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|イラン核問題|米議会との対立決着を図るオバマ大統領

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【ワシントンIPS=ジャスミン・ラムジー】

イランの核問題をめぐる「枠組合意」妥結期限から2日が過ぎ、交渉担当者らは成果なく手ぶらで帰国するかに見えた。しかし、4月2日、スイスのローザンヌとワシントンにおいて驚きの詳細な枠組みが発表された。それと時を同じくして米国のバラク・オバマ大統領の頭の中にあったのは、米議会との対決であった。

ホワイトハウスの中庭でこの「イランとの歴史的な合意」について発表したオバマ大統領は、「ここで問題になっているのは、政治よりももっと大きな問題です。」と指摘したうえで、「(この枠組合意は)もし完全に履行されれば、イランの核兵器取得を防ぐことができるものです。」「しかしもし議会が、専門家による分析を無視し、何らの合理的な対案も示さないままこの取引を壊してしまうなら、外交の失敗に関して非難されるのは米国ということになります。そうなれば国際社会の結束は壊れ、紛争への道が広がってしまうでしょう。」と語った。

イランと「P5+1」(米・英・仏・中・露プラス独)は、6月30日までに懸案のイラン核問題に関して包括的な最終合意に達しなくてはならない。つまり、オバマ大統領が米議会に望んでいる「建設的な監視役割」を議会が受け入れるには、あと3ヶ月もないということになる。

ワシントンに本拠を置く「軍備管理・不拡散センター」のレイシー・ヒーリー政策ディレクターは、IPSの取材に対して、「議会はこの交渉において複数の役割を演じてきました。」「議員の中には自分たちはあえて(イランから譲歩を引き出すために同国に対して)厳しい立場をとる役回りを演じてきたと考えたい人たちもいるようだが、それがどれほど効果的だったかは不明です。…これは危険なゲームと言わざるを得ません。」と語った。

もし外交交渉の当事者らが手ぶらで帰国することになっていたとしたら、マーク・カーク上院議員(共和党)とボブ・メネンデス上院議員(民主党)が提出した「2013年新イラン制裁法(カーク=メネンデス法案)」(追加制裁とイランのすべての核濃縮能力の解体を規定したもので、イランには到底受け入れられない内容であった)のような、タカ派的な措置が、オバマ大統領の拒否権発動を覆せる多数の賛成票を得る可能性が高まっていたであろう。

しかし、今や対イラン合意が見えてきたことから、共和党が、イランとの合意を壊しかねない法案に十分な数の民主党議員を切り崩して賛成にまわらせることは難しくなるだろう。

Officials at the Iran talks in Lausanne, Switzerland. Credit: European External Action Service/CC-BY-NC-ND-2.0

カーク=メネンデス法案の審議が立ち行かなくなり、オバマ大統領が目下のところ直面している脅威は、上院外交委員会ボブ・コーカー委員長(共和党)が提案している「2015年イラン核合意再検討法案(コーカー法案)」であろう。

コーカー法案は、オバマ大統領の対イラン交渉を一貫して批判してきた共和党が多数を占める議会に対して、イランとの包括的合意妥結後60日以内に、合意を承認する権限を与えるものである。この期間中、大統領はイランに対するいかなる制裁の解除も一時停止も許されなくなる。

コーカー議員は枠組み合意が発表された2日に声明を出し、議員らが春期休会から戻ってくる14日から上院外交委員会で同法案の審議を始めるとの意向を示したうえで、「最終合意がまとまったら、アメリカ国民は、選出された議員を通じて、合意が本当にイランの核の脅威を除去することになるのか、本当にイランの体制に責任を取らせることができるのかについて検討する機会を持たねばならない。」と語った。

Santer Bob Corker/ Wikimedia Commons

しかし、米政府関係者は同日の記者会見で、「大統領は、(イランとの包括合意に向けた)協議中に議会を通過する新たな制裁法案や既存のコーカー法案に拒否権を発動する考えを明らかにしています。」「包括合意をとりまとめるオバマ政権の能力を本質的に削いでしまうような法的措置は、建設的なものではありません。」と述べ、オバマ大統領がイランとの最終合意の見通しに悪影響を及ぼすようないかなる法案にも反対する意向である旨を伝えた。

オバマ政権の(イランとの)いかなる合意に関しても議会が発言権を保つべきだという考え方は、2年前にジュネーブで予備的合意がまとまってからとりわけ強くなり、特に右派からの数多くの議会行動に道を開くことになった。しかし、最終合意がまとめられようとしている今、タカ派議員らは民主党議員からの必要不可欠な支持の獲得に、これまでよりも苦労するだろう。

「2日の枠組み合意以前は、コーカー上院議員も、大統領の拒否権を覆せる多数(両院の3分の2以上)の支持を得ることに大いに自信を持っていましたが、イランとの合意が出来あがりつつある今、民主党議員から十分な支持票を獲得するのは難しくなりつつあります。」と議会の動向をモニターしているヒーリー氏は語った。

主要な民主党議員が2日に発した声明は、いつも通り慎重な言い回しのものだったが、オバマ政権の立場を支持することになるかもしれないと示唆する議員も既に現れている。

民主党のハリー・リード院内総務は、「深呼吸をして、(枠組み合意の)内容を精査し、この極めて重要なプロセスが展開する時間を与えようではないか。」と同党の議員に呼びかけている。

Senator Harry Mason Reid/ Wikimedia Commons
Senator Harry Mason Reid/ Wikimedia Commons

リード院内総務は「イランが核兵器を取得しないように常に目を光らせていなくてはならないが、外交的解決がその他の方法よりもずっと望ましいことに間違いありません。」と、2日の声明で述べている。

しかし、対イラン合意の賛成派・反対派がそれぞれ議会に対して圧力を強める中、これからの2週間、オバマ大統領は議会への困難な対応を強いられるだろう。

「私たちは、P5+1によって2日に発表された新枠組みは、イランを核兵器取得に手が届く位置に残したままの最終合意につながりかねないとの懸念を持っています。」と主要な親イスラエル・ロビー団体の一つである「アメリカ・イスラエル公共問題委員会」(AIPAC)は、その声明の中で述べている。

ワシントンに本拠を置く著名なタカ派シンクタンク「民主主義防衛財団」(FDD)もまた、イランに核インフラの維持を認めるようないかなる合意にも反対するとの立場を改めて表明した。

FDDのマーク・デュボビッツ事務局長アニー・フィクスラー(政策アナリスト)氏は、ウェブサイト「クウォーツ」に掲載した寄稿文「オバマ政権の対イラン核合意は世界の安全を危険に晒す」のなかで、「発表された枠組み合意の内容を見ると、きわめて欠陥の多い合意に向かっているように感じる。」と述べている。

3月に(ホワイトハウスの反対を押し切って)米議会でイランに関する演説を行い、何度もスタンディング・オベーションを受けたイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、合意枠組みについて、「イスラエルの生存そのものを脅かす重大な危険」だとコメントした。

イスラエル、そして程度は劣るがサウジアラビアも、イランとの協議に反対を明確にしてきており、今後数か月、懸念の声を強めるであろうと予想される。

しかし、オバマ政権の取り組みは、単に同盟国を安心させ、あるいは自国の反対派と闘うことだけに専心する余裕はない。現段階では何ら内容が保証されていないイランとの包括合意そのものの詳細をまとめあげるという仕事があるのだ。

Ali Vaez/ International Crisis Group

「今後3ヶ月でいくつもの困難な課題を解決しなくてはなりません。その中でも大きなものは、①対イラン制裁解除への正確なロードマップ、②国連安保理決議に盛り込む文言の内容、③イランのPMD(軍事的側面の可能性)問題を解決する措置、④合意違反認定のメカニズムの決定、があります。」と「国際危機グループ」のイラン問題アナリストであるアリ・バエズ氏は、IPSの取材に対して語った。

「今後3ヶ月の交渉は生易しいものではないでしょう。それどころか、当事国が残った難題を解決し、合意を守ろうとするにつれて、交渉は難しくなってくると思われます。」と、枠組合意がまとまった際にはローザンヌに滞在していたバエズ氏は語った。

「成功は保証されていません。しかし、今回の合意妥結で、今後決裂した場合のコストはより高いものになったと言えます。」とバエズ氏は付け加えた。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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米国のイラン核武装説は「危険な幻想」(ピーター・ジェンキンス元英国IAEA大使)

