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ラッシーナ・ゼルボCTBTO事務局長インタビュー

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan

INPS Japanの浅霧勝浩理事長・マルチメディアディレクターは、包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)からの招待を受けて、中央アジアのカザフスタン共和国において5日間に亘って開催されたCTBTO青年グループと賢人会議(GEM)合同による「2018年青年国際会議」プログラムを取材した。会議期間中、国連グローバル・コミュニケーション局のマルチメディア担当記者と共に、ラッシーナ・ゼルボCTBTO事務局長とのインタビューを収録した。

On 28 August 2018, members of the Group of Eminent Persons (GEM) and the CTBTO Youth Group (CYG) gathered in Kazakhstan’s capital city of Astana for a five-day conference aimed at reflecting on the role of nuclear disarmament and non-proliferation in building global peace and finding ways to strengthen it in the future, specifically through raising the profile of the Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty (CTBT). Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director and President of INPS Japan captures the highlights of the conference including a trip to Kurchatova town in East Kazakhstan Region, once the center of operations for the adjoining Semipalatinsk Nuclear Test Site. FBポスト

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セルジオ・ドゥアルテ元国連軍縮担当上級代表インタビュー

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Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan

INPS Japanの浅霧勝浩理事長・マルチメディアディレクターは、包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)からの招待を受けて、中央アジアのカザフスタン共和国において5日間に亘って開催されたCTBTO青年グループと賢人会議(GEM)合同による「2018年青年国際会議」プログラムを取材した。会議期間中、セルジオ・ドゥアルテ元国連軍縮担当上級代表とのインタビューを収録した。

Ambassador Sérgio Duarte, former UN High Representative for Disarmament Affairs explains the importance of 2018 CTBTO GEM-Youth International Conference hosted by the government of Kazakhstan from 28 August – 2 September 2018 in Astana.

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CTBTO青年グループと賢人会議(GEM)合同による「2018年青年国際会議」を取材

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最新の報告書が地球を脅かす「ホットハウス(温室化)」現象について警告

【ベルリンIDN=リタ・ジョシ】

地球は、転換点となるしきい値を超え、危険な温室状態が永続する「ホットハウス」状態に突入する地点に向かって少しずつ進んでいる。その地点を超えると、各河川は氾濫し、海岸線が消滅。沿岸地域は暴風雨に晒され、サンゴ礁は消滅、多くの人々が食糧不足や逃れられない致命的な猛暑で命を落としていくことになる。

たとえ気候変動を食い止める国際条約(パリ協定)のもとで温室効果ガスの削減目標が達成された場合でも、こうした状況が今世紀末或いはもっと早い時期に現実のものになる可能性があると、独ポツダム気候影響研究所、コペンハーゲン大学、ストックホルム・レジリエンス・センター、オーストラリア国立大学の科学者らが警告した。

SDGs Goal No. 13
SDGs Goal No. 13

科学者らが米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した研究報告書によると、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5度~2度に抑えることは以前考えられていたよりも困難な可能性があるという。「ホットハウス・アース(温室化した地球)」状態に突入した気候の下では、世界の平均気温は、やがて産業革命以前に比べて4度~5度上昇したところで安定化し、海面は現在よりも10~60メートル上昇する、と報告書は指摘している。

報告書の執筆者らは、結論として環境保護と経済成長を両立させるグリーン経済への転換を地球規模で早急に実現する必要があると訴えている。

「人間が経済活動の中で排出する温室効果ガスのみが、地球温暖化を決定づけている唯一の要因ではありません。私たちの研究から分かったことは、地球温暖化が産業革命以前に比べて2度上昇すると、しばしば『フィードバックス』と呼ばれる地球上の重要な転換要素が活性化され、その時点でたとえ人類が温室効果ガスの排出を停止できたとしても、地球全体がさらに高温になっていく可能性があるのです。」と、報告書の主執筆者でオーストラリア国立大学のウィル・ステフェン教授は語った。

「このシナリオを回避するには、人間の行動を、地球の生態系を搾取する存在から適切に管理する存在へと生活スタイルを転換していかなければなりません。」とステフェン教授は付け加えた。

現在、世界の平均気温は産業革命以前に比べて既に1度上昇しており、10年間で0.17度ずつ上昇し続けている。

報告書の執筆者らは、突然の変化につながるいくつかの「転換要素」を含む10種類の自然システム(永久凍土の融解、海底からのメタン水和物の減少、陸上や海中での二酸化炭素吸収量の減少、海中におけるバクテリアの増殖、アマゾン熱帯雨林や北方林の立枯れ、北半球の積雪の減少、北極圏・南極圏の海氷や極域氷床の減少)を「フィードバック・プロセス」と名付けて検討している。そして、これらの自然システムは、温暖化が一段と進んだ世界では、今のように二酸化炭素を吸収する「人類の友」である存在から、一転して無制限に二酸化炭素を排出する「人類の敵」になる可能性があると指摘した。

「平均気温が2度上昇すると、こうした重要な転換要素が活性化され、気温がさらに上昇します。そうなると、他の転換要素がドミノのように次々と活性化されていき、地球全体がさらに高温になっていきます。こうしたドミノ現象は、一度始まってしまうと、止めることはほとんど不可能でしょう。『ホットハウス・アース(温室化した地球)』が現実のものになれば、地球は人が住める場所ではなくなってしまいます。」と、報告書の共同執筆者であるストックホルム・レジリエンス・センター所長で次期独ポツダム気候影響研究所共同所長のヨハン・ロックストローム氏は語った。

Trajectories of the Earth System in the Anthropocene/ PNAS
Trajectories of the Earth System in the Anthropocene/ PNAS

次々と起こる出来事が地球の生態系そのものを揺るがしかねない

Portrait Prof John Schellnhuber/ Foto Hollin
Portrait Prof John Schellnhuber/ Foto Hollin

「私たちは、産業化時代の温室効果ガスの排出が、いかにして気候変動を引き起こし、究極的には地球の生態系そのもののバランスを崩しているかを示しました。とりわけ、地球の自然システムに内包されている諸要素の中で、ある一定のストレスがかかれば、次から次へと、急速かつ恐らく不可逆的に変質する転換要素について研究に取り組みました。こうした連鎖が起きるようになれば、地球というシステムの全体が新たなモードに入ることになりそうです。」と、報告書の共同執筆者でポツダム気候影響研究所の所長を務めるハンス・ヨアヒム・シェルンフーバー氏は語った。

