SDGsGoal13(気候変動に具体的な対策を)|視点|考えられることを考える(クンダ・ディキシットNepali Times社主)

|視点|考えられることを考える(クンダ・ディキシットNepali Times社主)

2025年における2つの絡み合った世界的脅威:気候崩壊と核の大惨事

【カトマンズNepalitimes/INPS Japan=クンダ・ディキシット

国々が膨大な核兵器を蓄積しているにもかかわらず、支持者によれば、第二次世界大戦以降、抑止力が機能してきた理由の一つは、全面的な核戦争が「考えられないこと」とされてきたからだ。

Kunda Dixit
Kunda Dixit

しかし、ウクライナや中東における戦闘が終わる兆しが見えず、米国とロシアおよび中国が対立する新たな冷戦、そして不安定な性格の米国大統領の再登場により、202025年以降、核紛争が「考えられる現実」となりつつある。

ロシアはウクライナに対して核兵器の使用を繰り返し脅迫しており、11月には新型の極超音速中距離弾道ミサイルをドニプロに向けて発射した。また、核爆発で他の衛星を無力化できる新型プロトタイプ衛星を宇宙に投入した。

ドナルド・トランプ元米国大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、イランの核施設に対する共同攻撃について議論したと報じられている。北朝鮮は核弾頭用の長距離ミサイルをテストし続けており、核武装したインドとパキスタン間の緊張も依然として高まっている。

これらの危険に加えて、異常気象、記録的な高温、極地の氷床やヒマラヤ氷河の急速な融解など、気候崩壊の加速を示す兆候も現れている。

「核兵器の世界を終わらせる可能性は、世界中の人々に暗い影を落としています」とキャメロン・ベガ氏は『原子力科学者会報』に書いている。「気候変動は進行の遅い大惨事ですが、すべてのコミュニティに直接的な脅威を与えています。」

ICAN
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『原子力科学者会報』の終末時計は、今年1月、「世界が大惨事へと向かう不吉な傾向が続いている」ことを理由に、午前0時まで残り100秒から90秒にリセットされた。この終末時計の針は1947年以来25回リセットされており、2025年には1分未満に進む可能性が高いとされている。

Nepali Times.
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気候崩壊と核戦争の両方は人類が引き起こしたものだが、一方が地球を温暖化させる一方で、もう一方の爆発による煙や塵が地球を冷却する。いずれにしても、これらの脅威は密接に結びついている。

戦術的な核兵器の使用でさえ気候に影響を与える可能性がある。また、気候変動による災害、作物の不作、水不足、大量移住、そしてそれに伴う社会的・政治的不安が、核戦争へと発展する戦争の火種となる可能性がある。これに加え、放射性降下物が土地、水、海に与える長期的な影響を考慮する必要がある。

ラトガース大学の研究によると、インドとパキスタン間でたった1週間の核戦争が発生した場合でも、世界的な食糧システムが崩壊し、20億人が飢餓で死亡すると予測されている。風に乗った放射性降下物はヒマラヤ山脈やチベット高原に到達し、アジアの主要な河川を供給する氷河を汚染することになるだろう。

また、米国とロシア間で全面的な核戦争が発生した場合、15年以上続く「核の冬」が引き起こされ、50億人が飢餓で死亡するという研究結果も示されている。

Nepali Times.
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反核活動家たちは、核抑止力に基づく安全保障のパラダイムに挑戦し、代わりに核兵器の禁止を推進している。昨年12月、ニューヨークの国連で開催された第2回核兵器禁止条約締約国会合では、核保有国とその同盟国が採用している抑止論が人類の安全に対する脅威であり、核軍縮の障害であると宣言された。

会議では、核抑止力は証明されていない危険な賭けであり、核兵器を使用するという暗黙の脅威に基づいていることが指摘された。この暗黙の脅威自体が、核による壊滅的破壊の瀬戸際政策を助長しているのだ。

Melissa Parke took up the role as ICAN’s Executive Director in September 2023. Photo credit: ICAN
Melissa Parke took up the role as ICAN’s Executive Director in September 2023. Photo credit: ICAN

「抑止力は容認できません。」と、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のメリッサ・パーク氏は述べた。「それは核戦争を起こす脅威に基づいており、数百万人を即座に殺害し、核の冬と大規模な飢餓を引き起こし、数十億人を死に追いやるものです。」

ICANは、核兵器の使用がもたらす壊滅的な人道的影響に対する活動や、「核兵器禁止条約」の推進により、2017年にノーベル平和賞を受賞した。

核不拡散条約(NPT)の草案について最初の議論がジュネーブで行われてから50年が経過した。NPTは1970年に発効し、191か国が加盟している。この条約は、核軍縮と不拡散に関する義務を課しているが、これらの取り組みは、新たな冷戦や世界的な緊張の高まりによって脅かされている。

現在、9つの核保有国が合計14,500発の核弾頭を保有しており、その多くが即時発射可能な状態にある。さらに、ネパールの近隣国である中国、インド、パキスタンの3か国も核兵器を保有しており、これらの国々の関係は良好とは言えない。

世界で核兵器のない地域を宣言している5つの地域のうち、3つはアジアに位置している。それは中央アジア、モンゴル、そして南太平洋である。ネパールのカトマンズには国連アジア太平洋平和軍縮地域センター(UNRCPD)が設置されており、各国が軍縮目標を達成するための支援を行っている。

「核の飢饉」というタイトルの報告書で、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)は深刻な警鐘を鳴らしている。世界のどこかで100発の核兵器を使用する限定的な核戦争が発生した場合でも、地球規模の気候と農業生産に混乱をもたらし、20億人が飢餓の危機に陥るとしている。

偶然にも、この20億人という数字は、アジアの山岳地帯における氷河融解によって影響を受けるとされる人々の数と一致している(国際山岳統合開発センター(ICIMOD)の報告による)。

これら二重の世界的脅威を考慮すると、気候変動に対する活動は、核兵器廃絶国際キャンペーンと連携して取り組む必要がある(The Nepali Timesはこの観点から、ICANのメンバーである創価学会インタナショナルとINPS Japanが推進している核廃絶メディアプロジェクトに2024年度から参加しいている)。(原文へ

This Editorial is brought to you by Nepali Times, in collaboration with INPS Japan and Soka Gakkai International, in consultative status with UN ECOSOC.

INPS Japan

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