イラン核問題「共同包括的行動計画」枠組みからの抜粋

「イラン・イスラム共和国の核計画に関する共同包括的行動計画のパラメーター」文書の内容は、以下のとおり。


イランは、10年にわたり、設置された遠心分離器の約3分の2を削減し、現状の1万9000基から6104基(全てイランの第1世代分離器である「IR-1」型)とし、そのうち5060基のみでウラン濃縮をすることに同意した。

イランは、少なくとも15年にわたり、少なくとも3.67%を超えるウラン濃縮をしないことに合意した。

イランは、15年にわたって、現在の低濃縮ウラン(LEU)の備蓄1万キログラムを、3.67%の低濃縮ウラン300キログラムにまで削減することに合意した。

すべての余剰の遠心分離器と濃縮インフラはIAEA(国際原子力機関)が監視する貯蔵庫に置かれ、運転される遠心分離器および装置の取り替えにのみ使用する。

イランは、15年にわたって、ウラン濃縮目的のいかなる新しい施設も建設しないことに合意した。

IAEAは、ナタンツにおけるイランの濃縮施設、フォルドウにおけるかつての濃縮施設を含むイランのすべての核施設へのアクセスを有する(最新の監視技術を含む)。

査察官は、イランの核計画を支えるサプライ・チェーンへのアクセスを有する。新しい透明性・査察メカニズムは、秘密計画への転用を防止するために物質や構成部品を緊密に監視する。

イランは、検証可能な形でコミットメントを守れば制裁緩和を受けられる。

米国とEUの核関連制裁は、イランがすべての重要な核関連措置をとっているとIAEAが検証した後に、停止される。他方で、イランがコミットメントを実施しない場合は、いつでもこれらの制裁はすぐに元に戻される。

核関連問題に係る米国の対イラン制裁アーキテクチャは、相当の期間にわたって存続し、イランによる重大な不履行の際には制裁措置が元に戻される。

|視点|核兵器のない世界へ 行動の連帯を」(池田大作創価学会インタナショナル会長)

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【IPS東京=池田大作

いよいよ今月末からNPT再検討会議が始まる。広島・長崎への原爆投下から70年となる節目に行われる同会議で、「核兵器のない世界」を現実のものとするための誓約と成果が導き出されることを、強く呼び掛けたい。

近年、核兵器をめぐる論議の潮目は、大きく変わりつつある。

昨年10月には「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に、国連加盟国の約8割にあたる国が賛同し、いかなる状況下でも核兵器が使用されないことを求める、共通の意思を明確に示すまでになってきたからだ。

昨年12月、ウィーンで開催された「核兵器の人道的影響に関する国際会議」でも、同会議に初めて参加したアメリカとイギリスからも、核兵器のもつ非人道性をめぐるさまざまな議論が行われてきたこと自体は理解するとの立場が示された。

取り返しのつかない惨害が、“すべての国”で生じないようにするために、どのような構想が必要かを見つめ直すのが焦眉の課題だ。

ウィーンで開催された「核兵器の人道的影響に関する国際会議」/IPPNW Deutschland

核兵器をめぐる長年の膠着状況を打ち破るには、核兵器が本質的に帯びている「より広い意味での非人道性」に目を向けることが、出発点となる。

その視座に基づいて、次の二つの具体的な提案を行いたい。

一つめは、NPTに基づいて核軍縮に関する制度づくりを進めることだ。

そこでまず、できるだけ多くの首脳が再検討会議に出席することを呼び掛けたい。そして、各国の首脳らを前に「核兵器の人道的影響に関する国際会議」の総括報告を行う場を設けることを提案したい。

また、各国の首脳もしくは代表がスピーチする際、2010年の再検討会議で全加盟国が一致して懸念を表明した「核兵器のもたらす壊滅的な人道的結果」を引き起こさないために、自国としてどのように行動するかについて、言及することを望むものである。

Photo: The UN General Assembly Hall. Credit: Manuel Elias/UN.
Photo: The UN General Assembly Hall. Credit: Manuel Elias/UN.

その上で、今一度、2000年の再検討会議で「核兵器の全廃を達成するという保有国による明確な約束」が行われたことを想起し、その約束を具体的かつ速やかに実行に移すための「NPT核軍縮委員会」ともいうべき条約の補助機関を新設してはどうか。

二つめの提案は、「核兵器禁止条約」の締結に関するものである。

そのために、NPT再検討会議の成果なども見定めた上で、条約交渉のためのプラットフォームを立ち上げることを提案したい。例えば、国連総会の決議で2018年までの開催が要請されている、「核軍縮に関する国連ハイレベル会合」を明年に行い、条約案をまとめることを目指していってはどうか。日本が、他の国や市民社会と力を合わせて、「核兵器のない世界」を築く挑戦を加速させることを強く望みたい。

広島平和記念公園/ Wikimedia Commons

広島では、8月に国連軍縮会議が、11月に世界核被害者フォーラムが行われるほか、長崎ではパグウォッシュ会議の世界大会が11月に開催される。SGI(創価学会インタナショナル)でも、他の団体と協力して「核兵器廃絶のための世界青年サミット」を8月末に広島で開催することを検討しており、世界の青年の名において核時代との決別を誓う宣言を採択し、「核兵器禁止条約」を求める青年の連帯を強めていきたい。

先のウィーン会議では、オーストリアが「核兵器のない世界」を実現するために、あらゆる人々や団体と協力していくとの誓いを表明した。

また昨年、FBO(信仰を基盤とする団体)等とSGIは、ワシントンとウィーンで宗教間対話パネルを共催し、「核兵器のない世界」を実現するために共に行動する誓いを共同声明として発表してきた。

未来は、今この瞬間に生きる人々の誓いの深さでこそ決まる――。

核時代に終止符を打つための鍵となるのは、まさに各国や国際機関、市民社会などの、あらゆる人々や団体が、自らの誓いを立てながら、グローバルな“行動の連帯”を力強く広げていくことではないだろうか。(英訳版へ

INPS Japan

池田大作氏は日本の仏教哲学者・平和活動家で、創価学会インタナショナル(SGI)会長である。池田会長による寄稿記事一覧はこちらへ。

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|イスラエル-パレスチナ|愛国心と良心から沈黙を破る元兵士たち

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【ヘブロンIDN=メル・フリクバーグ

ヨルダン川西岸地区(ウエストバンク)南部の中心都市で聖書にも登場する古都ヘブロンは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教のいずれにとっても聖地であり、歴史的、考古学的、宗教的に重要な遺跡が街の至る所に点在している。

しかし、絵のように美しい丘陵地に細い路地が縦横に巡るこの街の佇まいを一見しただけでは、この街が抱える辛く血塗られた歴史や緊張感は伝わってこないだろう。

City of Hebron/ Wikimedia Commons

この預言者アブラハムの街には現在25万人以上のパレスチナ人が暮らしている。一方、1000人足らずのユダヤ人入植者が、この街の中心部で数百人のイスラエル軍の兵に守られながら、極めて険悪な雰囲気の中で暮らしている。

この数十年の間、両者間の憎悪はしばしば暴力と流血の惨事を引き起こしてきた。

1994年にはユダヤ人入植者で医師のバールーフ・カッペル・ゴールドシュテインがアブラハムモスクで礼拝中のパレスチナ人29人を殺害する乱射事件を引き起こし、その後起こった暴動や襲撃でユダヤ人入植者、パレスチナ人双方で多数の死傷者がでた。

イスラエル軍による占領の影響で、ヘブロン中心街の市場周辺で暮らしていた多数のパレスチナ人が職場と家を失ったほか、かつて賑わっていたシュハダ通りも封鎖され、パレスチナ人の通行が禁止されている。

City of Hebron/ Wikimedia Commons

またイスラエル軍治安部隊は、様々な人権擁護団体から、パレスチナ人を虐待し無益に殺害しているとして非難されている。

ここヘブロンで、パレスチナ人とイスラエル人による2つの平和団体が正義のために協力し合い、イスラエル人と外国人を対象に占領下の人々の生活について情報を伝える活動を始めたのはこうした背景からである。

