SDGsGoal16(平和と公正を全ての人に)|視点|カザフスタン、核兵器禁止条約の普遍化を訴え(ムフタル・トレウベルディカザフスタン副首相兼外務大臣)

|視点|カザフスタン、核兵器禁止条約の普遍化を訴え(ムフタル・トレウベルディカザフスタン副首相兼外務大臣)

【ウィーンIDN=ムフタル・トレウベルディ】

核兵器禁止条約第1回締約国会合は、完全な核軍縮という普遍的な目標を推進するための10年近くに及ぶ集団的な取り組みの結果、驚くべき歴史的な成果を収めたものであります。

私たちは、この会議が、一般的かつ完全な核軍縮の問題に関して共通の基盤を見出すという深いコミットメントと政治的意思に突き動かされて、望ましい成果を生むものと確信しています。

Mukhtar Tileuberdi, Deputy Prime Minister and Foreign Minister of Kazakhstan addressing High-level Session of the First Meeting of the States Parties (MSP) to the Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons (TPNW). Credit: Katsuhiro Asagiri, IDN-INPS Multimedia Director

カザフスタンは、核兵器禁止(核禁)条約の起草及び採択プロセスの全ての段階に積極的に関与し、条約に初めて署名・批准した国の一つとなりました。核禁条約は、「核兵器なき世界」に向けたより具体的な行動を求める声がますます強くなっていることの証左であります。冷戦の最も暗い時期以来、核兵器による交戦のリスクが最大限に高まっている現在の危機的な状況にあって、こうした意志は特に重要性を帯びています。したがって、核禁条約は、こうした懸念を表明し、解決策を見出すための重要なプラットフォームとならなければなりません。

Semipalatinsk Former Nuclear Weapon Test site/ Katsuhiro Asagiri
Semipalatinsk Former Nuclear Weapon Test site/ Katsuhiro Asagiri

カザフスタンがこの条約に参加することを決めたのは、政治的な理由だけでなく、核軍縮に対する長年のコミットメントによるものであります。カザフスタンのカシム=ジョマルト・トカエフ大統領は、「核兵器のない世界」を実現することは、カザフスタン国民のアイデンティティーの重要な一部であり、核兵器廃絶に向けた世界の運動の先頭に立つという道徳的権利を与えてくれていると述べています。私たちは、ソ連の核兵器開発計画の破壊的な遺産に苦しめられた過去の世代に負う人道的義務から力を得ているのです。

このような背景から、核兵器の影響を受けたコミュニティーの代表者たちが、何としても避けねばならない核の悪夢の証人として、カザフスタン共催のものを含むサイドイベントに参加していることを心から歓迎します。

核軍縮への強力な政治的障害が存在するこの時にあって、被害者支援と環境修復に関する条約の積極的な義務の履行に焦点を当てることが、核禁条約の目的を促進させる将来性のある道筋を提供していることに強く賛同するものであります。

Side-event at the margins of the 1st meeting of state Parties to the TPNW

核爆発による被害者支援と環境修復のための道徳的要請を促進し、このテーマについてより幅広い議論を確保するため、カザフスタンはこの会議に合わせて、キリバス共和国創価学会インタナショナル核時代平和財団と共に、核実験の被害者の二世、三世が参加するサイドイベントを開催します。また、カザフスタンの核の遺産に関する展示会への参加も歓迎いたします。

カザフスタンは、2つの核保有国(ロシアと中国)に挟まれた北半球に中央アジア非核兵器地帯を設定したセミパラチンスク(セメイ)条約の創設国の一つでもあります。核兵器のない地帯を地球上に押し広げるために、私たちは、国連事務総長の「軍縮アジェンダ」第5項にあるように、既存の非核兵器地帯間における協力を促進することが特に重要だと考えています。

カザフスタンは、来たる第77回国連総会第1委員会(軍縮・国際安全保障問題)の議長国として最大限の努力をしてまいります。軍縮の問題に並んで、世界の成長と発展に影響を与える、グローバルな問題と平和への脅威についても、重要な協議を促進してまいる所存です。

核禁条約の締約国及び署名国は、その準備プロセスでの議論において、非常に高いレベルの一致と連帯を示してまいりました。私は、この協力の精神が、今後条約の加盟国が増える中でも、強化されるであろうことに自信を持っております。このことは、全ての人々にとっての、公正かつ包摂的、透明なプロセスの構築への道を開くものでありましょう。

この点において、私は、今日の会合にオブザーバー参加があることを歓迎し、将来的にはそうした参加がさらに増えることを強く信じております。

私たちは、他の軍縮条約の経験に基づき、核兵器禁止条約の普遍化に向けて協働していかねばなりません。このプロセスにおいて、私たちは、積極的な役割と発想力をもった市民社会、学術界、若者の支援を求めることができます。このことは、今年8月の第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議、そしてその後に向けて、特に重要であります。

私たちはまた、核兵器計画の廃絶に向けた期限を決定する上で、核禁条約の規定を履行するという今会合の決定を歓迎いたします。この目的のために、私たちは、全ての核兵器計画の永遠かつ不可逆的な廃絶を検証することを任務とした適切な国際制度枠組みを確立する必要があります。

Vienna International Center/ photo by Katsuhiro Asagiri
Vienna International Center/ photo by Katsuhiro Asagiri

この会合の議題を成功裏に達成するための皆さま方の取り組みに対する我が国の完全なる支持をここで改めて表明させてください。

また、第2回締約国会合の議長国にメキシコが選出されたことをお喜び申し上げます。私は、メキシコが次のステップを導くにあたり、我が国の全面的な支援を約束し、第3回締約国会議の議長職を引き受ける用意があることを確認し、全ての義務を果たすために最善を尽くすことを誓います。

カザフスタンは、このフォーラムに対して、そして、我々が長らく求めてきた核兵器なき世界に向けて貢献することをここにお約束いたします。(原文へ

*カザフスタンのムフタル・トレウベルディ副首相・外相が2022年1月6月21日の核兵器禁止条約第1回締約国会合ハイレベル開会セッションにおいて行ったスピーチ内容。

INPS Japan

関連記事:

宗教コミュニティーが「核兵器禁止条約第1回締約国会議」を歓迎

人類が核時代を生き延びるには、核兵器がもたらす厳しい現実と人類の選択肢を報じるジャーナリズムの存在が不可欠(ダリル・G・キンボール軍備管理協会会長)

教皇フランシスコ、カザフスタンを中央アジアの「信頼できるパートナー」と称える

最新情報

中央アジア地域会議(カザフスタン)

アジア太平洋女性連盟(FAWA)日本大会

2026年NPT運用検討会議第1回準備委員会 

パートナー

client-image
client-image
client-image
client-image
Toda Peace Institute
IPS Logo
The Nepali Times
London Post News
ATN

書籍紹介

client-image
client-image
seijikanojoken