地域アジア・太平洋クルルタイ選挙で高まる政党・議会・外交への期待 専門家が指摘

クルルタイ選挙で高まる政党・議会・外交への期待 専門家が指摘

【アスタナINPS Japan/The Astana Times=アセル・サトゥバルディナ

カザフスタンで初めて実施された新議会「クルルタイ」の選挙は、単に同国の議会制度の枠組みを変えただけではない―。8月24日、アスタナでカザフスタン戦略研究所(KazISS)が主催した会合に参加した専門家らはこう指摘した。専門家らは、カザフスタンが憲法改革をより持続可能な政治制度へと具体化しようとする中、高い投票率、政党の役割拡大、さらに中央アジアをめぐる地政学的競争の激化が重要な要素になっていると強調した。|英語版

中央選挙管理委員会(CEC)が8月24日に発表した暫定結果によると、アディレット党はカザフスタン初のクルルタイ選挙で71.17%の票を獲得した。

アウイル人民民主愛国党は6.26%、レスプブリカ党は5.56%、アク・ジョル民主党は5.21%、全国社会民主党は5.11%だった。

一方、カザフスタン人民党は3.11%、バイタク緑の党は1.07%にとどまり、「すべての候補に反対」は2.51%だった。

カザフスタンの選挙法では、クルルタイで議席を獲得するためには、政党が少なくとも5%の得票率を確保する必要がある。暫定結果では、5政党がこの基準を突破した。

Zhandos Shaimardanov. Photo credit: KazISS

KazISSのジャンドス・シャイマルダノフ所長は、8月23日の選挙について、今年初めに導入された新たな憲政の枠組みを、法制度上の設計から実際の政治運営へと移す最初の試金石になったと述べた。

同氏は、74%を超える投票率と、5政党が5%の基準を上回ったという暫定結果を、新議会の性格を形づくる二つの重要な要素として挙げた。すなわち、一つの圧倒的な政治勢力が存在する一方で、複数の小規模政党もクルルタイに議席を持つ構図である。

「今後の課題は、有権者が示した選択が、新しいクルルタイの活動や立法上の優先課題、さらには各政党の日常的な政治活動にどのように反映されるのかを見極めることだ」とシャイマルダノフ氏は語った。

選挙は始まりにすぎない

イタリア・アジア研究所のドメニコ・パルミエリ所長は、今回の選挙は長い道のりの始まりにすぎないと指摘した。制度改革が実際に機能するかどうかは、選挙そのものでは判断できず、今後のクルルタイの実績によって評価されることになるからだ。

Domenico Palmieri. Photo credit: KazISS

「昨日はカザフスタンにとって非常に重要な日だった。しかし、それは新たな道の始まりにすぎない。これらすべての変化と改革は、今後数カ月、数年にわたって実行され、その経過を見ていかなければならない」とパルミエリ氏は述べた。

同氏は、2022年の大統領選挙、今年3月の憲法国民投票、そして8月23日の議会選挙を継続的に見てきた。

パルミエリ氏は、一院制議会への移行について、より効率的な制度となる可能性があると評価する一方、その実効性を判断できるのは、新たに選出された議員が実際に立法活動を始めてからだと指摘した。

「新しい議会と新しい議員がどのような仕事をするのかを見るためには、少なくとも6カ月は待つ必要があると思う」と同氏は語った。

選挙の技術的な運営については、円滑に進んだとの評価を示した。

パルミエリ氏が特に注目したのは、カザフスタン国民が投票に参加し、自国の発展について自らの意思を示そうとする姿勢だった。これはイタリアとは大きく異なるという。

カザフスタンでは有権者の約75%が投票したのに対し、イタリアでは投票率が50%に達すれば成功とみなされると同氏は述べた。

政党は有権者の要求に応えなければならない

政治学博士で、アルマトイにあるナリホズ大学の教授を務めるアンドレイ・カザンツェフ氏は、カザフスタンの高い投票率を、多くの国で政治参加が低下している世界的傾向との比較から分析した。

同氏は、その背景には、個人化の進展や従来型の政治に対する国民の関心低下があると指摘した。

Andrey Kazantsev in the center. Photo credit: KazISS

ただし、今回の高い投票率を、国民が政党政治そのものに強い関心を持つようになった証拠と解釈すべきではないとも述べた。

むしろ、国際情勢の不確実性が高まる中で、自国がどの方向へ進むのかという国民の幅広い関心を反映している可能性があるという。

「これは社会の関心が非常に高いことを示している。ただし、それは必ずしも政治そのものへの関心ではないだろう。一般の人々と話をしてみても、彼らが政党政治そのものに特別な関心を持っているとは限らない。しかし、彼らが関心を持っているのは未来だ。自分たちはどうなるのか、子どもたちはどうなるのか。そして世界で何が起きているのかを、毎日テレビで目にしている」とカザンツェフ氏は語った。