シェルンフーバー氏はまた、「私たちにもまだ分かっていないのは、パリ協定が思い描いたように、はたして地球の気候が産業革命前から2度上昇のぎりぎり手前で安全に『留まっていられるか』という点です。たとえ留まることができても、ある転換要因が限界値を超えて活性化してしまえば、容易に『ホットハウス・アース(温室化した地球)』状態に転落していく危険性があります。私たち科学者は、この点のリスクを早急に評価しなければなりません。」と付け加えた。

温室効果ガスの削減のみでは不十分

 『ホットハウス・アース(温室化した地球)』状態に陥るリスクを最大限に回避するには、二酸化炭素やその他の温室効果ガスの排出を削減するだけではなく、新たな生物学的炭素貯蔵の場を拡充する、例えば、森林の再生を図ったり、農業や土壌管理を拡充したり、大気中から炭素を取り除き地中に蓄える技術を開発するといったことにも労力を割いていかなければならない、と報告書は述べている。

さらに報告書は、これらの施策は、地球の平均気温を産業革命前の2度以下に保った「安定化させた地球」を維持するために必要な、根本的な社会変化に裏打ちされたものでなければならない、と強調している。

A stability landscape, the current position of the Earth System is represented by the globe at the end of the solid arrow in the deepening Anthropocene basin of attraction./ PNAS
A stability landscape, the current position of the Earth System is represented by the globe at the end of the solid arrow in the deepening Anthropocene basin of attraction./ PNAS

「気候変動など地球規模の変化は、人類が地球規模で地球のシステムに影響を及ぼしていることを示しています。つまり、国際コミュニティーが地球との関係を管理し、未来の惑星の状態に影響を与えられることを意味していいます。この研究では、そのために利用できるいくつかの手段を特定しました。」と、報告書の共同執筆者でコペンハーゲン大学に所属するキャサリン・リチャードソン教授は結論付けた。(原文へ)

INPS Japan

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日本で関心呼んでいるカードゲーム「2030SDGs」

【ベルリン/東京IDN=ラメシュ・ジャウラ、浅霧勝浩】

アルベルト・アインシュタインがまだ5才で、ベッドに寝かしつけられていた時、父親から遊び用の磁気コンパスを渡された、という話がある。アインシュタインはコンパスを傾けたりひっくり返してみたりして、針がなぜいつも北を向くのかを不思議がっていたという。

稲村健夫氏と福井信英氏も同様に、世界の指導者らが2015年9月の歴史的な国連サミットで採択した「持続可能な開発のためのアジェンダ」の17項目の持続可能な開発目標(SDGs)が、いかにして世界を変えうるのかについて深い関心を持っている。

SDGs icon wheel
SDGs icon wheel

あらゆる形態の貧困を根絶し、不平等と闘い、気候変動に対処しながら、誰も置き去りにしないようにするというSDGsの壮大なビジョンを実現する「魔法の杖」など存在しないことを、一般の人びとに実感してもらうには、どのような方策があるだろうか。

両氏は、17の目標の背後にある論理を説明し、個人や地域社会の行動を促すようなシンプルなゲームが、物事を前に動かす重要な動機づけになるのではないかと強く確信した。稲村氏はIDNの取材に対して、「互いに知恵を絞って『イマココラボ』という日本のNGOの下でカードゲーム『2030SDGs』を開発しました。」と語った。

「イマココラボ」は「イマ」「ココ」「ラボ」の3つの言葉から成り立っている。ココは「ここ」を意味し、コラボは、「(ラボ的な試みを)コラボレーションで」を意味する。したがって、このNGOのモットーは、「わたしたちは皆行動する必要がある。いつかではなく『イマ』から。どこかでではなく『ココ』から。インパクトを与えるには、だれかと『コラボ』して行動しなくてはならない。」というものだ。

稲村氏と村中剛志氏はNPO法人「イマココラボ」の共同創設者である。稲村氏は福井氏とともにこのカードゲームを共同開発した。福井氏はビジネスゲーム開発のプロである。

ルールはいたってシンプルで、各プレイヤーが、与えられたお金と時間を使って、「黄(=社会)」「青(=経済)」「緑(=環境)」のプロジェクト活動を行うことで、最終的にゴールを達成するというものだ。それぞれのプロジェクトは、現実の世界と同じように、さまざまに異なる関心や価値観をもった人達を対象としている。

例えば、「大いなる富」というお金が一番大事という価値観を持った人は、ゲーム終了時までに1200ユニットのお金を集めている必要がある。なぜなら、「大いなる富」を求める人は、「十分に豊かな世界」があってはじめて「獲得した富」を使えるからだ。

「悠々自適」という時間がゆったりたっぷりあるのが幸せだという人は、獲得した時間を楽しむ余裕を持つために、ゲーム終了時にまでに15の時間ユニットを保持していなくてはならない。また、環境を守りたいという「環境保護の闘士」は、納得のいく世界を実現して生きていくために、ゲーム終了時までに「緑の意思」を10ユニット以上必要とする。

SDGs 2030 Game Cards/ Katsuhiro Asagiri | INPS Japan
SDGs 2030 Game Cards/ Katsuhiro Asagiri | INPS Japan

「カードゲーム『2030SDGs』は、世界がいかにしてこの17の強力な目標を現在から2030年までの間に達成しうるかを発見する実験的な旅にあなたを誘ってくれます。」と村中氏は説明した。

ゲームプレイとゲーム後の解説と振り返りを通じて、プレイヤーは「持続可能な開発」が何であるかを知るだけではなく、個人や地域社会の経験を通じて社会変革に必要な重要な要素について理解することになる。

このゲームのアプローチには3つの目標がある。そのひとつは、持続可能な世界をともに作り上げることに参加する直接的な経験を人々に与えるということだ(「私にもできる。」「自分の行動で変化を生み出せる。」という感覚。)

