どもたちが徐々に変化してきたと感じている。「武装集団にいた男の子たちにとって新しい環境に適応するのは容易ではありません。彼らのほとんどは家族から引き離された経験をしています。私は彼らに『僕は君たちを助けるためにここにいます。自分を信じてほしい。』と伝えるようにしています。彼らの多くは(武装集団によって)虐待され、ひどい扱いを受けてきたからです。」と語った。」

子どもたちは、子ども兵士時代のトラウマから「岩」のように心を閉ざしてしまうが、少しずつ、他人を信頼できるようになっていきます。「私たちはあたかも花に水をやるように、少しづつ誠意と愛情を注いで、彼らが変革していくのを助けるのです。この子どもたちがいつか花開くように、私たちは種をまいているのです。」とフィキリさんは語った。

PAMIをコーディネートしているホアキン・フィキリさんが、まず取り組むことは、社会における暴力の連鎖を断ち切ることにある。カポエイラを使うことで、子どもたちが家族の元に戻った時に、地域社会にとけ込み、平和を広げることに役に立つのです。」とフェキリさんは語った。

「紛争のために犠牲になった子どもへの対策のニーズは計り知れない。ユニセフや国連平和維持活動(MONUSCO)と協力して、子どもたちのために武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)のすべての段階で関与し、その履行状況を監視するとともに、子どもの権利擁護に奔走しています。さまざまな民族をつなげるように、カポエイラがあらゆる地域で教えられ実践されればいいと思っています。」とフィキリさんは語った。

PAMIの保護下にある孤児たちの一部は、市民生活・家族生活に子どもたちを再びなじませるためのひとつのプロセスとして、ホストファミリーと生活を共にしている。

SDGs Goal No. 16
SDGs Goal No. 16

フランソワーズ・フラハ(38)さんが、親たちと生き別れた孤児たちのホストファミリーを引き受けるようになってから5年が経つ。この間、ゴマ近郊にあるカルティエ・キシェロに位置する2ベッドルームの彼女の小さな家では、28人の少女と16人の少年が暮らしてきた。今は、PAMIのカポエイラ教室に定期的に通っているルワンダ出身の少年が暮らしている。

「自分の心の声に従ってホストファミリーになる決心をしました。私たちは、この少年や彼の人生経験から学んでいます。朝には、共に祈りをささげ、一緒に朝食をとります。彼はPAMIのセンターから帰ってくると、いつも幸せそうです。彼はいつも『カポエイラ教えさせてよ。ジンガ(カポエイラの基本的な動き)を教えさせてよ。みんな楽しくなるよ。』って言うんですよ。」と、フラハさんは語った。(原文へ

INPS Japan

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「世界と議会」2017年秋冬号(第578号)

特集:①尾崎行雄「日米友好の証」―桜とハナミズキ

■特別インタビュー
 「NPO法人咢堂香風の取り組み - 咢堂精神の普及と世界平和に向けて」
 土井孝子(NPO法人咢堂香風理事長)
■特別寄稿
 日米友好の証「ポトマック桜」 - 百年の時を経て
 石田尊昭(尾崎行雄記念財団理事・事務局長)

特集:②世界情勢と日本の安全保障

■財団設立60周年記念シンポジウム
 「激動する世界情勢と日本の未来 - 我が国の安全保障・国際貢献の
  これから」
 小川和久/伊勢崎賢治/伊藤祐靖/桜林美佐

■連載『尾崎行雄伝』
 第八章 大同団結

■財団だより

1961年創刊の「世界と議会では、国の内外を問わず、政治、経済、社会、教育などの問題を取り上げ、特に議会政治の在り方や、
日本と世界の将来像に鋭く迫ります。また、海外からの意見や有権者・政治家の声なども掲載しています。
最新号およびバックナンバーのお求めについては財団事務局までお問い合わせください。

公党の精神(石田尊昭尾崎行雄記念財団事務局長)

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【IDN東京=石田尊昭】

第48回衆議院議員総選挙の投票日まで、一週間を切った。
少なくとも戦後に行われた総選挙のなかで、今回ほど「政治家の矜持」が試され、また失われたものはないのではないか。

整合性も実現性も乏しい付け焼刃の政策と、真新しい看板に飛びついた候補者の「嘆き節」はどうでもいいが、われわれ有権者は嘆いてばかりもいられない。
政党間における「政策の論争・競争の末に」もたらされる政権交代は、民主政治の成熟と、より良い国家・社会づくりには必要だ。
ただ、目的と手段をはき違えてはいけない。
政権交代を目的化し、そのために主義や政策を捨て去ることは「政党政治の死」を意味する。
「政権交代のためには政策は二の次で、まずは数の結集こそが政治のリアリズムだ」という意見も、元政治家の識者の一部に見受けられる。しかしそれは政治家・候補者の論理であって、国民・有権者の論理ではない。
与野党問わず、国家・社会の在り方と政策を真摯に提示するのが政党・公党の役割だ。
「公」ではなく「私」のために、政策実現よりも自己保身のためになされる数合わせや離合集散は、国民の政党不信、政治家不信を助長させるだけだ。
「日本に真の政党政治を」と愚直に説き続けた尾崎行雄は、今からちょうど70年前に書いた『民主政治読本』の中で、次のように言っている。
「立憲政治は政党がなければ、やっていけない政治である。私はほとんど過去半世紀以上にわたり、あらゆる非立憲的勢力をはねのけて、名実兼ね備える政党政治を実現することに尽力してきた。そしてこの目的を達成するためには、何としても本当の政党をつくらなければだめだと思って、ずいぶん骨を折ってみたが、どうしてもだめであった。政党の形だけはすぐできるが、それに公党の魂を入れることがどうしてもできない。日本人の思想・感情がまだ封建時代をさまよっているために、利害や感情によって結ばれる親分子分の関係と同型の私党はできても、主義・政策によって結ばれ、国家本意に行動する公党の精神は、どうしても理解できないのであろう。力をめぐって離合する感情はあっても、道理をめぐって集散する理性がないからであろう。」
70年前の咢堂の指摘が現在の日本政治に当てはまるとすれば、国民にとっては悲劇以外のなにものでもない。
ただ、私党に「公党の精神」を吹き込むのは、われわれ有権者の役割でもある。
今回の総選挙は、政策の中身と同時に、政策に対する各党の姿勢、政党政治の在り方そのものも問われている。

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