こうした国民の関心は、再設計されたカザフスタンの政治制度の下で、今後さらに重要になる可能性がある。

クルルタイ議員が地域別の選挙区ではなく政党名簿を通じて選ばれることになったため、政党は国民の期待を立法上の優先課題へと反映させるうえで、これまで以上に大きな責任を担うことになるとカザンツェフ氏は指摘した。

「需要は高い。今度は政党が供給する側にならなければならない」と同氏は述べた。

そのためには、政党が活動のあり方を近代化し、有権者の懸念をより的確に把握するとともに、国の将来について明確なビジョンを示す必要があるという。

政党がそれを実現できるかどうかは、新たな憲政モデルが意図された通りに機能しているかを測る最初の指標の一つになる可能性がある。

カザフスタン国境を越える影響

Senior Fellow at the Hudson Institute Ken Moriyasu, described Kazakhstan as “the most important swing state in the world.” Photo credit: cfive.org

米ワシントンを拠点とするハドソン研究所の上級研究員、森安健氏によれば、カザフスタンの政治的移行が持つ意味は、国内制度の変化だけにとどまらない。

森安氏は会合で、中央アジアの資源、貿易ルート、地政学的位置に対する国際社会の関心が高まっていると指摘した。

米国では、中国への重要鉱物依存を減らそうとする動きが強まる中、中央アジアへの関心が急速に高まっている。一方、中国は、海上貿易ルートの混乱による影響を受けにくいユーラシア大陸の陸上輸送ルートを、これまで以上に重視するようになっているという。

「中国も米国も、互いへの依存から距離を取ろうとしている。そして、その両者が中央アジアで出会っている。だからこそ、この地域への関心がこれほど高まっているのだ」と森安氏は語った。

こうした状況を踏まえ、同氏はカザフスタンの政治的移行を、中央アジア全体で進むより広範な結束の一部と位置づけた。

中央アジア諸国は近年、地域内の連携を強化し、国際社会においてより大きな集団的役割を果たそうとしている。

森安氏はその一例として、今年6月のキルギス共和国の国連安全保障理事会非常任理事国への選出を挙げ、地域諸国からのより強い支持がキルギスの議席獲得を後押ししたと指摘した。

Political Map of the Caucasus and Central Asia/ Public Domain
Political Map of the Caucasus and Central Asia/ Public Domain

「この地域では徐々に統合が進んでいると思う。それは2016年、ウズベキスタンで新たな大統領、シャフカト・ミルジヨエフ氏が就任したころから始まったのではないか。そして、カザフスタンで進む権力の集約と安定化も、この大きな流れの一部だと思う」と同氏は述べた。

さらに、カザフスタン国内の政治制度がより明確で安定したものになれば、大国間競争が激化する中でも、同国が外交上の均衡を維持し、これまでのバランス外交を継続する能力を強化する可能性があると指摘した。

今後の動き

制度移行はすでに次の段階に入っている。

8月24日、カシムジョマルト・トカエフ大統領は、新たな憲法体制の実施が始まる中、国立銀行、国家保安委員会、最高司法評議会の各トップ、および人権委員を再任した。

カザフスタン憲法によると、中央選挙管理委員会が選挙の最終結果を正式に発表した後、トカエフ大統領はクルルタイの最初の会期を招集することになる。法律では、最終結果の公表から30日以内に開催しなければならない。

新議会が活動を開始すると、現政権はいったん総辞職することになる。

新憲法の下では、大統領はクルルタイに議席を持つ各政党会派との協議を経て、首相候補を指名する。

首相が任命されると、10日以内に政府の組織と閣僚構成を提案しなければならない。その後、閣僚はクルルタイとの協議を踏まえ、大統領によって任命される。

新憲法はまた、副大統領職の新設を定めている。

トカエフ大統領は、副大統領の人選について近く発表するとしている。

大統領は、新議会の最初の会期が始まってから2カ月以内に、クルルタイの承認を得て副大統領を任命しなければならない。

副大統領は国会議員を兼任することも、政党に所属することも認められない。

また、大統領が任期満了前に職を離れた場合には、副大統領が大統領権限を引き継ぐことになる。

Original URL: https://astanatimes.com/2026/08/kurultai-vote-raises-stakes-for-parties-parliament-and-foreign-policy-experts-say/

INPS Japan

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