ゲームは、(SDGsという)極度に複雑な事象を単純化しわかりやすくして、プレイヤーである一般の人々の理解・浸透に資すると同時に、もっと知りたいという自然の欲求を高めることをめざしている。

さらに、ゲームはプレイヤーのやる気を刺激して、各々にとってやりがいのある目標を設定させると同時に、自信を持たせ、楽しく遊べるよう工夫されている。また、実際の世界において行動を取ることをプレイヤーたちに促し動機づける役割も果たしている。

「2030SDGs」は複数のプレイヤーで遊べる体験型のカードゲームであり、「現実の世界」を2030年に導く様子をシミュレーションするものである。参加人数は最小5人から50人程度だが、世界を複数同時に走らせパラレルワールドを作ることで最大で200人程度まで同時プレイできるように設計されている。

ゲームのプレイ時間はおおよそ1時間程度だが、その後に解説と振り返りの時間がある。最短で90分から、通常全体で2時間半程度を想定している。

日本では、200人以上の公認ファシリテーターがゲームを取り仕切り、企業や政府、学校、地域など日本各地で多くのイベントが開かれている。参加者一人ひとりの意識を変革し行動へとつなげていくことを意図している。

「『2030SDGs体験』は日本で大きな社会的現象になりつつあります。メディアでも頻繁に取り上げられ、2017年には1万2000人以上がゲームに参加しました。」と村中氏はIDNの取材に対して語った。

村中氏はまた、「このゲームを日本以外の世界各地でプレイしたいという要望に応えて、ゲームの英語版を作成し、海外で広めようとしています。」と語った。

稲村氏は、「『2030SDGs』ゲームを開発した当初、10~15人の友人とプレイしようと思い、フェイスブックでイベント情報を流したところ、驚くべきことに800以上の『いいね!』が付き、その多くが友達の友達だったのです。」と感慨深げに振り返った。

「初めて開催したゲームの評判がよく、20人の参加者の中から数人の方々が、各々の知り合いを呼んでプレイしたらどうかと提案してくれました。それからゲームをするたびに、2、3人の参加者がそれぞれの知り合いに紹介してくれたのです。結果的に、ゲームの存在は瞬く間に広がっていきました。」

稲村氏はさらに、「『ゲームを購入したい』という要望がたくさん寄せられました。私たちは、ゲームのセットを単純に販売するか、あるいは、クラウドファンディングで資金を調達してカードは基本的に無料配布するか、検討を加えました。」と語った。

一般にカードゲームやボードゲームとして販売されているものの多くは、ルールが明確で、誰がどのようにナビゲートしても最低レベルの運営は保たれるものが多い。それに対して、「2030SDGs」は、本質的にはプレイヤーの判断、行動、関わりによって無限に変化するシミュレーションゲームだ。そのためファシリテーションに適切なスキルがなければ、ゲームはもともとの目的から大きく外れて、うまくいかなくなる可能性もある。

「私たちは、ファシリテーターの訓練コースを設けて、皆がゲームを自らファシリテートできるようにと考えました。これまでに、200人以上のファシリテーターを日本で公認し、国内各地でゲームが楽しまれています。」

ファシリテーターがゲームの世界と現実の世界を上手く紐づけることができれば、ゲームはより魅力的なものになり、プレイヤーは、自らの経験を他人と共有しようという気になります。」と村中氏は語った。

SDGs 2030 Game in session/ Katsuhiro Asagiri | INPS Japan
SDGs 2030 Game in session/ Katsuhiro Asagiri | INPS Japan

10才から80才までの幅広い人々がゲームに参加できる。学校だけではなく、老人ホームでもプレイされている。しかし、このゲームの最適なのは、中学生から成人までの年齢層だ。

「英語圏でのこのゲームに対する反響は、日本の初期の頃と同じくらいの手ごたえがありました。私たちは10月に米国、11月に欧州に渡る予定です。」と村中氏は語った。(原文へ)PDF

INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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|タンザニア|土地収奪を狙う投資家と闘う先住民族社会

【ダルエスサラームIPS=キジト・マコエ】

ヘレナ・マガフさんは、係争の対象になっていた土地が自分のものであると認める文書を手に、笑顔を見せた。文書が彼女の手に渡され、隣人との激しい紛争が解消されたのだ。

「とてもうれしいです。これで、ここが自分の土地と言い張る人間はもう出てこないと思います。」とマガフさんは語った。

タンザニア南西部モロゴロ州キロンベロ地区のサンジェ村に住むマガフさんは53歳の未亡人だ。夫の死後、彼女の30ヘクタールの土地を奪おうとする隣人との係争に8年間も巻き込まれてきた。

しかし、土地部門の透明性と効率向上をめざしたタンザニア政府のイニシアチブにより、マガフさんは土地の正当な所有者と認められた。

SDGs Goal No.10
SDGs Goal No.10

農場でトウモロコシやコメ、ヒマワリ、野菜を栽培しているマガフさんは、「慣習的占有権証明書」(CCRO)と呼ばれる文書を発行された。

マガフさんにとって、土地所有権の確認を得れたことは重要な節目であり、これでようやく農業に専念できる心の平静と安心を取り戻すことができた。

年間所得がおよそ450万タンザニアシリング(約2000ドル)のマガフさんは、「一生懸命働いて子どもを育てていく、やる気と熱意が出てきました。」と語った。

タンザニアは、広大な土地と安い労働力ゆえに、農業の大規模な投資先として大きな注目を集めてきた。農民たちは、作農や漁業、畜産のための土地を有しているが、所有権を証明するための文書はほとんどもっていない。

地域コミュニティーにとっては、土地の所有権を持つということは、永年使用権を確保する文書証拠を持つということであり、この文書はまた、銀行からの融資を受けるための担保としても利用できる。

かつて村の土地を保護していた法律が弱体化し、先住民族や農民は、専門家らが「外国人投資家が進めている大規模な土地収奪」と指摘する行為によって、広大な土地を失ってきた。

適切な土地所有権、あるいは土地の所有を示す証書がない状態で、村の土地はしばしば、村の腐敗した指導者らと結託した外国企業による奪取に対して脆弱になっていた。

土地取得に関するタンザニアの法制は、公的な投資監視機関である「タンザニア投資センター」を通じて土地を取得するよう企業に指示しているが、実際には村の人間との直接交渉に及ぶ投資家もいる。

