INPS Japan/ IPS UN Bureau Reportロシアが集めるアフリカの「捨て駒」

ロシアが集めるアフリカの「捨て駒」

ロンドンIPS=アンドリュー・ファーミン

4月7日、カメルーン政府は、ウクライナでロシア軍として戦い、死亡が確認された自国民16人の名簿を公表した。これにより、この遠い戦争で命を落としたカメルーン国民は、おそらく100人を超えたとみられる。ロシアが近年、アフリカを重点対象として進めてきた兵員募集の中で、カメルーンは最も多くの犠牲者を出した国となった可能性が高い。

消耗戦

Russian President Vladimir Putin addresses participants of the Russia-Uzbekistan Interregional Cooperation Forum in Moscow, Russia/ By Kremlin.ru, CC BY 4.0
Russian President Vladimir Putin addresses participants of the Russia-Uzbekistan Interregional Cooperation Forum in Moscow, Russia/ By Kremlin.ru, CC BY 4.0

ウラジーミル・プーチン大統領が2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始した際、この戦争は数日で終わると見込んでいた可能性が高い。だが、戦闘は4年目に入ってなお続き、ロシアの戦術は双方に甚大な人的損失をもたらしている。プーチン氏は兵士の命を顧みず、「肉挽き機」とも呼ばれる波状攻撃で、部隊を繰り返しウクライナ軍の前線に投入してきた。偽情報が広く飛び交う中、死傷者数の推計には大きな幅がある。死亡が確認された兵士を集計するあるプロジェクトでは、ロシア軍の死者は20万6000人を超えるとされる一方、130万人に達するとの推計もある。ロシアは補充を上回るペースで兵士を失っているとみられる

プーチン氏は北朝鮮の独裁者、金正恩総書記にも頼った。2024年以降、北朝鮮軍はロシア軍とともに戦っており、2万人超が投入され、6000人の死傷者が出たと報じられている。ロシアはまた、中央アジア諸国や、キューバのような長年の友好国からも人員を募集してきた。ウクライナ側もコロンビア人傭兵を含む数千人の外国人戦闘員を受け入れている。そうした中、ロシアは今、ますますアフリカに目を向けている。

ロシアの対アフリカ戦略

プーチン氏は長年にわたり、アフリカ諸国との関係強化を進めてきた。そうした関係は、ロシアが国際的孤立を和らげ、西側諸国からの圧力に対抗するうえで重要な役割を果たしている。軍事面でも、その関係は一方向ではない。謎の多いワグネル・グループのロシア人傭兵は、現在ではロシア政府の統制をより強く受けながら、ブルキナファソ、中央アフリカ共和国、マリを含む最大18のアフリカ諸国で活動している。ある国では反政府勢力と戦う政府軍を支援し、また別の国では、対立する2つの政権が権力を争うリビアや、残虐な内戦が続くスーダンのように、権力闘争を繰り広げる一方に肩入れしている。ロシア人傭兵は、その活動先の各地で残虐行為への関与を非難されてきた。

mage: Safariman/Flickr
mage: Safariman/Flickr

ロシアの進出は、一部で歓迎をもって受け止められてきた。旧宗主国フランスに代わる存在として、より対等な関係を約束する相手と映ったためである。2022年にワグネル部隊がマリに入った際には、沿道に集まった群衆がロシア国旗を振ってこれを迎えた。こうした歓迎の空気は、多くの場合、ロシアの軍事関与に先立って展開される親ロシア的な偽情報キャンペーンによって下地がつくられている。

しかし、その関係は搾取的である。ロシアは兵力提供の見返りとして、通常、ダイヤモンドや金などの天然資源を得る。そうして得た資源は、アフリカで掲げる反帝国主義の言辞とは裏腹に、本質的には帝国主義的なこの戦争を支える資金源となっている。

中部・西部アフリカの抑圧的な政権―その多くは軍事政権、あるいは軍を出身基盤とする指導者が率いている―にとって、人権状況を問題にしないパートナーは都合がよい。ロシア軍による人権侵害を明るみに出そうとする市民社会組織やメディアは、攻撃の対象にされている。