BTS(Breaking the Silence:沈黙を破る)は、2000年10月に始まった第二次インティファーダ以降に占領地パレスチナで軍務経験をしたイスラエル人の若者達が結成した平和団体である。

BTSでは、メンバーの元イスラエル軍兵士たちが、イスラエル市民や観光客を対象にヘブロンの街を案内し、占領下の(パレスチナ人の)人々が直面している現場の現実について説明している。

BTS
BTS

「私たちは、若い兵士たちが日々占領地の民間人と対峙し、住民の日常生活を支配する任務に従事しなければならない現実と引き換えに、どのような代償を払わされているかについて、国民的な議論を促したいと努力しています。」とBTS広報担当のアキヤ・シャッツ氏はIDNの取材に対して語った。

「私たちはツアー参加者に対して、占領政策の被害者はイスラエル人ではなくパレスチナ人だと説明しています。」

元兵士であるBTSメンバーの多くが、占領軍として任務に従事していた頃にパレスチナ人に対して行われた数々の虐待を覚えている。

「ある時、私たちの部隊は『テロリスト』と考えていたパレスチナ人の家をめちゃくちゃに壊し、容疑者とその妻を痛めつけたうえ、通りに引きずり出したことがあります。」をシャッツ氏は当時を思い出しながら語った。

「しかしあとになって、相手を間違えていたことが分かったのです。私たちが探していた容疑者はその2軒先の住民でした。」

シャッツ氏はまた、当時の部隊長がシャッツ氏のチームが「テロリスト」を殺害できなかったことに失望していたのを覚えている。

BTSに集った元兵士達の証言内容には、シャッツ氏の経験よりも遥かに酷いものも少なくない。シャッツ氏は、「私の経験はヘブロンに駐留している占領軍兵士に限ったことではありません。ウエストバンクの占領地全域を通じて、一部のイスラエル軍兵士がパレスチナ人住民に対し示す普段の態度なのです。」と語った。

またBTSのメンバーらは、イスラエル市民に対して占領の現実を知らしめる活動のほか、パレスチナ人、とりわけパレスチナ人活動家との懸け橋となることを重視している。

「私たちはパレスチナ人にイスラエル人を紹介することを重視しています。なぜなら、こうすることが、固定観念を打破するのに役立つからです。こうしたイスラエル人にとって、個人的に直接パレスチナ人と会うのは、(BTSが仲介したこうした機会が)初めてという場合が少なくないのです。」

BTSでは、こうした観点からパレスチナ人の平和団体「入植地に反対する若者たち(Youth Against the Settlements:YAS)」と協力して活動している。

YASはパレスチナにおけるイスラエルによる植民活動(ユダヤ人入植地の建設・拡張政策)を、非暴力による民衆闘争と市民的不服従を通じてやめさせようと活動しているパレスチナ人による無党派組織である。

「私たちは、多くの活動について、イスラエル人団体(BTS)と協力し合っています。例えば、ツアーや抗議活動等のコミュニティアクション、人権侵害に関する啓蒙活動やイスラエル人にパレスチナ住民の生活の実態を紹介する活動などについて、BTSのメンバーとともに現場で話し合って計画を立てるようにしています。」とYAS広報担当のイッサ・アムロ氏はIDNの取材に対して語った。

「パレスチナ人活動家とイスラエル人活動家が占領政策に反対して団結し、協力し合うことを、私たちはコ・レジスタンス(co-resistance:共に抵抗する活動)と呼んでいます。」

「多くのパレスチナ人とイスラエル人が、こうした協力活動への参加を通じて相互理解を深め合い、友情を育むようになっています。また両者のこうした姿は、パレスチナ人の間に、自分たちのことを大事に考えてくれるイスラエル人もいるのだという希望をもたらしているのです。」とアムロ氏は語った。

Foreigners and Israelis on a tour with Il Amim learn about life in East Jerusalem under occupation/ Mel Frykberg of IDN

2004年に設立されたNGO「イル・アミーム(Ir Amim:「民の街」の意)」も、占領下のパレスチナ人と協力して東エルサレムの入植地問題に取り組むイスラエル人による平和組織である。

イル・アミームは、パレスチナ人のNGO「平和と民主主義フォーラム」とともにエルサレム政策フォーラムを設立した。

このグループは、イスラエル議会とエルサレム市当局に対して、同市の安定を脅かしたり市民の平等を阻害したり、あるいはイスラエル-パレスチナ間の和平交渉の行方を脅かすような行動について情報提供を行っている。

また当局に対して、東エルサレムの全ての住人の尊厳と福祉に対する配慮を求めるとともに、市内に点在する聖地における歴史文化財の保護に取り組んでいる。

イル・アミームの教育普及啓蒙活動は、主に一般のイスラエル市民に向けられたもので、東エルサレム問題に関するイスラエル社会全般の議論を再構築することを目的としている。

そこでこのグループは、一般市民を対象とした、メディア作品の制作をはじめ、スタディツアーや説明会、ハウスミーティング、教育プログラムの実施を通じて、実際に(東エルサレムの)現場で起きている出来事とそれらがイスラエル社会にどのような影響をもたらすかについて、冷静に分析するよう求めている。

イル・アミールによるスタディツアーに参加したスウェーデン人観光客のアミ―・カールソン氏は、「私はこれまで東エルサレムが西エルサレムと比較していかに不利な状況に置かれているか全く知りませんでした。今回イル・アミールの方から、東エルサレムが、西エルサレムが享受している市当局からの予算のほんの僅かな一部しか得ていないことを知りました。実際に東エルサレムを回って、町中にゴミが散乱し、街灯が不足し、標識がほとんどない惨状を目の当たりにして、この(パレスチナ人)地区がいかに当局からおざなりにされているかがよく理解できました。それとは対照的に、同じ東エルサレムでもユダヤ人入植地に関しては行政のケアが行き届いていたのが印象的でした。」とIDNの取材に対して語った。

このように平和のために協力し合っているイスラエル人とパレスチナ人が相互に有意義な体験を育んでいる一方で、シャッツ氏をはじめとした元イスラエル軍兵士たちは、個人のレベルでこうした人権活動に関与している代償を払わされているのが現状である。

「私は、これまでに殺害の脅迫を受けたり、軍務についていた頃のかつての同僚たちから裏切り者呼ばわりされたりしてきました。しかし、祖国イスラエルを心から愛しつつ、一方で間違っている占領政策は憎むということは可能だと確信しています。こうした脅迫や侮辱は、この信念を貫徹するための代償として、甘んじて受け入れる覚悟です。」とシャッツ氏は語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

*イスラエル人とパレスチナ人の有志グループが、時勢に逆らい、偏狭な利害を乗り越えて、深く対立する双方のコミュニティーに対して、自らが変わることで解決の一部になれるという働きかけを辛抱強く行っている姿(-「世界市民」の概念を地域で実践している好例-)に焦点をあてた記事。

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核兵器を抑止力とみなすフランス

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【パリIDN=A.D.マッケンジー】

各国の指導者が4月27日から5月22日にかけてニューヨークの国連本部で開催される核不拡散条約(NPT)運用検討会議に向けて準備を進める中、フランスの活動家らは、発効から45年となる同条約の履行に本気で取り組むような公約がなされるとはあまり期待していないと語る。

フランスは世界第3位の核兵器保有国であるが、フランソワ・オランド社会党政権は、「核備蓄量を増やさない」「核実験は停止しなければならない」という政策を公式に掲げる一方で、核兵器の廃絶には賛成していない。

Franois Hollande/ Wikimedia Commons
Franois Hollande/ Wikimedia Commons

実のところ、オランド大統領の見解は前任のニコラ・サルコジ氏のものとは少し異なっている。サルコジ前大統領は、核軍縮は、相手方が兵器を削減すれば自らも兵器の削減に応じるとする「相互主義」に基づいて行われるべきと主張していた。

フランスは核戦力を海軍と空軍に配備しており、2013年にオランド政権が承認した『国防と国家安全保障に関する白書』によると、フランス政府は核戦力を「重要な国益」を守るための手段と位置付けている。

2015年2月、オランド大統領は同国南部のイストル空軍基地で行った演説においても改めて政府方針に言及し、「今日の『危険な世界』においては、核兵器の保有は敵に対する抑止力となります。」と語った。

