地域アフリカ|ロシアと中国|アフリカにおいては地政学的ライバル

|ロシアと中国|アフリカにおいては地政学的ライバル

【モスクワIDN=ケスター・ケン・クロメガー】

アフリカにおける新植民地主義的傾向の拡大、域外大国による資源獲得競争、そして中国とロシアの影響力拡大―。こうした論点について、研究者・ビジネスアナリストのリプトン・マシューズ氏が、ケスター・ケン・クロメガー記者とのインタビューで見解を示した。マシューズ氏は、中国のインフラ投資を中心とする対アフリカ関与をおおむね肯定的に評価する一方、アフリカ側の統治の弱さが搾取を招く余地を生んでいると指摘した。また、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)は、アフリカの経済的自立に向けた重要な転機となり得るとの認識も示した。

マシューズ氏はまず、中国によるアフリカ「植民地化」論について、アフリカの専門家の間では必ずしも支持されていないと説明した。全般的に、アフリカの指導者たちは中国を地域近代化の推進力として受け止めているという。たとえば、2001年から2002年にかけて、中国のサハラ以南アフリカ向け外国直接投資は年率53%増加し、同時期の米国の14%増を大きく上回ったと指摘した。

また、2020年に中国によるウイグル人政策が国連で問題視された際も、アフリカ諸国は中国を非難する側に回らなかったとし、中国が発展途上世界の願望を体現する存在として受け止められていると分析した。西側で中国のアフリカ進出を警戒する報道が目立つ一方、現地では中国の役割を肯定的に評価する見方が強いとの認識を示している。

一方で、ロシアについても、アフリカでは一定の正統性を持ちうると論じた。ロシアはヨーロッパでは帝国であったが、アフリカでは宗主国ではなかったため、自らを「解放者」として位置づけやすいという。さらに冷戦期には、西側覇権に対抗する立場でアフリカ諸国と連携していたことから、アフリカ側もロシアを帝国主義的存在としてではなく、同盟相手として受け入れやすいとした。

マシューズ氏は、ロシアのアフリカ投資規模は中国に及ばないとしつつも、ロシア側はアフリカを原材料供給源として重視し、その機会を活用していると分析する。そのうえで、西側諸国がアフリカで主導権を失いつつある背景には、単なる経済力の差ではなく、イデオロギー上の要因があると指摘した。西側が古典的自由主義を説くのに対し、中国とロシアは国家主導型の発展モデルを掲げており、それが左派志向の強いアフリカ諸国の政治哲学と調和しやすいという見方である。

さらに同氏は、アフリカにおける中露の行動を、西側への正面対決というよりも、西側の干渉から切り離された独自の勢力圏づくりとみるべきだと論じた。ロシアは東欧における米国の影響力封じ込めを図り、中国はアジアにおける中国中心秩序を構想しているとしたうえで、西側諸国が中露の台頭に対抗するには、発展途上国に対するソフトパワーを強化し、より道徳主義色を抑えた外交を展開する必要があると主張した。

他方で、「新植民地主義」という概念そのものについては慎重な見方を示した。植民地主義はヨーロッパ人に固有の現象ではなく、また帝国保有が必ずしも経済成長をもたらすわけではないとしたうえで、中国はアフリカに帝国を築こうとしているのではなく、資源の潜在力を最大化する経済活動を行っているにすぎないと論じた。

ただし、中国の関与に問題がないわけではない。マシューズ氏は、アフリカ諸国の統治機構が脆弱であるため、中国が規制を回避しやすく、その結果として搾取が生じる余地があると指摘する。中国によるインフラ投資はアフリカ近代化に資する一方、投資が統治改革や制度改善と結びついていないことは、長期的にはアフリカのガバナンス改善を遅らせる可能性があるとの見方も示した。

そのうえで、ジョンズ・ホプキンス大学とボストン大学の研究を引き、2000年から2015年にかけて中国がアフリカに955億ドルを融資し、その40%が発電・送電分野、30%が老朽化したインフラの近代化に投じられたと紹介した。また、中国の対アフリカ投資のうち資源採掘部門が占める割合は全体の3分の1程度にとどまるとの研究結果にも言及し、中国投資を単純に「資源略奪」とみなすのは実態を十分に反映していないとした。

さらに、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)については、アフリカの経済的自立に向けた大きな希望をもたらす可能性があると評価した。マシューズ氏は、アフリカにおける貿易自由化と経済成長の間には正の相関があると指摘し、世界銀行の推計として、AfCFTAにより2035年までに6800万人が貧困から脱し、域内総生産が4500億ドル増加する可能性があると紹介した。

同氏によれば、域内貿易障壁の撤廃は、新たな起業活動を促し、技術革新を後押しする。加えて、知的財産権を過度に規制しない制度設計がなされれば、その恩恵はさらに大きくなる可能性があるとした。

またロシアに対しては、アフリカ支援の一環として、技術移転協定の推進や研究開発分野での協力拡大を提言した。アフリカが知識基盤経済へと移行すれば、大陸経済全体が変革され、ロシアの投資家にとっても利益になるとの見方を示している。

マシューズ氏は最後に、アフリカが適切に運営されれば大きく成功する可能性を秘めていると述べ、アフリカの政治指導者と企業経営者に対し、大陸内の貿易ネットワーク強化と制度的課題への対応を通じて、より良い未来を築くよう促した。(原文へ

INPS Japan

関連記事:

米国、拡大する中国の影響力に対抗する「体系的な」協定網の構築へ

アフリカに新天地を見出す中国人労働者

最新情報

中央アジア地域会議(カザフスタン)

アジア太平洋女性連盟(FAWA)日本大会

2026年NPT運用検討会議第1回準備委員会 

パートナー

client-image
client-image
client-image
client-image
Toda Peace Institute
IPS Logo
The Nepali Times
London Post News
ATN

書籍紹介

client-image
client-image
seijikanojoken