【バンコクIPS=マルワン・マカン・マルカール】
国連担当官は4月10日、ASEAN諸国政府に対し、ビルマにおけるH5N1型インフルエンザ(鳥インフルエンザ)の急増について警告した。MandalayおよびSagaingの2州を中心に、既に100件を超える発病が確認されたという。
それにも拘らず、ビルマの軍事独裁政権は、鳥インフルエンザ発生を国民に伝えておらず、養鶏業者もその緊急性を全く理解していないという。
ビルマ問題専門家は、4月17~18日バリで開催されるASEAN外相会議が、ビルマ政府に圧力をかける良い機会と見ている。海外のビルマ亡命者で構成されるNational Council of the Union of BurmaのSoe Aungスポークスマンは、「健康問題がASEANの議題に上ったことはないが、鳥インフルエンザは国際的問題であり、政治とは切り離せない」と語っている。
また、マレーシアの野党議員も、「鳥インフルエンザは、各国の外務大臣が早急に話し合うべき問題である。わが国の外務大臣(ハミド外相)のように、ビルマ軍事政権に弱腰で、馬鹿にされるようなことがあってはならない」と述べている。(ハミド外相は先月、ビルマ民主化視察のため同国を訪れたが、軍事政権が、スーチー氏との面会を拒否したため、訪問を切り上げ帰国している。)
これとは別に、米ジョンホプキンス大学ブルーンバーグ公衆衛生学校は3月、「ビルマ政府の公共衛生に対する無関心と人道支援拒否の態度が、エイズや薬剤耐性結核、マラリア、鳥インフルエンザの蔓延防止策を困難にしている」との警告メッセージと共に、ビルマ政府を厳しく非難する報告書を発表した。同報告書によれば、ビルマのエイズ感染者は17~62万人であるのに対し、NIV感染予防・治療予算は、世界最低の2万2千米ドル以下、また血液検査を行う施設すら無いに等しい状態という。(原文へ)
翻訳/サマリーIPS Japan
関連記事:
軍事政権の孤立を打ち破る鳥インフルエンザ