「当面の国際情勢を前に、我が国は警戒を緩めて自国の防衛力を弱めてはなりません。」「今後、我が国が直接あるいは間接的に関与しうる国家間紛争が勃発する可能性は誰も否定できないのです。」とオランド大統領は宣言した。

しかし核軍縮を支持する活動家らはこうした政府の姿勢について、「政府はNPTで定められた(軍縮)義務を履行していない。」と反発を強めている。また活動家らは、フランス政府が2010年NPT運用検討会議において採択された軍縮を進めるための64項目からなる行動計画についても、実行を遅らせているとして批判している。

「核保有量の削減はまったく行わせていません。私たちに必要なのは、核不拡散の禁止よりも、むしろ核兵器そのものを禁止する条約です。」と、フランスの軍事活動を監視している地元の平和団体「Observatoire des Armements」のパトリス・ブベレ会長は語った。

Patrice Bouveret

「5年前(NPT運用検討会議)の約束で具体的に履行されたものは何一つありません。今日の状況は(核軍縮について)曖昧にされてきたこれまでの状況と変わらない訳ですから、各国は新たな条約の制定に向けて舵を切るときにきています。」とブベレ会長はIDNの取材に対して語った。

Observatoire des Armementsは、フランスの主要反核連合「脱核時代ネットワーク(Sortir du Nucléaire network)」(932団体、60,500人が加盟)のメンバーである。

「一般市民の非暴力非服従運動」を標榜する同反核連合は、例えば、3月26日より、米国との協定に基づいて米軍の核兵器を貯蔵しているドイツ国内で最後の軍施設であるブエッヘル軍事基地の周辺で、「核兵器の備蓄に反対する」抗議活動に参加している。抗議活動は、NPT運用検討会議が終わるまで続けられる予定である。

活動家らは、公式核兵器5大国(フランス、英国、中国、米国、ロシア)に対して、北朝鮮、イスラエル、パキスタン、インド、そして(恐らく)イランといった「新核兵器国」を抑えるとともに、NPTの規定に従って自らの核軍縮をより積極的に推進するよう呼び掛けている。

一方フランス政府は、2008年までに同国が航空機搭載の核兵器を3分の1削減し、核兵器の総数を300発以下にしたとしている。さらにオランド大統領は2月の演説において、フランスが潜水艦搭載核弾道ミサイル16発を3セットと中距離空対地核ミサイル54発を保有していると語り、初めて保有核戦力の数値を公表した。

フランス政府はまた、同国は公式核兵器5大国の中で唯一、自国の核実験施設と核分裂性物質製造施設を廃棄した国であり、政府は兵器用核分裂性物質の「完全」生産中止を実現するために、引き続き取り組んでいくとしている。

しかしフランスをはじめ他の核保有国や一部の同盟国が核抑止議論に固執しているため、核爆発が起こる危険性は依然として高いままである。そこで活動家らは、4月27日から5月22日まで開催されるNPT運用検討会議における議論がどうなるか、注意深く見守ろうとしている。

「我が国では依然として軍縮に関する議論は複雑です。」と、エルヴェ・モラン元国防相など10人のフランス国会議員らが、昨年12月にウィーンで開催された「核兵器の人道的影響に関する国際会議(約1000人が参加)」に宛てたメッセージの中で述べている。

Jean-Marie Collin/ PNND

さらに国会議員らは、「あまりにも多くの民間の有力者や軍高官らが、核軍縮は国家に対する背信行為であり、フランスの安全保障に対する脅威であると考えているため、核軍縮議論は、ますます複雑な様相を呈しています。」「しかしこれは誤った認識です。なぜなら、フランスは外交上、条約の内容と核なき世界を実現するという目的に完全に合致した政策を選択しなければならないからです。」と指摘したうえで、「核兵器を削減し廃絶するには、フランス国家およびその政府は核軍縮プロセスがもたらす『利益を理解する』必要がある。」と述べている。

「今日私たちの同僚の中で世界に現存する16,300発もの核兵器がもたらす危険性を理解しているものはあまりにも少ない。」と、核軍縮・核不拡散議員連盟(PNND)フランス支部コーディネーターのジャンマリー・コリン氏は語った。PNNDは、核政策に関する最新情報を提供している。

たとえフランスが自国の核戦力の保持を望んでいたとしても、核保有国を「より不安定な国々」へと拡げたくないと考えているのは明らかである。オランド大統領は2月に行った演説の中で、いくつかの国々の間で核兵器の取得を目指した「競争」が起きていることを厳しく非難した。(原文へ

翻訳=IPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between Inter Press Service and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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【ベルリン/仙台IDN=ジャムシェッド・バルーア】

イデオロギーの障壁を打ち破り、歴史にまつわる敵対意識を乗り越えて、日本・中国・韓国の市民社会組織の代表が第3回国連防災世界会議(WCDRR)の期間中に開催された画期的な日中韓シンポジウム「北東アジアの連帯によるレジリエンスの強化」に参加した。

福島第一原発事故を引き起こした2011年の東日本大震災の被害を受けた東北地方の中核都市である宮城県仙台市で3月14日から18日まで開催されたWCDRRでは、生命を奪い破壊する災害のリスクを減らすための、今後15年間(2015年~30年)に亘る新たな防災対策の行動指針となる「仙台防災枠組」が合意された。

China, South Korea, Japan/ Wikimedia Commons

日中韓シンポジウムは、WCDRRの期間中に、東京に本部を置く仏教組織・創価学会インタナショナル(SGI)が主催した公式関連行事(パブリックフォーラム)の一つで、防災のために北東アジア地域において、人間同士の協力を促進するための基盤を提供することを目的とするものだった。2005年から14年にかけて世界全体で災害がもたらした経済的損失は1兆4000億ドルにのぼる。

会議参加者らによれば、3月16日に開催された同シンポジウムは、地域の壁を越えるモデルとして機能しうる日中韓協力に向けた力強い動きを生み出す契機となった。

シンポジウムの冒頭で挨拶した「日中韓三国協力事務局」(TCS、ソウル)の陳峰事務次長は、シンポジウムの趣旨を「この三国は、様々なタイプの自然災害によって特に大きな被害を受けてきました。地域の近隣国として、日本、中国、韓国は、『恐るべき災害』のリスクを減らすために協力していくべきです。」と説明し、TCSがそのために努力していくことを確認した。

北東アジアの三国間での協力の必要性については、中国からパネリストとして参加した「中国国際民間組織合作促進会」(CANGO)の副理事長兼事務局長の黄浩明氏も強調した。1992年に設立されたCANGOは、中国国内で活動する非営利民間組織126団体の連合体で、国連経済社会理事会(ECOSOC)の特別協議資格を取得している。

Haoming Huang/ Katsuhiro Asagiri of IPS

黄浩明氏は「CANGOの任務は、とりわけ、遠隔地や貧困層や少数民族が居住する地域において、貧困削減、環境保護、社会開発の問題に対処するため、社会的権利を与えられた国内NGOの力強いネットワークを創出するところにあります。」と語った。

韓国から参加したパネリストは、韓国災害救援協会「希望の橋」の朴栄津事務総長であった。朴氏は、「この協会は、緊急支援や協力という文化が韓国にまだ存在しなかった1961年に、メディアをはじめ各方面の著名人が、特定の宗教やイデオロギーを背景とせず自発的に設立した、韓国初の緊急支援組織です。」と説明した。

半世紀にわたる緊急支援と特別活動の歴史をもつ同協会は、緊急支援活動を国内向けと海外向けに分け、災害の種類や地域、支援対象などに応じた支援を提供している。

日本から参加したパネリストの一人は、「2015防災世界会議日本CSOネットワーク」の堀内葵事務局長であった。堀内氏は、1987年に設立された非営利・無党派の研究・政策提言団体「国際協力NGOセンター」に2012年より務めている。

Panelists at the Trilateral Forum/ Katsuhiro Asagiri of IPS Japan
Panelists at the Trilateral Forum/ Katsuhiro Asagiri of IPS Japan

もう一人の日本からのパネリストは「協同組合ネクストステージ東北」の生木大祐氏であった。1973年に大阪で生まれた生木氏は、1995年の阪神・淡路大震災を神戸で経験している。2002年以来、アジア諸国からの研修生を日本企業に斡旋する、政府の政策を基盤とした事業に従事している。2006年以降は、「協同組合ネクストステージ東北」の代表理事を務めている。