アフリカから前線へ

ロシアは今、多くの若いアフリカ人男性の経済的困窮につけ込み、彼らをウクライナの前線に送り込み、ときに死に追いやっている。市民社会による最近の広範な調査では、ロシアがこれまでに少なくとも1417人のアフリカ国籍者を募集してきたことが確認されている。実際の人数は、ほぼ確実にこれを上回る。募集人数は年々増えており、そこには組織的な計画がうかがえる。確認された募集者数が最も多いのはエジプトで、カメルーン、ガーナがこれに続く。確認された1417人のうち、316人、すなわち22%が死亡したと報告されている。

一部の応募者は、オンライン上でロシア支持を表明している。他方で、ロシア国籍の取得や、母国では到底得られないほど高額の報酬に引きつけられる者もいる。最近のビザ要件緩和が示すようなロシアの「開放性」を、移民への敵意を強める欧州と比較して受け止めているのかもしれない。

だが、脱出に成功した人々の中には、だまされたと証言する者もいる。偽の求人広告によって、配管工や警備員などの民間職、あるいは後方支援業務に就くのだと信じ込まされていたのだ。現地に到着すると、読めもしないロシア語の契約書への署名を強いられ、わずかな訓練だけで前線へ送られる。死亡者の平均従軍期間がわずか6カ月にすぎないことは、ロシアが彼らを使い捨てとして扱っている証拠である。

勧誘を後押しする仲介者たち―募集を宣伝するソーシャルメディアのインフルエンサー、旅行代理店、人身売買ネットワークなど―は、この仕組みから利益を得ている。奇妙な政治的皮肉として、南アフリカの元大統領ジェイコブ・ズマ氏の娘ドゥドゥジレ・ズマ=サンブドラ氏も、アフリカ人勧誘への関与が指摘されている一人である。中には、父親の政党のボディーガードとして訓練を受けるのだと偽って勧誘された人もいる。昨年12月には、南アフリカ警察が、親ロシア的プロパガンダの拡散で知られるジャーナリストを含む5人を、南アフリカ人の勧誘に関する容疑で逮捕した。

説明責任を求める圧力

証拠が積み重なるにつれ、いくつかのアフリカ諸国政府は対応に乗り出した。トーゴ政府は国民に危険性を警告し、複数のトーゴ兵がウクライナで拘束された際には、彼らが仕事や就学の機会を約束されて現地に誘い出されたことを確認した。昨年、ボツワナ政府は、短期の軍事訓練プログラムに参加するつもりだった2人の若者が、実際には戦闘への参加を強いられていた事案について調査すると発表した。2月には、ガーナ外相が少なくとも55人の自国民が死亡したことを認め、ガーナ人捕虜の解放を求めてウクライナを訪れた。ケニアと南アフリカの警察は、人身売買組織を摘発し、募集機関を閉鎖した。ケニア政府は最近、ロシアがケニア国民の募集停止に同意したと明らかにしており、継続的な二国間圧力が成果を生み得ることを示している。

しかし、多くのアフリカ諸国政府はいまなお現状を認めようとしていない。自国民の命よりも、ロシアとの良好な関係を優先しているのである。そうすることで、自国民の命がロシアにとってそうであるのと同様に、自分たちにとっても消耗品同然であることを自ら示している。

Image source: Sky News
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ロシアによるこの搾取的な勧誘を終わらせるため、さらに多くの国が圧力を強めなければならない。そして、若いアフリカ人の福祉を本気で案じているとする国際的パートナーにとって、取るべき第一歩は明らかである。すなわち、困窮した若者たちが格好の勧誘対象となってしまう経済状況の改善を支援し、ロシアのような国ですら魅力的な行き先に見えてしまうような敵対的な移民政策を改めることである。

アンドリュー・ファーミンは、CIVICUS編集長、CIVICUS Lens共同ディレクター兼ライター、『State of Civil Society Report』共同執筆者。インタビューまたは詳細については、research@civicus.org まで。

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