Map of Tanzania
Map of Tanzania

この状況は紛争を引き起こすだけではなく、信頼を損ね、投資家が政府からの保護を受けれる可能性も弱めてきた。

しかし、地域コミュニティーはこうした動きを座視していたわけではない。抗議活動を行ったり、裁判所に提訴したり、土地を地図に正確に記して監視するなど、様々な工夫を凝らして、共有地の保護と失われた土地を取り戻す取り組みを行ってきた。

地域の慈善団体や村の議会、地域当局からの支援も得ながら、タンザニア各地の地域コミュニティーが、共有地に関してより強力な法的保護を得るために、地図製作と文書化を進めている。

2015年、タンザニア北部ロリオンド村のマサイ族の畜産家らが地元の裁判所で国を訴えた。野生動物のための通り道を作るとの名目で2014年に立ち退きを迫られた際に収用された村の土地の法的所有権を確認する際、証人に脅迫が加えられた、というのだ。

トランスペアレンシー・インターナショナルの「2014年度版グローバル腐敗バロメーター」によると、タンザニアの土地登録は、複雑なプロセスで、しばしば腐敗と非効率さを伴うものだという。

米国際開発庁(USAID)は、農村における土地所有権への理解を深めるために、2014年以来、「タンザニア土地所有権確認支援プロジェクト」を590万ドル規模の予算で進めている。タンザニア南部高地で地元農民に土地所有権を確保させ、「慣習的占有権証明書」(CCRO)の発行を促進させよう、というものだ。

この取り組みでは、地元の土地計画関係者が土地の評価や記録の保存に関する訓練を受け、紛争解決のスキルを身につけた。

「アクションエイド」の上級政策分析担当ダグ・ヘルツラー氏は、土地の権利を強化し貧しいコミュニティーを保護する動きは、貧困と闘う上で重要だと指摘した。「土地所有権に関するプログラムは地域の長期的な権利を保護し、投資家による土地収奪を阻止する点できわめて重要です。」とヘルツラー氏は語った。

農業はタンザニア経済の中心であり、人口の8割以上が農業に生計を依存している。しかし、タンザニア国家統計局によると、同国には農業生産に適した土地が4400万ヘクタールもあるにも関わらず、わずか1080万ヘクタールしか耕作の対象になっていないという。

最新の調査によれば、世界的に見れば、先住民族と地域コミュニティーは、地球の土地の半分以上を伝統的な仕組みの中で管理しているが、法的な面からみると保有割合はわずか10%であり、さらに低い割合の土地しか、登録されたり所有権が確認されたりしていないという。

2018年版「世界資源研究所」の調査によると、地域コミュニティーと先住民族は、共有地が強力な商業的利益によってますます土地収奪のターゲットにされる中で、自らの土地の所有権を主張しなければならないという厳しい闘いを強いられている。

Image credit: UN Women.
Image credit: UN Women.

この調査によれば、先住民や地域コミュニティーが土地の所有権を確保するために長年苦しい闘いを強いられてる一方で、政界に強力なコネクションを持つ裕福な企業が政府の官僚機構と巧みに渡りをつけ、わずか30日で土地の所有権を取得することもあるという。

「世界資源研究所」のアナリストであるローラ・ノーテス氏は「タンザニアでは、企業が村の土地を取得する際には地域コミュニティーと協議することとされています、実際には『一般的用途地』と分類された土地の権利を取得することが可能で、これについては、協議する必要はないとされています。」と語った。

共有地に関する慣習的な土地所有の枠組みが弱体化するなかで、地域コミュニティーは自らの土地の登録と文書確認作業を進めるうえで、様々な障害に直面している。時には数年もかかる面倒な手続きを余儀なくされることもある。

「南アフリカ貧困地・農業研究所」に在籍するタンザニア人の研究者エマニュエル・スレン氏は、「政府当局から様々な文書や承認を得るために、貧しい村々や個人に相当な負担がかかっています。このプロセスはしばしば、ただでさえ蓄えが乏しい村々の資源が枯渇するほどの危機に追いやっています。」と語った。

諸政府や企業は、天然資源を採掘したり、バイオ燃料農産物を育てたり、あるいは単に投機目的で土地を取得することに熱心だが、先住民族社会にとってみれば、それはしばしば、生活や収入、社会的アイデンティティーの基盤となる先祖代々の土地を失うことを意味する。

「村の境界を確定する行為は、しばしば村落住民との間に熾烈な係争を引き起こす火種となります。なぜならこうした紛争には、膨大な時間とカネがかかることになるからです。」とスレン氏は語った。

多くの国では法律で慣習的権利を認めているが、法的保護はしばしば脆弱で、ほとんど履行もされていない。共有地はより強力な主体による収奪に対して脆弱な立場に置かれている。

マサイ族やハッザ族といった牧畜や狩猟を主とする先住民族社会は、長年にわたって土地を追われてきたが、伝統的な土地利用の慣行よりも外国投資家を優先する政策に対抗して行動をとるようになってきている。

Edward Loure/Ujamaa Community Resource Team

地元のNGO「ウジャマー地域リソースチーム」の支援を得て、自分たちの土地と従来の生活様式を喪失する危険に常に直面しているグループが、土地を守るための闘いを繰り広げている。

2003年以来、同NGOは、先住民族集団のために20万ヘクタール以上の土地を確保してきた。今後、北部タンザニアにおいて97万ヘクタール以上の土地を保護することが目標だ。

この取り組みの先駆者であるエドワード・ルール氏は、「計画通り目標を達成する自信があります。土地は先住民族にとってきわめて重要なものなのです。」と語った。(原文へ)

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「世界と議会」2018年夏号(第580号)

特集:日本の課題と政治の未来

■咢堂塾設立20周年記念・特別講演会
「これからの『政治』の話をしよう」/勝谷誠彦

■特別論文
外務省医務官としての25年間
 -邦人支援の現状と課題/仲本光一

■連載『尾崎行雄伝』
 第十章 亡命の客

■INPS JAPAN
 決して広島と長崎の悲劇を繰り返してはならない
 /アントニオ・グテーレス 国連事務総長


■財団だより

1961年創刊の「世界と議会では、国の内外を問わず、政治、経済、社会、教育などの問題を取り上げ、特に議会政治の在り方や、
日本と世界の将来像に鋭く迫ります。また、海外からの意見や有権者・政治家の声なども掲載しています。
最新号およびバックナンバーのお求めについては財団事務局までお問い合わせください。