東北創価学会は、東北の人々の「心の復興」を目指して東北復興パネル展「生命(いのち)のかがやき~未来を創る人々の軌跡~」を開催した。2011年の東日本大震災の悲劇を乗り越え復興に向けて努力する22人の個人に焦点を当てたものである。

Reception for the Panel exhibition, ‘The Light of Humanity’/ Katsuhiro Asagiri of IPS Japan
Reception for the Panel exhibition, ‘The Light of Humanity’/ Katsuhiro Asagiri of IPS Japan

日中韓シンポジウムの結びの挨拶に登壇したSGIの寺崎広嗣平和運動局長は、「大変充実した意見交換を行うことができましたことは、私にとっても大きな喜びであります。(日中韓)各国の市民社会の動向や特色を伺うことができ、市民社会が互いに補い合っていくことで、よりレジリエントな地域を構築していける、との感を強く致しました。」と語った。

また寺崎氏は、9月に採択される予定の「持続可能な開発目標」に関連して、池田大作SGI会長が2015年の「平和提言」の中で、中国、韓国、日本の3国が「協力して『モデル地域』づくりに取り組み、人材育成をはじめ、成功事例の発信などに力を入れる」ことを提案している点を指摘した。

「約15億人が暮らすこの三国の間では、既に人の往来や文化・経済の交流が大変盛んになっていることはいうまでもありません。その上で、防災をはじめとして、具体的な課題について協力をすることは、地域の安全と安定に資するのみならず、国際社会にとってもポジティブな意味合いを有するものです」と寺崎氏は語った。

さらに寺崎氏は、「日中韓シンポジウムで議論されたような防災の面での協力は、単に災害対応の意味で有益であるばかりでなく、より広い意味で地球社会全体に範を示していくことにも、貢献をなしうるものと実感しております。」と付け加えた。

SGIはまた、「ACTアライアンス」「宗教者災害支援連絡会」(JRPD)と共催して、「宗教理念に基づいた視点からの地域密着型防災―ベストプラクティスの共有」と題するシンポジウムを開催した。これは、昨年6月に第6回アジア防災閣僚会議(バンコク)の公式関連行事として開催したシンポジウムのフォローアップである。

「ACTアライアンス」のジョン・ンドゥナ事務総長は、「災害リスクを削減する上での信仰を基盤とした団体(FBO)の役割は、常に認識されているわけではなく、『兵庫行動枠組』のような国際枠組みの効果は、草の根レベルで人々が恩恵を受けてはじめて現実のものとなります。」と語った。

創価学会青年平和会議の浅井伸行議長は、既存の地域ネットワークを動員し、緊急事態の際に脆弱な立場にある人々を保護するFBOの能力について語った。

3月16日、シンポジウムの成果文書として、13のFBOが共同声明を発した。地域の宗教組織やFBOの独自の役割を認知し、2015年以後の防災に関する枠組みの履行において両者の関与と協働に優先順位を与えるよう、諸政府に求めた。

2日後、SGI平和運動局のプログラムディレクターである河合公明氏は、東日本大震災後の東北での創価学会の救援活動に関して、国連防災世界会議の「イグナイト・ステージ」で発表を行った。河合氏は、災害対応において既存の連絡ネットワークと地域の施設を利用できるFBOの能力に着目するとともに、こうしたFBOの強みや資質が、防災におけるその他のステークホールダー(利害関係者)の役割を補完しうると強調した。

Symposium ‘Community based DRR from a faith-based perspective/ Katsuhiro Asagiri, President of IPS Japan

FBOの重要性は、「ピュー・リサーチ・センター」も指摘している。同センターは、2012年に発表した(世界の宗教動向に関する)調査レポートの中で、「世界の人口の84%以上が何らかの宗教団体に帰属しており、数十億人の暮らしにおいて、あらゆる形態の信仰が自然かつ重要な要素を成している。」と報告している。

河合氏は、国連防災世界会議の期間中に議論されたように、西アフリカのエボラ出血熱、南スーダンや中央アフリカ共和国における紛争、東日本大震災、バヌアツのサイクロン被害、東南アジアの洪水など、世界各地の災害に対処するうえで、地域の宗教組織やFBOの付加価値を示す数多くの参照事例が存在すると指摘した。(原文へ

翻訳=INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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イスラエルとイラン、どちらが非核中東への障害か

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【テルアビブ/ラマラIDN=メル・フリクバーグ

国連安全保障理事会常任理事国(米英仏中露)にドイツを加えた世界の6大国(P5+1)が、イランイスラム共和国に課せられた制裁を解除することと引き換えに、同国の核計画に関する包括合意に6月末までに達することを目指している。

6月の期限前に、3月末までに政治的枠組みに関する合意をP5+1が目指す中、イランの核開発の意図について報じた記事が再び紙面を賑わせている。

この枠組み合意は、4月27日から5月22日にかけてニューヨークの国連本部で核不拡散条約(NPT)運用検討会議が開かれるのを前にしてなされるものだ。

IDNは、将来的な中東の非核化とそれが実現する可能性、目標達成を阻む障害について、イスラエルとパレスチナの専門家にコメントを求めた。

イスラエル国家安全保障研究所(INSS、テルアビブ)の主任研究員であるエフライム・アスキュライ氏は、中東が直面しているイラン問題と核問題の専門家であり、イスラエルの保守的な観点を持つ人物である。

「6月の期限に向けて、枠組み協議に進展があるかどうかはわかりません。」とアスキュライ氏はIDNの取材に対して語った。

「これまで多くの交渉期限を見てきましたがた、依然として意見の対立を耳にします。様々な情報源が合意妥結の可能性に様々な意見を述べている一方で、一部には妥結困難を指摘する意見もあります。いずれも公的に確認されたものではないのです。」

「イランは極めて熟達した交渉相手です。彼らの主要な目標は国際社会を満足させる合意ではなく、制裁を解除させることにあるのです。」

「しかし、制裁を解除させるには、核開発の意図を放棄せずに譲歩をしたと見せかける必要があります。」

「イランは既に核兵器を開発する能力を取得しているが、これに国際的な制約を課されたくないと思っています。」とアスキュライ氏は語った。

「イランがイスラエルを攻撃するとは思えない。」

またアスキュライ氏は、「イランが現時点において核兵器を開発しようとしているとは思えません。ただし、万一脅威を認識した場合に核兵器を開発できるような先進的な能力を保持しておきたいとは考えているでしょう。」と語った。

「そうした先進的な能力をひとたび手にすれば、イランの指導部から核兵器開発の指示が出た場合、実際に開発に進むことになります。究極的に言えば、イランは不可避なことを先送りにしているだけだと思います。」

アスキュライ氏は、もしイランの核開発を抑えることができなければ、他の中東諸国も、シーア派のイランに対するスンニ派諸国間の相互防衛策として、自らの核兵器取得を目指す可能性がある、と指摘する。

さらにアスキュライ氏は、「イスラエルの核兵器は、(スンニ派)湾岸諸国が核兵器計画を追求する場合の要因ではなかった。」と指摘したうえで、「イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ現首相が、イランがユダヤ国家であるイスラエルに対する生存上の脅威であると盛んに非難してイランの脅威を煽ったことが原因だとする主張は正しくありません。」と語った。

「イランがイスラエルを攻撃するとは思えません。その可能性はきわめて低いと言えます。しかし、ネタニヤフ首相がイスラエルの安全保障に関して警戒的な態度をとるのは正しい姿勢です。なぜならイスラエルは、もし必要に迫られればイランを攻撃する権利を保持しておくべきだからです。」

「またイランは一貫してイスラエルに対する言葉による攻撃を加えています。例えばイラン政府は、ホロコーストの存在を否定しています。これはイスラエル国民の神経を逆なでしているのです。」

「イラン政府はイスラエルを地図上から消去するなどと述べていますが、これは非常に危険なゲームです。イスラエルもまた、自らを防衛するために言葉で反応しています。両者は言葉による戦争を遂行しているのです。」

「イスラエルはイランに対する脅威ではないし、イスラエル人がイラン人に敵対しているという主張はあたりません。イスラエルは、(1979年の革命で)イスラム共和国が権力を獲るまでは、イランに対してきわめて友好的な関係を築いていました。」

