SDGsGoal15(陸の豊かさも守ろう)フィリピンの先住民族指導者、古来の知恵を世界の舞台へ

フィリピンの先住民族指導者、古来の知恵を世界の舞台へ

サマルカンド(ウズベキスタン)IPS=キジト・マコエ】

毎年、フィリピンの深い森の上空に黒雲が立ちこめる季節になると、アプライ・カンカナエイ族の56歳、ミニ・バエイエンスは、注意深く空を見守る。

ある日の午後、薬草を採りに森へ入ろうとしていたとき、堂々たるフィリピンワシが樹冠の中から姿を現し、上空を舞った。外部の人々にとっては、それは希少な鳥が飛んでいる光景にすぎなかった。しかし、バエイエンスにとっては、それは「使者」だった。|ENGLISH

祖父は彼に、自然を注意深く観察することを教えていた。ワシが普段とは異なる時刻に現れることや、飛んでいく方向は、しばしば天候の変化や危険の兆しを示す。

その日、バエイエンスは森へ向かうのをやめた。数時間後、山々は激しい雨に打たれ、洪水と地滑りが相次いで発生し、近隣の集落を襲った。

フィリピンの先住民族は何世代にもわたり、環境破壊によってますます脅かされる土地で生き抜くため、伝統的知識に依拠してきた。

「ワシが現れる時間帯、曜日、月には特定の意味がある。そして、その地域の先住民族コミュニティだけが、フィリピンワシという野生生物が伝えるメッセージを読み解くことができるのです。」フィリピンの先住民族指導者ジョヴァンニ・レイエスは、バエイエンスの体験に基づくこの逸話をこう説明した。

レイエスはIPSの取材に対し、こうした警告は野生生物と人々の間に相互扶助の関係を生み出すと語る。

「ワシが人々に警告を与えると、人々はその見返りとして生息地を守るようになります。」とレイエスは言う。「その生息地を守ることが、結果として領域全体の保全につながるのです。」

ワシの出現が危険を告げることもある、と彼は説明する。

「ワシが現れたことで、大きな嵐が来ると人々は判断します。だから、危険を避けるため、誰も外へ出てはならないと言うのです。」

The 8th GEF Assembly
The 8th GEF Assembly

今週、ウズベキスタンのサマルカンドでは、第8回地球環境ファシリティ(GEF)総会が開かれている。各国閣僚、環境専門家、市民社会の代表らが集まり、地球規模の環境危機に対する資金調達の解決策を探る中、先住民族指導者たちは、バエイエンスのような物語が、しばしば見過ごされてきた真実を示していると訴える。すなわち、先住民族の知識は単なる文化遺産ではなく、生き残るための実践的な手段でもあるということだ。

国際的な環境資金の歴史において初めて、先住民族は保全事業の単なる受益者としてではなく、世界の気候・生物多様性目標の達成に不可欠な知識体系を持つパートナー、助言者、権利主体として、ますます認識されるようになっている。

GEF第9次増資サイクルは、大きな転換点を示している。先住民族は、世界に残された自然生態系を守り、その貢献を地球規模の保全活動に組み込むうえで、重要なパートナーとして正式に認められ、関与していく見通しである。

この転換の中心にいるのが、ジョヴァンニ・レイエスである。彼は、世界最大級の環境資金メカニズムの一つであるGEFに対する先住民族諮問グループ(IPAG)の議長を務めている。

フィリピン北部の山岳地帯コルディリェラ地方のサガダに生まれたレイエスは、カンカナエイ先住民族に属する。彼の権利擁護活動は、先住民族の領域で起きてきた「開発による侵害」を目の当たりにした経験から生まれた。

「先住民族コミュニティのために、そしてその代表として立場を築かなければならないと考えた大きな理由の一つは、私たちの地域で開発による侵害が起きてきたからです。大規模伐採や、コミュニティを水没させかねなかったダム建設も含まれます」と彼は語る。

彼の活動は、山奥の村々から地球規模の環境交渉の場へと広がっていった。そこで彼は、先住民族コミュニティは開発の障害ではなく、生態系の守り手として認識されるべきだと訴えている。

転機となったのは2011年である。レイエスは、フィリピン全土の先住民族の領域を地図化する取り組みに参加した。

先住民族コミュニティにとって、地図化とは単に境界線を引くことではない。何世紀にもわたって口承で受け継がれてきた知識を、政府や制度が認める証拠へと翻訳することを意味する。

「私たちは、地形、景観、境界に関する先住民族の知識を翻訳し、それを地図という物理的な形にしなければなりません。」とレイエスは説明する。

その地図は、法的・政治的闘いにおいて強力な道具となった。

「地図化は、私たちが自分たちが何者であるかを口頭で説明できるだけでなく、先住民族自身が作成した地図という形で、その領域を示す証拠を持っていることを政府に示すものです。」

そこから生まれたのは、古来の知識と現代科学との稀有な協働だった。

「そこには、伝統的知識と科学の調和があります。」とレイエスは言う。

今日、この組み合わせは、GPSによる地図作成などの技術を用いて、先住民族コミュニティが森林を監視し、炭素貯蔵量を測定し、生態系の健全性を評価するうえで役立っている。

