SDGsGoal10(人や国の不平等をなくそう)英軍兵士に略奪された「ベニン・ブロンズ」を巡る返還議論

英軍兵士に略奪された「ベニン・ブロンズ」を巡る返還議論

【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス

英国国教会が、植民地時代末期に英国兵によって略奪された「ベニン・ブロンズ」のナイジェリア返還を検討する動きに加わった。対象となるのは、真鍮製レリーフ板、木彫、象牙彫刻など数千点に及ぶ文化財で、すでに一部の博物館や大学、個人所蔵者の間で返還に向けた検討が進んでいる。

これらの品々は1897年、現在のナイジェリア南部に位置する旧ベニン王国で、英国軍が王宮を襲撃し、略奪・焼き討ちした際に持ち去られた。17世紀にさかのぼるものを含む王室の財宝はすべて接収され、一部は将校個人の所有物となり、大半はロンドンで競売にかけられた。

略奪品はその後、ロンドンの大英博物館、ニューヨークのメトロポリタン美術館をはじめとする欧米の主要博物館に収蔵されたほか、リーマン家、ロックフェラー家、フォード家、ロスチャイルド家、さらには画家パブロ・ピカソのもとにも渡った。国外に散逸した品数は約1万点に上るとみられている。

今年3月には、スコットランドのアバディーン大学が、1950年代から所蔵してきたベニンのオバ(王)の胸像1点を数週間以内に返還すると発表した。ロンドンのホーニマン博物館も、所蔵品返還に向けた手続きを進めていることを明らかにしている。

アバディーン大学の博物館・特別コレクション部長ニール・カーティス氏は、1957年に購入されたこのブロンズ像について、「124年前に英国兵によって明白に略奪されたものだ」と述べたうえで、「何らかの対応を取る必要があることは明らかだった」と語った。

ケンブリッジ大学考古学・人類学博物館は、英国国内でも最大級のベニン・ブロンズ・コレクションを所蔵している。同館は、返還請求があった場合、1897年に由来する作品については返還が見込まれるとしている。ホーニマン博物館は、ベニン・シティ由来の49点を所蔵しており、その中には15枚の真鍮製レリーフ板のほか、武器や宝飾品も含まれている。

これまで英国政府は、来歴に争いのある文化財について、国内機関は「保有し、その経緯を説明すべきだ」との立場を示してきた。また、返還された芸術作品をナイジェリアが受け入れる体制を整えていないとの主張もあった。しかし、ベニン・ブロンズをはじめとする重要文化財を収蔵・展示できる世界水準の施設をベニンに設立・運営するため、ナイジェリアで「レガシー・レストレーション・トラスト」が創設されたことで、こうした議論はもはや説得力を失いつつある。

新たに「西アフリカ美術エド博物館(Edo Museum of West African Art)」と名付けられた施設は、かつて破壊された王国の跡地に近く建設される予定である。設計を手がけるのは、スミソニアン国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館で知られるガーナ系英国人建築家デイヴィッド・アジャイ氏で、ベニン・シティに現存する城壁や堀、門を新施設の設計に取り込む構想を示している。(原文へ

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