「憲政の父・尾崎に学ぶ 」(石田尊昭尾崎行雄記念財団事務局長)

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【IDN東京=石田尊昭】

7月29日付の中国新聞・セレクトのコラム「想」に、尾崎行雄に関する論評を掲載して頂きました。

ご存じの通り、尾崎は1912年の憲政擁護運動の際、犬養毅とともに「憲政の神様」と呼ばれ、日本に真の立憲政治・民主政治を根付かせようとした政治家です。

Map of Japan
Map of Japan

同時に彼は、1920年代から第2次世界大戦まで一貫して軍縮を唱え、戦後は「世界連邦」の建設を呼びかけた平和主義者としても知られています。しかし、それをもって尾崎を非武装・非暴力の理想主義者と捉えるのは早計でしょう。

尾崎が軍縮を唱えた背景には、あくまで日本という国の存続のために、当時の世界情勢と日本の国力を冷静に分析した上での判断があったと言えます。

また「世界連邦」も、「世界平和という高邁な理想」から導いたというよりも、日本に投下された原子爆弾の威力を目の当たりにし、このままでは日本も世界も滅ぶという危機感から考え出したものと言えます。

政治家が理想(あるべき姿)を掲げることは大切ですが、現実離れした理想論ばかりに終始したのでは意味がありません。

尾崎も、国や国民のあるべき姿を説き続けましたが、そこには常に、内外情勢を冷静に把握した上での、現実的視点からの判断がありました。

今回掲載された論評では、以上のように、理想を掲げつつも、現実的かつ世界的視点で政治判断をしていった尾崎を強調しています。

本文は以下のPDFでご覧頂けます。
中国新聞・セレクト・コラム「想」 憲政の父・尾崎に学ぶ(石田尊昭)

なお、余談ですが、私の実家・広島では中国新聞のシェアは物凄く、私もずっと同紙を読んで育ちました。発行部数も地方紙としては最大規模だそうで、今回掲載して頂けて本当に光栄です。

Ozaki Yukio Memorial Foundation
Ozaki Yukio Memorial Foundation

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|視点|ヘイリー国連大使は、自らの誤った「改革」を人権団体のせいにしている(ケネス・ロス ヒューマン・ライツ・ウォッチ代表)

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【ニューヨークIDN-IPS=ケネス・ロス】

ニッキ―・ヘイリー氏は、ドナルド・トランプ政権の国連大使としてニューヨークに着任して間もなく、米国を支持しない者は「その名を書き留める(相応の対応を取る)」と述べた。当時ほとんどの人々は、ヘイリー大使は国連安全保障理事会(安保理)で米国の主張に反対した国々のことに言及しているのだと考えた。

しかし、最近になってヘイリー大使はヒューマン・ライツ・ウォッチやアムネスティ・インターナショナルに対する非難を始めた。ヘリテージ財団の会合で登壇したヘイリー大使は、両人権団体が、自身が提唱している国連人権理事会の改革案に反対することで、「ロシアと中国の側についた」と述べたのだ。

Kenneth Roth/ Human Rights Watch

政府から敵意を向けられるのは、人権関連の仕事に付随する職業上の危険にほかならない。どこの政権も、自らの不正を調査で暴露されたり、その結果、変革を求める民衆のプレッシャーに晒されたくはないだろう。例えば、ヒューマン・ライツ・ウォッチが、ルワンダ政府による拷問の使用を暴露した際、ルワンダ政府は、同人権団体は「注目を得ようと必死になっている。」と非難した。また、私たちが、ベネズエラ政府の腐敗問題に端を発する弾圧事件を取り上げた際には、同政府は、「これらの人権団体は、北米帝国によるイデオロギーの武器」だと断言した。

数年前、私たちが中国政府について、個人活動家を抑圧していると表現したところ、中国政府の報道官は、「彼ら(=こうした人権諸団体)は常に視力に問題を抱えてきた…おそらくバラ色の眼鏡をつけている(=楽観的過ぎる)か、目を細めているだけのことだろう。」と皮肉混ざりの声明を出してきた。

これまで米国のいかなる歴代政権も、私たちの監視を免れることはなかった。例えば、私たちは、中央情報局(CIA)による拷問や恣意的な拘留、米国政府によるサウジアラビアへの武器輸出、飢餓に苦しんでいるイエメン人に対する爆撃、エジプト政府が、いかなる民主主義的な動きを弾圧しているにも関わらず、同国に対して安全保障上の援助をおこなっていること等も取り上げてきた。また米国内においても、大量投獄から拘留中の移民に対する取扱いまで、様々な人権問題を取り上げてきた。

これまでも、米国政府の高官が、周期的に私たち人権団体の見解と意見を異にすることはあった。しかし、(それもまさにトランプ大統領とプーチン大統領がヘルシンキで首脳会談を行っているときに)私たちが、ロシアと中国に与しているとして非難されたのは初めての経験だった。また、ヘイリー大使のように、米国の政府関係者が、(同国に対する)非難を理由に自身へのアクセスに応じないと発言した前例は思い浮かばない。

Photo: Putin gifts Trump a Telstar Mechta, the official match ball for the knockout stage of the 2018 FIFA World Cup. CC BY 4.0
Photo: Putin gifts Trump a Telstar Mechta, the official match ball for the knockout stage of the 2018 FIFA World Cup. CC BY 4.0

ヘイリー大使の辛辣な発言の背景には何があるのだろうか。トランプ政権が人権理事会を離脱した主な理由は、同理事会によるイスラエル批判だった。トランプ政権は、イスラエルの人権違反に関するいかなる批判に対して常に反対の立場をとってきたうえに、国連人権理事会は、必然的にイスラエルによる人権違反を非難することになるため、今回の米国の離脱を称賛した国はほとんどなかった。