「伝統的知識と実践を科学と調和させれば、森林の健康状態を判断するための一覧表を作成することができます。」と彼は語る。

しかし、そうした領域を守ることは依然として容易ではない。

レイエスによれば、先住民族が土地と結ぶ深い精神的なつながりは、しばしば開発事業との対立を生む。

「先住民族には、それぞれ聖地や神聖な儀礼の場があります。カトリック教徒や教会にとって大聖堂があるのと同じことです。」

川や小川、森林は、単なる天然資源ではない。それらは、生きた文化的景観の一部である。

「こうした宗教的・精神的価値が、どのような手段を用いてでもこれらの地域を守ろうとする強い意思を形づくってきたのです。」

しかし、抵抗にはしばしば代償が伴う。

「彼らの地域で開発が進められ、文化や精神的価値を理由にそれを拒むと、彼らは犯罪者扱いされ、テロリストと見なされるのです。」

レイエスは、フィリピンの先住民族が直面する闘いは、世界各地の先住民族コミュニティが直面する課題と重なっていると指摘する。

世界的に、土地収奪は先住民族、牧畜民、小規模農民にとって深刻化する課題となっている。とりわけ途上国では、土地保有制度の脆弱さ、所有権に関する文書の不足、統治の失敗により、コミュニティは土地を奪われやすい状況に置かれている。

アフリカからアジア、中南米に至るまで、農地、鉱物資源、保全地域、大規模投資事業への需要の高まりが土地をめぐる競争を激化させ、地域コミュニティを政府や民間投資家と対立させるケースが増えている。

何世代にもわたって土地を占有し管理してきたコミュニティであっても、正式な権利証書を持たない場合が多い。そのため、有力な利害関係者が、疑わしい取引、汚職、法の抜け穴を通じて広大な土地を取得しやすくなっている。

東アフリカのタンザニアには、農業やその他の商業事業のために土地を求める外国投資家から大きな関心が寄せられてきた。しかし、土地保有の安全性が欠如しているため、多くの農村コミュニティが土地喪失の危険にさらされている。分析者によれば、一部の投資家は正式な取得手続きを迂回し、村の当局と直接交渉してきた。このことが紛争を助長し、信頼を損ない、土地収奪との非難を引き起こしている。

伝統的な土地保護の仕組みが弱体化する中、影響を受けるコミュニティは、権利を守り、祖先伝来の土地や共同体の土地に対する法的承認を得るため、裁判、抗議行動、参加型の土地地図化にますます頼るようになっている。

ブラジルでは、先住民族グループがアマゾンで違法伐採、採掘、森林破壊に直面し続ける一方、気候変動と関連する干ばつや火災の激化にも耐えている。

かつてスワジランドと呼ばれたエスワティニでは、農村コミュニティが、繰り返される干ばつ、水不足、農業生産性の低下に苦しむようになっている。

文化的背景には大きな違いがあるにもかかわらず、先住民族は共通の現実を抱えている。彼らは世界で最も生物多様性に富む景観の中に暮らす一方で、環境劣化と気候変動による混乱の最も重い負担を背負っているのである。

レイエスがいまGEF評議会で提起しているのは、まさにこうした懸念である。

「ここでの先住民族の役割は、先住民族コミュニティに影響を及ぼす事項について、評議会に助言することです。」と彼は言う。

重要な課題の一つは、GEFを通じて資金提供される事業が、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」の原則を尊重するよう確保することである。

「私は、自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意を含む一定の権利について評議会に助言しています。どのGEF機関が実施する事業であっても、先住民族の領域に入る事業は、自由意思による事前の十分な情報に基づく同意を経なければなりません。」

GEF内で先住民族に対する認識が高まっていることは、重要な節目である。歴史的に、主要な環境資金機関は主に政府や国際機関によって設計され、先住民族が意思決定に参加する余地は限られていた。

今日では、先住民族代表が正式な助言の役割を担っている。これは、地球規模の環境目標は先住民族による管理なくして達成できないという、より広範な認識を反映している。

実際、レイエスは、先住民族はすでに世界で最も野心的な生物多様性目標の一つを上回っていると主張する。

昆明・モントリオール生物多様性枠組は、2030年までに地球上の陸域と水域の30%を保護することを求めている。

「しかし、それは先住民族によってすでに達成されています」とレイエスは言う。「現在、先住民族が管理している地域は、およそ32%から40%に達しています。」

言い換えれば、多くの先住民族コミュニティは、各国政府がようやく達成を目指し始めた規模で、生態系を守り続けてきたのである。

この成果は、数十億ドル規模のプログラムによって生まれたものではなく、文化、信仰体系、伝統的実践に根ざした何世紀にも及ぶ管理の積み重ねから生まれたものだとレイエスは強調する。

「先住民族の領域は、保護されてきた流域や山々によって、炭素を吸収する能力という点で最も大きな貢献をしています。」とレイエスは言う。

サマルカンドで代表団が資金配分の優先順位、生物多様性目標、気候への野心について議論する中、レイエスは簡潔で力強いメッセージを発している。

「気候であれ、生物多様性であれ、条約の締約国に申し上げたい。先住民族の領域は、地球の心臓を形づくっているのです。」

彼は一呼吸置き、その比喩をさらに広げた。

「人の心臓が破壊され、傷つけられれば、身体は崩壊します。それと同じように、先住民族の領域が傷つけられれば、生態系は崩壊し、生物多様性も崩壊するのです。」

フィリピンの森では、コミュニティが今もワシの導きを仰いでいる。その地では、この真実は長い間理解されてきた。

先住民族指導者たちがいま訴えている課題は、世界の残りの人々がその声に耳を傾けるようにすることである。

第8回地球環境ファシリティ総会は、2026年6月6日までウズベキスタンのサマルカンドで開催されている。本特集記事はGEFの支援を受けて掲載された。編集内容についてはIPSが単独で責任を負うものであり、必ずしもGEFの見解を反映するものではない。

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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