アスキュライ氏は、仮にイランが核開発の意図を放棄し、国際社会で尊重される一員になろうと努力するならば、非核中東は可能であろうと考えている。

「しかし、現段階ではイランには透明性が欠けています。査察官を核施設に入れず、核能力について嘘をついているのです。」とアスキュライ氏は語った。

一般市民がすべての事態について説明を受けているかという問いに関してアスキュライ氏は、「イランの頑迷さのためにメディアはすべての情報を与えられていないが、国際原子力機関(IAEA)は公明正大であり、知りうる限りの情報を公表しています。」と語った。

「イランとの合意は可能だ」

しかし、ラマラ近くにあるビルセイト大学の政治科学者サミール・アワド教授はアスキュライ氏とは異なる意見であり、同氏の分析に異を唱えた。

「イランとの合意に達する可能性はあります。イランは、軍事目的のために核計画を追求する意図はないということを非常に明確にしてきていますし、ロシアと中国もこの主張を支持しているのです。」とアワド氏はIDNの取材に対して語った。

「イラン政府は民生目的で核計画を推し進め、経済発展を導こうとしています。すなわち、ドイツや日本、ブラジル、南アフリカと同じような能力を持とうとしているのです。」

「イランはエネルギー生産のための十分な核技術を持つことを目指しており、この点については他国と同様の権利があります。ハッサン・ロウハニ大統領は、イランを世界に開こうとしているのです。」

「ロウハニ大統領は、制裁のために失業率が高まり国際投資が減少することで、高い教育程度とレベルの高い実業をもつイラン国民が経済的に抑えつけられるような孤立と断絶の状態を望んではいません。」

「最近、米国も欧州諸国もイランに対してより前向きなアプローチをしてきているように感じています。」

「欧州諸国は(米国ほど)懐疑的でなく、核を保有したイランによって欧州が脅威に晒されるのではないかとは、それほど恐れていません。」

「これは今や、米国についても安全保障の問題というよりは、むしろイランに対して厳しい立場をとっている共和党と、合意妥結を目指そうとする民主党との間の政治課題になっています。」とアワド氏は解説した。

「他方、核開発の意図に関してイランの説明に透明性がないと批判するイスラエルは、そのアプローチにおいて非常に欺瞞的です。」

「そのイスラエルこそが、中東最大の核兵器国なのです。同国は、中東で最も強力な国であるというだけではなく、最も好戦的で攻撃的な国でもあるのです。」

「ネタニヤフ首相は、とりわけ今回のイスラエル総選挙(3月17日)で票集めを有利に導こうとして、イラン核武装化の脅威論を盛んに利用しています。」

「イスラエル国民は、国の安全が脅かされていると感じると極右政党に票を投じる傾向にあります。ネタニヤフ氏は、自らの政治的利益のためにこうした国民の心情を操作するのに長けているのです。」

「イラン『脅威論』は、(イスラエルにとっての)大きな生存上の脅威があるとの幻想を仕立て上げることで、パレスチナとの和平協議問題を棚上げにする極めて便利な口実に使われているのです。」とアワド氏は語った。

「しかし、イスラエルの諜報機関モサドが、イランは核兵器取得に向かってもいないしそれを望んでもいないとみなしている事実は、今も変わりはありません。」

「また、核拡散理論がなぜイスラエルに対してのみ議論されないのか?この現実について一度考えてみる必要があると思います。イスラエルが核開発の可能性があるというだけでイランに脅威を感じるべきというのであれば、250発以上の核弾頭を既に保有しているイスラエルに対してイランが少なくとも同程度の脅威を感じてもおかしくないのではないでしょうか。」

アワド氏は、「他のアラブ諸国も核兵器を取得することを望んでいる」とする(アスキュライ氏の)見解を否定するとともに、「これらの国々は、イランと同様に国内的な理由(民生目的)から核施設を開発しようとしている。」との見解を示した。

「エジプトは原子炉を2基建設する協定をロシアと結び、アラブ首長国連邦は同じような協定をフランスと結んでいます。」

アワド氏は、イスラエルこそが、非核中東への最大の障害だと考えている。

「もしイランが核兵器を保有したとしても、イスラエルを攻撃するほど愚かではないでしょう。他方でイスラエルは、パレスチナ占領をやめ核兵器を放棄する意図は全くないように見えます。つまりこのことが、中東和平の最大の脅威であり続けているのです。」と、アワド氏はIDNの取材に対して語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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|視点|世界市民教育への抜本的なアプローチ(クィーンズ大学教授)

【ブリスベンIPS=ウェイン・ハドソン】

世界市民教育は、このところしかるべき認知を得てきているが、それを論じる文献の多くが、「平和と正義を促進する教育」「持続可能性」「環境への配慮」「多宗教」「多文化理解」といった旧来からの検討課題を別の呼び名で論じたものである。

また別の文献は、子どもたちが、世界史やグローバル倫理、グローバル法など特定のグローバルな知識を学ぶことを提唱している。こうしたアプローチは「世界市民」というものに含まれる(考え方における)革命性を把握し損ねているというのが私の意見である。

これらは、時代の水準に達しておらず、必要な変化をもたらすほど抜本的な教育へのアプローチを促進しえない。また、世界市民教育の支持者の中には、別の名の下で政治的・社会的活動を促進しようとする傾向があることも、問題である。

そして最後に、世界市民教育には、ヨーロッパ的な「啓蒙」の観念に過度に依存した西欧の用語として紹介される傾向にあるという大きな問題がある。私は、より抜本的で、教育上の実践に関する新たな概念を含んだ、世界市民教育に対するアプローチを提唱したい。

もちろん私は、西欧文明のこれまでの成果や、欧州啓蒙運動の豊かな伝統を無視した世界市民教育を論じようとしているのではない。しかし同時に、世界市民教育は、西欧の啓蒙イデオロギーにおける教育ではありえないのである。

世界市民教育はイスラムの実質的な主張を無視することはできない。また、ロシア正教がある種の私的な選択肢であるとか、ロシア連邦が世俗的な国民国家であるとか装うわけにもいかない。そして、世界市民教育が現場で限定的な影響力しか持たないような教育的空想主義の新たな事例となることを避けようとするのならば、世界中に見られる、政治的、文化的、倫理的な現実の多様性と関わりを持たざるを得ない。

世界市民教育は、単に西欧的なものではありえず、都会のエリートの子どもたちのみならず、貧困国や農村環境に生きる子どもたちとも関わるものでなくてはならない。世界市民教育として実施されている現在の形態の多くは、そうした子どもたちのニーズに対処しているようには思えない。

西欧的イデオロギーと夢想の域を超える世界市民教育を実現するには、2つの大きな跳躍を成し遂げねばならないというのが私の意見である。

一つは、ポスト世俗主義的な跳躍を成し、公的生活と私的生活の双方における非日常的な活動の認知と穏健な世俗性を両立させることが必要だ。これはつまり、「公共の広場」あるいは「公共圏」に関するアメリカ的なイデオロギーの否認を意味する。

それは、実際の世界の現実とふたたびつながり、様々な精神的観点を、宗教的市民権のレベルにおいて、人権のレベルにおいて、そして国家の役割のレベルにおいて、真剣に受け止める世界市民教育のモデルを含む。

こうした諸問題について、西欧的啓蒙主義に基づく主張を繰り返すだけの偽善的な宣言は、イスラム世界やロシアにおいては実際には失敗に終わるだろう。欧米社会に育ったイスラム系少数市民に対してすら、受けるところがないかもしれない。また長期的には、インドミャンマー、中国といったアジア地域の多くの国々においても、こうした宣言は実践されることがないだろう。

このように、世界市民は、世界市民教育に関する多くの論者が現在想定しているよりももっとグローバルなものでなければならない。現在よりも、文化的、宗教的、文明的差異を真剣に取り扱わねばならない。

ここで問題になっているのは特殊主義、あるいは非合理な形態の文化的相対主義ではなく、現実にある異質性や実際の世界の文脈を問題とし、且つカント的な道徳哲学、あるいは英米的な政治哲学に依拠しないようなアプローチである。

