【IPSコラム=エマ・ボニーノ】
アフガニスタンにおいてシーア派民法が成立したと報じられたとき、夫婦間でのレイプが合法化されたと聞いた私たちには衝撃が走った。しかし、よくよく検討してみると、法律は私たちが考えているものよりもずっと悪いものであることがわかったのである。
レイプの合法化はそれ自体恐ろしいものではあるが、それよりも問題なのは、女性を公的に第2級の市民の地位に貶めていることだ。
法律では、女性の行動に制限をかけることが合法化されている。子どもに関する決定、女性による医療・教育サービスの利用などについても。
今年後半に行われるアフガニスタン大統領選挙で急進的なシーア派の支持を勝ち取るために、このような民法が制定されたとの見方もある。しかし、私たちは、こんな「和解」のために、女性の基本的人権を犠牲にする法律の成立を容認することはできない。
こうしたあからさまな人権侵害に対して、世界中から非難の声が上がった。幸いハーグで開かれたアフガニスタン支援国際会議やNATOサミット(4月3日~4日)の場において、世界の指導者らがアフガニスタン政府を批判した。これを受けてアフガニスタンのカルザイ大統領も、法律の見直しを示唆した。
「正義なきところに平和なし」「多国籍急進党」でも、国際アピールを開始している。世界はアフガニスタンの動きを監視し続けている、と伝えるためだ。
たしかに法律の見直しは示唆されたが、私たちはこれで満足しているわけにはいかない。私たちは、たゆまず、国際的アピールを発し、自国の政治家やアフガニスタン政府に圧力をかけ、創造的な非暴力行動を組織していかねばならない。アフガニスタンの女性たちは、私たちからの完全なる支援を受けるに値するのだから。 (原文へ)
翻訳/サンプルサマリー=IPS Japan
*エマ・ボニーノ女史は元欧州委員会人道援助局委員で現在イタリア上院副議長。
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