米国政府はまた、一部の人権侵害が指摘されている国が国連人権理事会の活動を妨害すべく理事国入りしているとして、同人権理事会の構成内容も非難した。しかし人権理事会は、こうしたリスクを避けるために、国連加盟国を5つの地域に分けたうえで、国連総会の無記名投票で過半数票を得、かつ、上位(議席数内)の得票を得た国が選出される仕組みになっている。

こうした競争プロセスが機能し、一部の人権侵害が指摘されている国が理事国メンバーへの選出に失敗している。最近の例では、シリアのアレッポ東部を爆撃していたロシアが、2016年10月の理事会選挙で落選している。

しかしいくつかの地域では、理事国の割当枠と同数の立候補国を出すことで、この競争プロセスを巧みに回避して無風選挙に持ち込んでいる事例もみられる。伝統的にこの手法を繰り返してきたのが、米国が属する「西ヨーロッパとその他のグループ」だ。こうした背景から、米国政府が他の地域グループに対して同じ手法をとらないよう説得するのは難しい状況にある。

このように選挙制度を巡る問題があるものの、これまでに人権問題にコミットした多くの国々が人権理事会に選出され、シリアやイエメン、ミャンマー、北朝鮮、スーダン、ブルンジ等、世界で最も対応を必要とする多くの緊急事態について、調査を開始し、非難声明を出し、問題解決に向けた国際社会の圧力を生み出してきた。しかし、トランプ政権の一面的な人権政策にとって、これらの緊急事態は、イスラエルを擁護することに比べたら重要な問題ではないようだ。

人権活動家で、国連人権理事会の質を向上させるという目標について異論があるものはいないだろう。問題はどのようにそれを実現するかということだ。問題は多くの国が国連人権理事会の有効性を向上させたいと思っている一方で、それを妨害したい国々もあるとう現実だ。国連人権理事会の事務局があるジュネーブで改革プロセスが始まっているが、全会一致をルールとしているため、議論を前進させるのは難しいが、同時に大きな後退を回避することもできる。

この改革プロセスの中で、米国が苦情理由の一つとしてきたイスラエル占領下の領土に関する議題項目が取り除かれる可能性は低いことから、トランプ政権は、(人権理事会より)制約が少ないが一方でリスクを抱えることになる国連総会における議論を望んできだ。しかし多数決で議決をする国連総会では票が割れるため、むしろ人権問題に効果的に取り組むという「改革」は後退する可能性の方が現実的になってしまう。結果的に、米国の改革案を支持した国はなかった。ヒューマン・ライツ・ウォッチとアムネスティ・インターナショナルも、米国の改革案に反対の立場を表明したのだが、このことが、後になって、ヘイリー大使から非難を受けることにつながってきた。

米国が国連人権理事会を脱退した主な動機はイスラエルを擁護するというものだったが、異なる諸要因が、脱退のタイミングに影響を及ぼしたかもしれない。ヘイリー大使が脱退を発表したタイミングは、ザイド・フセイン国連人権高等弁務官が、米国の南部国境地帯で移民の家族を引き離していたトランプ政権の政策を「恥知らず」だと非難したのと同じ週であり、国連特別報告者が米国における極度の貧困に関する報告書を発表しようとしていた矢先だった。

Photo: Poverty in America Documentary 2017 on YouTube
Photo: Poverty in America Documentary 2017 on YouTube

このタイミングが意味するものは、米国の国連人権理事会からの脱退には、より大きな問題が潜んでいることを物語っている。多くの米国人は、米国憲法上の諸権利と市民権が自分たちを守っており、人権とは他の(=米国人以外の)人々を守っているものと、誤って認識している。しかし、国連人権理事会からの脱退は、トランプ政権の自身の活動を制限する全ての権利を幅広く拒否する姿勢を反映したものである。しかし皮肉なことに、トランプ政権の国際人権擁護団体に対する復讐は、結局は、米国人にとっても「人権」がいかに大切なものであるかを再確認することにつながる可能性がある。(原文へ)

翻訳=INPS Japan

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決して広島と長崎の悲劇を繰り返してはなりません。一人たりとも新たな被爆者を出してはなりません。(アントニオ・グテーレス国連事務総長)

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【長崎IDN-INPS 】

本日、この平和記念式典において、ご参列の皆様とともに、1945年8月9日に、ここ長崎で原子爆弾の攻撃で亡くなられたすべての方々の御霊に、国連事務総長として、謹んで哀悼の意を捧げられることを光栄に思います。今日ここにご参列の皆様、ならびに原爆のすべての犠牲者と生存者の皆様に対し、最も深い尊敬の念を表明します。

ここ長崎を訪問できましたことは、私自身にとっても大変な喜びです。5世紀近くにわたり、私の国、ポルトガルは、この街と深い政治的、文化的、宗教的なつながりがあります。しかし、長崎は、長い魅力的な歴史を持つ国際都市というだけではありません。より安全で安定した世界を希求する世界のすべて人にとっての、インスピレーションでもあります。この皆さま方の街は、強さと希望の光であり、人々の不屈の精神の象徴です。

爆発の直後、そしてその後何年、何十年にもわたって十数万もの人々の命を奪い、人身を傷つけてきた原爆も、あなたがたの精神を打ち砕くことはできませんでした。広島と長崎の原爆を生き延びた被爆者の方々は、ここ日本のみならず、世界中で、平和と軍縮の指導者となってきました。彼らが体現しているのは、破壊された都市ではなく、彼らが築こうとしている平和な世界です。

原爆という大惨事の焼け跡から、被爆者の方は人類全体のために自らの声を上げてくれました。私たちは、その声に耳を傾けなければなりません。決して広島の悲劇を繰り返してはなりません。長崎の悲劇を繰り返してはなりません。一人たりとも新たな被爆者を出してはなりません。

悲しいことに、被爆から73年経った今も、私たちは核戦争の恐怖とともに生きています。ここ日本を含め何百万人もの人々が、想像もできない殺戮の恐怖の影の下で生きています。

核保有国は、核兵器の近代化に巨額の資金をつぎ込んでいます。

2017年には、1兆7000億ドル以上のお金が、武器や軍隊のために使われました。これは冷戦終了後、最高の水準です。世界中の人道援助に必要な金額のおよそ80倍にあたります。その一方で、核軍縮プロセスが失速し、ほぼ停止しています。多くの国が、昨年、核兵器禁止条約を採択したことで、これに対する不満を示しました。