「グローバル」とは、英米的であるとか、単にヨーロッパ的であることを意味しない。グローバルなアプローチとは、差異を尊重すると同時にある程度までは説明しなくてはならない。つまり、旧来から提供されてきた個別の伝統よりも強力な概念が必要だということだ。このことが二つ目の跳躍へとつながることになる。

私の見方では、世界市民教育はまた、新たな概念に向けた跳躍を果たさねばならない。歴史的な特殊性を考慮に入れつつも、異なる文化や国民国家を超えた性質を創出しうるような概念である。

新たなグローバルな概念は、現在の教育機関で提案されているようなものではなく、教育の発展におけるほとんどの思考に刺激を与えるようなものではない。これは部分的には、この種の思考法が、教育者よりも数学者・物理学者・哲学者の間に一般的にみられるものであるという事実からきている。

しかし、教育実践においてそうした概念を作り出し模範として見せていくことはそれほど難しいことではないのかもしれない。実際、新たな概念を哲学的あるいは理論的な用語で展開するよりも、教育実践においてそれを確立する方が容易であろうと思うのだ。

私のここでの立場は、本質的に代案を提示しようとするものであり、明らかにかなりの例証を必要とするものである。私の推奨するアプローチは、教育における多くの支配的な戦略とは異なっている。旧来のそれらはしばしば、あらかじめ存在する教育上の概念や戦略をカリキュラムが実践するものだと想定されている。

世界市民教育に対する私のアプローチは、教育法と学習におけるきわめて異なった概念を伴うものである。すなわちそれは、逆説的にも、教育者が通常は好まないようなタイプの強力な認知主義と、彼らが好んではいるが通常は実践に移されることはないようなタイプの強力なプラグマティズム(実用主義)の両方とつながりをもったものなのである。

Charles Sanders Peirce/ Wikimedia Commons
Charles Sanders Peirce/ Wikimedia Commons

それはとりわけ、ジョン・デューイウィリアム・ジェイムズリチャード・ローティといったプラグマティズムの主唱者よりも、アメリカの哲学者で数学者であるチャールズ・サンダース・パースのプラグマティズムとつながりを持ったものである。

私の主張は、哲学と実践に対するこうした通常でないアプローチは、世界市民教育にとっての利益をもたらすという点にある。このアプローチを基盤とした教育法には、新しい技術を用いた実践に向いているという利点がある。

またそれは、世界中の地域社会において、より安価で、実践的で、容易に実施することが可能である。もちろん、そうした革新的なアプローチは、少なくとも、現代哲学や数学、認知科学におけるアプローチのための基礎が十分理解されるまでは、問題含みのものであるかもしれない。しかし、それこそが私が発展させようと思っているアプローチである。それは、現在の論争に真の貢献を成しうるアプローチであると考えている。(原文へ

翻訳=IPS Japan

本記事の中で紹介されている見解は著者個人のものであり、インター・プレス・サービスの編集方針を反映したものではない。

※ウェイン・ハドソンは、クィーンズ大学、チャールズ・スチュアート大学、タスマニア大学(豪州)の教授。

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世界市民教育メディアプロジェクトニュースレター(2014/2015)

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Fostering Global Citizenship – 2014年4月-6月号

Fostering Global Citizenship – 2014年 7月、8月号

Fostering Global Citizenship – 2014年 9月、10月号

Fostering Global Citizenship – 2014年 11月、12月号

Fostering Global Citizenship – 2015年 1月、2月号

Fostering Global Citizenship – 2015年 3月号

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|国連防災世界会議|災害を理解することが防災への鍵

【仙台IPS=ラメシュ・ジャウラ

第3回国連防災世界会議が、長くかかった最終協議を経て、3月18日に閉幕した。187の国連加盟国代表が、今後15年(2015年~30年)という長期に亘る新しい防災対策の行動指針となる「仙台防災枠組」にようやく合意した。

国連の潘基文事務総長は会議の始まった14日、「持続可能性は仙台から始まるのです。」と述べた。「仙台防災枠組」が新たな時代の夜明けを告げるものだとしても、それが事務総長の期待に応えるようなものであるかはまだわからない。

国連事務総長特別代表(防災担当)で国連防災戦略事務局(UNISDR)長のマルガレータ・ワルストロム氏は、この新しい枠組みは「災害リスクと人命・暮らし・健康の損失の実質的な減少につながるような行動のための目標と優先行動を示したものだが、持続可能な開発における新たな時代を開くものとなるだろう。」と強調した。

UNISDR

しかし、ワルストロム氏は18日、仙台防災枠組みの実行には「強力なコミットメントと政治的なリーダーシップが必要であり、持続可能な開発目標(今年9月の国連総会で採択予定のポスト2015年開発アジェンダ)と気候変動に関する今後の合意(今年12月のパリ気候変動会議)を達成するうえで肝要なものである。」と警告した。

仙台防災枠組」は、7つのグローバルな減災目標と4つの優先事項を示している。

今後15年で達成すべきグローバルな減災目標とは、「①災害に伴う全世界の死亡率を大幅に削減する。②被災者数を大幅に削減する。③国内総生産(GDP)に占める災害の直接的な経済損失を大幅に削減する。④医療や教育施設など重要インフラを強靱化する。⑤2020年までに全国・地域レベルで防災戦略を策定する国の数を増やす。⑥途上国支援を強化する。⑦複数の危険に関する早期警戒システム及び災害情報・評価へのアクセスを強化する。」である。

4つの優先行動とは、①災害リスクへの理解向上。②災害リスク管理のための災害リスクガバナンスの強化。③強靭化に向けた防災への投資の強化。④効果的な応急対応に向けた準備の強化と「災害復興:よりよい復興(Build Back Better)」に焦点を当てている。最終的な優先行動は、より効果的な防災準備や、復旧・復興・再建において「よりよい復興」を埋め込むことを呼び掛けている。

以下は、UNISDRのマルガレータ・ワルストロム氏に対して3月16日に仙台会議の会場で行ったインタビューである。そこで同氏は防災の本質について語っている。

IPS:この仙台会議で防災への解決策が導き出されるとお考えですか?

マルガレータ・ワルストロム氏(以下MW):この会議と集合的な経験から解決策が導き出されてきました。それは実際、私たちにとって問題ではないのです。問題なのは、既に知っている知識を応用するためにいかに説得力のある議論をできるか、ということなのです。それは、個人や社会、企業などに関係のある話です。きわめて複雑な問題ですから、あまり単純化した問題だと捉えないことが重要です。

もし災害を相当程度に減らそうと考えるならば、個別にではなく数多くのセクターに対して目を向けなくてはなりません。しかし、複数のセクターには協働が必要なのです。この10年にかなりの進展があったことを、私は自分の目で見て、そして自分の耳で聞いてきました。

国際社会が今日超えるべき重要なハードルは、従来の災害を理解するという段階から、「(災害)リスクを理解する」という段階へと進むことです。災害というものを表面的に理解することはできますが、それだけでは将来的に(災害)リスクを減らすことにはつながりません。リスクを減らすことができるのは、個別のリスクではなく、本当に社会を壊してしまうような、複合して機能する複数のリスクを私たちが理解したときなのです。」

仙台会議がやろうとしているのは、まさにこのことなのです。今後数十年にわたる防災行動の基礎を築く文書に関する協議を行うことと同等に、人々がお互いから急速に学びあい、刺激を受け合うことがこの会議における極めて重要な目的なのです。

IPS:(レジリエンス)強靭性が重要な問題となっていますね。貧しく脆弱な立場に置かれている人々は常に強靭さを発揮してきました。しかし、こうした人々の強靭さを強化するために必要なのはお金(開発のための資金)と技術です。仙台会議の結果として、これら2つのことがもたらされるとお考えですか?

