森林産品への需要が高まるなか、自然を守り育てる持続可能な管理を
【カトマンズNepali Times=ジーミン・ウー】
お金が木になるわけではない。だが、私たちの繁栄の多くは木々に支えられている。
森林は、何兆ドル規模もの経済活動や何百万という雇用、そして私たちが口にする食べ物、吸う空気、依拠する気候といった不可欠な基盤を、静かに支えている。現実には、健全な森林なしに世界経済は成り立たない。
森林の価値は、木材にとどまらない。森林は土壌を安定させ、農業・食料システムや産業生産に欠かせない水を調節し、エネルギーや多様な森林産品を供給し、さらにレクリエーションやエコツーリズムの場も生み出している。

森林セクターだけでも、世界経済に年間約1兆5200億ドルの価値をもたらしていると推計される。さらに、世界の国内総生産(GDP)の半分以上にあたる約44兆ドルが、森林を含む自然に依存している。
20億人以上にとって、薪などの木質燃料は調理や暖房に欠かせない。さらに数億人が、生計を森林に直接依存している。木材以外にも、森林は食料、薬用資源、樹脂、繊維、飼料、観賞用植物を提供しており、世界で約58億人を支えている。こうした非木材林産物の価値は、少なくとも年間94億1000万ドルにのぼり、今後さらに拡大する可能性がある。
森林は炭素を蓄えることで、数十億ドル規模の損失をもたらしかねない気候変動の影響から経済を守る役割も果たしている。たとえばブラジルでは、熱帯林を農地に転換した結果、蒸発散、すなわち地表から大気へ水分が移動する働きが30%低下し、地域の気温上昇と天水農業へのリスク増大を招いている。森林がなければ、世界の食料生産は持続しえない。

さらに森林は、世界が鉄鋼やコンクリート、プラスチックといった高排出資材に代わる、気候にやさしい代替素材を基盤とするバイオエコノミーへと移行し始めるなかで、自然に根ざした解決策の一部でもある。人口が増加するなか、住宅建設に用いられる再生可能で持続可能な木材は、低炭素経済の柱となりうる。木材由来の繊維、食品包装材、さらには透明な「ガラス」に相当する新素材まで、すでに実用化されている。
これは、すでに過去最高水準にある森林産品への需要が、今後さらに増加することを意味する。たとえば2050年までに、世界は工業用丸太を10億立方メートル必要とする可能性がある。現在の年間生産量は40億立方メートルだが、そこにさらに需要が上積みされることになる。
もっとも、森林はすでに大きな圧力にさらされている。陸上生物多様性の最大80%が森林に生息しているにもかかわらず、森林減少と森林劣化の進行は世界全体で鈍化しつつあるとはいえ、なお他の経済用途のために伐採や転用が続いている。
気候変動が深刻化するなか、未来の世界経済は、より持続可能で、より循環型で、より自然と結びついたものへと変わらなければならない。そのためには、保全と生産を対立するものとしてではなく、一体のものとして結びつける必要がある。
国連食糧農業機関(FAO)は、生計を支え、生態系サービスを提供し、持続可能な産品を生み出す健全な森林というビジョンを実現するために必要な具体的措置を推進している。

まず重要なのは、需要の増大に応えることが、自然の再生能力を超えて資源を利用することを意味しないようにすることである。木材をより効率的に使い、木材製品のリサイクルと再利用を賢く進めれば、森林への圧力を軽減できる。
木造建築のように長期にわたって利用される用途では、炭素が数十年にわたり固定され、伐採された一本一本の丸太をより有効に活用できる。木材や非木材林産物の採取を生態学的限界の範囲内にとどめ、森林生態系の健全性を維持するうえで、持続可能な森林管理は不可欠である。
国際貿易もまた、世界の需給バランスを調整し、森林資源の豊かな地域が資源の乏しい地域を支えることを可能にする。だが、その前提として、貿易は強固な持続可能性基準と適切なガバナンスに支えられていなければならない。森林減少や非木材林産物の過剰採取を防ぎ、地域社会が確実に利益を得られるようにするためである。
また、小規模生産者から大規模生産者に至るまで、森林を守り責任ある管理を行う人々に報いるうえで、奨励制度や革新的な資金調達の仕組みも役立つ。

木材や竹などの再生可能資源を基盤とする拡大するバイオエコノミーは、さらなる発展の準備が整っており、有望な道筋を示している。ただし、それはあくまで持続可能な林業にしっかり根ざしている場合に限られる。そのためには、セーフガード、明確なルール、そして適切なガバナンスが不可欠である。
3月21日の「国際森林デー」にあたり、ひとつの結論が鮮明に浮かび上がる。森林なくして、経済は成り立たない。いま下される決定が、森林を守りながら、同時に将来世代のために強靱な経済を築けるかどうかを左右するのである。(原文へ)
ジーミン・ウーは、国連食糧農業機関(FAO)林業部門ディレクター兼事務局長補である。
INPS Japan
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