また、核兵器以外にも、日々、人々を執拗に殺傷する様々な兵器の危険も認識せねばなりません。化学兵器や生物兵器などの大量破壊兵器や、サイバー戦争のために開発されている兵器は、深刻な脅威を呈しています。そして、通常兵器で戦われる紛争は、ますます長期化し、一般市民への被害はより大きくなっています。あらゆる種類の兵器について緊急に軍縮を進める必要性がありますが、特に核兵器の軍縮はもっとも重要で緊急の課題です。このような背景の下、今年5月に私はグローバルな軍縮アジェンダを発表しました。

軍縮は、国際平和と安全保障を維持するための原動力です。国家の安全保障を確保するための手段です。軍縮は、人道的原則を堅持し、持続可能な開発を促進し、市民を保護するのを助けます。

私の軍縮アジェンダは、核兵器による人類滅亡のリスクを減らし、あらゆる紛争を予防し、核兵器の拡散や使用が一般市民にもたらす苦痛を削減するために、現在の世界で実現可能な様々な具体的な行動を打ち出すものです。このアジェンダは、核兵器が、世界の安全保障、国家の安全保障、そして人間の安全保障の基盤を損なうことを明らかにしています。

核兵器の完全廃絶は、国連の最も重要な軍縮の優先課題なのです。ここ長崎で、私は、すべての国に対し、核軍縮に全力でとり組み、緊急の問題として目に見える進歩を遂げるよう呼びかけます。核保有国には、核軍縮をリードする特別の責任があります。長崎と広島から、私たちは、日々平和を第一に考え、紛争の予防と解決、和解と対話に努力し、そして紛争と暴力の根源に取り組む必要性を、今一度思い出そうではありませんか。

平和とは、抽象的な概念ではなく、偶然に実現するものでもありません。平和は人々が日々具体的に感じるものであり、努力と連帯、思いやりや尊敬によって築かれるものです。原爆の恐怖を繰り返し想起することから、私たちは、お互いの間の分かちがたい責任の絆をより深く理解することができます。私たちみんなで、この長崎を核兵器による惨害で苦しんだ地球最後の場所にするよう決意しましょう。その目的のため、私は、皆さま方と共に全力を尽くしてまいります。(原文へ)

INPS Japan

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アフリカ移民がヨーロッパに流入する際の主要ルートであるイタリアにおける移民論争を念頭に、ガーナ人の父とイタリア人の母の元でイタリアに育ち、今は米国に移住している著名な映画監督がIDNに寄稿した移住の裏にある人身売買の実態を訴えたコラム。本稿の内容は人身売買の問題について、著者がイタリア人の視点から記した個人的な見解であり、IDNの編集方針を必ずしも反映したものではない。

【ニューヨークIDN=フレッド・クウォルヌ】

人身売買によって世界各地のマフィアは1500億ドルを得ているが、そのうち1000億ドルはアフリカ人の売買によるものだ。女性の人身売買を1人行うごとに、ナイジェリアマフィアに6万ユーロが流れ込む。つまり、イタリアで1万人を売買すれば、(送出元の)マフィアの懐に6億ユーロが入る計算だ。しかし、実際にヨーロッパで待ち受ける運命を事前に知っていたら、わざわざヨーロッパへの渡航を望むアフリカ人などいないだろう。

私はイタリアで果てしなく繰り広げられている(移民を巡る)中身を無視した派閥論争に関わりたくはないのだが、アフリカに祖先のルーツをもち、現在はアメリカに移住したイタリア人として、「移民問題」(というよりもむしろ「人の流れ」)について、真実を語る時がきたと思っている。ただし本稿では、離婚に向けた脅迫手段として子どもの親権問題を持ち出す両親のように、問題を政治化して引きずり回す道具としてではなく、さまざまなレベルを伴う構造的な現象として「移民問題」を取扱いたい。

国連の推計によれば、毎年数百万人が人身売買の犠牲となっており、推計1500億ドルの利益が犯罪集団にもたらされている。……繰り返すが、1500億ドル(約16兆8000万円)だ。読者がこれまで実際にアフリカに住んだり働いたりした経験があるか、イタリア在住のアフリカ人を知っているか、あるいは、イタリア以外の新聞から情報を得ているジャーナリストかどうかは知らないが、様々な形態(子ども、臓器、売春)と伴う人身売買は、港の有無にかかわらずイタリア一国だけに関係する現象ではなく、アフリカやアジア、メキシコのマフィアに毎年1500億ドルを稼がせているグローバルな現象なのである。

こうしたカネは、(マフィアが蔓延る)これらの国々の貧困層に再配分されるのではなく、あらゆる種類の嫌がらせを通して貧困層をさらに従属させるのために使われている。マフィアのカネは、麻薬や兵器のために再投資され、ただでさえ危うい政治的なバランスはさらに不安定化する。

貧困レベルでは同じような状況にあり、ヨーロッパは豊かな場所であるという認識を共有しているにも関わらず、モザンビークやアンゴラ、ケニアからヨーロッパにくる人々はほとんどおらず、他方でガーナ(GDPの成長率が7%で、戦争も迫害もない私の父の出身国)からはなぜ人が押し寄せるのか、考えてみたことがあるだろうか?

なぜなら、300ユーロあれば4週間でイタリアに行くことができ、望むならば他のヨーロッパ諸国に移住することもできると村々で触れ回っているナイジェリアマフィアの存在があるからだ。しかし、いい顔をするのはその時だけだ。車に人々を押し込めると、突如として代金は1000ドルに値上げされ、リビアに着くと、最終的な渡航料としてさらに1000ドルが要求される。しかも、約束の4週間ではなく、待ち時間は平均して1年にもなるのだ。

Image: Enlarged and cropped image on Cover of 2016 UNODC Global Report on Trafficking in Persons.
Image: Enlarged and cropped image on Cover of 2016 UNODC Global Report on Trafficking in Persons.