MW:この会議の結果、というだけではありません。なにかあるとすれば、会議は、優先行動を掲げ、必要とされる計画の統合に対する理解を高めるものになるでしょう。いかなる場合においても、歴史的経験が示しているものは、強靭性のための最も重要な基礎は社会開発と経済発展だということです。人間は健康であり、よい教育を受け、選択肢があり、仕事がなくてはなりません。知っての通り、それに続くのは、もちろんある意味では、新たなリスクです。つまり、ライフスタイルのリスクです。

そこにあるのは技術ではないでしょうか。技術の問題といえば、その利用可能性の問題、それであればお金の話になりますが、技術をどうやって使うかという能力の問題でもあります。多くの国や個人にとって、これは本当に問題です。自分自身を見つめてみなくてはなりません。技術の進歩は人々がそれを使いこなす能力よりも、早いペースで進んでいるのです。

技術を手に入れる金銭的資源は、間違いなく制約にはなりますが、多くの場合、より大きな制約は「能力」の問題です。政府自身の投資(それは最も肝要なものですが)という点でお金の問題を考えれば、資金は増えてくることになるでしょう。強靭性を作り出すために必要なものをどう理解するかと言えば、それはリスクに対応できるインフラであり、リスクに対応できる農業であり、水管理システムなのです。それらはいずれも単独の問題ではありません。

投資は今後増えることになるでしょう。個人に対する投資、強靭性の社会的側面に対する投資、とりわけ最も貧しい人々に対するそれには、政策の方向性に関する明確な決定を必要とします。それはおそらく、ポスト2015年の普遍的開発アジェンダに関して今年後半になされる合意において、浮かび上がってくるでしょう。それは(従来のMDGにおける)貧困削減重視の姿勢を今後も継続するために何がなされるべきかについて焦点をあてるものとなるでしょう。

IPS政府開発援助(ODA)の問題は、今日、何らかの関連性があるでしょうか。

MW:大きさと規模の上では、外国直接投資や民間部門の成長と比べれば、おそらく大きな関連性はないでしょう。しかしもちろん、ODAには、具体的な連帯の表現として、極めて重要な象徴的意味合いや、政治的な意味合いがあります。

UN WCDRR

持続可能な開発目標の議論やこの仙台会議の議論において、国際協力を含め、基盤となるような国家的資源が強調されている理由がこのあたりにあることが、おわかりなのではないかと思います。(原文へ

しかし公平を期すために申し上げておくと、現在でも、多額のODAに依存している開発途上国は多く存在します。GDPの3割~4割が何らかの形でODAに依存しているのです。このような状況は、最終的な政治的選択に関していえば決して好ましいものではありませんが、現在の経済的現実でもあるのです。経済発展のニーズ、その国の経済成長を刺激し人々の成長を促すような種類の投資といったものに優先順位を与え続けていく必要があります。

翻訳=IPS Japan

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震災・津波瓦礫と闘う日本

核兵器を禁止する法的拘束力のある条約(レイ・アチソン「リーチング・クリティカル・ウィル」代表)

【ニューヨークIPS=レイ・アチソン】

2010年に核不拡散条約(NPT)の「行動計画」が採択されてから5年、核軍縮に関連した約束への遵守は、核不拡散あるいは原子力平和利用の関連のそれに比べて、はるかに立ち遅れている。

しかし、その同じ5年の間に、あらたな証拠と国際的な議論が、核兵器使用の壊滅的な帰結と、意図的であれ偶発的であれ核の使用がもつ容認しがたいリスクに焦点をあててきた。

こうして、NPTの完全履行、とりわけ核軍縮に関する履行が、以前にもまして急を要する問題となってきた。核軍縮のもっとも効果的な手段のひとつは、核兵器を禁止しその廃絶の枠組みを確立する法的拘束力のある条約の交渉であろう。

Ray Acheson, Reaching Critical Will
Ray Acheson, Reaching Critical Will

しかし、そのことにコンセンサスがあるわけではない。

実際、4月27日から5月22日にかけてニューヨークで開催される予定の2015年NPT運用検討会議を前にして、NPT上の核保有国と核依存同盟国は、そうした交渉によってNPTは「損なわれ」ると論じ、「行動計画」は長期的なロードマップであって、少なくとも次の運用検討サイクルまで「延長」すべきであると主張している。

これは、意味ある行動に向けた機会となるはずのものに対する、きわめて退行的なアプローチだ。NPT第6条を履行するための法的枠組みについて交渉することが、条約を「損なう」はずがない。

逆に、それは最終的に核保有国にその法的義務を果たさせるものになるはずだ。

核兵器を保有しているかあるいはそれに依存している国家は、核拡散を防止し安全保障を高める上でのNPTの重要性を強調してきた。

しかし、その同じ国々が、その他の加盟国以上に、軍縮のために必要な具体的な行動を防止し、回避し、遅らせることによって、条約をおおいに損なっているのである。

NPT上の核保有国やその核依存同盟国は、その責任や誓約、義務を今こそ果たすべきだ。さもなくば、彼らが守らねばならないと訴えている条約体制そのものが損なわれてしまうだろう。

Photo: Wide view of the General Assembly Hall. UN Photo/Manuel Elias
Photo: Wide view of the General Assembly Hall. UN Photo/Manuel Elias

彼らがその約束を履行しないことは、NPTの将来に暗い影を投げかけている。こうした不履行が永久に続き、核兵器を保有し続けるだけではなく核兵器システムを改修・配備できると期待しているならば、それは誤っている。

2015年NPT運用検討会議は、他の諸政府がこうした行動に直面・挑戦し、協調的かつ即時の行動を要求する機会を提供することだろう。

加盟国は、この5年間の事態について真摯に評価を加えるだけではなく、NPTを今後も生き長らえさせ、核軍拡競争の停止、核兵器製造の停止、核兵器使用の防止、既存核戦力の廃絶といったNPTのすべての目標と目的を達成するためにどんな行動が必要かを決定しなくてはならないだろう。

核兵器の非人道的帰結に関してこのところあらためてなされた検討作業は、糸口を見つけるよい出発点である。2010年のNPT運用検討会議は、「核兵器のいかなる使用による破滅的な人道的帰結に対しても深い懸念」を表明した。

それ以降、とりわけ、ノルウェーやメキシコ、オーストリアが主催した一連の会議において、人道的帰結の問題がますます議論と行動提案の焦点を成してきた。

諸政府は、従来からの議論の場においても人道的影響の問題を取り上げるようになっている。たとえば、2014年の国連総会では155か国が共同声明に署名し、核兵器によって引き起こされる容認しがたい被害に焦点を当て、いかなる状況においても核兵器が二度と使われないようにするよう行動を求めた。

「人道的帰結」のアプローチは核軍縮に対するあらたな推進力の基礎を与えた。赤十字・赤新月運動国連人道問題調整事務所、新世代の市民活動家など、新しいタイプのアクターの登場を促した。

ICAN
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核兵器の非人道的影響をめぐる議論は、NPTのすべての加盟国によって完全に支持されるべきである。

「人道的帰結」のアプローチはまた「オーストリアの誓約」にも結び付いた。同政府(および、その誓約に賛同するいかなる国)が「核兵器の禁止と廃絶に向けた法的ギャップを埋める」ことを約束したものだ。

今年2月現在で、40か国が同誓約への支持を表明している。これらの国々は、変化を求めているのである。既存の国際法は核軍縮達成のためには不適切であり、核兵器を悪とみなし、禁止し、廃絶するような変化のプロセスが必要だと考えているのである。

このプロセスには、核兵器のもたらす容認しがたい結末を基礎にして、核を明確に禁止する法的拘束力のある法的文書が必要である。こうした条約は、特定の条約を通じてすでに禁止の対象となっている他の大量破壊兵器と核兵器とを同等の立場に置くことになる。

Photo: Hiroshima Ruins, October 5, 1945. Photo by Shigeo Hayashi.
Photo: Hiroshima Ruins, October 5, 1945. Photo by Shigeo Hayashi.

核兵器を禁止する条約は、既存の規範に則ったものであり、NPTなどの既存の法的枠組みを強化する。しかし同時に、核兵器活動に従事し、核廃絶を推進するフリをしながらも核兵器の永続化から利益を得ようとすることを諸国に可能とする現在の法的体制の抜け穴をふさぐことにもなろう。

NPT加盟国は、核軍縮達成までどのくらい待つことができるのかを考えてみなくてはならない。2010年運用検討会議以来の動向は、核兵器に関する現在の国際的議論を推し進めてきた。

諸国および他のアクターは、核兵器を禁止しその廃絶のための枠組みを打ち立てる法的拘束力のある文書を策定することによって、軍縮を本当に達成する行動をとるとの意志を今こそ示すべきだ。広島・長崎への原爆投下から70年の今年は、まさによい出発点である。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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