SDGsGoal16(平和と公正を全ての人に)2025年、武力紛争下の子どもへの暴力で政府軍が最大の加害者に

2025年、武力紛争下の子どもへの暴力で政府軍が最大の加害者に

【国連IPS=ナウリーン・ホセイン

武力紛争下の子どもたちに対する重大な権利侵害が過去最多を記録した。これは、国連の「子どもと武力紛争(CAAC)」に関する監視制度が1996年に創設されて以来、最悪の水準である。アントニオ・グテーレス国連事務総長の年次報告書によると、2025年に武力紛争当事者によって子どもに対して行われた重大な権利侵害は、国連が確認しただけで3万5558件に上った。こうした事案の増加は4年連続となる。|英語版

報告書のデータは、2025年中に発生し、国連によって確認された事例に基づいている。少なくとも2万4174人の子どもが、殺害や負傷、強制徴集、誘拐、性的暴力、人道支援の拒否などによって直接被害を受け、権利を侵害された。

被害者の少なくとも3分の1は女児だった。

2025 Annual Report of the Secretary-General on Children and Armed Conflict

子どもの殺害・負傷件数は2024年と比べて34%増加し、計1万4224人に達した。誘拐された子どもは5129人、人道支援の拒否事例は少なくとも8322件確認された。また、6607人の子どもが武装集団に徴集または利用され、1667人が武装集団との実際または疑われる関係を理由に拘束された。

今回初めて、CAAC制度の創設以来、政府軍が子どもに対する重大な権利侵害の最大の加害者となった。

政府軍は子どもの殺害・負傷だけでなく、学校や病院の破壊や軍事利用、人道支援へのアクセス妨害にも大きく関与していた。このような不処罰の風潮は、敵対行為の激化によってさらに強まっている。また、広域に被害を及ぼす爆発性兵器が人口密集地で使用されるケースが増加し、民間人の犠牲者を増大させている。さらに、人工知能(AI)や自律型兵器システムの利用拡大も紛争の様相を変えつつある。

最も多くの侵害が記録されたのは、イスラエル、パレスチナ占領地、ミャンマー、ソマリア、ナイジェリア、コンゴ民主共和国(DRC)だった。

イスラエル軍は報告書全体の重大な権利侵害の約3分の1に当たる1万2455件に関与していた。DRCでは4114件の重大な権利侵害が確認され、その中には519人の子どもの死亡と1067件の誘拐が含まれていた。

国連事務総長特別代表(子どもと武力紛争担当)のヴァネッサ・フレイジャー国連事務次長補は、子どもに対する侵害の頻度と深刻さは、国際法と子どもの保護されるべき権利に対する軽視が拡大していることを示していると警告した。

「2025年は、監視活動が始まって以来、子どもの保護という観点から疑いなく最も暗い年の一つであった」とフレイジャー氏は述べた。

2025年の「子どもと武力紛争」に関する国連事務総長年次報告書の発表会見に臨む、ヴァネッサ・フレイジャー国連事務総長特別代表(子どもと武力紛争担当)。写真:IPS/Naureen Hossain

「本来、子どもを守るべき責任を負う国家が、その苦しみを助長しているという事実は、国際法への敬意が深刻に損なわれていることを物語っている。人道性、区別原則、比例原則、必要性原則という国際人道法の根幹を成す原則は、例外なく守られなければならない。」

フレイジャー氏は6月18日の記者会見で、この報告書とその調査結果は「説明責任を果たすための手段」であると語った。

加盟国はこれを活用し、武力紛争下の子どもを保護するために必要な措置を講じるべきだという。また、現在も紛争が続く報告対象国にとっては、翌年までの間に侵害の削減と再発防止を目的とした合意を国連と結ぶ機会でもあると述べた。

フレイジャー氏によると、報告書の草案は3月の時点で対象国に共有されており、各国には少なくとも1カ月間、自国の証拠を提出し、国連の確認済みデータと照合する機会が与えられていた。

また、同氏の事務所は各国との開かれた対話を歓迎しており、各国が対話に応じるかどうかは各国自身の判断に委ねられていると付け加えた。

報告書は加盟国に対し、既存の平和・安全保障に関する合意を履行し、紛争時における民間人、とりわけ子どもの保護のため国際法を遵守するよう求めている。

また、紛争当事者に対しては、国連と協力して行動計画を策定・実施し、子どもに対する重大な権利侵害について国連が十分な監視・報告活動を行えるようアクセスを認めることを要請している。

さらに報告書は、テクノロジー企業やソーシャルメディア企業に対し、自社プラットフォームが武装集団による子どもの徴集や搾取に利用されることを防ぐ具体的措置を講じるとともに、説明責任の追及や子どもの保護メカニズムに協力するよう求めている。

デジタル技術の悪用は、平時であっても子どもの健全な成長に悪影響を及ぼし得る。十分な法的規制や監視体制がなければ、子どもは偽情報や徴集目的のコンテンツにさらされる危険性が高まる。

国連高官の一人はIPSの取材に対し、オンラインでの徴集は複数の紛争地域で広がる深刻な問題であり、責任ある対応を実現するためにさらなる資源投入が必要だと語った。

また同高官は、フレイジャー氏とその事務所が欧州連合(EU)の立法担当者らと協議し、「デジタルサービス法(DSA)」など既存の法制度がどのように子どもを保護できるか検討していることを明らかにした。

さらに同事務所は、コロンビアでTikTokと協力し、紛争下での子どもの徴集や利用を防ぐ戦略の実施にも取り組んでいる。

フレイジャー氏は各国政府に対し、武装集団との関わりを持っていた子どもの保護と社会復帰を支援する行動計画の採択を呼びかけた。

2025年には、UNICEF(国連児童基金)などの国連機関やそのパートナーの支援により、1万3112人の子どもが保護や社会復帰支援を受けた。

こうした取り組みには政治的意思だけでなく、ドナー国や当事国からの資金支援も不可欠である。また、国連、各国政府、紛争当事者との連携を通じて、説明責任の強化と予防措置へのさらなる投資も求められている。

フレイジャー氏は国連事務総長特別代表に就任する以前、2023~2024年の安全保障理事会非常任理事国期間中、マルタの国連常駐代表を務めていた。

特別代表としても安保理メンバーとしても、同氏は紛争地域を訪問し、被害を受けた子どもたちと直接対話してきた。

その経験から、今回の加害者リストに国家主体が含まれていることは特に深刻だと指摘する。国家主体は国連加盟国でもあり、本来であれば法の支配を守り、子どもを保護する立場にあるからだ。

「どの国であれ、9つもの国家主体が加害者リストに載っていることは容認できない。」と同氏は述べた。

特に衝撃的だったのは、多くの子どもの犠牲を生んだ事案の多くが、本来なら回避可能だったという事実である。

国家主体は兵器工場や敵対勢力の拠点を攻撃対象として選定する際、その近くに学校などの民間施設が存在し、攻撃の影響を受ける可能性があっても作戦を実行するケースが少なくない。

たとえ学校などが攻撃の直接の標的でなくても、攻撃を強行する判断自体が国際人道法への軽視と民間人被害への無関心を示している。

その結果、最も深刻な代償を払わされているのは子どもたちだと、フレイジャー氏は指摘した。

「国家による違反は、非国家主体によるもの以上に深刻だと考えている。この枠組みはもともと、法の外で活動する武装集団や非国家主体への対応を目的として創設されたものだからだ。」

「本来、法を守るべき国家が、その法を踏みにじる側に回っている。」

INPS Japan/ IPS UN Bureau Report

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