これに、(同様に売られていく)幼い子どもたちの問題を付け加えなければならない。こうした子どもたちは、実の母ではない女性達に委ねられるが、この女性達はヨーロッパに移住するとすぐに消え失せ、売春婦として売られていく。女性1人に対して、マフィアには6万ユーロの取り分が支払われている。1万人の女性を売りさばけば、ナイジェリアマフィアには、年間6億ユーロの利益がもたらされるのだ。

ここに、さらに、アフリカが失っているもの、すなわち若い人材流出の問題が付け加わる。私は、実際に自分の持ち物であるタクシーやわずかな家畜を売ってヨーロッパに来たものの、街頭での物乞いでうまくいって1時間3ユーロ程度の収入、人々からは獣のように扱われ、予定通りに金を貯めることができずにいるガーナからの人々を知っている。

もし故国の村に帰りたいと思っても、そうすることはない。村に帰ってから何を言われるかわからないし、ヨーロッパに渡るために金を使ってしまったことをどう言い訳すればいいかわからないからだ。それどころか、「うまくいってる」とばかりにフェイスブックに自分の写真を投稿し、恥ずかしさから真実を語らないことで、また別の人がヨーロッパに渡ることを煽ってしまっている。(18歳で学校にも行っていない)若者たちが、こうして、簡単に金持ちになれると信じて、ヨーロッパに渡ってくるのだ。

では、アジアのマフィアと同じように、ナイジェリアマフィアによる奴隷貿易とこの犯罪的なペテン行為が今後も続くであろうと考えられるのはなぜだろうか?

SDGs Goal No.10
SDGs Goal No.10

これは誰の利益になっているのだろうか? アフリカ大陸の利益にはなっていない。ヨーロッパに到着するどのアフリカ人の利益にもなっていない。彼らの9割は地下に潜り、まともな仕事にありつくことはないからだ。イタリアの利益にもならない。すでに定住しているアフリカ出身の若年層の4割が無職の状態にあり、社会に貢献することが困難ななかで、これだけ多くの移民を管理し留める経済的・文化的資源を持ちあわせていないからだ。そして、ヨーロッパの人々がアフリカの人々に対して抱くイメージのうえでも、良いことはない。なぜなら、アフリカの人々は常に、犠牲者であり、貧しく、弱い人間だとみなされてしまうからだ。

アフリカ系イタリア人として、また一人の人間として感じることは、こうしたイメージこそが、植民地主義的で、最も人種差別的な態度であるということだ。なぜなら、マフィアや緊急援助支援関連の産業に、善意その他の動機から活動に従事する者を除いて、この態度は誰の助けにもならないからだ。

多くのアフリカ諸国では、5000ドルもの現金があれば、なにもイタリアにまで渡航して物乞にならなくても、小規模な事業なら容易に立ち上げることができる。こうした考え方が明確に、もっと一般の人々に知られていたならば、9割の人々は決してイタリアに渡ろうなどとは思わないだろう。

しかしこうした知識がなく人身売買の犠牲になっているのは、とりわけ、小学校卒業程度の学歴で20歳を迎えた青年たちである。今日のヨーロッパへの移住は、かつて渡航者の多くが30歳で、一部の小学校卒業程度の者を除いて多くが高等教育を受けており、渡航先でまだ工場での仕事を見つけることができ、人間らしい生活が送れた30年前の移住と種類が異なるものとなっている。

海上で移民を支援しているNGOの状況はよく知らないが、アフリカ大陸で活動する人々のことはよく知っている。彼らのほとんどは、寄生的なシステムの一部に過ぎない。アフリカの最も賢明な知識人や真の政治指導者がまずなすべきは、アフリカから全てのNGOを一掃することだ。なぜなら、アフリカで活動するNGOスタッフ(若いボランティアたち)が善意の人々であったとしても、NGOのシステム自体はアフリカを支配し不安定化するものであり、支援への従属を生み出すものだからだ。アフリカの貧しい子どもたちのイメージを利用しながら、寄付という金融ビジネスと、支配者を維持するためのNGOによるムダ金の消費に従事している。

逆効果で、人種差別的で、人間性を無視したやり方はもうたくさんだ。こうしたNGOの一部が(彼らがアフリカでしているように)、ナポリの子どもたちの写真でも広告に使って、スカンピア(ナポリ郊外の犯罪率の高い地区)で活動を始めでもしたら、面白いだろう。

実際にはほとんどなにも知らないのに、勝手にロマンチックに理想化したアフリカ大陸のためとして、イデオロギー的な動機や自分の主義主張、あるいは、特権的な地位にいるという罪の意識から解放され自分の潔白な心を感じたいがために、このテーマが利用されるのは、うんざりだ。互いに反目しあうのではなく、真剣に分析を行い、具体的に成果を出せる解決策を今こそ実行すべきだ。なぜなら、現在の状況では、誰が勝とうが、その人物はアフリカを台無しにしているからだ。

実際に村々で繰り広げられている、狡猾で、悪徳で、犯罪的な手口の実相を理解するためには、ナイジェリア・エド州のある村からの報告書が役立つだろう。読み書きのできない20歳の若者とその家族を、甘言をもって欧州に輸送することが、この強力で過小評価されている犯罪組織が日々行っていることなのだ。彼らは、民衆の無知で切羽詰まった状況につけこみ、中には、生まれたばかりの赤ちゃんを100ドルで売ることすらやってのける。

African Continent/ Wikimedia Commons
African Continent/ Wikimedia Commons

もしこうしたことが依然として許されているのならば、その危険はイタリアだけではなくアフリカ諸国の問題でもある。そこでは、コロンビアのパブロ・エスコバルやメキシコのエルチャポと同レベルで活動する麻薬密売組織の存在によって、独裁者の問題がより複雑化し、すでに蔓延っている死や低開発状況をさらに悪化させているのである。(原文へ)PDF |ヒンディー語 | 

※映画監督のフレッド・クウォルヌは、ガーナ人の父とイタリア人の母との間で、1971年にボローニャで生を受ける。政治科学の学位を取った後、イタリア国営放送局RAIやさまざまな制作会社と協力して、ラジオ・テレビの放送作家を務める。2010年、第二次世界大戦で戦ったアフリカ系米国人だけの戦闘部隊・第92歩兵師団についての映画『インサイド・バッファロー』を製作・監督した。

翻訳=INPS Japan

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